無題 Name としあき 19/03/15(金)20:59:44 No.11476100 del そうだねx2
ある日トプスの牧場に妙な三人組が現れた。新聞記者の男女と美食家の男だという三人はトプスの柵の前に近づくと何やら話し始めた。威風堂々とした美食家が男性記者をトプスの前へ促した。

「このトプスは飼育業者に売られるのを待っているところだ。この中から一頭選んでみろ。その選び方でお前がどれだけトプスのことを知っているかわかるというものだ」

美食家に言われた男性記者はトプスを一匹ずつ見定めはじめた。

無題 Name としあき 19/03/15(金)21:00:07 No.11476105 del +
トプが一番いいプスよ」「トプの方がいいプス。大きいプス」「トプはねぇ、足が速いプスなぁ。一番乗りしたこともあるんプスよ」「トプは健康で元気プス! 健康診断に引っかかったことないんプス!」「トプはこの前肝臓の数値が悪かったプス……。でも視力はいいプスよ?」

わいわいと集まってきたトプスを見比べ、男性記者は一頭のトプスを選んだ。

「あれだ。骨格がいいし、毛ヅヤも目の輝きも鼻の濡れ具合も申し分ない。このトプスの中で一番健康で元気がいい」
「トプ…トプ選ばれたプス!」

選ばれたトプスはすっくと立ち上がり、他のトプス達も拍手でたたえる。しかし名古屋かの祝福ムードの中美食家の冷ややかな声が続いた。

無題 Name としあき 19/03/15(金)21:00:54 No.11476114 del +
「なるほど……まだ気が付かないのか、やはり完璧に見落としているな」
「どういうことプス?」「わかんないプス」
「このトプスのどこが悪いというんだ」「そうプスよ」
「じゃあ自分もあの中から選んでみろっ!」
「それがいいプスね」「トプにもチャンスが巡ってきたプス?」
「私はあの中からは選ばない、絶対に」
「えっ?」「プス!?」「なんでプス!」「トプは選ばれないプス……」

「あの囲いの中のトプスは全部牡だ」
「あっ!!」「プスっ!?」
「しかも去勢してある。昨日のステーキが不味かったのは去勢した牡トプスのしかも十分に成熟していないものの肉だったからだ」
「トプステーキ食べたんプスか?」「それでよくも堂々とトプ達の前に来れるプスね……」「ドン引きプス」
「ふっふっ、よくこれで究極のメニュー作りなどと言えたものだな。お前は食い物の世界では二軍以下だということがこれでわかった、他人の食い物を批評して歩くとはちゃんちゃらおかしいっ!! うわあっはっは――

無題 Name としあき 19/03/15(金)21:01:27 No.11476119 del そうだねx1
「ちょっと待つプス!」

高らかに笑う美食家に一頭のトプスが割って入った。

「勝手にトプ達を見限らないでもらいたいプス」「そうプス!」「大体牡だの牝だのトプ達に対して何言ってるんプス」「トプ達が昔は受けだったって知らないとか新参さんプスかね」「時代プスかねぇ」

勝手にやってきて勝手にダメ出しをされたトプス達は怒り心頭。突然のことに美食家も記者たちも言葉を失ってしまう。

「とにかく一週間後にもう一度来てほしいプス。本当のトプスを見せてやるプス」

無題 Name としあき 19/03/15(金)21:01:49 No.11476120 del +
そして一週間後。言われたとおりやってきた三人を前にしてトプスは驚きの表情を見せた。

「えっ、本当にきたプスか? うわー、マジプスかぁ……」「どうしたんプス?」「この前の三人が本当に来たらしいプス」「嘘っプシょ!?」「うわ、本当にいるプス」「建前とかそういうのわかんないプスかねぇ……」「空気読んでほしいプス」

想定外の事態に困惑するトプス達。そんな中一頭のトプス、ちなみに一週間前に男性記者に選ばれたトプスが歩み出て三人に声をかけた。

「あのー、あれプス。ここの入口を出てまっすぐ行くと国道に出るプスな?」
「え? はい」
「そこを東にまっすぐ行くと右手に赤い屋根の建物があって、あー、その裏にステーキハウスがあるんプス。そこ行くといいプスよ。トプ達もたまに牧場抜け出して行くんプス」
「あの、そこはトプスステーキが食べられるんですか?」
「はぁ……今トプ達も行くって言ったプスよね? 共食いしてるとか思われてるんプス?」
「いや、あ、すいません……」
「まあその店は値段の割にそこそこの味プスから、言ってみたらいいプスよ

無題 Name としあき 19/03/15(金)21:02:16 No.11476122 del そうだねx1
それだけ告げるとトプスはまた群れの中に戻って行った。既にほかのトプス達も関心はなくしているらしく、残された三人はとりあえず言われた店に向かうことにした。訪れた店はジュラにゃんが経営するステーキハウスだった。結構高めの値段の割に味はそこそこだった。

「やっぱりね……。究極と至高の対決なら負けていたわ」
「頭おかしいんじゃねえのかお前」

■ SEARCH

■ JURASSICS BIRTHDAY

■ SHELTER

■ OMAKE ver.2024

どなたでも編集できます