『まめとり』ほど出すか出さないか悩んだゲームはありませんでした。
その葛藤をまとめてみました。
アイディアの原点(2021年6月)
中華街でご飯を食べた帰り、リゴレさんに家族で遊びに行きました。
子どもたちとハバの『ドラゴンの卵』を遊ばせてもらいました。氷の塔からこぼれ落ちる宝石を予想するゲームです。僕は端から見ていたのですか、もっと単純に盛り上がれるんじゃないかと妄想を巡らせ、袋から豆を出して宣言どおりに出せたら点数が入るというゲームを思いつきました。
ツォッホの『バウザック』で本物の豆を使っているのを見たときから、いつかは本物の豆を使ったゲームを作りたいと思っていました。
そして豆のゲームを作るからにはHOY GAMESさんのマメィに似たキャラでやりたいなと、その時からおぼろげながらに思っていました。
家に帰り、すぐさまテスト用のモックアップを作り、子どもたちと遊びました。案外宣言どおりの数を取り出すのは難しく、これはゲームになると確信しました。
しかし、悩んだのはそのゲーム性。単純すぎるため、このゲームでお金をいただいてもいいものか。でも、こんなに盛り上がるゲームなんだから世の中に出したい。そんな葛藤に悩んでいました。
得点のコントロール(2021年7月)
いろいろな場面で大人も交えてテストプレイをしたのですが、やはり宣言どおりに取るのは難しく、点数がなかなか入らないことがわかりました。
最初は一番大きい数値を宣言して当てた人だけが点を獲得できるようにしていたのですが、当てたのに点が入らないとプレイヤーのテンションは下がるものです。そこでトップ賞というのを作り、宣言どおりに当てた人は全員得点が入る。最も大きな数値を宣言して当てた人はボーナスを獲得できるようにしました。また、よく観察すると、1個違いで外すケースがよくありました。この場合はニアピン賞として1点を獲得できるようにしました。
こうしてプレイヤーのテンションを下げないように点数をコントロールすることにしました。
白坂さんのアドバイス(2021年8月)
ジェリカフェの白坂さんがTwitter上で気まぐれ企画「制作中ゲームのレビュー受け付けます」を実施されていたので、藁にもすがる思いで応募しました。このゲームを世の中に出すべきかどうかを迷っていました。
白坂さんからは「大人でも盛り上がりそうなゲームですね」と感想をいただき、さらに「ゲームのタイトルをもっとキャッチーにした方がいい」とか「大きさの違う豆を入れて、それは得点を高くしたら面白くなるかも」などのアドバイスまでいただきました。白坂さんのアドバイスを受けて、タイトルを「まめとり」に変更し、黒豆(1個2点分)の存在も追加しました。
仲間のあとおし(2021年12月)
ゲムマ春に出そうか出さまいか悩んだまま、2021年の年末を迎えました。
年末休みのときにボドゲかぞくさんたちとボードゲームをして遊びました。そして、その日の〆として『まめとり』を遊んでもらいました。そしたら、その日一番の大盛り上がり。
家に帰ってからすぐさま井上磨さんに連絡を取り、アートワークのお願いをしました。こうしてゲムマ春に向けて動き出しました。
値段の設定(2022年1月)
販売価格は1000円とはじめから決めていました。自分がこのゲームを買うとしたらいくらなら買うかという基準でいつも値段を設定しています。
1000円ということで箱なしのチャック袋。カードは自宅プリンターの印刷で裁断は自分。丁合も自分。カード枚数が22枚と少なめだったので決断できた仕様です。
久々の家庭内手工業(2022年3月)
イラストが完成し、自宅プリンターで夜な夜な印刷しました。
裁断は公共施設の印刷室に設置されている自動裁断機を使いました。ここは16年前にも使ったことのある場所です。あまりにも久々だったので、裁断機のクセなどをいろいろ忘れてしまい、かなりの数の裁断ミスをしてしまいました。後日不足分を再印刷してようやく完成しました。
ゲムマ本番(2022年4月)
ゲムマ春で無事販売することができました。
それほど多くの数が売れたわけではないのですが、想像通りの数だったと思います。
嬉しかったのは「こういうので良いんだよ」という評価をいただけたことです。出して良いものか悩みに悩んだゲームでしたが、みなさまに遊んでもらえる機会ができて本当によかったです。
スペシャルサンクス
リゴレの店長、ジェリカフェの白坂さん、ボドゲかぞくさん、きりんなべさん、井上磨さん、える、ここる、はる。
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