2ch.netオカルト板で2016年8月20日と8月27日に行われた百物語のまとめです。

【第二十七話】『謎の視線』 初夏 ◆4pp8Nws9xA 


102 :初夏 ◆4pp8Nws9xA @無断転載は禁止:2016/08/20(土) 23:22:00.99 ID:uu2Jjzt10
【第二十七話】初夏 ◆4pp8Nws9xA 
『謎の視線』

(1/2)
これは、私が犬の散歩をしていた時の話です。
その日は部活終わりで、外は日が殆ど沈みかけだったのですが、
なんとなく飼い犬の散歩に行こうと家を出ました。
私の家は田舎にあり、少ない街灯が道をほんのり照らし家もぽつぽつとしかないので
辺りは薄暗く、私は一瞬戻ろうかと思いましたが、怖かったのかとからかわれるのが嫌で
そのままいつもの道を歩きました。
いつも家からある地点まで行き、折り返して戻ってくるというコースなのですが、
戻るときにソレは起こりました。
戻り始めて5分くらい経ってからでしょうか、急に背筋を冷たいものが通り抜ける感覚がありました。
「汗が冷えたのだろう」と誤魔化しながらそのまま歩き始めましたが、纏わり付くような視線と
悪寒を感じ、自然と早足になっていきました。歩きながら私は誰か不審者でもいるのかと思いましたが、
隠れられるような場所はなく、足音も自分と犬のものしかなかったのでその可能性は無くなりました。
既に辺りは真っ暗で、光は街頭だけしか頼りにならず、より恐怖心が増しました。
悪寒がひどくなってきた頃、少し前を歩いていた飼い犬が突然後ろを向いて唸り声を上げ、
吠え出しました。私はもう後ろを向くことすら怖くて、前を向いてしゃがんだまま犬を宥めましたが、
犬は中々落ち着かずずっと吠えました。私は振り向こうか悩んだ末、勇気を出して振り向こうとしました。

103 :初夏 ◆4pp8Nws9xA @無断転載は禁止:2016/08/20(土) 23:23:30.82 ID:uu2Jjzt10
(2/2)

しかし、振り向こうとした瞬間、一瞬目の前が真っ白になりました。
頭が理解するより速く、私は弾かれたように立ち上がり走り出しました。犬も横を走って
ついてきていたのが視界の端にうつり、そのまま全速力で家に帰りました。
母に走って帰ってきた理由を尋ねられたようでしたがなんて答えたのかは覚えておらず、
気付くと次の日の朝でした。
落ち着いてから一つ、気付いたことがあります。それは目の前が真っ白になった瞬間、
何か声のようなものが聞こえたことです。今思えば、あれは私を逃がしてくれた声なのではないでしょうか。
違ったとしても、私はあの声のお陰で振り返ることを踏みとどまることができました。
あの視線はなんだったのか、
もしあのまま振り返っていたらどうなっていたのか……それはもう誰にも分かりません。



次の話へ


コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます