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タグ検索で掌編は26件見つかりました。
YISS
[[398SS]]に便乗した[[2102年の聖杯戦争]]に登場する[[冨楽唯]]の短い文章のまとめ。 ---- �� まるで、人じゃあなかった。 魔力の多寡ではなく、風貌の異様でもない。それは静かに佇んでいた。波風の一つも立てず。 乱れるものは一つもなかった。死せる肌、燃ゆる瞳、血濡れた髪。衣は闇に浸り、鎧は熱く滾っている。 そして、剣。無機物という前提を超えて、明確に思惟を感じさせる―――呪いを鞘に封じきれぬ邪に焦がれた剣。 その一つ一つが強靭にして精緻、禍々しくも美しかった。 圧は感じない。力は無遠慮…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/YISS... - 2021年12月21日更新
群馬の日常
「クソッタレどもがッ！」 毒づきながら男を乗せたバイクが荒野を駆ける。 右手にはポンプアクションのショットガン。バイクのトランクボックスにはユノハナと呼ばれる魔力物質の入った袋。 そして背後からは鹿や猪めいたバケモノに跨って迫り来るモヒカン頭のケダモノの群れ。 距離は弄ぶかのように離れず、そして縮まらず。ゲラゲラと笑うケダモノの声とピャアと鳴くバケモノの叫びが、男の心に焦燥を植え付ける。 「チクショウめ！！クソッ！くたばれ！！」 毒づきながら発砲。銃声が響き、ケダモノの腹と鹿の頭に散弾がぶ…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%b7%b2%c7%cf%a4%c... - 2021年05月05日更新
Hearts Hate
薔薇のような&ruby(ひと){女}だと思っていた。 綺麗な花の下に棘を秘めていて、不用意に触れればこちらが傷を負う。 それどころか、葉の下に潜む毒虫に殺されてしまうまであり得るような。 シュルトラインという女は、仮に命と好奇心と天秤にかけるなら、躊躇いなく命を選ぶほどに見え透いた罠だった。 にも関わらず。その日、私は彼女に声を掛けた。 言葉自体は、「とても、いい曲ですね」なんてありふれた台詞だったけれど。 それだけでも、こちらの思惑は十分に伝わったようだった。 ────薄く、刃のように開かれた深…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/Hearts%20Hate... - 2020年11月10日更新
>Q：どうしてアルス君は一緒にお風呂に入ってくれないの？
あらすじ：なんやかんやで告白した結果お祝いとなったアルス/XXXIは、パーシヴァルの計らいで休日をある場所で共に過ごすこととしたようだ。 ---- ここは梅田某所の温泉旅館。 戦後に温泉文化の再現を目指した旅館は、控えめな存在感ながら丁寧なサービスに定評がある。 知る人ぞ知る名宿として、静かな居場所を求める著名人の憩いの場として密かに語られてきた場所だ。 特に露天風呂からの夜景は見る人にモザイク市の雑踏を忘却させ、仕事に疲れた身体を休めてリラックスするには最適と言える。 しかし、それは彼にと…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%3eQ%a1%a7%a4%c9%... - 2020年08月03日更新
竜頭、二と百、名古屋にて
「「――――――ッッッ！！？」」 ネオナゴヤドームスタッフ休憩室の床に ぱしゃり 取り落とした紙コップからコーヒーがぶちまけられた。 けれど、室内の二人……否、二騎はそれに構う事もなく固い表情で同じ''方角''を睨みつける。 「“百頭”、今のってまさか……！」 「あぁ、間違いないよ“双龍”の。あの街の一部だった私がこれを見間違う筈がない」 “百頭”と呼ばれた車掌服の青年は、“双龍”と呼ばれた袴に三角巾の少女の言葉に肯定を返し、思考を巡らせるように口元を手で覆う。 固い表情の侭、あの''街'…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%ce%b5%c6%ac%a1%a... - 2020年05月28日更新
残照幻霊魔境 無限新宿
1999年、7月。 その時を、私はずっと待ちわびていた。 オカルトへと零落した神秘の再興を。 滅びを信じる者達の願いが、新たな神話となることを。 ---- 「魔力の充填量は、七割と言ったところか」 1999年。"本来ならば"、9月も半ばといった頃。 廃ビルの地下にある工房で、一人の男が自らの右腕の紋様を眺めている。 捻れた蛇のような紋様は、男の手の甲から手首、そして肘を過ぎた辺りまでを覆っていた。 「連鎖召喚が止められんとはいえ、着実に必要な力は溜まっている……」 「……来たるべき時は、近い…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%bb%c4%be%c8%b8%b... - 2020年05月24日更新
あるすにっき
