kagemiya@ふたば

吊城の家に受け継がれる魔術。風属性が適性であり、「支配」の特性を持つ。
会話、楽器、歌唱……あらゆる「音」の響きをもって相手の精神、あるいは肉体に働きかけ、思うがままに操るもの。
現代でいう催眠に近しい、音での条件付けによる神秘に依らない精神干渉も複合する。
詠唱段階から、無抵抗で全ての命令を受け入れる人形状態にする行程と、命令を下す行程の二つに分かれており、それぞれで分割した行使も可能。

元々は神代の出来事を歌劇によって再現することで神代回帰と根源への到達を目指す魔術だったが、その過程で必要不可欠となる観客の心の支配へと傾倒していった結果このような形に落ち着いたもの。
そのため、本質的には多人数を一気に支配することに向いており、支配した個々人に複雑な命令を下すのには不向き。

なお、その性質上音に対し意味を介さない相手に対しては効果が薄くなる。
あくまでこの魔術対人において本領を発揮するものであり、獣(哺乳類)程度であれば問題なく通用するもののそれ以上に人間と構造が離れた生物や無生物にはほぼ効果がない。
ただし、言葉や呪文を理解する/反応するように作られた人造物(ゴーレム等)に対しては効果を発揮できる。

新宿区内に存在する私立筮亀大学の附属校。マスター1やマスター2が通っている。
長い歴史を残していた校舎を8年前の大火災で失い、現在は真新しい新校舎へと生まれ変わっている。
旧校舎時代は本校に纏わる噂話や怪談が数多く伝えられていた、らしい。
制服は藍地に白を配したブレザーで、女子は学年に合わせた色のリボン(男子はネクタイ)を巻く。
一年は赤、二年は緑、三年は青になるが、その他の指定は意外と緩い。

北新宿にある吊城家の屋敷。薔薇の咲く温室を備えた大きなヴィクトリアン調の洋館である。
客間を複数備えた立派な作りの館なのだが、現在住んでいるのは哀歌ひとりであり彼女の生活に必要な部屋以外の殆どの部屋はろくに掃除もされないまま埃を被っている。
屋敷の維持費は哀歌に遺された莫大な資産と魔術の特許収入により賄われている。この中には温室の整備費が含まれており、定期的に庭師が訪れて温室の薔薇の世話を行っている。
8年前の聖杯戦争においてセイバーはこの温室で召喚され、そして今回の聖杯戦争でも同様の場所で偶然召喚されることになる。
なお8年前はより都心の方へ別邸を持っていてここを聖杯戦争の本陣としていたが、新宿大火災によって完全に消失しその土地については既に手放している。

都庁近く、新宿中央公園の片隅青梅通りに面した辺りに位置する教会。
その歴史は明治維新の際にとある有名建築家により設計建築されたと伝えられる。
幾度か防火対策などの改修がされてはいるが、関東大震災や東京大空襲に耐え、教会とは思えないほど頑強に作られている。
8年前の大火災でも避難所として避難民を受け入れ少なくない人々を救い、数少ない現存した建築物。
今では奇跡の教会として有名であり、様々な人が訪れる。
今次聖杯戦争に置いては監督役の拠点であり、絶対的中立地帯。
脱落者の駆け込み寺(教会だけど)として機能している。

ヒロインであり主人公。本企画におけるマスター1に該当。
内面外面ともに地味な女子だが、メガネを外すと茶髪碧眼で海外の血が入っていることがわかる。
思ってもないところに適性があることをセイバーに見出されたりする。
姉のことは好きなままだが、トラウマで記憶が混濁しているため。(姉に殺されかけた記憶が、剣で刺されるのを姉に庇われた記憶へ反転している)
「わたしは聖杯なんて知らないし、いらない」「何もできなくても、戦いを選ぶことぐらいは、わたしにもできるんだから───」

女王様っぽいお嬢様。プライドが高く、遠坂凛の原型でもある。本企画におけるマスター2に該当。
呪いにより、途中以降「堕天」と呼ばれるゾンビ状態になって徘徊し、ランサーは彼女を楽にする代わりに主人公に協力してセイバーを取り戻すのを手伝うことになる。
「女に殺された英霊が欲しかった。だって、女の怖さを知っているでしょう？」「私、他人の痛みを聞くのが好きなの。それが見目麗しい美青年なら尚更よ」

