無題 Name としあき 19/05/13(月)00:35:40 No.11673440 del そうだねx5
『トプの勝ち。どうして負けたか明日までに考えておくプス。そうしたら何か見えてくるはずプス』
「キュイィ……」

目の前で起こったことが瞬時には理解できずラプトルは固まった。負けた。トプスに負けた。生まれて初めての敗北だった。実際のところ今までの竜生の中でもちょくちょく負けることはあったが記憶力の弱さと都合のいい解釈でなかったことにしているのでラプトルにとってはこれが初めての敗北と同義であった。
たかがジャンケンだ。あんな炭酸飲料なんて別に欲しくない。そう言い聞かせても心の底から湧きあがる屈辱は拭い去れない。ラプトルは考えた。トプスに言われたからではなく、自らの敗北感を打ち消すために。強くなるために。

そうして考え抜いた先に行き着いたラプトルの答えは「感謝」であった。1日10回、感謝の「がんばるキュイ!」。構え、鳴き、昼寝する。この工程を一日10回、ひたすら繰り返した。初めのうちは寝すぎて腰が痛くなったりしたラプトルだったが、変化は三日後に現れた。10回を終えても日が暮れていない! 感謝の頑張るキュイ1日10回1時間を切る! かわりに眠る時間が増えた。

無題 Name としあき 19/05/13(月)00:35:59 No.11673441 del そうだねx3
既に敗北のことなど忘れ去っていた。どころかラプトルの中でトプスに負けたことなどないものになっていた。ゆえに無敗。敗北を知らぬラプトルは自信満々にテレビをつけた。朝のニュース番組でジュラシック占いをやっていた。

『今日の最下位はごめんなさい! ラプトルのあなた! 何もないところで転んで死ぬか、ジュラにゃんに食べられるかも! ラッキーアイテムは予備のしっぽです!』

最後の方はもはやラプトルの耳に届いていなかった。最下位。ラプトルが。
それはラプトルにとって初めての敗北だった。

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