カリフォーニエン大公国編集する

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基本データ

カリフォーニエン大公国
Der Großherzogtum Kalifornien

朝焼けのウルベーン市街

ウルベーンの繁華街

国立博物館

植民村

ヤーパン・タウン

朝焼けのウルベーン特別市旧庁舎

サンタモニカ・ビーチ
国の所在地
国旗
国章
国の標語:Gott, gib uns Mut!
(神よ、我らに勇気を与えたまえ！)
公用語ドイツ語(アメリカドイツ語)
首都ウルベーン
最大都市ウルベーン(1096万人)
政府
政治形態立憲君主制
国家元首オットー・ガウク・フォン・カリフォーニエン
首相ヴェルナー・マックイーン
副首相ライナー・ユグノフ
連邦最高裁判所主席判事ヴァルター・シュベルン
連邦国防軍参謀総長ベン・ホッグマン
連邦中央銀行総裁リドル・バルトマン
概要
面積452281㎢
水面積率4.7%(太平洋州を除く)
最高標高4418m
平均標高904.5m
人口5532万8223人
人口密度91.4
平均寿命男76.67歳、女81.34歳
識字率99%以上
GDP6.05兆ローン(2019年)
一人当たりGDP146398ローン(2019年)
失業率4.8%
インフレ率1.7%
通貨ローン/KLL、1ドル≒1.66ローン(2020年)
時間帯UTC-8
ISO3166-1KL
ドメインコード.kl
国際電話番号+2
歴史
アメリカ大陸西岸に到達1770年12月14日
米加戦争終結1844年10月22日
ハワイ編入1889年6月6日

目次

概要

　北米大陸の南部西海岸に位置する、南北に細長い国。この他に、中部太平洋にあるハワイ諸島を領有する。45.2万㎢と国としては広大な面積を持つものの、本土に限っていえば大部分が乾燥地帯また荒地の丘陵地帯であり、人口は沿岸部に集中している。こうした気候から水不足に悩まされているほか、近年の気候変動により半ば常態化した夏の山火事が国家的課題となっている。
　19世紀後半以降医学や科学技術分野で世界中から注目され続ける国家であり、国家として世界のリーダー格を目指している。先進工業国の一つであり、主に東欧から来るドイツ系移民に支えられ約5500万人の人口とそれに見合う強い経済力を持つ。国際貿易の中で存在感ある輸出立国であり、その製造業は一定の競争力を持っている。一方で国家としてソフト・パワーによる覇権を目指しているため軍事的な影響力は大きくない。
　スポーツ大国、また観光立国としても知られる。

国名

　正式な国名はカリフォーニエン大公国。基本的に小さな国が多い大公国ではあるが、カリフォーニエンは2021年現在、最も大きい大公国である。
　日本や中国などの漢字文化圏では、「加」の当て字を使われることもある。

各国語表記

  • ドイツ語(カリフォーニエンドイツ語)
Der Großherzogtum Kalifornien
  • 英語
The Grand duke California
  • スペイン語
El gran duque de California
  • フランス語
Le grand-duc de Californie

地理

　カリフォーニエンは太平洋に点在して領土があるため、以下のように本土とハワイの二つに分けて解説する。なおこの区分は実際にカリフォーニエンでもよく用いられており、「本土」という言葉はそれ以外の地域を差別したり、格差ある仕方で扱う言葉ではない。事実、本土とそれ以外の地域での住民サービスに違いは全く存在しないし、むしろ観光地ということもあり例えばサービス業従事者の時給がホノルル周辺で首都圏よりも高くなる場合もしばしば見受けられる。