街を一望できる高層ビルのオーナー兼社長で、アーチャー曰く主人公が毒で自滅するまで静観を命じる退屈な人物。
サーヴァントと違いマスター階梯は下から3番目で、現状判明している中では主人公以外で最弱と思われる。

ランサーのマスターと同じく呪われており、病院のテクノロジーと魔術を組み合わせた延命によって
死の淵にありながら召喚のためだけに家に生かされていた少年。
純粋無垢であり、唯一の友となったサーヴァントへの贈り物代わりに受肉させて死亡する。
「僕には、友達がいませんでしたから」

不明。ステイナイトと同じく主人公の学校の先生かもしれない。

不明。ステイナイトと同じくキャスターがアサシンのマスターであった可能性もあるが今のところ情報はない。

最初は善人の神父のように見えるが、その本性は狂信的な聖堂教会の代行者。本企画におけるマスター7に該当。
苛烈な異端審問を好む嗜虐的な人物で、白人至上主義者と見られる発言や胡散臭い似非外人口調が異彩を放つ。
実力は高く、主人公からセイバーのマスター権を奪い取ってしまう。
「ワタシ、東洋人大嫌いですから！ 特に日本人とか虫酸が走りマース！」

アーサー王。ヒーロー主人公。
王子様然とした騎士王。セイバーにとってのマスターは、前回の聖杯戦争での間違いを気付かせてくれた恩人でもある。
きのこ曰く"基本的には菊地秀行作品の影響ですね。アーサー王を、すごい優しい、だけどメチャクチャ強い王子様にして、それにぐいぐい引っ張られていく眼鏡文系少女というのをやりたかった"とのことで、現在のスタイルである少年少女ものというよりは青年向けの大人のヒーロー主人公として造形されている。
「戦いなんて総じて馬鹿げたものだけどね。それより今の主張は気になったな。人の為に戦うのはバカみたい、と言うけれど。それじゃあ君は、賢い選択をする為だけに生きているのかい？」
「たとえ君が最下位のマスターで、臆病で我が儘で、黒魔術しか使おうとしない女の子でも、守らないといけないだろう？」
「君を、今度こそ守って見せる」

クーフーリン。犬の如くこき使われる兄貴。
ステイナイトと同じく物語の始動と共に主人公に槍を刺す脅威であり、ステイナイトからの変更点は比較的少なめ。
槍が折られてセイバーの噛ませのように見えるが、本物の槍はマスターによって部屋の空間ごと圧縮されて封印されておりまだ真の本気ではない。
中盤、ゾンビ化したマスターを楽にするためにセイバーのマスターと取引する。
「たまらねぇ。たまらねぇなあ、オイ！ 腹の足しにもならねえ騎士道の最後の華！ 騎士の中の騎士が、テメェのような優男だったとはな！」
「あ？ いや、それはねえよ。ゲイボルクがねえのはしっくりこねえが、まあ、ないならないでの戦いをするまでだ。マスターとしてお前は正しい。残りの面子が見えるまで静観する事に文句はない」

ギルガメッシュ。セイバーのマスターに惚れる俺様系の男。
毒血で倒れたセイバーのマスターを治癒できる薬(アーチャーの財宝)を賭けての決闘をセイバーに提案する。
ステイナイトの我様よりやや若々しく、また戦闘スタイルにおいてはエミヤの原型でもある双剣と弓の戦士。
双剣を合体させて弓にして洪水を起こす、ケレン味と浪漫の塊。
「一つは階位とやらだ！ 我は地上で最も高みに至った英雄である。その我の上にまだ二人もいると聞いただけで、勢い己がマスターを殺しかけたほどだ！ しかし、バーサーカーは許そう。理性を失ってまで力を求めたのだ。特別に見逃してやる。だが───貴様は論外だ、セイバー。この世で最強の英霊たるは我一人。加えて───その横にいるマスターがもはや許せぬ！」
「美しいにも程がある！ 我がウルクにすら、これほど我好みの女はいなかった！」
「久しぶりだな聖剣使い。こうして会うのは七日ぶりか？」

