◆qqtckwrihのSSのまとめです。完結した作品および、新作告知、Wiki限定連載等を行っております(ハル SS Wiki)

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タタタタッ、タッタッタッ……


聖戦士「く、くそっ……!」ハァハァ…!!

聖戦士「アサシン教団め、どこへ消えやがった……!!」キョロキョロ

聖戦士「…か、必ず探し出して…殺してやる……ッ!!」

聖戦士「…っ」

聖戦士「…」

聖戦士「……んっ!?」ハッ


アサシン「…」

魔法師「…」




…バッ!コソッ…

聖戦士(……あれは、先生?)

聖戦士(対面にいるのは黒装束だけど…さっきの男じゃない……。)

聖戦士(……誰だ?)


魔法師「…」

アサシン「…」


聖戦士(…どういう状況なんだ?)

聖戦士(あの黒装束、アサシン教団の一味っぽいが……)



ゴゴゴゴッ……!!

アサシン「…」

魔法師「…」


アサシン「……魔法師」

魔法師「何かな」

アサシン「…魔法とは、不可思議なものだ。目で見るまで、信じられなかった」

魔法師「ほっほっ」

アサシン「だが、腑に落ちないことがある」

魔法師「何かな」

アサシン「どうして…今更出てきた?」



魔法師「どういうことかの?」

アサシン「俺は、魔法の存在は聞いていた」

魔法師「それで」

アサシン「だが、実際に見たこともなかった上に…今回の話も適当なものではないかと思っていた」

魔法師「残念ながら、本物だったのう」

アサシン「…だから、どうして今なのかということだ」

魔法師「分かりやすいように言え」


アサシン「…ここまで魔法が世に広まらなかったことを考えれば、恐らくお前が魔法の最後の伝承者だったのではないか?」

アサシン「それがどうして、十字軍のためにわざわざ世へ広めることをしたのか…。」

アサシン「それが腑に落ちないということだ」




魔法師「…ほっほっ、おぬしは勘が鋭いな。」

魔法師「そうじゃな…ワシが本当は最後の伝承者であった。」


アサシン「…」


魔法師「……良かろう、夜は長い…。お前のその勘の良さに免じて、話をしてやろう。」


アサシン「…」


魔法師「…それは。王都が誕生する前…世界のあちこちで紛争が起きていた頃より前に遡る。」

魔法師「ワシを含む、魔法の術者は小さな村で生まれ、そこで培われた歴史であった。」

魔法師「その村は温厚な人々の集まりで、実に過ごしやすい村でのう……。」

魔法師「…笑顔があふれていた村であった。」




アサシン「…」


魔法師「だが……。紛争時代が始まり、状況は一変した。」

魔法師「それは村が村を奪い、人が人を奪い時代。無論、ワシの村も例外ではなかった…。」ギリッ…


…コソッ

聖戦士(…な、なんか凄いこと話してるような…)


