最終更新:ID:VYd3iQxtAw 2020年05月24日(日) 22:19:52履歴
1999年、7月。
その時を、私はずっと待ちわびていた。
オカルトへと零落した神秘の再興を。
滅びを信じる者達の願いが、新たな神話となることを。
「魔力の充填量は、七割と言ったところか」
1999年。"本来ならば"、9月も半ばといった頃。
廃ビルの地下にある工房で、一人の男が自らの右腕の紋様を眺めている。
捻れた蛇のような紋様は、男の手の甲から手首、そして肘を過ぎた辺りまでを覆っていた。
「連鎖召喚が止められんとはいえ、着実に必要な力は溜まっている……」
「……来たるべき時は、近いな」
静かに口角を吊り上げた男は、捲っていたコートの袖を下ろし手袋を嵌める。
その時、袖に隠された腕から赤い光が断続的に、脈打つかのように零れた。
「噂をすれば、か……。……ライダー」
男が、嗄れた声でサーヴァントを呼ぶ。
間もなく、凍てつく風が形を作り──。
「……チッ、また新顔の調査かよ?」
男の影に立つように、痩身の青年が姿を現す。
その様子から忠誠心は伺い知れないが、かといって男の命令をはね除けるつもりもないようだった。
「察しが良くて助かる。……だが、そう嫌そうな顔をするな」
「ともすれば、また「仲間」が増えるかもしれんぞ?三騎目のライダーよ」
「言ってろ。……「仲間」なんざどこにもいやしねぇだろ、こんな世界じゃよ」
命令を受けたライダーは、渋々ながら、といった態度ですぐさま姿を消す。
ライダーが行ったのを確認した男は、軋む椅子に腰掛け深く息を吐いた。
そして、手慰みに魔術髄液 の残骸を弄りながら呟く。
「仲間などいない、か……」
「……あぁ、これは、私の戦いだ。私の願いを叶えるための…」
ぴく、と男の眉が動く。
言葉が詰まり、閉じかけていた目が再び開かれる。
「……とはいえ、ただ期を待つだけと言うのも退屈なものだ」
「そんな時には……たまの来訪者が、ひどく興味深く見えることもある、が」
男が、ゆっくりと、頭ごと視線を横に向ける。
その先には……先程のライダーとは別の、一騎のサーヴァントが立っていた…否、浮いていた。
「(獣の耳、白き翼、そして、弓……か?いや、それよりもこの魔力量は……何だ……?)」
一言も話さないそのサーヴァントを、男は訝しげに観察する。
「(少なくとも、侵入防止が働かない程度の相手なのは確かだ。ここは一先ずライダーを呼び戻すべき、か)」
と、男がその手の令呪に魔力を込めようとした瞬間。
浮遊していたサーヴァントは、男へ向けてにこり、と微笑んだ。
「……っ…!?」
瞬間、男の身体は沸騰するような熱に襲われた。
彼も魔術師である。それが「魅了」に類する効果だということは、すぐさま理解できただろうが……それで、抵抗ができるわけではない。
男は暫し身悶えた後、手に持っていた魔術髄液 の残骸を握り潰した痛みで何とか平静を取り戻したようだった。
「へぇ、この程度ではものにできませんか。さすが、世界を滅ぼさんとする人間ですね」
それを見たサーヴァントが、鈴の音のような声で言葉を話す。
にこにこと、悪意などないような顔で、さらりと重要な事を漏らしながら。
「……なぜ……それを、知っている……!?」
「いや……それだけではない……!お前、ウロボロスとパスが繋がっていないな……!?」
右拳から血を垂らしながら、息も絶え絶えに男がサーヴァントを睨む。
その様子を慈しむように眺めながら、サーヴァントは言葉を続けた。
「本当はパ……「無限」を見学するだけに済ませようとしていましたが……気が変わりました」
「あなたの……仮初めとはいえ「無限」を手に入れたにも関わらず、このような狭く閉じた世界でただ全ての終わりを望むその姿」
「────とても、興味深いですね」
瞬く間に、サーヴァントは男の眼前へと接近する。