英雄ペルセウス。ABCDEランクの数多くの宝具を持つが、一度にひとつしか使えない縛りがある。
今回のサーヴァントの中で唯一、"不幸な結末"をもたなかった人物だったが、ただ人々の平和を純粋に願いながら、むごたらしい死を迎えたマスターの姿に、内に潜む狂気と殺戮を駆り立てられて、少年を救わなかった世界の全てに憤怒を覚え、少年を道具として扱っていた家の魔術師達を惨殺、(マスターの思いを最も汚すものと知りながらも)マスターの蘇生と幸せのみを聖杯に願うようになる。マスターの家の魔術師たちが開発した、マスターの代わりとなって現世に留めさせる「マスター相フェイス」という機能を持つ鉄仮面を被っている。
マスターがいないため、魔力の補給のために大量の人間を殺戮しており、協定破りのその行いがセイバー陣営との衝突原因となり、廃工場の多数の死体が、セイバーのマスターに戦う理由を自覚させる主人公覚醒ステップの一因となる。
セイバーのマスターの学園には同級生として通っていて、クラスの人気者。
「……幸福な人々を望んだ彼の為に──君たちを皆殺しにする」
「ワタシは自由だ。マスターには縛られない。死の間際に令呪を全て使わせて、この体を受肉させたのだからね」
「魔術師風情に聖杯は過ぎたものだ。英霊であるワタシが、正しく、あるがままに使わせてもらう」

ステイナイトと同じくメディアらしいということ以上は不明。
没シーンでは、校舎そのものを異界化させながら遠隔魔術を使い、マスターを庇いながら戦うしかないセイバーを追い詰めるものの、ライダーに異界化を解除されて撤退する。

ジュリーこと沢田研二みたいな顔の小次郎だったらしいこと以外は不明。
ステイナイトでの階段での名乗りとだいたい同じシーンは旧Fateにもあったらしい。

ステイナイトと同じくヘラクレス。資料集には顔のラフ画だけがある。
脚本からは神父のサーヴァントとしてセイバーを倒してしまうほどの強さだということだけが分かる。
インタビューには、「絶対に負けない」概念を持つあるサーヴァントと「絶対死なない」概念をもってる奴がぶつかって、勝負には負けて相手を勝たせはしたけど相手はもう死んでる、という言葉遊びによる概念勝負についての言及があるが、このどちらかはヘラクレスではないかと消去法で推測できる。

一部では女性向けと受け止められているようですが、作者の意図としては大人の青年が主人公でヒロインを守るという構図のようです。
ただしルートのあるSNと違い、一連の流れの中でほとんどの主要人物が何らかの形で主人公マスターに矢印を向けるのは確かなように見えます。
結果としてSN以上に、群像劇より主人公マスター中心に近い構図にはなるはずです。
それがいわゆる(逆)ハーレムに見えるのはあくまでデザイン由来のもので、シナリオ面ではあまりそういう要素はなさそうです。
当企画では、セイバーと主人公マスター以外の性別は指定しないこととします。

インタビューでは「90年代伝奇」というキーワードが頻出します。
例えば以下のような要素が(80〜)90年代伝奇として提示されています。

• 「人が死んでなんぼ」人命が軽い
• 人間対人間よりも、聖書と、都市をどうするかが重要「まず新宿をぶっ壊そう」
• 本来の伝奇は歴史の影にあったことを実はこうだと語る超アレンジ。90年代中盤からそれはもうユーザーに受けない、今の子は現在にいっぱいいっぱいで過去にロマンを感じない時代性感じ、個人を突き詰めるようにしていった(2000年以降流行る伝奇にしよう)
• 小次郎が『魔界転生』の中性的な沢田研二(ジュリー)のような感じで「ホホホ」とか言いそう、糸を使いそう(※菊池秀行『魔界都市ブルース』の妖糸使い主人公秋せつらが「影さえも美しい」という中性的美青年)
• 双剣が合体して弓になるケレン味
• 地下鉄の線路越しにホームの対岸で向かい合うセイバーとランサー(きのこが上京した時に地下鉄を見て思いついたという)

当企画では世代の違いなどで90年代伝奇を意識するのは難しいのですが、
カッコいい表現、詩的な表現などを恥ずかしがらずにできるだけ出していくスタイルで自分たちなりにスピリットを踏襲できていけたらいいなというゆるめの目標に位置付けていきます。

