kagemiya@ふたば - 大洪水
「や、やめてください! 助けてください! まだ間に合います! マスター、令呪でわたくしの生存を!」

「キャスター様! あなた様ならわたくしに蘇生魔術を、延命魔術をかけられるはずですわ!
完全に死ぬ前に早く、早く!助けてくださいまし! なんでもいたします!」

「薬でも科学でも宝具でも固有結界でも異能力でも何でも構いません!
誰か、誰か、誰か誰か誰か! 助けてください――死にたくない!」

「死にたくない死にたくない死にたくない! 誰か、誰でもいいから、何でもしてあげるから、助けて!」

「わたくしを死なせては取り返しのつかないことになりますよ!
あなたの恋人、親友、兄弟、両親、愛娘! わたくしを助けなければあなたがたの大切な人の命はないでしょう。
分かったら即刻! わたくしの命を助けるべきですわ!」


「――ああ、もう、駄目ですわね。時間切れです、もう間に合いません」

「あれほど懇願していたというのに。美しくも高貴なわたくしが、泥と涙で顔を汚しながら命乞いしていたというのに」

「こんなか弱いわたくしの命も救わないだなんて、この人でなしどもめ。それでも英雄かしら。その選択、必ずや後悔することとなるでしょう」

「こうなってしまった以上、もはやわたくしに打つ手はありません」

「これがわたくしの遺言です。――船を用意して、せいぜい、高いところにお逃げなさいな」


「『我が亡き後に洪水よ来たれアプレ・モア・ル・デリュージュ』 」


基本情報

【元ネタ】各地の神話
【CLASS】オーメン
【マスター】
【真名】大洪水
【異名・別名・表記揺れ】
【性別】女
【身長・体重】166cm・47kg
【肌色】白人 【髪色】金っぽい銀髪 【瞳色】青
【スリーサイズ】100/59/98
【外見・容姿】ドレスが水のようになっており、髪も水のように揺蕩う。胸が大きい。
【地域】世界各地
【年代】神代
【属性】秩序・善
【天地人属性】天
【その他属性】人型・
【ステータス】筋力:E 耐久:EX 敏捷:D 魔力:EX 幸運:B 宝具:EX

【クラス別スキル】

霊基封印:EX

“英霊をクラスという枠組みに収めて出力を抑える代わりに召喚を可能とする”
という基本システムを利用した封印措置。
星が人を滅ぼそうとする現象であるオーメンを、“クラス”という枠組み、
クラススキルによって封印している。
ポンパドゥールの場合、ライダーの対魔力と騎乗によって封印を施している。
溢れ出る洪水の魔力を抑え込み、乗りこなすことによって。

連鎖召喚・依り代:A

またの名を附属顕現。
星への愛、星の意思によって世界、人類を滅ぼす存在であるオーメンは、
人としての形、霊基を持ち得ない、あるいは持っても大きすぎるために現界することが出来ない。
故に、わずかな縁すらも辿り、召喚可能な英霊を依り代として憑依することで限界を果たす。
いわば強制的な疑似サーヴァント化。

……しかし、依り代もただで依り代にされるわけではない。
アラヤの抑止力による後押しにより、憑依したオーメンを自らの霊基を用いて封印する権利、力を持つ。

【保有スキル】

複合神性:EX

神霊適性を持つかどうか。各地において、彼女は最高神たちが生み出した人類粛清の為の装置である。

仕切り直し:EX

戦闘――ではなく、地上をリセットする。
生命を、文明を洗い流し、創造時の状態にまで戻す、無責任なリセット行為。
敵味方全体の状態を初期状態にまで戻してしまう。

魔力放出(水):EX

魔力を激流といった形で噴射する。
魔力のジェット噴射による高速移動どころか、ただぶつけるだけであらゆるものを洗い流す威力である。

ポスト・コロニー:EX

今ある文明を洗い流し、次の文明が誕生する、その境界に位置する存在であることを表すスキル。
大洪水として、人類を、文明を、都市を、生物の群れを、グループを、
全てを一気に洗い流してしまうがゆえに、
地上において「群れ」「集落」「文明」といったものを築き、根付いている生命に対し特効性能を発揮する。
同時に、オーメンによって「滅び」がもたらされた後は必ず「創世」ももたらされることを保証するスキルでもある。

【宝具】

我が亡き後に洪水よ来たれアプレ・モア・ル・デリュージュ

ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:100 最大捕捉:70億人
ポンパドゥール夫人の有名な言葉。
「私が死ねば、フランスには洪水の如き混乱が訪れるだろう」と、
「私が死んだ後に、洪水などが来ようと知ったことではない」の二つの意味に解釈される言葉だが、
この大洪水を喩えに出した発言が有名になったがゆえに、この発言のみを「縁」として、
世界各地の神話で書かれる人類浄化の伝説、『大洪水』の集合体にして習合体たるオーメンが結びついた。

ポンパドゥールの「死」をトリガーとして発動する宝具であり、
この宝具の発動はオーメンの解放と、人類浄化の大洪水の再来を意味する。
発動条件を満たしてしまえば、最早洪水を止める方法などありはしない。

洪水から人類を守るには、彼女の解放と共に召喚されるであろう、
洪水伝説を生き延びた英雄を頼る必要がある。当然、そのような状況下においては彼らも快く協力してくれるだろう。

