2ch.netオカルト板で2016年8月20日と8月27日に行われた百物語のまとめです。

【第八話】『人を呪わば…』 るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj


28 :るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj @無断転載は禁止:2016/08/20(土) 20:04:49.64 ID:UEO0zg090
【第八話】 るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj   
『人を呪わば…』

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私が幼稚園を卒園する直前、両親が離婚し一家離散した。
その後は親戚のところを数ヶ月ごとに転々とし、小学1年生の時に父親に引き取られ弟と再会した。
そして何ヶ月も経たない内に新しいお母さんが自分の娘を連れてやって来た。お互い子連れの再婚だ。
とても優しいお母さんだった。あのことさえなければ…。

新しいお母さんが来て可愛い妹もできて、みんな仲良く暮らしていたある日の夕方、親父から電話がかかってきた。
お母さんは「お父さん、ちょっとしんどいから遅くなるって。先にご飯食べましょう。」

そして夕食の支度中、ひっきりなしに電話がかかってくる。近くに住む親戚もやって来た。
叔父が家からあちこちに電話をかける。ある一言も耳にした。「○○(親父の名前)が死んだ…。」
後で聞いた話しだが、親父が電話をかけてきたのはガソリンスタンドからで、車に戻り給油が終わって店員さんが声をかけたら息絶えていたらしい。
近所の人も次々にやって来て、家は白と黒の幕で覆われ祭壇が組まれていた。
やがて親父の遺体が戻り、一家離散後に預かってくれていた叔母に声をかけられた。親父の実の姉だ。
「△△くん、お父さんは死んだのよ、顔を撫でてあげなさい。」
私は言われる通り顔を撫でた。弟は傍で立ちすくんでいるだけだった。
そこへ“優しかった”お母さんが来て、「アンタのせいでお父さんは死んだのよ!アンタが大切にしないから!」と叫んだ。
叔母が「この子はまだ子供。やめてあげて!」と言い、私と弟を外に出した。
弟がポツリと言った。「パパはあのでっかいお星さまになったんよね?」私はただ「うんうん。」と答えるのが精一杯だった。
葬式の記憶はここで途絶えている。

29 :るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj @無断転載は禁止:2016/08/20(土) 20:06:09.18 ID:UEO0zg090
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その後、継母は豹変し私を虐め続けた。栄養失調、脚気などでガリガリだった。一年もしない内に見知らぬ男が頻繁に来るようになり、そいつと結婚した。
それまでのネグレクトに加え、男による暴力が始まった。
その後、私が中学の時、実の母親も病死したと伝え聞いた。
親父の兄弟8私の叔父や叔母には作り話と嘘で私がいつも問題を起こして手を焼いていると言っていて、親族に味方がいなくなっていった。
何度も家出をし、友達の家を転々とする生活、中学・高校と横道に反れてしまった。
そんな私でも何とかとある企業に就職できて、やつらを恨みつつも仕事を覚えていき、働く楽しさも実感し始めていた。
親父の遺産問題など色々抱えながらも仕事だけは順調だった。やがて嫌な思い出は忘れると思っていたのに、恨みは増すばかり。
やつらのことに関しては、「絶対殺してやる!」という怨念じみたものに変わっていった。

親父が財産を遺していたが、宙ぶらりんになっていた遺産問題がとうとう表面化した。やつらは私にめくら判を押させ放棄させ、全て自分達の物にすることを企んでいた。
実印を寄こせと言うので偽物を安くで作り渡した。本物と信じて浮かれる愚か者ども。一心に祈った。
「お父さん、お母さん、あいつらを殺してください!罰を与えてください!」
私の気持ちは殺すよりも生き地獄を味わわせるというものに変わっていった。そして、周囲の反対を無視して弁護士を通じて遺産分割を開始した。
継母はキレた。私は無視して弁護士に任せた。
どんどん狂う継母。この遺産問題の途中に継母の姉と妹がほぼ同時に乳がんになり50歳前後で他界。この人達は継母と正反対で優しかった
のに…。
そして続けてこれまた優しかった継母の父親(私から見て義理のおじいさん)も他界。私は悪事を働く張本人に罰が当たることを望んでいるのに…。

30 :るしふぁー ◆CS/orwC/9AZj @無断転載は禁止:2016/08/20(土) 20:07:31.18 ID:UEO0zg090
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更に親族で唯一味方になってくれていた叔母も、親父と同じ急性心不全で突然亡くなった。私は何も信じられなくなり、ある行動をとった。
実の母親の母親(私から見て実の祖母)が遠い田舎で生きていることを知っていたので、皆に内緒で逢いに行った。
当時、大人達は嘘をついていた、「本当のおばあさんも死んだ」と…。
私は祖母に逢ったが、久しぶりなので何も話さないでいた。ところが祖母は「何かつらいことあったんでしょう?」と私に問うた。
我慢できなくなって、親父が亡くなってからのことと今のことを全て話した。そして母親のことを話してくれ、一緒に墓参りに行った。
祖母は言った、「人を呪えば自分に返る。本人に返る場合もあるし、本人には行かずその身内が不幸になることもある。遺産問題だけ片付けて、そんな人達を恨むのは止めなさい。」
そして一緒に役所へ行き、祖母は遺言状を作った。「私(祖母)の財産は全て孫の○○○○(私)に相続する。」という内容。
「私はあなたを育てなかった。これがそもそもの間違い。私にも責任がある。これで考え方を明るい方に変えて。」~と言った。
私の継母に対する強い恨みが、関係のない優しい人の命を奪ってしまったかもしれないと考え、それ以降継母のことは封印した。

そして揉めに揉めた遺産問題は私と弟の納得のいく形で幕を下ろし、継母との関係を一切絶った。
その後、継母の身内の不幸も途絶えたが、やつらが他人の戸籍を汚したりしていたことが発覚し、周りから相手にされなくなっていったと聞いている。
また、その継母の娘は結婚したが、子供ができない体だということが判明し、子作りを諦めたらしい。継母の血を引く者は娘で途絶えるのだ。
「本人には行かなくても…」人の恨みは本当に存在するのか?
私は実の祖母と平和に暮らし、数年前最期を看取った。そして、祖母の遺言通りに事が運んで、ようやく安泰な人生がやって来た。





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