◆qqtckwrihのSSのまとめです。完結した作品および、新作告知、Wiki限定連載等を行っております(ハル SS Wiki)

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――――【 桃太郎 鬼討伐から3年後 】


桃太郎「…あれから3年。俺も結構いい歳になっちゃったなぁ」


犬「そうッスねぇ」

キジ「そろそろ恋人とか作ってもいいんじゃないッスか?」


桃太郎「…それはそうなんだが。」

犬「なつかしむのもいいですが、未来を見ないと」

桃太郎「なんだその言いぐさ、なんかムカつくな」


犬「…いえ、なつかしむ気持ちもわかりますよ。」

犬「鬼退治して、すっごく村のみんなに迎え入れて貰って……」


キジ「そうそう、ドンチャン騒ぎでしたよねぇ」



桃太郎「…もう、3年たったのか」

桃太郎「あっという間だよなぁ……」


犬「そうッスねぇ…」

キジ「そうですねぇ…」


桃太郎「…」

桃太郎「……あれ?」

桃太郎「つーか、猿が見当たらないんだが…どこいったんだ?」キョロキョロ


キジ「あぁ、あいつなら地元の山でボスの座を争うために戦争仕掛けるって、さっき地元に帰りました」

桃太郎「え、何してんのあいつ。つーか聞いてないんだけど」

キジ「なんでも、自分がボスになってハーレム築くんだって」

桃太郎「は?」



犬「でも猿は羨ましいッスよ。アイツの実力ならすぐにボスになれるでしょうし。」

キジ「そうだよな。ボスになったら毎日ウハウハだろうし」

桃太郎「…猿め。勝手なマネを……」


犬「まぁあいつのことはさて置き、問題は桃太郎さんっすよ?」

桃太郎「ほっとけ」


犬「当時は鬼討伐の証でお宝も手に入れて、天下一の名前も手に入れて…」

犬「これから何が始まるんだろうってワクワクしてたのに……。」


桃太郎「ドンチャン騒ぎは1週間くらいだったな」



犬「それからは何事もなく静かで。毎日農作業ばっか」

キジ「桃太郎サン、これからどうするんすか。このまま人生尻すぼみっすか?」


桃太郎「おいキジ、てめぇ」


キジ「…す、すいません!口が過ぎました…」

桃太郎「…」

キジ「ですが、俺には時間がないんっすよ。桃太郎さんがせめて最後、幸せになってほしいんっすよ」

桃太郎「…時間がないだと?」

キジ「えぇ。」

桃太郎「どういうことだ」


キジ「キジの寿命、10年っすよ。俺、桃太郎さんと出会ったのが5歳なんで、もう8歳っす」

桃太郎「…え、何。お前あと2年後に死ぬの?」

キジ「黙ってましたけど、結構腰とかやべーっす。最近、脂っこい物食えないですし」

桃太郎「おいマジかよ」


犬「俺は柴犬だけど、寿命は平均15年なんでキジよりは長生きですが……。」

犬「出会った頃は8歳なんで、今11歳っす。俺も最近、身体が重いんすよねえ」


桃太郎「え、え?」

桃太郎「え、何。お前ら、もしかしてもうすぐ逝く系?」



キジ「ういっす」

犬「そっすね」

桃太郎「待って、待って待って。そしたら何、猿くらいしか残らないの?」


キジ「猿って寿命何年だっけ?」

犬「確か、オスが25年くらい」

キジ「えぇ…ずるいな。あいつ、出会った時何歳だった?」

犬「えーと…23歳だったはず」

キジ「えっ」

桃太郎「えっ」



犬「……もしかして、戦争仕掛ける途中で死ぬんじゃね?」

キジ「まじかよ」

桃太郎「まじかよ」


犬「うわっ…。話しして哀しくなってきた」

キジ「…だからあいつ急いでたんだな。子供も産みたいとかいってたし…」


桃太郎「……おいおい。ってことは俺、今後一人になるの?」


犬「そうですね…」ハハ…


桃太郎「いやいや、そうですねじゃねえよ。」

桃太郎「俺友達いねーよ?俺、お前ら友達だよ?戦友だよ?一人になるよ?」



犬「…せめて人間の友達作りましょうよ」

