2ch.netオカルト板で2016年8月20日と8月27日に行われた百物語のまとめです。

【第二十一話】『誰が悪い?』 るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj 


75 :るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj @無断転載は禁止:2016/08/20(土) 22:25:30.78 ID:UEO0zg090
【第二十一話】 るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj   
『誰が悪い?』

(1/2)
私が幼稚園の頃、祖母と両親、弟と私、そして大きな白い犬、茶とらの猫と暮らしていた。
向かいには気難しいおっちゃんと奥さんが二人で住んでいた。
そのおっちゃんは他人の子でも容赦なくひっぱたくので、ガキ大将すら恐れていた。
悪ささえしなければ怒られることはないので、なるだけ近寄らないようにしていたが、
私の母親が洋裁を職業としていておばちゃんがよく洋服を注文していた。
だから、よく家に来ていたのだ。おばちゃんは恐くないけど、あまり話さなかったと思う。近くの食品製造工場に勤めていた。

ある日、家の猫がかなり弱って帰って来た。ところどころ血が出ていて怪我をしていた。
そしてその日の晩、ぐったりとしたまま祖母に抱かれて死んだ。
家族で墓を作って埋葬した。次の日、向かいのおっちゃんが怒ってやって来た。我が家の猫が門を越えて敷地内に侵入した。
だから躾のために叩いたと…。
二度と外に出すなと言い残して帰って行った。誰も死んでしまったことは伝えなかった。揉め事を起こしたくなかったらしい。

76 :るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj @無断転載は禁止:2016/08/20(土) 22:26:59.16 ID:UEO0zg090
(2/2)
私も弟もその家にますます近寄らなくなって毎日が過ぎていった。
しばらくして、おばちゃんを見かけなくなり、その家は留守がちになった。
私達子供は平和になったと思い喜んでいた。留守なら怒られることもない。
いつも門が閉まっている状態になったので、安心して遊んでいた。

そうして日々が過ぎていったある日、遊びから帰るとおばちゃんが来ていて、母親が洋服の採寸をし
型紙を作っていた。
「あっ、○○くん、元気かね?」と言ったおばちゃんの右腕が無かった。
私は驚いて後ずさりし、母親に抱きついた。
おばちゃんは「手がないからビックリしたのね。」と言ったところまで覚えている。
大人になって祖母から聞いた話、「手が無くなったおばちゃん、覚えとるかね?」
覚えていることを伝えると、猫が死んでしばらくしてから、工場の機械に手が巻き込まれ切断したらしい。
その時思った。猫の祟りがあるなら、おっちゃんの方じゃないのかと…。
どうも祟りや怨念は本人に向くとは限らないらしい。
その家族に向けられることもあると知った。命あるものは大切にしなければ…。





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