73無題Nameとしあき 20/05/12(火)13:36:38No.13000590そうだねx7
ここは掃き溜め 光は届かない

「新入りプスなあ」抑揚のない無感情な声が笑顔の小動物に降りかかった
「はに?」

錆び付いた塔とそこに張り付いた住居…そんな景色が漫然とどこまでも広がる
ここは旧地獄とも地霊殿とも違う地の底、集まる居住者たちから「ジュラシックの最果て」と呼ばれている

畜生界、月、幻想郷、外の世界、そのまた外の世界
ありとあらゆる所からここには異物が降り注ぐ
生き物、半機械半動物、思考生命、植物獣…そしてジュラシック
… 74無題Nameとしあき 20/05/12(火)13:44:47No.13000604そうだねx9
「よっこらプスっと…ここに居たんじゃどうなるかわかったもんじゃないプスしねえ」「はにー!」

『ガラクタ拾いのカレー色のデブ』トプスは小動物を拾い上げる
「…この質感と軽さは人造生物系プスね?」「はに」
おぶられて上機嫌そうにしている小動物はどことなく肯定を示すような声で鳴く。

トプスはここに居て長いジュラシックで、ここに落ちてくる珍品や珍生物を研究機関や好事家に売り払って生活している。

無論、危険の多い界隈…『カレー色』とは苛烈な実力者でありながら時には白米のように寛大なその様を讃えられてのものだった

この小動物はどこに売ろうか…見た目もまともで性格も凶暴ではないので高く売れるだろう…
そんな事を考えながらトプスはプスプスと歩き出した。
「まっ帰ってトプの家でごごナマでも見るプスな」「はにー!」
76無題Nameとしあき 20/05/12(火)13:54:53No.13000629そうだねx8
トプスの住処は地下にある

隠されたタラップを降りた先にある廊下…そのすぐ正面にあるドアを開けば秘密基地めいたそこが詳らかになる
粗末な家具に質素なレイアウト…対して趣味の品を揃えた棚だけは彩り豊かだ

最低限と、最低限で譲れない一点を示す、この住処は界隈の実力者たるトプスの縮図のようだった。

「まずちょっとオフロプスね、落ちてくる過程で泥んこになってップス」「はに」
トプスは暖かい湯で小動物を洗ってやる、小動物は行儀良く湯を受けるまま
(土器のような質感…しかし柔らか…神造か高度な文明の関与が疑われプスな)
なんとなくボーッと洗ってる瞳の奥でも分析は忘れない

「キレイになったプスね」「はに…」
「のぼせプス?」「はにぃ〜」
… 77無題Nameとしあき 20/05/12(火)14:05:45No.13000651そうだねx8
風呂を上がった二匹はドーナツを貪りつつテレビを見る「なんプスか、膝の上がいいプスか」「はにはに」
ソファにぶよりと座るトプスの膝へ小動物は飛び込む、柔らかい肉の座布団がお気に召したらしい。

二匹はゆったりとごごナマを鑑賞する
「今はビデオ通話で会話してるプスけど少し前までふなこしとか出演者の看板と電話音声っていうあほな構成で結構な間やったんプスよ」「はにー?」

「その時期の木曜は曜日メンバーのなぎらとふなこしの声に電話特有のざらつきがつくから両者が判別つかなくてめっちゃ笑えたプス」「はに!」
トプスのどうでもよすぎる話を理解してかせずか小動物は楽しげに鳴く

「ごごナマ終わったプスな、じゃあ専門の機関で検査っプスよ」「はに!」
トプスは小動物を小脇に抱え、再び外に出る

錆び付いた長い長い坂、段々とその色合いは明るくなり土に変わる、その次は草が生え、その草が青々しくなると…そこは幻想郷
この土地の僻地にあるのがジュラシック神話に語られる二つの賢者あおりんごの住処だ。
「鈴瑚さんは物知りだからお前についても知ってると思うプス」「はにはにっ!」

… 79無題Nameとしあき 20/05/12(火)14:14:18No.13000673そうだねx9
売るのではなかったのか?何故この小動物の由来を調べようと?
(知的好奇心に逆らえんプスなあ)トプスは素直なジュラシック。

トプスは素朴な小屋の戸を叩く
「鈴瑚さーん」「合言葉を言え」「かわ!」「わる!」「いいよー」
扉を開け、利発そうなウサギが現れた

「…というわけでさっき拾ったこいつについて知りたいプスな」
「最近生まれたやつだね、お察しの通り超技術の産物で名前はまゆマジロ」
「大人しくてかわいいのになんで掃き溜めにいたんプスかね」
「…いいかい、ジュラシックの地にいるトプス、こっちの土地じゃそういうものは基本持て余すのさ」「はにー?」
「幻想郷は忘れられたものの流れ着く場所のはずなのに…難儀なもんプス」
「はぐれものが集まればはぐれものの中のはぐれものだって現れる、そういうものなんだ」
「プス…そうプスか…今日はありがとプス」「またおいで」
トプスは少しだけ不満そうな顔をして、やはり小脇にまゆマジロを抱えて掃き溜めに帰った。
… 80無題Nameとしあき 20/05/12(火)14:21:01No.13000688そうだねx15
「…かわいいから飼ってもいいプスよね、かわいいプスからね」「はにはに」
トプスは住処でこの小動物について考えた

この世で一匹だと思われるこれを売れば大金持ちは間違いない
だが…そのあとこの大人しい存在はどうなるだろう…解剖…標本…見せ物
流石に悪名高きサグメ研にでも送らなければそうはならないだろうが…いや…しかし…

「飼うプスな」トプスは他者に渡したくなくなっていたので飼うことにした
「はに!」なんとなく、まゆマジロはトプスの決断に満足そうだった

ソファにぶよっと座ったトプスは膝にまゆマジロを乗せてやる
「はに!」まゆマジロは穏やかに笑っていた「良かったプス」トプスも。

おわりんご
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