本土

　ドイツ語でGroßenland(大いなる土地)とも呼ばれる本土は、北アメリカ大陸の西海岸の大半の部分を占めている。南北に細長い形状をしており、最南端から最北端までは1000kmを超える一方で東西は一番幅があるところでも320kmほどに過ぎない。このため南北で気候がやや異なる様子を見せる。
　地中海性温暖気候と海流の影響で沿岸部は年間を通して温暖で、かつやや乾燥している。首都ウルベーンを例に取ってみると3月の後半から11月までが長い夏で、それ以外の季節は弱い四季はあるものの冬季でも雪が降ることはまずなく、日中でも20℃を超えることも珍しくない。夏は最高気温は40℃近くにまで達する一方で、夜間には10℃前後近くまで下がることもよくある。これは乾燥地帯としての気候の特徴である。このため湿度も上がらず、近年多発する森林火災の原因ともなっている。日射量も多く、野外ではサングラスを使用することが保健当局や医療機関から勧められている。ウルベーン特別市郊外を出ると市の東部には広大なサンアンゼルス砂漠が広がっている。
　北部、また国境地帯には大山脈が広がり、これが環太平洋造山帯の一部となっている。このため日本やインドネシアと並ぶ地震大国でもある。東部国境に連なるシビー山脈は平均標高が3000m超で、国内最高峰のツークシュピッツェ山(死火山)は4418mの高さを誇る。北部は内陸部に行くと亜寒帯に分類されるため、カリフォーニエンでは同じ季節に場所を選べばスキーやスノーボードなどのウインタースポーツ、その標高の下の方ではハイキングなどを、さらに海岸部ではビーチバケーションやマリンスポーツを楽しむことができるなど、非常に変化に富んだ国土である。
　カリフォーニエンは植生や生態系についても豊富な多様性を見ることができ、カリフォルニアコンドルのように、世界的な希少種も存在している。

ネブラシュカ山脈

ハワイ

　中部太平洋の北側に位置するハワイ諸島は、その全域がカリフォーニエン大公国の領土となっている。約2.8万㎢の島々に140万人強が住んでいる。
　地理区分としてはミクロネシアに属する地域であり、気候は亜熱帯もしくは熱帯。年間を通して温暖なほか、偏西風の影響で一年を通して高気圧に見舞われ、年間日照時間も極めて長い。このため精密機器の研究所や保養施設のほか、宇宙観測機関などが進出しており、これらに関連した産業や雇用は同州の経済に欠かせないものとなっている。
　太平洋の中の火山島がほとんどであり、中でもハワイ本島全土を形成するマウナハマ山は海底からの起伏部を含めると標高1万7170mにも達する。海抜標高でも4204mであり、標高の高いところでは降雪も見られる。そのような理由からハワイ諸島も非常に多様性に富む植生や生態系がみられる。ここにも従来は多数の気象固有種が生息していたが、近年の大規模開発や乱獲によりほとんどが絶滅してしまった。このため、自然保護が火急の課題となっている。

ヤシの木

　カリフォーニエンといえばヤシの木、というイメージがあるかも知れない。沿岸部の道路沿いや都市内の街路樹としてよく見かける光景であるが、実はカリフォーニエン本土の市街地でよく目にするヤシの木はワシントンヤシモドキという木であり、西海岸沿岸部原生のものではない。ドイツ人入植者たちが西部地域に入植する際にその見た目を気に入り、街の景観を良くするために植えたとされている。ワシントンヤシモドキの寿命は150〜250年ほどであるとされており、ウルベーン市内だけでも19万本ほどあるが、それらのうち初期に植えられたものが腐ったりして倒木する被害が目立ち始めてきている。

資源

　5500万人の人口を抱え国民の主要な交通手段が自動車であり、そして製造業が発展しているカリフォーニエンは資源輸入大国である。例として石油を見てみると南部の沖合に中規模の海底油田があるが、ここから採掘されるものはほぼ全てが国内で消費される。自給率は3割を少し上回るほどで、基本的に輸入に頼っている。ボーキサイト、石炭、バイオマス資源、液化天然ガスも海外からの輸入に依存する。政府は国家戦略上特に重要な資源として、
  • 石油
  • ウラン
  • 液化天然ガス
  • 鉄鉱石
の四種を挙げ、これの安定した供給を安全保障の観点でも目標にしている。

原子力発電

　カリフォーニエンの発電方法のうち、79%は原子力発電であり、このために同国は原発大国とも呼ばれることがある。発電に必要なウランは国内で採掘不可能であり、100%海外からの輸入に依存している。ウランの再利用は廃棄の際のコストまた保管場所が見つかっていないことから、国内では行われていない。
　一方で天候などに左右されにくい原子力発動により、電力供給は非常に協力である。むしろ過剰供給気味でもあり、電力はアメリカ合衆国の送電線を経由してアルストツカ連邦共和国に輸出されている。

