【◆qqtckwrih】オリジナルSS倉庫

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【　魔　界　】


ﾊﾞﾁｯ…ﾊﾞﾁﾊﾞﾁﾊﾞﾁｯ……!!!!


ｷﾞｭｳｳｳｳｳﾝｯ……!!!


…ｽﾀｯ!…



青年剣士「…ふぅ」


魔法使い「あっ…！」


英雄剣士「おう、帰って来たか」



大魔道（…驚いた）

大魔道（確かに、青年剣士さんが扉を開くことは大丈夫だと感じていた）

大魔道（しかし、私と同じように時間軸をも合わせるとは…！）

大魔道（全く…。）

大魔道（青年剣士さんには、本当に昔から驚かされますよ……）







青年剣士「…大魔道、ありがとう。息子と話せるいい機会になったよ」

大魔道「いえ、お礼を申されるほどのことではありません」


魔法使い「…青年剣士、相手の子、可愛かった！？どうだった！？」

青年剣士「悠久王国のお姫様で、不運にさらされてたけど、きっと白剣士と幸せな道を歩んでいくよ」

魔法使い「…何その童話的なお話！」

青年剣士「…はは、きっと幸せになるから大丈夫さ」

魔法使い「ふふっ、青年剣士がそういうならきっと大丈夫なんだろうね」


青年剣士「…そういえば、お父さんは？」ｷｮﾛｷｮﾛ


大魔道「勝利の祝杯をあげるため、仲間のもとへ先に戻ったようです」


青年剣士「な、なるほど……」




大魔道「…」

大魔道「……さて、誰もいないですし…丁度いい機会ですね」


青年剣士「何が？」

魔法使い「どうしたの？」


大魔道「貴方たちにお話ししたいことがあります」


青年剣士「…何？」


大魔道「……迷惑なことかもしれませんが、寿命についてです」


青年剣士「！」

魔法使い「！」





大魔道「私の考えるところですが、恐らく、青年剣士さんと魔法使いさんは、悩んでいませんか」

大魔道「…青年剣士さんの寿命と、魔法使いさんの生命には大きな時間の差があります」

大魔道「それは埋められるものではないと知り、悩んでいる…そうじゃないでしょうか」


青年剣士「どうしてそれを…」

魔法使い「…その通りだけど」


大魔道「……もし良ければ、私が手ほどきをしたいと思っています」


青年剣士「！」

魔法使い「！」


大魔道「今の私の技術なら、魔力の血を使い、混血とできます」

大魔道「さすれば、魔法使いさんの寿命は…青年剣士さんのこれからの未来と同等になる」

大魔道「……どうでしょうか」




青年剣士「…き、急な話だね」

大魔道「申し訳ありません。ただ、言うタイミングが中々なかったもので…」

青年剣士「…」

大魔道「良ければ、お二人に決めていただき……」


魔法使い「…断るよ、ゴメンね」


大魔道「！」

青年剣士「魔法使い…」


魔法使い「…青年剣士の足りない分は、私が補うの。」

魔法使い「私は、青年剣士の伴侶として…人間のまま生きつづけ、思い出の中で生き続けたい」

魔法使い「青年剣士には寂しい思いをさせるかもしれないけど、人間を忘れないようにしてほしいから…」


青年剣士「…」






魔法使い「…っていうか、大魔道！」

魔法使い「アンタね、どうせ私らの話を盗み聞きしてたりしたんでしょ！」

魔法使い「余計なお世話、アンタには口出し無用なの！」


大魔道「…そうですか。出過ぎた真似をいたしました」ﾍﾟｺｯ


魔法使い「…そりゃあ、私だって死にたくない」

魔法使い「だけど、それはそれ。本音を言えば、人間は人間のままで、青年剣士も人間として生きてほしかった。」

魔法使い「それは敵わぬ願いだし、青年剣士にはまだやることがあるから…神様がそうしたんだと思う」

魔法使い「…青年剣士は、これからもずっと、長く長く戦い続けることになる。」

魔法使い「それはいつ終わるか分からないし、もしかしたら人間であることを忘れてしまうかもしれない。」

魔法使い「だけど…私は！青年剣士に、人間を忘れてほしくないから…！」

魔法使い「最期の最後まで、人間であることを貫きとおすの！」

魔法使い「い、意味が分からないと思うけど、理解してちょーだい！」


大魔道「…いえ、分かりますよ。凄く……」ﾆｺｯ

青年剣士「…っ」




魔法使い「…あはは、それじゃあお父さんのところにいこっか。」

魔法使い「私らも、祝杯に参加して…この戦争、終わらせるように頑張るんだから！」


青年剣士「あぁ…そうだな。」

大魔道「えぇ、頑張りましょう」


青年剣士（…そうか、魔法使い）

青年剣士（ありがとう…。）



………………
…………
……
…








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・









――――それから、数週間後。

魔界での戦争は、バハムート軍の圧倒的な軍事力をもって、終結した。

だが、残党兵を含む、反バハムート勢力は衰えずに魔界各地へと散らばった。


初代英雄剣士は一言、

「まるで、人間界へ降り立った時の魔族のようだ…」

そうつぶやくと、青年剣士らの前から姿を消し、一人で孤独な戦いへと赴いた。



青年剣士らは、大魔道、魔法使いおよび残党狩りを行う隊へと参加。


そこから1年もの間、止まらぬことを知らぬ血が…流れ続けた。



やがて………

• 魔界編2-10へ続く

…次回、完結…



トップへ戻る?