ふわりと広がった髪の香りが精神を蝕むのを、男はすんでのところで堪えた。
「……お前、は……」
「お前、じゃありません。私のことは……そうですね、アルターエゴ、と呼んでください。「この世界」にも一騎は居るでしょう?」
「……アルター、エゴ」
「はい♪」
それが謎めいたエクストラクラスの一つであることが、男の脳裏に少しだけ冷静さを取り戻した。
相手はサーヴァントであり、理解の範疇を超えた何者かではない、と。
「……アルターエゴ、君の目的は……何だ」
ゆえに、問うことができた。
目を合わせ、焼けつくばかりの魅力に焦げそうになる心を押さえながら。
「……ふふっ」
「泥寧の新宿の首謀者、ルディング・メテオストーン。あなたを……」
「未知なる世界に、ご招待しましょう」
するとアルターエゴは、男……ルディングの手を取り。
星が瞬くように、二人は"消えた"。
別位相、20XX。
奇しくも、7月の終わる日。
「ダメです!これ以上は結界でも抑えきれません!」
「《聖杯》の全リソースを使っても構いません、なんとしてでも持たせなさい!……せめて死神か聖痕が帰還するまでは!」
「っ、防御壁破損……結界の限界です!位相反転!特異点、現出します!」
「そんな、ありえない……!どうして…!」
「絶対が存在しないことこそが、唯一の絶対。……それは、あなたたち人類の言葉でしょう?」
一滴、零れたかつての地獄は、
「……「新宿」が封鎖?それは、どういう意味っス?」
「そのままの意味です。「新宿」の真横に特異点が……特異点、と言っても分からないですよね」
「モーチセンさんに聞いた話ではありますが……簡単に言えば、人類の歴史における癌のようなもの、歴史の歪みだ、と。……それが、突然に現れたのです」
「はぁ……」
「それもどういう訳か、"聖痕"すら手をこまねくほどの有り様のようで、ですね。現在「秋葉原」や「横浜」に難民が流入し、混乱が起こっていますが……特異点は"拡大している"と聞きます。ともすればここまで飛び火する可能性も捨てきれないかもしれません」
「……もしかしなくても、とんでもない大事なんじゃないっスかそれ」
「そうです。……ですから、我々回収業者組合にすら声がかかったのです」
「えっなんで」
「……『至急、戦闘要因の応援を求む。敵は───』」
「『────推定数千を越える、英霊の群れだ』と」
じわり、じわりと広がっていく。そして──
「何のつもりだ、アルターエゴ……!この世界は、何だ……!?」
「何って、終わるはずの世界ですよ?平和が実現され、不老が実現され、ソラを目指すことを止め───あとはただゆっくりとレクイエムを奏でるだけの、つまらない世界」
「だから、あなたの夢を叶えても、結果は何も変わりません。……ふふっ、星に手を伸ばさない人類が星で滅ぶなんて、なんだか皮肉ですよね」
「ッ───意味が分からん!それに、ウロボロスごと新宿を"召喚"するなど……お前は、本当に、一体……!」
「……私はアルターエゴですよ。ただ、こういうことに向いていただけに過ぎません」
「それより……ほら、あなたの会いたがっていた彼女が、もう降り立ちますよ」
「何、を……」
「嗚呼……マスター!「また」妾を、求めて下さったのですね……!」
──かつての記憶を呼び起こしながら。
「チッ、ようやく満足に動けるようになったと思えばなぜ泥寧の新宿が…!」
「いやぁびっくりですね。ほら、あそこが私と貴方が出逢った町ですよ前斎宮……懐かしいですね」
「いや私があんたと出逢ったのは依然伊勢神宮なんだけど……」
「ねぇアンタら危機感とか無いの!?」
「私はイモータルエフェクトありますし……」
「危機感以前に私は未だに何も分からないのよ!?怒るわよ!?」
「……これはもう、私も「竜を殺す!」しか言わない方がいいか…?」
「自分を見失わないでください突っ込み役さん」
