36無題Nameとしあき 21/06/05(土)01:36:25No.14331147そうだねx14
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二人はいつも仲良し。
そう、今日も二人は一緒でした。住む場所は湖と林、まったく違うけれどいつも一緒。
朝起きたら軽くご飯を食べて、お弁当代わりにdangoを持って、いつもの湖畔で待ち合わせ。
お互い話すのは知らない世界の事。自分は知ってても相手は知らない事。
シーラワカサギンスは湖の中の世界を。カゲロサウルスは陸の世界を。
何処に何があって、どんな時に何が起こって、そんなとりとめもない話だけで一日が終わりました。
あるとき、カゲロサウルスは言いました。「湖の中を見てみたい」。
その言葉にシーラワカサギンスは頷くと、先導するように泳ぎ初めました。

37無題Nameとしあき 21/06/05(土)01:36:55No.14331148そうだねx13
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カゲロサウルスは息を止め、頑張って泳いでいきました。
この日の為に、近くの水場で息を止める訓練と水の中で目を開ける特訓をしてきたのです。
湖の中は話に聞いていた以上に綺麗なものでした。でも、それもほんの僅か。
息継ぎと潜りを繰り返しながら湖を一周した頃にはお昼の時間。たったそれだけの広さでした。
こんな小さな世界の話を、シーラワカサギンスは毎日、毎日してくれていたのです。
日々違う事を話してくれたカゲロサウルスからしたらもっと広く感じていたこの世界。
もし、シーラワカサギンスが陸に来てくれたらどれだけ楽しくなる事でしょう。
そうしたら今の陸世界も、もっと、もっと広く感じる事が出来るかもしれません。

38無題Nameとしあき 21/06/05(土)01:37:25No.14331150そうだねx13
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湖からあがり、お昼を食べ終わるとカゲロサウルスが言いました。「今度は私の番!」。
自分が先導してシーラワカサギンスを連れて行ってあげる。そう約束しました。
「本当!?すぐ行きたい!!」思ったよりも乗り気な彼女に根負けしてその日の内に出発する事に。
でもカゲロサウルスは泳げる特訓をしていたのに対して、シーラワカサギンスは何もしていません。
「陸を歩くのは無理だよ!」そう必死に止めましたが、それを無視して彼女は陸に上がります。
ヒレを使って、何とか歩く真似をしようとしますが思ったよりも前に進みません。
「仕方ないなぁ…」そう呟くとカゲロサウルスは彼女を抱えて、背中に乗せました。
そうまでして陸を見たがるシーラワカサギンスに、何かを感じたのです。
シーラワカサギンスはカゲロサウルスと同じ視点で陸が見えるのがとても楽しく感じて、いっぱい跳ねました。
「ちょっ…!ちょっと落ち着いて!?」こうして二人は陸の世界へ向けて歩き出しました。

39無題Nameとしあき 21/06/05(土)01:37:55No.14331151そうだねx13
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初めての陸の世界にシーラワカサギンスは大喜び。上手く声が出せないくらいに感動しました。
「この林を抜けて、奥に山があるの。そこの景色が綺麗なんだよ」
夕陽が山の先に見える頃、シーラワカサギンスは息を忘れるくらいにはしゃぎました。
そんな彼女にもっと綺麗な景色を見せてあげたい、そう思って山の奥へ、奥へ歩いて行きます。

40無題Nameとしあき 21/06/05(土)01:38:23No.14331154そうだねx13
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山の頂上へ向かうにつれて、やがて空が薄暗くなっていきます。彼女の眼には涙が浮かんでいました。
震える体を必死に抑えて、カゲロサウルスの背の上で星空を眺めました。綺麗、そう声に出したくて。
やがて穏やかに目を閉じました。これまで、はしゃぎすぎてすっかり疲れてしまったのです。
カゲロサウルスはそんな彼女を労るべく、そっと彼女を降ろしました。

41無題Nameとしあき 21/06/05(土)01:38:56No.14331157そうだねx15
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声を忘れた人魚姫は、星の海の中で静かに眠りにつきました。
大好きな、いつも一緒の友達の隣で。
明日もまた、新しい景色を見る為に。
おやすみなさい、カゲロサウルスはそう声をかけて寄り添うように眠りました。

42無題Nameとしあき 21/06/05(土)01:40:59No.14331159そうだねx11
この新しい世界の中で
ずっと二人、過ごしたいから…。そう思った人魚姫は…。

43無題Nameとしあき 21/06/05(土)01:42:00No.14331160そうだねx23
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起きました。
陸での生活も一日かかれば慣れるものです。息苦しい感じもなくなり朝の空気がとても美味しいです。
エラ呼吸?そんな物はジュラシックには通じません。ウニスもモモサウルスも普通に陸上がってるし…。
そう、ここは陸の世界でもなく、湖の世界でもなく、星の海の中で見た夢でもない。
ここはジュラシックの世界。悲しい事があっという間になくなったり突然襲ってきたりする世界。
どんな悲しい設定もたった一行で書き換えられる、不思議な魔法がある世界。
これまで水棲だった彼女も今日から陸上への適応進化を遂げ、当たり前のように話しかけます。
「今日は何処に行く?」「…友達を紹介してあげる!」
これまで湖と陸しか知らなかった二匹が、新しい世界へと旅立ちます。
ようこそ。welcome to...

44無題Nameとしあき 21/06/05(土)01:42:49No.14331161そうだねx29
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キタ━━━(゚∀゚)━━━!!

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