小伝馬町牢屋見回りに降格された主水は、鍼灸師・又右衛門と組み金のため裏稼業を続けていた。
そんなある日、旅芸人・お歌に恋し脱藩したという侍くずれの剣之介と出会う。剣之介と次のヤマを迎えようとしていた矢先、標的が剣之介の元いいなずけと判明する。
やいとや「どうするね八丁堀。そりゃあいつは仕事は出来る。なかなかの凄腕ですよ。だがねえ、お尋ね者が一緒じゃ仲間組めませんよ! 早い話、奴が奉行所に挙げられて俺達の事を一切合切吐いちまったら……」
主水「誰が呼んだ?」
やいとや「私さね」
剣之介「何の用だ?」
やいとや「八丁堀。その人を連れ込んだのはあんただ。だからあんたの前ではっきり言っておく。俺はお前さんを信用できねえ! だから一緒に仕事をする気もねえ!」
主水「やいとや。俺だっておめえの事なんか、はなっから信じちゃいねえや。おめえだけじゃねえぞ。あの捨三も。あののっぽも。俺はだあれも信じちゃいねえ。俺達はおめえ、人様の命頂戴して金稼いでる悪党だ。だから仲間が欲しいんじゃねえか。地獄の道連れがよ。その道連れを裏切ってみろ。地獄へも行けやしねえぞ」
剣之介「それにしてももっと金が欲しいな」
主水「馬鹿野郎!」
●シリーズ初の中村主水の連続登場。
●この時点で、すでにやいとや又右衛門はメンバーに加入しているが、彼がいかにして主水や捨三と組む事になったかの説明は以後のエピソードにも存在しない。
●またそうした曖昧さは剣之介にとっても同様で、沼木藩時代の彼が一体どういう状況の中で、どうお歌と関わり誰を殺したのかも最後まではっきりとは説明されない。(シナリオでは当時のお歌の男だった一座の親方を殺したとなっているが、それにも細かい説明は無い。)
●「魔性の女との再会」という点は、同脚本の一筆啓上魔性が見えたを継承している。
●工藤監督の意図による、ラストの改変はあまりにも有名だが、その原型と考えられる部分はシナリオの中盤に存在する。
●ここでも剣之介の加入に反対するやいとやの姿勢は同じだが、それは彼が「金を取らずに人を斬る侍」だからであり、「お尋ね者」だからではない。
●そして重要なのは、それに対して「じゃあ俺はどうなんだ」と問い返す主水と、それに「あたしはあんたを侍だと思った事は一度も無い。あんただってそうなんじゃないのかい?」と重ねるやいとやであり、同じ脚本家による、後の最終回への重要な伏線が既にここから始まっていることが示されている。
このページへのコメント
個人的全必殺ベストサブタイトル。(視聴回数最多)
http://shinseiteiko.jugem.jp/