腎臓のはたらき 
基本事項
腎臓の細かいろ過・再吸収の話に入る前に、腎臓のはたらきの概要を説明する。
腎臓の基本的な思想（小分子のみ選別し、人体に必要な要素のみ残すことで不要な物質を捨てる）を述べて、それに関連させて構造を説明出来るようにする。
腎臓全体を通して、再吸収の計算問題を含めて2時限、時間がかかると2.5〜3時限かかる。
腎臓の基本的な思想（小分子のみ選別し、人体に必要な要素のみ残すことで不要な物質を捨てる）を述べて、それに関連させて構造を説明出来るようにする。
腎臓全体を通して、再吸収の計算問題を含めて2時限、時間がかかると2.5〜3時限かかる。
扱う内容、レベル
腎臓の役割である、�‖留嫦罎力掲冓�の排出 ��体液中のイオン量の調節を説明する。
特に、�△蓮∪古未�ほぼ知らない・意識したことがない内容であり、イオンそのものが、「なんだったっけ？」となる生徒もいる。詳細は後で話すものの、きちんと説明した方が良い。
肝臓のはたらきと関連を持たせるために、成分の具体名は出さずに、模式的に
「大きな○」(分子量が大きく人体に有益な物質)「大きな×」「小さな○」「小さな×」「？」(有益か無益か判断できない成分)の5つのうち、どれを体内に残すべきか、そして、「大きな×」「小さな×」「？」を体液から除くにはどうしたらよいか考えさせる。大きな×は肝臓が処理できるので、「小さな×」と「？」を除くために、まずろ過して大きな分子を除き、「小さな○」のみ再吸収する、という手順をとる。という結論を導く。
特に、�△蓮∪古未�ほぼ知らない・意識したことがない内容であり、イオンそのものが、「なんだったっけ？」となる生徒もいる。詳細は後で話すものの、きちんと説明した方が良い。
肝臓のはたらきと関連を持たせるために、成分の具体名は出さずに、模式的に
「大きな○」(分子量が大きく人体に有益な物質)「大きな×」「小さな○」「小さな×」「？」(有益か無益か判断できない成分)の5つのうち、どれを体内に残すべきか、そして、「大きな×」「小さな×」「？」を体液から除くにはどうしたらよいか考えさせる。大きな×は肝臓が処理できるので、「小さな×」と「？」を除くために、まずろ過して大きな分子を除き、「小さな○」のみ再吸収する、という手順をとる。という結論を導く。
発問案
(復習)血液の成分で、一番大きいのはどれ？ → 白血球(赤血球も血小板も原尿にはふくまれないが)
(復習)血液の成分で、一番数が多いのはなに？ → 赤血球
大きいものと、小さいものを分けるにはどうしたらいい？ → ろ過。出ないようなら砂と水を分けるとき・・・などと誘導する。
大きい×はどうする？ → 肝臓で処理する。
原尿には、小さな○、小さな×、そしてよくわからない「？」があります。「？」は血液に残しておく？捨ててしまった方がいい？ → 捨ててしまった方が安全。実際に人体に害はないが利用もできない物質(イヌリンなど)は尿に含まれる。
(復習)血液の成分で、一番数が多いのはなに？ → 赤血球
大きいものと、小さいものを分けるにはどうしたらいい？ → ろ過。出ないようなら砂と水を分けるとき・・・などと誘導する。
大きい×はどうする？ → 肝臓で処理する。
原尿には、小さな○、小さな×、そしてよくわからない「？」があります。「？」は血液に残しておく？捨ててしまった方がいい？ → 捨ててしまった方が安全。実際に人体に害はないが利用もできない物質(イヌリンなど)は尿に含まれる。
トピック
「腎」の字は、部品が間違いやすい漢字なので、授業のはじめに大きく書く。
腎臓の構造
基本事項
非常に覚えるべき単語が多い。構造的・階層的な分類（腎うー皮質―髄質など）と、機能的な分類（皮質―腎小体など）の2通りの分類方法があり、様々な観点から繰り返し覚えてもらう。
