The Japan Association for Transnational Studies

第1報告


日本の委員会設置会社制度現状と問題点
 −中国型企業統治制度への示唆から見る改革の方向性

 報告者:周 氏(桜美林大学大学院 博士後期課程)
 司会者:金山 権氏(桜美林大学教授)

報告要旨

2011年10月からオリンパスや大王製紙などのガバナンスに関わる不祥事が公になり、日本のコーポレート・ガバナンスのあり方は再び問われてしまう。
実際、日本の企業統治改革が本格的に始まったのは90年代後半に遡ることができ、その大きな成果の一つとして2002年の委員会等設置会社制度の導入が挙げられる。
しかし、導入から早くも9年間が経つが、日本国内上場企業数が2011年11月29日時点で3595社だったに対して、委員会設置会社はわずか63社にしかなく、いまだに普及する気配が感じられない。

そこで、日本の委員会設置会社制度の導入と応用の現状を見直し、それに関する普及困難の原因と応用における問題点を明らかにすることはこれからの企業統治改革にも繋がると考える。
 本研究は委員会制度を導入している上場企業に焦点をしぼり、主に三大証券取引所に上場している委員会設置会社の2010年度コーポレート・ガバナンス報告書を参考にし、その現状を分析した。

結果として、委員会制度の導入により、進歩したところもあれば、従来のインサイダー・システムから脱却できなかった部分も多く確認できた。さらに、その問題点に関して、法規定の不足とそれがもたらす硬直性が懸念され、また、日本的経営慣行とのコンフリクトは依然として強いと思われる。
(周  記)


関連ページ:2011年度研究会第2回-32011年度研究会第3回-2

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