「誰のせいだと思ってるの!?」
世界を、壊していく。
「ふむ、あの特異点の、敵のみでなく、味方も無尽蔵に増えるという点が長期戦になった原因とも取れますかね?」
「うん、まぁ……データとして知っていた状態よりはだいぶ酷いけど」
「そうなのですか?」
「現状、敵対ないし災害に分類されるサーヴァントの数だけでも推定四百飛んで六万八千騎。幻霊に毛が生えたようなものかられっきとした英霊までね」
「……ウロボロスが幻霊の縛りから外れ出して拡大を続けているのが問題だ。この世界のシステム……というか《聖杯》と組合わさって、まさしく無限に英霊が作り出されるシステムが構築されている」
「まるで、こうなることが分かっていて仕込んだ者がいるかのように、ですか?」
「……………………そうだね」
「でも、この事件の主犯と思われている首謀者の魔術師は違う。人間にできる行為じゃない」
「恐らくはそのサーヴァント、あのアルターエゴを名乗る……彼女、が……う、ぐっ」
「……どうしました?あなたが体調不良など起こすわけがないでしょう?」
「……ジャミングだ。しかも、確実に……「「僕」を対象にした」」
「クラス:アルターエゴ、そして……無茶としても余りある世界の改変」
「……まさ、か?」
「あぁ。僕と君には、心当たりがあるだろう?」
「……正直、当たっていて欲しくは、ない……いや、信じたくはない、けどね」
Fate/Requiem -S.E.- Side Story
Route:"Ghost in the Memories"
1999×20XX
残照幻霊魔境 無限新宿
ー 天より来る■■ ー
「パパもママも、私のことを誉めてくれる」
「いい子だって、可愛いって」
「でも───」
「怒られないなんて、きっと『愛』じゃない」
「だからね?私、わるい子になったよ?」
「……来て、私を、叱ってよ。ママ、パパ」
「ほら、全部、終わっちゃうよ?この世界も、」
「──私も」
その時を、私はずっと待ちわびていた。
オカルトへと零落した神秘の再興を。
滅びを信じる者達の願いが、新たな神話となることを。
「魔力の充填量は、七割と言ったところか」
1999年。"本来ならば"、9月も半ばといった頃。
廃ビルの地下にある工房で、一人の男が自らの右腕の紋様を眺めている。
捻れた蛇のような紋様は、男の手の甲から手首、そして肘を過ぎた辺りまでを覆っていた。
「連鎖召喚が止められんとはいえ、着実に必要な力は溜まっている……」
「……来たるべき時は、近いな」
静かに口角を吊り上げた男は、捲っていたコートの袖を下ろし手袋を嵌める。
その時、袖に隠された腕から赤い光が断続的に、脈打つかのように零れた。
「噂をすれば、か……。……ライダー」
男が、嗄れた声でサーヴァントを呼ぶ。
間もなく、凍てつく風が形を作り──。
「……チッ、また新顔の調査かよ?」
男の影に立つように、痩身の青年が姿を現す。
その様子から忠誠心は伺い知れないが、かといって男の命令をはね除けるつもりもないようだった。
「察しが良くて助かる。……だが、そう嫌そうな顔をするな」
「ともすれば、また「仲間」が増えるかもしれんぞ?三騎目のライダーよ」
「言ってろ。……「仲間」なんざどこにもいやしねぇだろ、こんな世界じゃよ」
命令を受けたライダーは、渋々ながら、といった態度ですぐさま姿を消す。
ライダーが行ったのを確認した男は、軋む椅子に腰掛け深く息を吐いた。
そして、手慰みに
「仲間などいない、か……」
「……あぁ、これは、私の戦いだ。私の願いを叶えるための…」
ぴく、と男の眉が動く。
言葉が詰まり、閉じかけていた目が再び開かれる。
「……とはいえ、ただ期を待つだけと言うのも退屈なものだ」
「そんな時には……たまの来訪者が、ひどく興味深く見えることもある、が」