魔法師「…その紛争により、ワシらの村も襲われたが、温厚な人間たち故に…魔法で人を殺すことはなかった。」

魔法師「更に、魔法という異質な存在に人は恐れ…"魔女狩り"と呼ぶ魔法の術者を磔刑に処すことまでし始めた。」

魔法師「…酷いものだった。」

魔法師「だが、ワシは幼き頃に両親がいち早く気づき、ワシを村の外へと逃がしたのだ。」

魔法師「それにより、ワシは生き延びることが出来た……が……」



アサシン「村の人間は全員殺された…か」

アサシン「……だが、お前が生き延び、それで魔法の歴史は終わらなかったのだな」


魔法師「……その通り。そして、それから10年。」

魔法師「ワシは王都の現王と知り合い、人知れず平和の世のために戦い…そして得た…!」


アサシン「…この世の平和とやらを…か。」


魔法師「…その通り。ワシが望んだ、本当の平和の世界が。」

魔法師「それで、ワシは危険と判断した魔法を封印された存在とすべく、ワシの存在は口外禁止とした。」

魔法師「既にその頃になると、現王は世界の統一者となり、情報操作は容易だったからのう」


アサシン「……魔法について詳細が出回らなかったわけだ」

アサシン「それに、お前の魔法見た人間は恐らく…全員その魔法で殺されているのだろう」




魔法師「ほっほっ!」

魔法師「……と、話が長くなったな。」

おぬしが聞きたいのはその後…なぜワシが魔法を伝承したか…だろう?」


アサシン「…」


魔法師「簡単なことだ……」


聖戦士(…ッ!)ドクッ…


魔法師「ワシの村を襲った魔女狩りの当時の行為はな……っ」

魔法師「貴様らアサシン教団のものとまったく一緒だからだ…!!」


聖戦士「!」

アサシン「…」




魔法師「魔女狩りという体のいい言葉を使い、温厚なワシらの性格を理解し…」

魔法師「村を襲った人間らは、女子供を犯し、男を殺し、欲望のままに動くクズ共だった…」

魔法師「…っ」

魔法師「ようやく平和になり、ワシの出番が終えたと思えば、貴様らが出てきおった…!」

魔法師「これ以上、あの時代の惨劇を、哀しみを…そう繰り返してたまるものかと…!」

魔法師「そう、ワシは本当の平和のために魔法を伝承すること決めたのだッ!!」


アサシン「…」


魔法師「…これも教えてやろう。今回制定させた十字軍という名は、神に仕えしクロスではない…」

魔法師「ワシの村で磔にされた仲間たち、その人々の十字からとったものだ…!」

魔法師「二度と、あの悲劇が繰り返されぬように…その誓いの意味合いのためにっ!!」




アサシン「…」


魔法師「さぁ、話は終わりだ……!」

魔法師「今度こそ、貴様の息の根を止めてくれる……」パァァッ


アサシン「…」

アサシン「……なるほどな、つまり…お前は間抜けだったということか」


魔法師「なにっ!」


アサシン「今回の一件、部隊長とやらはどうやら王都で慕われた存在だったらしいな。」

アサシン「それに、俺らが相手にした何人かも…十字軍というだけで王都の人間から愛されている存在だった。」

アサシン「それを殺したのは…お前だということだ」





魔法師「何だと…!どうしてそうなるっ!」


アサシン「そのまま黙って隠居をしてれば良かったものを…。」

アサシン「今回の件は、十字軍の魔法の制定によって俺らは動かざるを得なくなった。」

アサシン「それがなければ、あの家族も今頃は今日を生きていたのだと…そういうことだ」


魔法師「…戯言っ!それは殺人者の狂言に過ぎんっ!」


アサシン「磔の十字、罪の十字?」

アサシン「もっともらしい理由とみせ、当時の私怨と俺らを勝手に被せ、今へと繋がったのは事実。」

アサシン「……正義というのは、便利だな。」

アサシン「平和という言葉のためなら、私怨を被せ、犠牲を出しても許されるのだから」


魔法師「なんだと…!」




アサシン「神に祈るべき十字の証が、本当の意味は年老いた爺の私怨の証。」

アサシン「……部隊長もさぞかし、あの世で家族と笑顔でお前を見ているだろうよ」

アサシン「不運な家族で仲良く、あの世で…お前をことをな」


魔法師「きさっ……!!」


………


…ダッ!!!

聖戦士「きっ、貴様ァァァァァァァァッ!!!!!」

ダダダダダダダダッ!!!


………



魔法師「…何っ!?」ハッ

アサシン「ん…」


聖戦士「ぶ、、部隊長をこれ以上、侮辱するのは許さんッ!!」

聖戦士「その命で、部隊長への懺悔とさせてくれるっ!!!!」ビュオッ!!


アサシン「…また、部隊長を想う者か。だが、甘いぞ」ビュッ!


ガッキィィィッィインッ!!!ビリビリッ…!!


聖戦士「部隊長殿の家族を口にするな、アサシン教団ッ!!」ググッ!

アサシン「想いが強いのはいいが、口だけではな」

聖戦士「何だとッ!」

アサシン「うらみを晴らしたいというのなら、殺してから言ってみせろというのだ」



聖戦士「貴様ぁぁっ!!」

聖戦士「………と、お、お前はっ!?」ハッ!


アサシン「…」

聖戦士「お前は、あの時のっ!!」

アサシン「…そうか、お前も十字軍だったのか」

聖戦士「き、貴様はアサシン教団の人間だったのかぁぁあああっ!!」

アサシン「お前も不運なようだな。目の前に敵がいたというのに」

聖戦士「う…うるせえぇええぇぇっ!!!」ググッ!

アサシン「…お前の実力では、まだここに出る幕ではない」バッ!

…ゲシィッ!!

聖戦士「ぐあっ!?」

ズザザザァッ…!

聖戦士「……く、くそっ!」ギロッ




アサシン「…」


魔法師「お、お前は聖戦士か…」

聖戦士「先生っ!加勢します!」

魔法師「…あいつはアサシン教団のリーダーアサシンだ。お前では相手に出来ん」

聖戦士「ッ!?」

魔法師「…ここはワシが出る。今は下がり、仲間を呼んで…」


聖戦士「……あ、アサシン教団のリーダー…!?」ブルッ

聖戦士「お前が…!アサシンだったのか……ッ!!」


アサシン「…そうだな」




聖戦士「先生ぇっ!!ならば、ここばかりは退けませんっ…!」

聖戦士「お、俺が退いたら!部隊長に申し訳がたちませんからっ!!」パァァッ!


アサシン「…」


聖戦士「うっ、うおおぉぉぉおおっ!!」パァァァッ!!

聖戦士「中…火炎……ッ!!!」パァァッ!!!


魔法師「ダメだ聖戦士ッ!お前ではまだ相手になれぬ、退くのもまた勇気だぞっ!!」


聖戦士「魔法ぉぉぉぉおっ!!」パッ!!

ゴッ、ゴオォォォオオッ!!!!




アサシン「…」ググッ…!!

…タァンッ!!ヒュオオオオオッ!!!