教科書には腎臓の観察実験が書かれていることが多い。準備が大変だが恒常性では実験そのものが難しいので、検討しても良いだろう。
教科書には腎臓の観察実験が書かれていることが多い。準備が大変だが恒常性では実験そのものが難しいので、検討しても良いだろう。
扱う内容、レベル
腎動脈、腎静脈、輸尿管、髄質、皮質、腎う、腎単位（ネフロン）、腎小体、ボーマンのう、糸球体、細尿管、集合管の12個の単語が登場する。
皮質、髄質は本来組織の名称であり、働きと直接繋がらないかもしれないが、
ろ過―皮質―腎小体―糸球体とボーマンのう
再吸収―髄質―細尿管 と、働きに注目してグループ分けすると良いだろう。
また、階層ごとの構造の名称の説明を終えた後、血液の流れと、尿の流れを指しながら説明すると良い。
特に尿の流れは、細尿管→集合管→腎う→輸尿管→ぼうこう となり、説明すると整理されやすい。
皮質、髄質は本来組織の名称であり、働きと直接繋がらないかもしれないが、
ろ過―皮質―腎小体―糸球体とボーマンのう
再吸収―髄質―細尿管 と、働きに注目してグループ分けすると良いだろう。
また、階層ごとの構造の名称の説明を終えた後、血液の流れと、尿の流れを指しながら説明すると良い。
特に尿の流れは、細尿管→集合管→腎う→輸尿管→ぼうこう となり、説明すると整理されやすい。
発問案
腎臓は、血液を、きれいな血液と尿に分ける装置です。さて、入口は何個で、出口は何個でしょう？ → 入口は腎動脈の1個、出口は腎静脈、輸尿管の2個。
腎臓は2つあります。こっちが右腎でこっちが左腎。なんで左右逆なんだっけ？ → 覚える必要はないが、心臓の構造の復習になる。
腎臓の働きはろ過と再吸収の2つです。さて、腎臓の中身は大きくいくつに分かれているでしょうか？ → 腎うを含めると答えは「3つ」だが、構造と働きにつながりがあることを意識させる。
尿は、一日何Lでる？何回ぐらい？ → 一日平均1.5Lほど。たいてい4回ほどトイレに行っている。
腎臓は2つあります。こっちが右腎でこっちが左腎。なんで左右逆なんだっけ？ → 覚える必要はないが、心臓の構造の復習になる。
腎臓の働きはろ過と再吸収の2つです。さて、腎臓の中身は大きくいくつに分かれているでしょうか？ → 腎うを含めると答えは「3つ」だが、構造と働きにつながりがあることを意識させる。
尿は、一日何Lでる？何回ぐらい？ → 一日平均1.5Lほど。たいてい4回ほどトイレに行っている。
トピック
腎臓の観察は、ほとんどの教科書に載っているが、準備が難しく、実施していない高校が多い。(センター試験には出る可能性がある。記憶があるがあれは本試だったか模試だったか・・・。)
実験そのものが、教科書の前半に集中しており、植生・生態系でも実験が難しいので、ここで1時間とってもいいかもしれない。
豚の腎臓の入手先は、インターネットで探すと冷凍品を送ってくれる業者があるようである。
また、地域にコリアンタウンがあれば、そこの精肉店で1個100円以下で売っている。一般的な精肉店や屠殺場へも、電話してみる価値はある。ただし血管や輸尿管が短く切られているので、墨汁の注射は難しいかもしれない。
腎うの「う」の字は本来「盂」と書くが、常用漢字ではないので平仮名で表記する。
また、腎小体はマルピーギ小体、細尿管は腎細管、尿細管ともいう。特に細尿管と尿細管は、漢字を逆にしただけなので、テスト採点時に×をつけてしまわないように注意が必要。
腎単位と腎小体は、腎から始まり、両方とも小さそうな名前なので、混同して覚えてしまいやすい。
小がつく腎小体の方が、小さいよ、腎単位は機能的な単位、肝小葉みたいなもんだよ、と説明する。
