2ch.netオカルト板で2016年8月20日と8月27日に行われた百物語のまとめです。

【第三十八話】『モヤモヤ』 マモノ ◆100mD2jqic


141 :マモノ ◆100mD2jqic @無断転載は禁止:2016/08/21(日) 02:59:51.79 ID:fy1rbVrq0
【第三十八話】『モヤモヤ』

(1/2)
怖くもない軽い話をひとつ。
父方の祖父は僧侶だった。
酒の飲み過ぎで喉を傷めて僧侶を辞めたと聞いていた。おいおい。
まぁそんな祖父だが、朝に夕にときちんと仏壇に向かって
経をあげるために、立派な木魚や大型の磬子(きんす)なんて物も
置いていた。が、その横には熊の敷物(頭も手足もついてるヤツ)やら
子鹿や鳥の剥製やら、成金くっさい物もずらりと並んでいる。
真面目なんだか不真面目なんだか。供養のつもりでは、おそらく無い。
軽くカオスな仏間だけれど、夏は非常に涼しいため、お気に入りの
遊び場だった。

幼稚園の頃かと思う。
近所に同じ年頃の子供が少なく、一人で遊ぶことも多かった。
仏間で一人で遊ぶ時、よくやっていたのが『モヤモヤを見る事』。
仏間の、特に仏壇の周りなんかを見ていると、なんかモヤっとした物が見える。
あちこちに見える。
いっぱい見える。
大きいのやら小さいのやら、不定形。
煙っぽいわけではない。あえて言うなら『空気の塊』という感じの物。
影送りって遊びがあるらしいけど、ああいう陰性残像とはちょと違う。
今では何が楽しかったのかわからないが、とにかく楽しかった。
まぁ空の雲や木目の形に顔だの動物だの見出す遊び、
あれと似たようなものだったのだろう。
ブワッと現れてはスーッと消える。それらを見て楽しんでた。
…本当に何が楽しかったんだろう。我が事ながらサッパリわからん。

そんな遊びの中、唯一憶えてるのが「あれ(細長い40cmくらいの
モヤモヤ)は女の人!」と思った事。
一体何を見て何を思っていたんだろう、あの頃の自分。

142 :マモノ ◆100mD2jqic @無断転載は禁止:2016/08/21(日) 03:01:35.35 ID:fy1rbVrq0
(2/2)
という所までざっと書いて、結局百話到達しそうだしオチも無いし
まぁいいやと放置したのだろう(過去にそういう事があった)。
今年になって「書き留めておいたものがあったなぁ」と思い出し
2012年、じつに4年前の日付のファイルを開いてみたのだが…

その『唯一憶えてる』のを、今憶えていない。
確かにモヤモヤ遊びは憶えているが
「人のモヤモヤ。怒ってる」とか色々感じていたのを憶えているし
「女の人!」というのは憶えていない。
その上、今憶えていないものが当時唯一の記憶だった??
しかも百物語に投稿しようとしてた???
百物語終盤のハイ状態で何かおかしくなっていたのか…。

皆さんの中にもし「昔なんだかんだで投稿やめた」って話の
ファイルがあったなら、久し振りに開いてみると意外な話が
隠れているかもしれない。お試しあれ。

【了】



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