18 無題 Name としあき 22/12/07(水)23:28:56 No.15925216 そうだねx4
スティライコサウルスは冬が憂鬱だ。なんせこの辺りでは雷が鳴らない。雷がなくったって死にはしないが冬の間はぼんやりして春を待つほかなかった。
そんなある日スティライコは日本海側では冬でも雷が鳴ると聞いた。雷鳴とともにドカ雪がやってくる…とも。
スティライコは体をめぐる血液が熱くなるのを感じた。寒いのは苦手ではあるが雪と雷の共演…それは興奮に値するものに違いなかった。
スティライコは居ても立ってもいられず手早く旅の支度を整えると清蘭と鈴瑚のところへ挨拶に行った。
「だめだよー」清蘭は強硬に反対した。春には帰ってくるといっても聞かない。「…」
「ここからあそこまでが私たちとライポンのつきのみやこなんだよーあんまり遠くにいっちゃだめなんだよー」「…」
いやでもそこをなんとか「ダメったらダメなのー!」「…」

19 無題 Name としあき 22/12/07(水)23:44:32 No.15925252 そうだねx2
それでも私は…「ライポンは私と一緒にいたくないの!?」そういうわけじゃ…
「おい!」これまで黙っていた鈴瑚が突然口を開いた
「いい加減にしろよ!!なんださっきから聞いてりゃ!全部自分の勝手じゃないか!」「で…でもだって…」「だってもヘチマもないだろ!いっつもいっつもお前は自分の都合ばっかり…」「それはほら、ライポンだってそっちの方が…」「黙って聞いてろ!」「はい…」
ずっと黙っていて言いたいことが溜まっていたからか鈴瑚はガミガミと説教を始めた。
自然と正座になっている清蘭に鈴瑚の雷が落ちる。
…ふふっ
「だいたいな!お前はイーグルラヴィにいた頃から…え…何?旅に行くのやめる?」「ホント!?」
スティライコは頷いた。「いやコイツに遠慮とかしなくていいんだぞ…?」
そうじゃない。遠くに行く必要がなくなっただけだ。
「やっぱり私の側の方がいいって分かってくれたんだねー」「調子に乗るな!」「ぴぃ…」
また雷が落ちた。スティライコは鈴瑚を諌め2人それぞれに優しく頬擦りをした。
キョトンとしている2人に深々と頭を下げるとスティライコはつきのみやこを後にした。
 おしまい

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