腎単位は片方の腎臓に約100万本入っている。全てをつなげると全長80kmにもなる。血管もそうだが、これだけの構造が千切れずに整理されて体にしまってあるのは凄い。
実験そのものが、教科書の前半に集中しており、植生・生態系でも実験が難しいので、ここで1時間とってもいいかもしれない。
豚の腎臓の入手先は、インターネットで探すと冷凍品を送ってくれる業者があるようである。
また、地域にコリアンタウンがあれば、そこの精肉店で1個100円以下で売っている。一般的な精肉店や屠殺場へも、電話してみる価値はある。ただし血管や輸尿管が短く切られているので、墨汁の注射は難しいかもしれない。
腎うの「う」の字は本来「盂」と書くが、常用漢字ではないので平仮名で表記する。
また、腎小体はマルピーギ小体、細尿管は腎細管、尿細管ともいう。特に細尿管と尿細管は、漢字を逆にしただけなので、テスト採点時に×をつけてしまわないように注意が必要。
腎単位と腎小体は、腎から始まり、両方とも小さそうな名前なので、混同して覚えてしまいやすい。
小がつく腎小体の方が、小さいよ、腎単位は機能的な単位、肝小葉みたいなもんだよ、と説明する。
腎単位は片方の腎臓に約100万本入っている。全てをつなげると全長80kmにもなる。血管もそうだが、これだけの構造が千切れずに整理されて体にしまってあるのは凄い。
ろ過のしくみ
基本事項
ろ過を行う構造的な説明と、ろ過される成分、されない成分の説明を行う。
教員側は、何が大きい成分で、何が小さい成分か自明なことが多いが、生徒は用語とスケール感がリンクしていないことが多いので、丁寧に説明する。
教員側は、何が大きい成分で、何が小さい成分か自明なことが多いが、生徒は用語とスケール感がリンクしていないことが多いので、丁寧に説明する。
扱う内容、レベル
ろ過されない成分の代表例は血球・タンパク質であり、ろ過される成分の代表例は水・グルコース・アミノ酸・無機塩類などのイオン・尿素である。血球は細胞の名称だし、タンパク質は遺伝子の単元でアミノ酸が多数繋がってできたもの、と説明を受けているので、これらが比較的大きい物体であることは以前の単元の復習である。
場合によっては、一番初めの単元の大きさの説明や、階層性の復習の時間に当ててもいいかもしれない。
原尿の1日の生成量は、約180Lである。この数字は、尿量1.5Lと共にデータが出題される。
また、覚えておくと、腎臓の再吸収の計算の時に、見当違いの答えを書いてしまうことがなくなる。
場合によっては、一番初めの単元の大きさの説明や、階層性の復習の時間に当ててもいいかもしれない。
原尿の1日の生成量は、約180Lである。この数字は、尿量1.5Lと共にデータが出題される。
また、覚えておくと、腎臓の再吸収の計算の時に、見当違いの答えを書いてしまうことがなくなる。
発問案
（黒板に成分を書いて）この中で、明らかに大きいものは何？ → 血球は答えられるが、タンパク質については、「タンパク質とアミノ酸はどっちが大きい？」などと絞ってあげると答えやすい。
化学の実験でろ過するときは、どんな道具を使う？ → 漏斗・濾紙に当たるのが糸球体で、濾液を受けるビーカーの役割をするのがボーマンのうである。
化学の実験でろ過するときは、どんな道具を使う？ → 漏斗・濾紙に当たるのが糸球体で、濾液を受けるビーカーの役割をするのがボーマンのうである。
トピック
血液に大きな分子と小さな分子がある様子は、タピオカミルクティーに似ている。タピオカミルクティーをタピオカとミルクティーに分けるにはどうする？と聞くと生徒はろ過をイメージしやすい。
糸球体に開いている穴は、約4.5nmの大きさである。1mmの22万分の1の大きさであり、赤血球の大きさ7.5μmよりかなり小さく、炭素原子0.15nmよりかなり大きい。