原作prototypeにおける「マスター階梯」はサーヴァント階位とは無関係に、マスターの魔術師としての実力や格で決まります。
各自参加者でマスターの実力順をすり合わせるのは非常に難しいので、当企画ではマスター階梯及びマスターの令呪は召喚するサーヴァント階位依存へと改変アレンジしています。
また、原作では天使をモチーフとし、
階梯名は偽ディオニシウスの九階級を上から七つまでという半端な形、
令呪デザインは最下位が一枚羽根で第六位が二翼、上になるに連れて翼が増えて第一位が七翼となっています。(※画数は羽の数とは関係なく3画)
番外は悪魔の眼と角と翼のようなデザインとなっています。
SN以降とは違い、刻印位置が個人により様々にバリエーションがあるのも特徴です。
番外のマスターである神父はその時点で魔術師として最強のマスターとして君臨しますが、階梯については「七位以下の番外」「ワタシは僧侶です。そもそも魔術師ではアリマセーン！」と死に際に明かします。(一位は誰か？→今回の七人以外に存在しうるマスターは前回参戦者のみ……という伏線と問題提起用)
当企画では令呪とマスター階梯はサーヴァント依存となったため、クラスシンボルを令呪モチーフにするように改変アレンジしています。
令呪のシンボル(原作では羽)の数も、位の数と反転する原作の形から、覚えやすいように位の数字そのままのシンボル数へと改変アレンジしています。
原作では以下のようになっています。
第一位・熾天使(7枚羽・胸部中央・ビースト)(蒼銀では胸部中央・セイバー)
第二位・智天使(6枚羽・うなじ・ランサー-階梯四位)(蒼銀では右眼・ランサー)
第三位・座天使(5枚羽・左掌・ライダー-階梯五位)(蒼銀では位置不明・キャスター)
第四位・主天使(4枚羽・未定・不明)(蒼銀では位置不明・ライダー)
第五位・力天使(3枚羽・左貌・アーチャー-階梯三位)(蒼銀では右胸・アーチャー)
第六位・能天使(2枚羽・未定・不明)(蒼銀では位置不明・アサシン)
第七位・権天使(胸部中央・セイバー-階梯一位)(蒼銀では左肩・バーサーカー)
番外(舌・バーサーカー-階梯二位)

原作prototypeと前日譚の蒼銀における「サーヴァント階位」は以下の順番となっています。
クラスによって固定のようです。
セイバー：第一位
バーサーカー：第二位
アーチャー：第三位
ランサー：第四位
ライダー：第五位
キャスター：第六位
アサシン：第七位
ビースト
当企画では、SN以降の「三騎士」優位という枠組みを取り入れて三騎士を三位内に収まるように改変アレンジしています。

原作prototypeでは、聖杯はもともと教会から枢機卿の一人が持ち出したものであり、高位存在を召喚する宗教的な目的が裏にありました。
意図通りかは不明ですが、結果として召喚されるのは聖書に由来する獣であり、「逆説を以て、失われた主の愛を証明」することになるようです。
当企画ではビーストのままだと他のものに変えるのが難しいため、聖書テーマは踏襲しつつ反転させてセイヴァーをボスサーヴァントの枠に据えています。

冒頭においてアーチャーの宝物庫の薬を必要とする動機として、また聖杯戦争前の「死刑宣告」(これは聖杯戦争開始日を主人公マスター視点で表現しているだけ)の日とも重ねる形で印象的に表現されている主人公マスターの余命ですが、
「毒血」(ランサーかキャスター由来？)という敵の能力由来のようなので、当企画主催側のハンドアウトとしては踏襲しないでおきます。(参加者側で独自に組み込むのは構いません)

キャラクターマテリアルにある旧案Fateでは、セイバーはアーチャー戦で死亡、バーサーカーのマスター(神父？)がブラック化して再召喚するがランサーと仮契約した綾香との戦いの末に復活してバーサーカーを破る……という展開が書かれており、
これは映像化したprototypeでは大幅に変更されています。
(セイバーの死亡とブラック化は無くなったようです)
映像では神父が綾香の令呪を奪うシーンがあり、
マテリアルのシナリオではバーサーカーがセイバーを倒し、神父はセイバーの命が惜しければとマスター権を要求、譲渡されるがセイバーは故障しているので潰して作り直すと宣言し、反抗する綾香とそのままマスター同士の戦いになだれ込む流れとなっています。
当企画では神父に該当するマスター7がセイバーを奪うかは指定していませんが、主人公の精神を追い詰めると共に、
セイバーに頼らない主人公自身の反抗に繋がる役割としています。