2ch.netオカルト板で2016年8月20日と8月27日に行われた百物語のまとめです。

【第五十六話】『夜警』 くらね ◆dKK.cBPcFU


211 :わらび餅(代理投稿) ◆jlKPI7rooQ @無断転載は禁止:2016/08/27(土) 21:03:59.46 ID:d+jFkzTK0
【第五十六話】くらね ◆dKK.cBPcFU 様
『夜警』

取引先の警備員のおじさんに聞いた話。
おじさんはたまに病院の夜警などもするそうなのだか、そこはいわゆる終末期の患者が多い病院だそうで、
霊にまつわる噂が多い。曰く、地下の職員トイレに夜中小学生ぐらいの女の子がいたとか、病棟のカウンターの上に
生首がのっているのを何人もの患者が見ただとか、またよくありがちな誰もいない病室からナースコールがするだとか。
しかしおじさん達夜警の警備員からすると、巡回ルートにある院長室が一番怖いらしい。
ある日、いつものように深夜の巡回をしていたときのこと。
おじさんは各病棟の巡回を終え、最上階にある院長室前の廊下に向かった。院長室の前に立ち、ドアの鍵が開いていない
か確認しようとドアノブを握ると、しゃりぃん、と鈴のような音が聞こえた。何か物が落ちたのかなと音のする方に
向かったが、なにもない。懐中電灯に浮かぶのはリノリウムで出きた薄汚れた床のみ。
異常がないので巡回に戻ろうとしたおじさんのすぐ後ろで、今度ははっきり、しゃらぁん!と金属音がした。
固まるおじさん。そのまましゃらんっ、しゃりぃん、しゃらんっ、しゃりぃん、とゆっくり歩くように、
その音はおじさんの後ろを通っていった。おじさんは恐怖で動けなかったそうだが、なぜだか後ろの音の主は
着物の女性で、身につけた金属の装飾品がこすれたりぶつかったりして音を立てているのがわかったという。
おじさんは今でもその病院に夜警に行っているそうだ。

【了】



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