水産資源保護の取り組み

　広大なEEZ(排他的経済水域)を持つカリフォーニエンでは、早くから海洋・水産資源の保護に関する取り組みが開始されてきた。
　例えば、ハワイ周辺では回遊魚であるマグロが獲れるが、近年クロマグロを中心に、アジア諸国などで爆発的な需要が出ており、これによって将来的な枯渇が懸念されている。世界的な和食ブームにより、日本料理の中でも馴染みの深いマグロやカツオ、カジキといったような魚は1970年代の全盛期に比べると年々漁獲量が減少している。
　このため、カリフォーニエン政府は漁船の大型化に制限を設けるとともに、底引き網を使用した漁法を禁止した。大型漁船では一度にたくさんの魚を獲って帰ってくるが、大きさに制限があれば一度に取れる量は限られてくる。また、底引き網は比較的簡単に大量の魚が取れてしまうため、これも水産資源保護の観点から禁止された。
　一方でこうした保護により生鮮魚の値段が上がっていることも事実である。00年代以降、カリフォーニエンでも和食ブームやそれに付随した魚の生食文化が少しずつ根付いてくると、先で取り上げたような魚も少しずつ国内で消費されるようになってきた。そこで日本のような養殖技術の進んでいる国と協力して、国内でも養殖生産体制の確立が検討されている。

歴史

　歴史学という学問、あるいは学校で学ぶ世界史は基本的にヨーロッパからみた歴史であり、ヨーロッパを中心とした考えに基づいている。このため、新大陸と呼ばれる南北アメリカ大陸の歴史は、大抵の書物ではヨーロッパ人が入植する少し前くらいから始まることも少なくない。しかし、近年の調査によってアメリカ大陸にも独自の文明があり、独自の文化を持つ民族が多数暮らしていたことが分かってきている。この分野に関してはまだ明らかになっていないことも多く、それゆえに研究の促進が望まれる。
　それでは、カリフォーニエンの国の歴史を見ていきたい。11の課に分けて解説する。

先史時代

　最後の氷河期、つまり18000〜13000年前はベーリング海は地続きであり、この時期に人類はシベリア方面から北アメリカに入ったと考えられている。炭素14年代測定法などから考古学上の発掘研究を進めた結果、約14000年前にはカリフォーニエンに人類がいた痕跡が発見されている。

16世紀まで

　ヨーロッパ人が最初にカリフォーニエンに到着したとき、約300ほどの部族が現在のカリフォーニエンの範囲に定住していたと推測されている。彼らは氏族ごとに言語も異なり、生活習慣が異なることも少なくなかったが、緩やかな連合体を形成していたと考えられている。

　現在カリフォーニエンでは先住民族には特権的とも言えるほど様々な保護政策が定められており、純粋なネイティブ・カリフォーニアナー(先住民族)が25万人ほどいる。

ヨーロッパ人による入植開始

　16世紀以降、ヨーロッパでは大型ガレオン船の建造技術が進んだことで長距離遠洋航海が可能になった。各国はこぞってアフリカや西インド諸島に進出し、これらの土地に拠点を設け、宣教師を派遣し、そして交易を開始した。大航海時代が本格的に始まると大国の一部はさらに西に進んだ南米大陸やフロリダ、カナダに上陸し植民地を持つようになった。ヘルヴェツィア大公国などのドイツ系国家も、沿岸部から船を出しアメリカ大陸への進出を目指した。当時東欧では一つにまとまったドイツ系の国が存在しておらず、各地域また各都市で独立意識が高かったが新天地では同じ言語を話す人々として互いに協力する傾向があったという。これはスペインや英国、フランスなどの強力な統一国家に対抗する目的があったとも考えられている。
　ともあれ、1668年11月27日に、現在のハンブルクから出発した7船団650人ほどが、北アメリカ大陸南部マイアミ付近に上陸した。当時の航海日記には、「もう11月になるというのにかなり暑く、冬用の装備を失った我々には天の助けとも思える。波も穏やかで船付けを簡単に行えた」と残されている。

　現代のカリフォーニエン史を扱う場合、今のドイツ系カリフォーニエン国民の祖となるのは彼ら7船団の人々である。しかしながら忘れてはならないのは、入植の過程においてヨーロッパ人がその土地に元々根付いていた文化や先住民族の生命を破壊してしまったことは事実である。先住民族、すなわちネイティブ・カリフォーニアナーこそ最初からこの土地に住んでいたカリフォーニエン人であるということを忘れないようにしたい。