男が、ゆっくりと、頭ごと視線を横に向ける。
その先には……先程のライダーとは別の、一騎のサーヴァントが立っていた…否、浮いていた。
「(獣の耳、白き翼、そして、弓……か?いや、それよりもこの魔力量は……何だ……?)」
一言も話さないそのサーヴァントを、男は訝しげに観察する。
「(少なくとも、侵入防止が働かない程度の相手なのは確かだ。ここは一先ずライダーを呼び戻すべき、か)」
と、男がその手の令呪に魔力を込めようとした瞬間。
浮遊していたサーヴァントは、男へ向けてにこり、と微笑んだ。
「……っ…!?」
瞬間、男の身体は沸騰するような熱に襲われた。
彼も魔術師である。それが「魅了」に類する効果だということは、すぐさま理解できただろうが……それで、抵抗ができるわけではない。
男は暫し身悶えた後、手に持っていた
「へぇ、この程度ではものにできませんか。さすが、世界を滅ぼさんとする人間ですね」
それを見たサーヴァントが、鈴の音のような声で言葉を話す。
にこにこと、悪意などないような顔で、さらりと重要な事を漏らしながら。
「……なぜ……それを、知っている……!?」
「いや……それだけではない……!お前、ウロボロスとパスが繋がっていないな……!?」
右拳から血を垂らしながら、息も絶え絶えに男がサーヴァントを睨む。
その様子を慈しむように眺めながら、サーヴァントは言葉を続けた。
「本当はパ……「無限」を見学するだけに済ませようとしていましたが……気が変わりました」
「あなたの……仮初めとはいえ「無限」を手に入れたにも関わらず、このような狭く閉じた世界でただ全ての終わりを望むその姿」
「────とても、興味深いですね」
瞬く間に、サーヴァントは男の眼前へと接近する。
ふわりと広がった髪の香りが精神を蝕むのを、男はすんでのところで堪えた。
「……お前、は……」
「お前、じゃありません。私のことは……そうですね、アルターエゴ、と呼んでください。「この世界」にも一騎は居るでしょう?」
「……アルター、エゴ」
「はい♪」
それが謎めいたエクストラクラスの一つであることが、男の脳裏に少しだけ冷静さを取り戻した。
相手はサーヴァントであり、理解の範疇を超えた何者かではない、と。
「……アルターエゴ、君の目的は……何だ」
ゆえに、問うことができた。
目を合わせ、焼けつくばかりの魅力に焦げそうになる心を押さえながら。
「……ふふっ」
「泥寧の新宿の首謀者、ルディング・メテオストーン。あなたを……」
「未知なる世界に、ご招待しましょう」
するとアルターエゴは、男……ルディングの手を取り。
星が瞬くように、二人は"消えた"。
別位相、20XX。
奇しくも、7月の終わる日。
「ダメです!これ以上は結界でも抑えきれません!」
「《聖杯》の全リソースを使っても構いません、なんとしてでも持たせなさい!……せめて死神か聖痕が帰還するまでは!」
「っ、防御壁破損……結界の限界です!位相反転!特異点、現出します!」
「そんな、ありえない……!どうして…!」
「絶対が存在しないことこそが、唯一の絶対。……それは、あなたたち人類の言葉でしょう?」
一滴、零れたかつての地獄は、
「……「新宿」が封鎖?それは、どういう意味っス?」
「そのままの意味です。「新宿」の真横に特異点が……特異点、と言っても分からないですよね」
「モーチセンさんに聞いた話ではありますが……簡単に言えば、人類の歴史における癌のようなもの、歴史の歪みだ、と。……それが、突然に現れたのです」
「はぁ……」
「それもどういう訳か、"聖痕"すら手をこまねくほどの有り様のようで、ですね。現在「秋葉原」や「横浜」に難民が流入し、混乱が起こっていますが……特異点は"拡大している"と聞きます。ともすればここまで飛び火する可能性も捨てきれないかもしれません」
