30 : 無題 2018/03/13 04:30:22 No.10169701 2
トプスは箪笥のフリをしてハンバーガーショップに潜入すると材料をすべて平らげてしまった

ざわめきがトプスを見る、箪笥のフリなど最初から通用していなかった
口から出せるだけの金塊を吐きながら許しを乞う

それを見やった店員の静葉はその不遜に、無礼に、傲慢に対し水に広がる巻き上げられた泥の如く怒りが感情へ広がるのを感じた
気づけばトプスの関節をドライバーで分解し始めていた

「動けんプス」

哀れ、竜は脚部のビスを外され満足に歩行する事もできなくなった

「そこで呻いておれ、顔と声があるのみの腐肉に等しい者よ」

咎竜であるトプスに同情を向けるものは誰一人として居らず、気付けば体は憎しみのケチャップにまみれる

31 : 無題 2018/03/13 04:31:16 No.10169703
「トプは…ハンバーガー…」

多大なるストレスの中で自分をハンバーガーだと錯覚したトプスは体内の油圧系に不凍液が混ざりこむのを感じながら垂直に跳ねた

32 : 無題 2018/03/13 04:31:45 No.10169705
垂直な飛翔、飛翔は続く、空へ、霊峰を越え、大気圏の領域を超え、宇宙を越えた、そこは闇だった

「プス…」

空間の概念も、この闇へ至った時置き去られた
飛翔の中で消失したはずの肉体に宿っていたと思っていた知覚を維持している不思議
しかしそんなことはどうでもいい、闇の中、瞼を閉じれば光が見える

光の中に連なる幾何学模様、その全体像を見た、それが何か
しかしトプスは自分をハンバーガーだと思っていたのでわからなかった

33 : 無題 2018/03/13 04:32:07 No.10169706
瞼が開かれる、光は離れていく、闇に舞い戻る、空間の概念へと戻る、消えた肉体の再構成が行われる、既知概念領域、宇宙への帰還、そして、大気圏への再突入
元居た場所に落下したトプスは、自分がハンバーガーではない事を思い出した

そして、それが全てであることを。

反省の色が見られたので静葉はトプスの足のビスをドライバーで組みなおしてやった
今ではトプスはバーガーショップのマスコット。

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