糸球体に開いている穴は、約4.5nmの大きさである。1mmの22万分の1の大きさであり、赤血球の大きさ7.5μmよりかなり小さく、炭素原子0.15nmよりかなり大きい。
再吸収
基本事項
再吸収が起こるメカニズムと構造の他に、成分による経路の違い、イオン量の調節の概念を説明する。
扱う内容、レベル
扱うのは、水・血球・タンパク質・グルコース・アミノ酸・無機塩類・尿素。大きい分子はろ過で取り除かれ、体に必要な物質は全て再吸収されるが、何が「大きい分子」で、何が「必要な物質」なのか生徒はわからない。
なので、それぞれの成分を紹介するときに、簡単な説明をすると良い。
その後、何がろ過される、再吸収されるべきかを、生徒に発問する。
タンパク質・グルコースが尿に含まれない理由は入試に頻出なので、印をつけて強調したり、生徒に説明させると良い。
バソプレシンと鉱質コルチコイドによる、再吸収量の変化は、ここでは扱わない方が良い。（内分泌腺名などをあげても生徒はわからないし、ホルモンのはたらきかたも知らない）
また、再吸収の仕組みには能動輸送・受動輸送・浸透圧周りの知識が絡んでくるが、これは生物の内容なので、この単元では説明しない。(一度に与える知識が多くなりすぎるので)
なので、それぞれの成分を紹介するときに、簡単な説明をすると良い。
その後、何がろ過される、再吸収されるべきかを、生徒に発問する。
タンパク質・グルコースが尿に含まれない理由は入試に頻出なので、印をつけて強調したり、生徒に説明させると良い。
バソプレシンと鉱質コルチコイドによる、再吸収量の変化は、ここでは扱わない方が良い。（内分泌腺名などをあげても生徒はわからないし、ホルモンのはたらきかたも知らない）
また、再吸収の仕組みには能動輸送・受動輸送・浸透圧周りの知識が絡んでくるが、これは生物の内容なので、この単元では説明しない。(一度に与える知識が多くなりすぎるので)
発問案
（復習）腎臓の働きを2つ言ってください。 → ろ過と再吸収
（復習）これらの物質の中で、大きな分子はどれとどれ？ → 血球とタンパク質
これらの物質の中で、おしっこに入れて捨ててしまうべきではないものは？ → グルコース・アミノ酸(ほぼ全て再吸収される)
ドリンクバーとかで、飲みもの飲みすぎると、おしっこはどうなる？
運動して喉が渇いているとき、おしっこはどうなる？
デカビタとか、エナジードリンクとかを飲むと、おしっこはどうなる？
水の再吸収量は、体の水分の量で変わります。水が多い時は再吸収はどうなる？喉が渇いている時は？ → バソプレシンの体液濃度調節の考え方の訓練を少ししておくと良い。
（復習）これらの物質の中で、大きな分子はどれとどれ？ → 血球とタンパク質
これらの物質の中で、おしっこに入れて捨ててしまうべきではないものは？ → グルコース・アミノ酸(ほぼ全て再吸収される)
ドリンクバーとかで、飲みもの飲みすぎると、おしっこはどうなる？
運動して喉が渇いているとき、おしっこはどうなる？
デカビタとか、エナジードリンクとかを飲むと、おしっこはどうなる？
水の再吸収量は、体の水分の量で変わります。水が多い時は再吸収はどうなる？喉が渇いている時は？ → バソプレシンの体液濃度調節の考え方の訓練を少ししておくと良い。
トピック
学校で毎年行われている「尿検査」は、尿に「血球」「タンパク質」「糖」が含まれていないかチェックしている。
このうち、血球・タンパク質が含まれている場合は、ろ過のシステムに障害が、糖が含まれている場合は再吸収のシステムが障害されている可能性がある。
尿の色が黄色い理由も、ビリルビンである。ビリルビンの一部は、腸内で代謝されウロビリンになる。これが体内に吸収され、腎臓で排出される。また、ビタミンB2が黄色なので、過剰に摂取すると尿の黄色が強くなる。