「……もしかしなくても、とんでもない大事なんじゃないっスかそれ」
「そうです。……ですから、我々回収業者組合にすら声がかかったのです」
「えっなんで」
「……『至急、戦闘要因の応援を求む。敵は───』」
「『────推定数千を越える、英霊の群れだ』と」
じわり、じわりと広がっていく。そして──
「何のつもりだ、アルターエゴ……!この世界は、何だ……!?」
「何って、終わるはずの世界ですよ?平和が実現され、不老が実現され、ソラを目指すことを止め───あとはただゆっくりとレクイエムを奏でるだけの、つまらない世界」
「だから、あなたの夢を叶えても、結果は何も変わりません。……ふふっ、星に手を伸ばさない人類が星で滅ぶなんて、なんだか皮肉ですよね」
「ッ───意味が分からん!それに、ウロボロスごと新宿を"召喚"するなど……お前は、本当に、一体……!」
「……私はアルターエゴですよ。ただ、こういうことに向いていただけに過ぎません」
「それより……ほら、あなたの会いたがっていた彼女が、もう降り立ちますよ」
「何、を……」
「嗚呼……マスター!「また」妾を、求めて下さったのですね……!」
──かつての記憶を呼び起こしながら。
「チッ、ようやく満足に動けるようになったと思えばなぜ泥寧の新宿が…!」
「いやぁびっくりですね。ほら、あそこが私と貴方が出逢った町ですよ前斎宮……懐かしいですね」
「いや私があんたと出逢ったのは依然伊勢神宮なんだけど……」
「ねぇアンタら危機感とか無いの!?」
「私はイモータルエフェクトありますし……」
「危機感以前に私は未だに何も分からないのよ!?怒るわよ!?」
「……これはもう、私も「竜を殺す!」しか言わない方がいいか…?」
「自分を見失わないでください突っ込み役さん」
「誰のせいだと思ってるの!?」
世界を、壊していく。
「ふむ、あの特異点の、敵のみでなく、味方も無尽蔵に増えるという点が長期戦になった原因とも取れますかね?」
「うん、まぁ……データとして知っていた状態よりはだいぶ酷いけど」
「そうなのですか?」
「現状、敵対ないし災害に分類されるサーヴァントの数だけでも推定四百飛んで六万八千騎。幻霊に毛が生えたようなものかられっきとした英霊までね」
「……ウロボロスが幻霊の縛りから外れ出して拡大を続けているのが問題だ。この世界のシステム……というか《聖杯》と組合わさって、まさしく無限に英霊が作り出されるシステムが構築されている」
「まるで、こうなることが分かっていて仕込んだ者がいるかのように、ですか?」
「……………………そうだね」
「でも、この事件の主犯と思われている首謀者の魔術師は違う。人間にできる行為じゃない」
「恐らくはそのサーヴァント、あのアルターエゴを名乗る……彼女、が……う、ぐっ」
「……どうしました?あなたが体調不良など起こすわけがないでしょう?」
「……ジャミングだ。しかも、確実に……「「僕」を対象にした」」
「クラス:アルターエゴ、そして……無茶としても余りある世界の改変」
「……まさ、か?」
「あぁ。僕と君には、心当たりがあるだろう?」
「……正直、当たっていて欲しくは、ない……いや、信じたくはない、けどね」
Fate/Requiem -S.E.- Side Story
Route:"Ghost in the Memories"
1999×20XX
残照幻霊魔境 無限新宿
ー 天より来る■■ ー
「パパもママも、私のことを誉めてくれる」
「いい子だって、可愛いって」
「でも───」
「怒られないなんて、きっと『愛』じゃない」
「だからね?私、わるい子になったよ?」
「……来て、私を、叱ってよ。ママ、パパ」
「ほら、全部、終わっちゃうよ?この世界も、」
「──私も」
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