【◆qqtckwrih】オリジナルSS倉庫

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青年剣士「…やっぱり、父さんは強いや」


英雄剣士「当たり前だ」ﾌﾝ


青年剣士「…俺の油断もあった。だけど、父さんは片腕しか使わなかった。」

青年剣士「俺の身体は、竜血で防御も堅いはずなのに、ダメージを与えるなんて……」


英雄剣士「…武道家の技だよ。気力の集中を一瞬だけ腕へ行ってな…」


青年剣士「…えっ、武道家！？」


英雄剣士「…あっ」

英雄剣士「い、いや。そうか、お前の友人もアイツの名前を引き継いでいたんだな…」




青年剣士「あっ…、まさか武道家のお父さんの……」


英雄剣士「…英雄武道家。あまり話はしなかったが、俺の幼馴染であり、親友だった。」

英雄剣士「お前と知り合っていた事は驚いたが、あいつも生き写しのようで、少し…嬉しかったぜ」


青年剣士「…」


英雄剣士「…と、今はそんなことはどうでもいい。」

英雄剣士「お前自身、俺と一戦交えて…心は決まったのか」


青年剣士「…」

青年剣士「……あぁ」ｺｸﾝ


英雄剣士「…どうするつもりだ。お前は逃げるのか、戦うのか」




青年剣士「…」

青年剣士「…」ｽｩｯ…

青年剣士「……戦うさ。覚悟は、決めたよ」


英雄剣士「…そうか。それなら、俺は何も言わん」

青年剣士「誰かを守るためなら、誰かが犠牲にならねばならない……そうだろ」

英雄剣士「…そうさ」

青年剣士「…」ｺｸﾝ



…ｻﾞｯ

大魔道「…覚悟を決められたようですね」


青年剣士「大魔道…」


大魔道「ここから先は、市街戦。市民を交えた戦いですが、遠慮をすれば殺される」

大魔道「…武装も貧相な相手と相対することでしょう」

大魔道「しかし、それは敵。それだけは…覚悟をしてください」


青年剣士「分かってる。覚悟はもう、決めたと言ったはずだ」


大魔道「この市街戦で、相手の陣地を奪えば、戦争は勝利へ一気に動く」

大魔道「……頼みますよ」


青年剣士「…もちろん」ｺｸﾝ






英雄剣士（…）

英雄剣士（……青年剣士。この戦争は実は既にお前が来ずとも、勝利は出来たんだよ）

英雄剣士（戦争自体には勝利出来るが、本当はこのあとの残党狩りが問題だ）

英雄剣士（戦いが終われば、政治が始まり、今の戦闘兵のほとんどは休みにつく。）

英雄剣士（その休憩の兵力の代わりに、俺や大魔道、お前が働くことになる。）

英雄剣士（それは紛れもない、兵ではなく、敵側の市民が決起したレジスタンス相手になるだろう）

英雄剣士（…市民との戦いで、己の心を汚しても壊れないようにしたんだ）

英雄剣士（すまないな、こんなことに巻き込んでよ……）



青年剣士「……気にしないよ、俺はもう」



英雄剣士「！」ﾊﾞﾁｯ!





青年剣士「…恐らく、この戦争は俺がいなくても勝てたんだろう」

青年剣士「大魔道の火力や、父さんの実力を見ればわかる。」

青年剣士「戦争の終わりが、戦いの終わりじゃない。」

青年剣士「俺の本当の仕事は、そのあとにある……。だから、市街戦をやらせたかった…そうだろ？」


英雄剣士「お前……」


青年剣士「…」

英雄剣士「…」

青年剣士「…」

英雄剣士「…」


青年剣士「…覚悟はついてるんだ。心配しないでくれ」




英雄剣士「…飲まれるなよ」

青年剣士「え？」

英雄剣士「…いや、何でもない」

青年剣士「…？」


英雄剣士（…っ）

英雄剣士（今、こいつの未来が脳裏によぎった）

英雄剣士（まさかとは思うが…）

英雄剣士（…）




……ｳｩｩｩｳｯ!!!!!!



青年剣士「！」

英雄剣士「！」

大魔道「！」



英雄剣士「……集合のサイレンだ。」

青年剣士「あぁ、行こう」ﾁｬｷｯ

大魔道「いきましょう」



ﾀﾞｯ……!!


ﾀﾀﾀﾀﾀﾀｯ…………


……………
……
…






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• 魔界編2-7へ続く