一般的には尿の色の濃さは、尿量によって決まる。尿が少なければ濃くなり、多ければ薄くなる。つまり、尿は脱水状態になっているかの目安になる。自覚がなくても、尿が濃かったら水分補給を行った方がよい。
尿素は、窒素排出物の代謝物なので、人体に不必要であり、再吸収をする必要がないように感じるが、実際は約半分が再吸収されている。
尿素は小さい分子なので、細胞膜透過性が高く、受動輸送で一定量再吸収されてしまう。また、細尿管に多くの尿素を蓄積することで、浸透圧を高め、細尿管からの水の再吸収量をあげている。
この内容はそうなる理由に浸透圧関係の理解が必要なため、説明しづらい。
幸いあまり出題されない(計算では頻出する)が、すっと説明できる方法があれば教えてください。
このうち、血球・タンパク質が含まれている場合は、ろ過のシステムに障害が、糖が含まれている場合は再吸収のシステムが障害されている可能性がある。
尿の色が黄色い理由も、ビリルビンである。ビリルビンの一部は、腸内で代謝されウロビリンになる。これが体内に吸収され、腎臓で排出される。また、ビタミンB2が黄色なので、過剰に摂取すると尿の黄色が強くなる。
一般的には尿の色の濃さは、尿量によって決まる。尿が少なければ濃くなり、多ければ薄くなる。つまり、尿は脱水状態になっているかの目安になる。自覚がなくても、尿が濃かったら水分補給を行った方がよい。
尿素は、窒素排出物の代謝物なので、人体に不必要であり、再吸収をする必要がないように感じるが、実際は約半分が再吸収されている。
尿素は小さい分子なので、細胞膜透過性が高く、受動輸送で一定量再吸収されてしまう。また、細尿管に多くの尿素を蓄積することで、浸透圧を高め、細尿管からの水の再吸収量をあげている。
この内容はそうなる理由に浸透圧関係の理解が必要なため、説明しづらい。
幸いあまり出題されない(計算では頻出する)が、すっと説明できる方法があれば教えてください。
再吸収量の計算(クリアランステスト)
基本事項
腎臓の機能を測るテストであり、入試に頻出。
文系生徒を中心に、苦手な生徒が多いが、「解き方自体を暗記してしまって良い」計算問題に入る。
文系生徒を中心に、苦手な生徒が多いが、「解き方自体を暗記してしまって良い」計算問題に入る。
扱う内容、レベル
表で扱う単位は、「％」「mg/mL」「g/L」のパターンがあるが、授業で扱う際は、「mg/mL」の方が教えやすい。「％」の場合は密度が問題文で与えられ、（全て1g/mL）他の単位に直してから計算することになる。
まずは、最小限の内容で教え、それができることを確認してから、補足として説明すると良い。
たいていの問題は「mg→g」「mL→L」の換算が必要になるが、これも整理して問題を作れば、換算を求めない問題ができる。
（具体的には、表の単位mg/mL、求める時間単位1分ないし5分、表の単位g/L、求める時間単位1日）
代表的な問題と説明上のポイント
（1） 原尿に含まれているタンパク質、グルコース、尿素、イヌリンの濃度を求めよ。
→ ろ過で取り除かれる物質を確認する。濾過されても濃度は変化しない。(醤油は濾過しても醤油、タピオカミルクティーは濾過してもミルクティーの味は変わらない。)
（2） タンパク質・グルコース・尿素・イヌリンの濃縮率を求めよ。
→ 濃縮率の公式は伝えなくても、何倍の濃さになっているかを示す数値だと説明し、簡単な例を挙げて自力計算ができることを理解させる。
「10の濃さのものが20になった。何倍の濃さになった？」→ 2倍。
「今、頭の中でどんな計算をした？」 → 20÷10をしました。
自分の頭の中で自然とできることを実感させる。
（3） イヌリンに注目して、単位時間に生成される原尿量を求めよ。