【Weapon】

みず


【解説】

ギルガメッシュ叙事詩、あるいはアトラハシス叙事詩を始め、ノアの箱舟伝説など、各地の神話・物語で見られる大洪水伝説。
あまりにも有名な逸話ゆえ、もはや細かい解説は不要だろう。
神が世界を覆うほどの大洪水によって人類を、ひいては生物を水に流し、浄化しようとして。
何人かの人類、何種類かの生物は、箱舟や木のうろなど、何らかの方法でその浄化から免れる。

彼女はシュメール神話やギルガメッシュ叙事詩などにおける神々でも、彼らが起こした洪水の具現でもなく。
ノアの箱舟伝承における、唯一神の起こした洪水の具現でもなく。カルデアの、エノク書の、世界中のいずれかの神話におけるそれでもなく。

それら全ての集合体。習合体。世界各地に伝わる『大洪水伝説』という物語の根幹、いわば共通概念こそがオーメン、『大洪水』である。


神々の意思の集合体、星の、地球への愛の集合体である彼女は、大洪水を起こした神の一柱が召喚されるのとはわけが違い、
当然ながら人間としての、生物としての確たる姿を持たない。世界中を覆う洪水は、霊基の規模が大きすぎる。
故にオーメンとして召喚可能な人間と結びつくのだ。
大洪水と直接縁のあるノアなどと結びつく手もあったし、それが一番手っ取り早い。
しかし、それではたとえ封印を逃れたとしても、箱舟宝具で即刻対策されるのがオチである。
そこで、『我が亡き後に洪水よ来たれ』洪水に関する発言を残したという、それだけのわずかな縁を無理矢理辿り、ポンパドゥールと結びついたのである。
彼女であれば18世紀の人間であり、神通力も箱舟の逸話も持たない。封印を解けば、対策されることなく地球を浄化できる。
しかし、アラヤの後押しを受けたポンパドゥールも、やはりただで結びつかれたわけではなかった。
『我が亡き後に洪水よ来たれ』という、わずかにして唯一の縁を頼りに結び付かれたことを逆用した。

『我が亡き後に洪水よ来たれ』――『私が死ねば洪水が来る』。
逆に言えば、『私が生きている限り、洪水は来ない』。
そう、彼女、ポンパドゥールは自らの命を以て、その内側に大洪水を封じ込めたのである。
内側に残すべき文明を収め、外側からの大洪水という脅威から守る箱舟とは真逆。
内側に大洪水を閉じ込め、外にいるすべての生命を守る、裏返った箱舟。
故にこそ、彼女は規格外の騎乗スキルを持ち、神代の魔力を封じ込めるがゆえに、規格外の対魔力を持つ、ライダーとなったのだ。

【人物・性格】

元となった神々とは似ても似つかないほど、潔癖症。
人類が文明を膨らませ、動物が支配権を広げ、生命が地上に、海中に巣くい、空にすら手を伸ばして――
かつて神々が創造した世界を、癌細胞のように、あるいはウィルスのように侵食し、汚すのが我慢できない。
創造神様がお創りになった最初の生命ならばともかく、繁殖と進化によって発生した生物は、彼女にとって異物でしかない。
故にこそ、彼女は水で全てを洗い流すのだ。リセットボタンを押して、また作り直す。
かつての伝承と違い、一部を残そうとも、次に繋ごうとも思っておらず、
ただ綺麗さっぱり洗い流して、心機一転新しい生命を作り直そうとする。

人類への憐憫でも生命への平等な愛でもなく、ただ、美しき地球を、美しき世界を取り戻すため。
「世界への愛」あるいは、「創造神への愛」こそが、彼女がオーメンたる由縁である。

イメージカラー:青
特技:リセット、浄化
好きなもの:地球、創造神と、彼らが作ったこの世界
嫌いなもの:世界を穢す生命
天敵:ノア、ジウスドラなど大洪水を生き延びた逸話を持つ英雄
願い:世界を綺麗にする

【一人称】わたくし 【二人称】貴様 【三人称】人類、創造神などには様

【因縁キャラ】

ビッグ・ファイヴ:商売敵。全てを水に流そうとする大洪水と、一部を全滅させようとする大量絶滅では根本的にそりが合わない。
進化を良しとする大量絶滅と、創造論を良しとする大洪水では合わないのも当然であるが。
絶滅の概念は洗い流せず、こちらも生命ではないのであちらの特効は通じない。


ウォーネーシュチーディー:大洪水を生き延びた英雄であるため、天敵。

モクテスマ:彼もまた大洪水を乗り越えている。天敵。

シンテオトル:平たく言えば親の内の一人のようなもの。出会えばパパやお父様などと呼び慕うだろう。この体で。

泥新宿のランサー(2)など:洪水の具現とされる八岐大蛇を退治した逸話を持つ天羽々斬を持つがゆえに、
天敵――とは言わないまでも、オーメンに有効打を与えうる存在。
大量絶滅と戦った可能性という功績も含め、封印が解かれれば彼女も召集されることだろう。



クラーケン:自身を形成する最も有名な神話のひとつであり、実質的に親の内の一人のようなもの。
出会えばママやお母さまと呼んで慕うだろう。

【コメント】