最終更新: naminagares 2015年06月22日(月) 10:17:01履歴
コチラの作品は、後述URLにて既に連載しておりますが、新作紹介としてあげていなかったので再度あげさせていただきました。
興味が出た方は是非、ご一読くだされば嬉しいです。
<連載URL>
http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/70603627...
…
………
……………
――ここは魔界の小さな田舎町「ゼーゲンヴォール」。
レンガ造りの古風な町並みが美しく並んでいる。
多くの魔族が棲んではいるが、とても平和で比較的緩やかな雰囲気だ。
そしてこの物語はそんな魔界の古風の田舎町ゼーゲンヴォールの商店街に建つ、
「小さな雑貨店」の「小さな経営主」
ネコみみの女の子【カッツェ・ヒプーシュ】の物語――――……。
……………
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……ガシャアン!
それはゼーゲンヴォール商店街の一角にあるレンガ造りの小さなお店、
【ヴァルツァー】から聞こえてきた。
早朝には驚くくらいの異音であったが、辺りにいる魔族たちは気にする様子もなく、ため息交じりに店のほうを見つめ、一言漏らした。
「……またか」ハァ
……実はこのお店から異音が聞こえるのは珍しいことではない。
最初のうちは心配し、周囲の魔物たちも何事かと気にしていたが、あまりの多さにココ最近、気にする者はいなくなっていた。
「……どうせ、いつものだろう」
近隣住民の言葉は冷たいが、まぁ…それもそのはずである。
なぜならこのお店【ヴァルツァー】は……
カッツェ「い、いったたた……!」
カッツェ「また頭をぶつけちゃったよう……」クスン…
獣人族のドジっ子ねこ少女【カッツェ・ヒプーシュ】の経営店だったからだ。
カッツェ「う゛〜……」ズキズキ…
魔族であり、獣人族の種であり、ネコの特徴を持った人型の魔族であった。
ピョンと出たネコ耳に、穴の空けたスカートからフリフリと動く尻尾。
メイド服のような格好、やや短めの栗色になびく髪の毛が妙に似合う。
身長は小さめで、人間でいえば7、8歳程度にしか見えない容姿をしている。
クリっとした丸目が可愛らしく、これで魔族とはとても思えないくらい愛らしい。
だが、彼女はどこか抜けている部分もある。
つまり、先ほどの音についてだが―……
カッツェ「……あぁっ!?」
カッツェ「ま、またやっちゃった!?」
頭をぶつけた拍子に大事なコップを"また"一つ、机から落として割ってしまっていた。
カッツェ「た、高かったのにぃ……!」
カッツェ「どうして掃除中って、こんなに机に頭にぶつけるのかなぁ……」ズキズキ…
このカッツェ、日課のお店の掃除は大好きなのだが、
どうにもドジで、机の下の拭き掃除中によく頭をぶつける。
カッツェ「……うぅ」ガクッ
自分の所為で仕方ないことであると分かっていても、
ションボリと頭を抱え、ダラリと尻尾を垂らす。
カッツェ「……なんでいっつもこうなのかなぁ」グスンッ
カッツェ「最近、開店前の掃除いつも何か壊している気がするよぅ……」ハァ
昨日は木の置物。
その前は瓶詰めのイチゴジャム。
その前の前も、その前も。
そして、そのたびにカッツェは尻尾をたらしていた。
カッツェ「うぅぅ……」
何かを壊し、ガッカリすることもこのお店の平常運転。
カッツェは気を付けようと思っていても、そのドジな性格はどうにかなるものではなかったようだ。
……と、カッツェが尻尾を垂らしていると、ふいにお店にある時計がボォンと音を鳴らせた。
カッツェ「…時計の音?」チラッ
カッツェ「…」
カッツェ「……って、もうこんな時間〜っ!?」ハッ!
いつの間にか短針は、10の数字をまわっていた。
カッツェ「お、お店をあけなきゃっ!」ピョンッ!
カッツェは急いで掃除道具をしまい、お店を開く準備を進めた。
そう。このお店【ヴァルツァー】は朝、10時開く雑貨店なのだ。
カッツェ「……よしっ!」
カッツェ「10時をちょっ〜とだけ過ぎちゃったけど〜……」
カッツェ「今日も元気に、お店をあけますかぁっ♪」
カッツェはお店のドアにかかった木のプレートを勢いよく
<GESCHIOSSEN>から<OPEN>へと回転させた。
……さぁ!今日も元気に、ゼーゲンヴォールに建つ"小さな主の小さな雑貨店"
【ヴァルツァー】の開店である!
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本編へ続く。
<連載URL>
http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/70603627...
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