教え方が2つある。生徒のレベル、メリットデメリットで選択。
教え方A 濃縮率を利用する。（計算も楽で理解もしやすい。）
単純なモデルで説明する。「塩水の水分が蒸発して体積が1/5になった。濃度は何倍になった？(模式図を書いても良い。体積が減っているが溶質「（塩）」の数は変わらない)」→5倍
「では、120倍の濃さになっている尿は、もともと何mLの原尿だったか？」 → 単位時間に生成される尿×濃縮率になる。
教え方B 尿の濃度×体積＝原尿の濃度×体積で方程式を立てる。（（4）の問題と似たような解き方ができる。が少々煩雑）
�� 尿に含まれるイヌリンは何mgか計算する。
「12mg/mLって、何mLの尿にイヌリンが12mgって意味？」→ 1mL。
「では尿が5mLあったら、イヌリンは何mgある？」→ 12×5で60mg
物理基礎・化学基礎を履修済みなら、mg/mLの単位から自然と導かせる。未履修なら、丁寧にこのあたりは解説。計算が苦手な生徒のために、濃度×体積＝重さと板書してしまっても良い。
�� 原尿量をxとして原尿に含まれるイヌリンの重さをxで表現させる。
�� 再吸収されない、ということは原尿のイヌリン重さ「＝」尿のイヌリン重さになる。方程式を解く。
文章ではなく、図を使って説明する。
「原尿に5個のイヌリン「（イ）」があるとする。再吸収されないと、尿にはイヌリンは何こある？」→ 5個。
（4） 単位時間に再吸収された尿素の量は何mgか。
教え方2 から・・・。
「原尿に5個の尿素「(尿)」がある。尿には3個の尿素があった。何個再吸収された？」 2個。5−3。つまり、原尿の尿素重さ「ー」尿の尿素重さ＝再吸収量。公式を必ず導かせること。
まずは、最小限の内容で教え、それができることを確認してから、補足として説明すると良い。
たいていの問題は「mg→g」「mL→L」の換算が必要になるが、これも整理して問題を作れば、換算を求めない問題ができる。
（具体的には、表の単位mg/mL、求める時間単位1分ないし5分、表の単位g/L、求める時間単位1日）
代表的な問題と説明上のポイント
（1） 原尿に含まれているタンパク質、グルコース、尿素、イヌリンの濃度を求めよ。
→ ろ過で取り除かれる物質を確認する。濾過されても濃度は変化しない。(醤油は濾過しても醤油、タピオカミルクティーは濾過してもミルクティーの味は変わらない。)
（2） タンパク質・グルコース・尿素・イヌリンの濃縮率を求めよ。
→ 濃縮率の公式は伝えなくても、何倍の濃さになっているかを示す数値だと説明し、簡単な例を挙げて自力計算ができることを理解させる。
「10の濃さのものが20になった。何倍の濃さになった？」→ 2倍。
「今、頭の中でどんな計算をした？」 → 20÷10をしました。
自分の頭の中で自然とできることを実感させる。
（3） イヌリンに注目して、単位時間に生成される原尿量を求めよ。
教え方が2つある。生徒のレベル、メリットデメリットで選択。
教え方A 濃縮率を利用する。（計算も楽で理解もしやすい。）
単純なモデルで説明する。「塩水の水分が蒸発して体積が1/5になった。濃度は何倍になった？(模式図を書いても良い。体積が減っているが溶質「（塩）」の数は変わらない)」→5倍
「では、120倍の濃さになっている尿は、もともと何mLの原尿だったか？」 → 単位時間に生成される尿×濃縮率になる。
教え方B 尿の濃度×体積＝原尿の濃度×体積で方程式を立てる。（（4）の問題と似たような解き方ができる。が少々煩雑）
�� 尿に含まれるイヌリンは何mgか計算する。
「12mg/mLって、何mLの尿にイヌリンが12mgって意味？」→ 1mL。
「では尿が5mLあったら、イヌリンは何mgある？」→ 12×5で60mg