2017ねん 3がつ24にち きょうは3さいのたんじょうび。 けいしょうのおうからいろんなプレゼントがとどいていた。 アーサーおうのえほんやゲームやおもちゃ、いっぱいあってうれしかった。 それと、パーシヴァルがもうひとつぼくにプレゼントをくれた。 なにもかいてないほん、いまかいているこのほんだ。パーシヴァルはにっきをつけませんか？といっていた。 めんどーだとおもったけど、パーシヴァルのおねがいだからがんばってかこうとおもう。 2017ねん 3がつ26にち まいにちまいにち、りっぱなおうさまになるためのべ…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%a4%a2%a4%eb%a4%b... - 2020年03月28日更新
夢の終わり
その場所は、何処とも知れぬ。 穏やかな風が抜ける丘の上に、不釣り合いな物体が鎮座している。 それは舟の形をしている。 役割もなく置かれたものではない。その舟はつい先程まで水面を進み、そしていつの間にか丘の上にあった。 さながら魔法の如く。否、魔法でなく魔術であったか。 確かにそれは、この場所において特に優れた魔術師たちの作りし不思議な舟であった。 その舟の上には、頭から爪先まで布を被った乙女が数人。 そして、何者かの死体がひとつ置かれていた。 それは男だったが、あるいは少女だったかもし…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%cc%b4%a4%ce%bd%a... - 2019年08月20日更新
これまでの12年に
時計は午後10時に近づきつつある。 外を見れば自慢の採光窓も真っ暗に染まり、庭園を飾る灯りの光と、星を真似た天井のライトばかりが視界に入る。 これなら消灯しても面白そうだが、暗くて躓くかもしれないので部屋の電気はつけたまま。 飾りつけは無いものの、余計なものは片付けて、部屋の真ん中にテーブルを移す。 天板にはスナック菓子、ソフトドリンク、ちょっと離れてアルコール類。 寝間着パーティーですか？と聞かれたら否定しにくい細やかさだが、これも事情がある故に二人は気にしない。 少なくとも、今日という日はそんな一夜…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%a4%b3%a4%ec%a4%d... - 2019年06月30日更新
little si(star)
梅田。さる豪邸の一室。 元々は位の高い客人のために設けられていた部屋は、現在この部屋の主となった者の手によって様々な生活用品が雑多に……一部は横倒しのまま並べられている。 脱いだ衣服が散乱する、お世辞にも片付いていると言い難い生活空間の一角、備え付けのベッドの上に何者かが転がっていた。 「はぁ……」 部屋の主人―――円卓の騎士パーシヴァルは、皺の多いシーツが敷かれたベッドの上でうつ伏せに寝そべっていた。 話を遡ること数週間前。ちょうど今のような休日を過ごしていたある日に、自身の主、アルス/XXXIと共に…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/little%20si%28sta... - 2019年06月01日更新
The Other Two：usoyokoku
暗い。 空も大地も暗く、果てが見えない、暗闇の世界。 何かの黒い液体が滴り落ちて、地面を呑み込んでいる。 それは光を反射せず、音を吸い込む。 足を動かし波が立ったとて、その輪郭を光沢が縁取る事はなく、波の音を立てることもない。 ただ、それは鉛のように重く、氷よりも冷たかった。 その世界の中に、自分は立っている。 そして、 目の前に、逆さまの男がいた。 黒い鎧、黒い外套、白い髪、白い肌。頬は削げおち、目は落ち窪んでいる。 瞳を模した暗い穴が、自分に視線を向けていた。 『問おう』 『貴様が、私…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/The%20Other%20Two... - 2019年04月15日更新
最後の罪人
…がたん、がたん、がたん、がたん。 今日も、列車の走る音だけが響いている。 ---- どれだけの時が経っただろうか。 気付けば相乗りの乗客も随分と減って…いや、もしかしたらもう、残っているのは私達だけかもしれない。 …ふと懐かしくなって、ちら、と窓から外を見る。 右の窓には、尽きることも、果てることもない暗黒が。 左の窓には、僅かな紫電の向こうに延々と『泥』だけが覗いていた。 …そんな、永久に変わらない風景に懐かしさを覚え始めた事だけが、この陽も月もない世界で時間を教えてくれる。 …
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%ba%c7%b8%e5%a4%c... - 2018年06月06日更新
昨日の夜、今日の落陽
「はい、終わったよ。セイバー」 軽く体を叩くと、金色の髪がゆっくりと起き上がった。 引き締まった上半身に包帯を巻いた男、モードレッドはそのままベッドから降りて立ち上がる。 「傷は塞いだけど、魔力の回復は十分じゃないよ。時間がかかりそうだから今日はここまでだけど……」 「いいや、大分動けるようにはなった。感謝する」 傷を案じて声をかけてみたが、この男はずっとこの調子だ。 感謝の言葉を口にはすれど、口調も表情も硬ったい感じを崩さない。 まぁ、気持ちはわかる。会ったばかりでお互いを理解できないのも無理は…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%ba%f2%c6%fc%a4%c... - 2018年03月29日更新
プロローグ/サンドレーネ