キジ「落ち着いたとはいえ、英雄なんですから。すぐに出来るでしょう」


桃太郎「…そりゃそうかもしんないけどさ。」

桃太郎「つーか、俺って結構…救われない存在だよな」


犬「どういうことっすか?」


桃太郎「他の物語って、お姫様がいたり幸せエンドじゃん?」

桃太郎「俺ってホイホイ鬼退治して、そこで終わりだよ」


犬「それはそうっすけど、アレよりはマシですよ…なぁ?」

キジ「…あぁ、アレよりな」



桃太郎「え、誰?」

犬「亀の友達がいるんすけど、それから聞いた話で……浦島太郎って知ってます?」

桃太郎「浦島太郎?」


犬「俺の友達が、人間にいじめてるところ助けてくれた人なんですけど…、」

犬「助けてくれたお礼に、竜宮城っつー場所でごちそうして、帰りにお土産で玉手箱を渡したんですよ」


桃太郎「それで」


犬「…浦島サン、その玉手箱を開けたら爺になっちまいました」

桃太郎「は?」

犬「だから、玉手箱が罠で。それで爺になったんすよ」

桃太郎「……え、何?助けたお礼に加齢プレゼントしたの?」


犬「なんか意味わかんないですけど、そういうことらしいっすよ」

桃太郎「うっわ、亀こええ。亀超コエーじゃん」

犬「あ、亀と超…?」

桃太郎「ん、何?」

犬「なんか、ドラゴンなんちゃらの某戦い漫画みたいっすね」

桃太郎「うるせえよ!」


キジ「あっはっはっは、上手いこというな」


桃太郎「うるせえよ!!」




犬「…で、まぁ。その人よりはマシでしょうってことです」

桃太郎「…あぁ、確かにな。お前らは加齢プレゼントしたりしないしな」


キジ「…」

キジ「……桃太郎さん、つーかマジでどうするんですか」


桃太郎「…」


キジ「俺、このまま終わるのは嫌ですよ。」

キジ「せめて最期に一目、桃太郎さんが一花咲かせるところみたいですよ」


桃太郎「うーん、つってもなぁ…」



犬「…」

犬「…!」ハッ

犬「……あっ、キジ!」


キジ「ん」

犬「今、なんつった?」

キジ「最後に…一目?」

犬「ちげぇ、そのあと!」

キジ「…一花?」

犬「そ、そう!そうそうそうそう!」

キジ「それが何…」


犬「一花咲かせたいなら、いい人いたの思い出したよ!」

キジ「え、何々?」

桃太郎「お、マジで?」



犬「俺の友達が、花坂っていう爺さんに飼われてまして!」

犬「その人が、何でも花を咲かせる不思議な力を持ってるらしいです!」


桃太郎「お前友達多いな」

キジ「花坂爺さん…聞いたことねえなあ」


犬「その人に、花の咲かせ方訊きましょうよ!」


桃太郎「…ちょっと待て。」

桃太郎「花を咲かせてどうする」


犬「え、だって花を咲くところがみたいって…」



桃太郎「…そういう意味じゃねえよ!」

キジ「せめてもう1度、立派になった桃太郎さんを見たいってことだよ!!」

犬「あ、あぁそういうこと…」アハハ…


桃太郎「…はぁ。マジでどうしよう」

キジ「仕事をしつつ彼女作って、一軒家買って、結婚して、子供をつくって、余生を過ごす算段をたてましょう」

桃太郎「それが普通だと思っていた子供時代もありました」

犬「おもっ」


桃太郎「つーか、もうこの話題やめようよ。」

桃太郎「自然と鬱になるよ、最悪だよ」



犬「…そうですか?」

キジ「そうですか…」

桃太郎「そうだよ…」


犬「…」

キジ「…」

桃太郎「…」



犬「…」

キジ「…」


桃太郎「…」

桃太郎「……はぁ。もう、あれから3年かぁ」


犬「そうっすねぇ…」

キジ「そうなんですよねぇ……」


桃太郎「…俺もいい歳になっちゃったなぁ」

犬「そうっすねぇ…」

キジ「彼女とか…作ってみたらどうですか…」



……最初に戻る。




【 E N D 】


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