物理基礎・化学基礎を履修済みなら、mg/mLの単位から自然と導かせる。未履修なら、丁寧にこのあたりは解説。計算が苦手な生徒のために、濃度×体積＝重さと板書してしまっても良い。
�� 原尿量をxとして原尿に含まれるイヌリンの重さをxで表現させる。
�� 再吸収されない、ということは原尿のイヌリン重さ「＝」尿のイヌリン重さになる。方程式を解く。
文章ではなく、図を使って説明する。
「原尿に5個のイヌリン「（イ）」があるとする。再吸収されないと、尿にはイヌリンは何こある？」→ 5個。
（4） 単位時間に再吸収された尿素の量は何mgか。
教え方2 から・・・。
「原尿に5個の尿素「(尿)」がある。尿には3個の尿素があった。何個再吸収された？」 2個。5−3。つまり、原尿の尿素重さ「ー」尿の尿素重さ＝再吸収量。公式を必ず導かせること。
発問案
トピック
個人的には、元代々木ゼミナール講師の鞠子先生の本にあった、「鉄アレイモデル」がイメージしやすく、教えやすいと思っている。そうでなくても、原尿の体積が大きいこと、尿の体積が小さいこと、溶質量の変化、濃度の変化を図示した方が、生徒にイメージを持たせやすい。
詳しくはNEW鞠子医・歯 薬・獣生物講義の実況中継―高校生物 (2)https://www.amazon.co.jp/dp/4875686277/ref=cm_sw_r... を参照のこと。(2006年出版なので結構古いが・・・。)
この問題の他に、縦軸に原尿・尿中のグルコース量、横軸に血漿グルコース濃度をとったグラフを用いた問題も入試では出題されやすい。ただ、受験生は一度解いておくべき、というぐらいで、授業で扱う必要はないだろう。
この単元に限ったことではないが、以前は小文字で「ml」と表記していたが、現在の学校教育では「m L」とLを大文字で書くことが決まっている。
m(ミリ)という接頭辞？が1000分の1であることを覚えてないと、mL→L換算ができないので、他の登場例（mm、mgなど）とセットで復習しても良いかもしれない。
イヌリンは、植物(芋類が多い)に含まれる多糖類で、ヒトの体内で利用されず、全て濾過され、その後全く再吸収されない物質である。
これらの説明文は問題文に書いてあるので、覚える必要はない。
(一応、教科書に載っているので、書かなくても出題していいが、この知識を前提とした問題は見たことがありません)
詳しくはNEW鞠子医・歯 薬・獣生物講義の実況中継―高校生物 (2)https://www.amazon.co.jp/dp/4875686277/ref=cm_sw_r... を参照のこと。(2006年出版なので結構古いが・・・。)
この問題の他に、縦軸に原尿・尿中のグルコース量、横軸に血漿グルコース濃度をとったグラフを用いた問題も入試では出題されやすい。ただ、受験生は一度解いておくべき、というぐらいで、授業で扱う必要はないだろう。
この単元に限ったことではないが、以前は小文字で「ml」と表記していたが、現在の学校教育では「m L」とLを大文字で書くことが決まっている。
m(ミリ)という接頭辞？が1000分の1であることを覚えてないと、mL→L換算ができないので、他の登場例（mm、mgなど）とセットで復習しても良いかもしれない。
イヌリンは、植物(芋類が多い)に含まれる多糖類で、ヒトの体内で利用されず、全て濾過され、その後全く再吸収されない物質である。
これらの説明文は問題文に書いてあるので、覚える必要はない。
(一応、教科書に載っているので、書かなくても出題していいが、この知識を前提とした問題は見たことがありません)
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