聖戦士「炎のさらに上へ飛んだ…!貴様も逃げる気かっ!!」

アサシン「…お前はまだ未熟だ」

聖戦士「何っ!?」

アサシン「足元に注意しろ」

聖戦士「何っ…!」

コロンッ…

聖戦士「!」ハッ!


アサシン「魔法とはいかないが、少し熱いぞ…?」



ピカッ!ドゴォンッ!!!

聖戦士「うあっ!?」ビリビリッ…

魔法師「…しょ、焼夷玉か!」ゴホッ!

聖戦士「くそっ、こんなものでー……!」ババッ!


…グォッ!!!…

アサシン「…行動が、遅い」チャキッ


聖戦士「うおっ!?な、何で目の前にッ!?」

アサシン「だからお前は未熟だといっただろう。お前は先に退場だ」ビュン!!

聖戦士「うっ、うわあああああっ!?」

…ズブシュッ!!



聖戦士「…ッ!!」

聖戦士「…」

聖戦士「………って、あれ?」ハッ

聖戦士「痛く…ない……?」

聖戦士「…」

聖戦士「……あっ!?」


アサシン「…何のマネだ?」

魔法師「…大事な弟子を守るのも、ワシの仕事でな」ゴホッ…!

アサシン「立派な先生だな」

魔法師「悪党が…っ」


聖戦士「えっ……?」




魔法師「…げほっ」フラッ…

…ドシャアッ…


アサシン「…自分の命を賭してまで、守るべき存在だったのか?」


聖戦士「先生…?」

聖戦士「せ、先生、先生ぇぇっ!!な、なんで俺をかばって!!」


魔法師「…っ」

聖戦士「先生、先生っ!なんでっ!先生ぇぇッ!!!」

魔法師「げ、げほっ…!ごほごほっ…!」


アサシン「ふむ。近接ならば、やはり俺に分があるようだな。」

アサシン「魔法の言葉を発するのにも隙はあり、なかなか勉強になる戦いだった」




聖戦士「き、貴様ぁあぁぁあッ!」ギロッ

アサシン「さて、時間もなし。トドメを……」


……ピピーッ!!!……


聖戦士「!」

アサシン「む…」


十字軍兵士たち「いたぞ、あそこだぁぁあぁっ!」

十字軍兵士たち「せ、先生まで倒れているっ!?」

十字軍兵士たち「急げ、援軍をもっと出せぇぇっ!!」



アサシン「……っと」

アサシン「これでは不利か…。逃げさせてもらうとしよう」


聖戦士「逃がすわけ…!」


アサシン「…未熟者が言う台詞ではない。」

アサシン「お前の力不足で、その先生が倒れたことを十二分に理解しておくことだ…」

タァンッ!ヒュオオオッ!タァンッ、タァンタンッ……


十字軍兵士たち「あ、あっちへ逃げたぞ!」

十字軍兵士たち「追え、追えぇぇっ!!」

タタタタタタッ……




聖戦士「…」

聖戦士「……ッ!!」ブルッ

聖戦士「く、くそぉぉっ!!!!!」

聖戦士「なんで、なんでだよ……!」

聖戦士「どうしてっ……!!」ヘナッ…


魔法師「…ッ」ゲホッ…

魔法師「ごほっ……!」

魔法師「せ、聖戦士……」ブルッ…


聖戦士「先生っ!?」ハッ



魔法師「ま、まだワシの傷は浅い……。」

魔法師「大丈夫だ…。安心せい……」


聖戦士「よ、良かった…!無事なんですね、生きられるんですねっ!?」


魔法師(……だ、だが…くそっ、ワシとしたことがぬかった…!)

魔法師(斬撃は軽いものの、この傷の感覚は恐らく…毒か……?)ズキンッ!

魔法師(武器へ毒を塗っていたのか…。アサシンめ、どこまでもぬかりのない男よ……)


聖戦士「せ、先生っ!」

聖戦士「今すぐ治療室へ運ばせて頂きますから……!」




魔法師「…ま、待て」ゲホッ!

魔法師「待て…………。」


聖戦士「ま、待てって……!」


魔法師(……し、して、どうするべきか。)ズキンッ

魔法師(血を抜かれたことで身体が動かん他、この即効性と重さは神経毒か…?)ドクッドクッ…

魔法師(サソリの類と思うが、これでは長くも持たんかもしれぬ……)

魔法師(ワシの魔力で対処できぬことはないが、一度身体の機能を落とす必要がある……)


聖戦士「……せ、先生?」




魔法師(…現王への通達も含め、今…頼めるのは聖戦士くらいか……)ゴホッ!

魔法師(まだ教えるべきではないが…仕方ない…。この男なら…まだ良いか……っ)


聖戦士「せんせ…」

魔法師「せ、聖戦士…」ボソ

聖戦士「は、はいっ!?」バッ!!


魔法師「ワシを…、王城内部にあるワシの部屋へ運べ…。」

魔法師「斬撃には毒が塗られてあり、その回復には治療室では行えぬ……」

魔法師「時間もない…。つ、伝えるべきことがある…。」

魔法師「部屋へ…ついたら…起こしてくれっ…………」ガクッ


聖戦士「せ、先生ッ!!!」


………


























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