[四日前 夕刻] …先日の大雪から続く一連の出来事は、私とあの人の計算に多大な影響を及ぼしました。 一週間程前、聖杯戦争の予兆をいち早く予測していたことが吉となり素早く蔵書を運び出せたのは…幸先が良かったのではなく、不幸中の幸い、と形容すべきものだったことを、今になって私は痛感しています。 「はぁ……」 蔵書が支部へ移送されたのは、本を守るため致し方ないことです。 ですが、その上に強盗に入られ、更には支援の触媒も遅延し…。 日本支部の方に触媒が保管されていなかったら、私は今頃自身の魂の方向性のみ…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%a5%d7%a5%ed%a5%e... - 2018年03月09日更新
阿蘭陀聖杯戦争断章-嵐の海-
人理の影で行われたある戦い。 これは、その記録に挟まった雑多なピースの一つ。 それは、途切れた記録を繋ぐもの。 それは、有り得た可能性の欠片。 それは、ホラ吹きの壮大な作り話。 真実を語る言葉は失せ、ただそこに転がる切れ端は、ある嵐の夜の物語。 ---- 風車 ---- まずいことになった。 オランダの地での聖杯戦争は、思わぬイレギュラーとの遭遇で新たな局面を迎えつつある。 ……というより、私達がそのイレギュラー第一号に遭遇したわけなのだが。 別に名乗るほ…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%b0%a4%cd%f6%c2%c... - 2018年03月06日更新
色づく世界で
「―――――」 「―――――――」 「―――――――――」 薄暗い部屋の中、ベッドに腰を下ろしたマスターが壁を見つめている。壁には何も貼られていないし、何も書かれていない。単調な白い壁紙を見つめるマスターの顔は―――なんの感情もない、人形そのものの顔をしている。 アーチャーやエリカがいない時間帯、私たちの私室でマスターはほとんどの時間こうしている。食事を作ったり、礼装の準備をしているときは普段―――出会った当初と変わらない態度を取ってはいる。 しかし、何も用がないときはこうやって―――それだけで…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%bf%a7%a4%c5%a4%a... - 2018年01月01日更新
竜と人と
竜は凶暴な生き物だ 絶望的な災いの象徴だ 竜がいることは、それだけで人々に害をなす ---- あらしのよる ぼくはくろーぜっとのなかにいる 「声を出さないで、じっとして」って おかあさんがいっていた 「―――何処だ！！！」 「竜の心臓は何処にある！！！！」 おとこのひとのこえがきこえる かさもささずにやってきたびしょぬれのひと まっかなふくがだいなしだ 「くそっ！先生から自白させるはずが、最期まで抵抗するから……！！」 「一体あなたの息子をどこに隠した！！？私は確かに見たんだ！！…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%ce%b5%a4%c8%bf%c... - 2017年12月24日更新
夜食
※このSSのアッちゃんは紆余曲折あって[[日本の魔術組織(織田信長所属)>泥組織まとめ]]こと名無しの組織に所属しています ※至るまでの過程は今ちまちま書いてるから許して下さい ---- [名無しの組織 個室] 深夜。 時計を見ると2時も回ろうという時間帯、何故だか目が覚めた。 先日までの戦闘のフラッシュバック……などではなく、ただ単純に。 尿意などがあるでもないが、恐らく身体が多少の異変を感じたのだろう。 その原因と思われる、自身の同僚──サーヴァント──の魔力が、少し離れた場所で何…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%cc%eb%bf%a9... - 2017年12月22日更新
柏木家の日記
某日 冬 マスターの下に召喚されて、もうじき3ヶ月が経過しようとしている。 あの聖杯戦争の後、マスターは日本へと帰国し、マスターの姉という人物に事態を報告した。 私も、同行した。マスターの魔力は膨大だ。聖杯とのリンクが途切れた現在でも霊基の維持に不都合はない。 聖杯を手にして自らの存在を消す。私の望みはマスターによって否定され、ただ召喚されたこの身だけが残った。 ―――要するに当初の目的を失った体になるが、やるべきことが何もないわけではない。 今のこの身は、マスターを守ることに捧ぐべきだろう。戦うこと…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%c7%f0%cc%da%b2%c... - 2017年12月16日更新
月巡る夜
夏。 …あの海での経験は、良い…良い？…とにかく、思い出にはなった。 ただ、ライラいわく、まだ夏の醍醐味は残っているらしい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ …僕はどうやら、気を失っていたようだ。 相も変わらず蒸し暑い体感の中で、意識がゆっくりと覚醒する。 「…う、ん……？」 …目を覚ますと、風景は愚か、自分の姿まで変わっていた。 「…森？………浴衣？」 見渡す周辺は森ばかり、そして、何故か僕の衣服は白百合模様の浴衣。 …見覚えがない柄だけど、妙に女物っ…
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%b7%ee%bd%e4%a4%e... - 2017年10月31日更新