17世紀

　フロリダ南部に入植を開始したドイツ系の人々は、最初は南西部フロリダやルイジアナに拠点を築いた。一方で17世紀後半にはフランス軍が本格的にこの地に入植を開始し、ドイツ系の人々は自分たちの拠点を放棄せざるを得なかった。というのも、すでに統一国家として強力な国家体制が完成していたフランスに比べ、中東欧はまだ統一されていなかったからである。小国や諸邦が乱立していたため、本国からの支援が望めないとわかった彼らはそれゆえに団結するようになった。彼らは西に向かう移動を繰り返す中で、一つの統一された国家的意識が芽生えていったものと思われる。国是の一つとなっているフロンティアスピリッツは、厳しい自然や幾多の困難と闘いながら国を作って行ったカリフォーニエン人の歴史を物語っているのである。

18世紀

　1700年までにはドイツ系入植者たちは10万人にまで膨れ上がっていた。彼らは移動しながら人数を増やしていき、1770年についにアメリカ西岸に達している。1774年には早くも気球を使った観測でこれより先に陸地がないことも確認されている。
　さて、これより早い17世紀にはスペインの植民地であったメキシコ系の人々がこの地をカリフォルニアと呼んでいたことから、そのままドイツ風にカリフォーニエン(Kalifornien)と呼ばれるようになった。入植者たちは祖国では経験したことのない厳しい日射と乾燥した気候に苦しみながらも開墾を進めていった。現地に元から住んでいた先住民族たちへは入植者たちの方針で積極的な布教は行われず、それも影響して比較的良好な関係を築いていた。カリフォーニエン人は西へ進む過程で先住民族たちとの衝突に疲弊し、このような方針を打ち出したものと思われる。先住民族たち、すなわちネイティブ・カリフォーニアナーらはヨーロッパ人たちの科学技術や医学、火薬を手に入れ、一方で入植者たちは先住民族たちから地理や気候を教わり、また毛皮などを手に入れていた。その中でも有力なホヅ族は入植者たちから手に入れた銃で武装し、1784年にホヅ王国を成立させている。このように、現地部族とは友好関係を維持する一方で、スペインやメキシコとは激しく対立した。というのも、カリフォーニエンの勢力を拡大していく中で、バハカリフォルニア半島から北上してくるスペイン・メキシコ勢力とは衝突が避けられなかったからである。幾多びの小規模な争いの末に1786年のシドニーの戦いでカリフォーニエン側はスペイン=メキシコ軍を破り、以後バハカリフォルニア半島の北側はカリフォーニエンの勢力として確定することとなる。このとき先述したホヅ王国は3万の戦士を動員しカリフォーニエン人を支援したことから、カリフォーニエン側は後に独立宣言を出すときに、すでに斜陽のホツ王国を国内に残置し一定の自治を認めている。スペイン・メキシコとの戦いに勝ち周辺の土地を確保することに成功した彼らは独立の機運を高めていき、1788年に最初独立宣言を声明した。しかし、この頃ヨーロッパ人によるアメリカへの植民は主に東部が中心であり、いち早く西部へ進出したカリフォーニエンの存在感は小さかった。18世紀の段階では、彼らはまだ他の植民地と同様、ヨーロッパ人の植民地域と考えられていたのである。

19世紀前半

　19世紀前半になると、北アメリカ大陸の大半はアメリカ合衆国として統一されるようになった。既にアメリカは英国より独立しており、人口増加のペースもはやく、国家として成熟の段階に入ろうとしていた。一方でカリフォーニエンは国際的な承認を取り付けるためにヘルヴェツィア系のグランス公を君主として立て、1840年10月25日にカリフォーニエン大公国(Der Großherzogtum Kalifornien)として2度目の独立宣言を発表した。
　一方でこれに反発したのがアメリカ合衆国である。アメリカはマニフェスト・デスティニーのスローガンのもと、26の州を建てて合衆国を成立させており、カリフォーニエンにも合衆国の加盟を求めた。しかしながら当時のアメリカはプロテスタント系のキリスト教が多数派であったことに加え、アイルランドやイギリスからの移住者が多く、ドイツ系のカリフォーニエンとは宗教的にも文化的にも言語的にも異なっていた。過去150年ほどの間にカリフォーニエン人の間には一つの国民・国家意識が芽生えており、当時の議会であった市民議会では圧倒的多数でこれを拒否した。アメリカ側はさらなる融和策を見せ、連合国家としての統一を模索したが独立意識の高かったカリフォーニエンは繰り返し拒否した。
　こうして対立する両国は、1841年5月5日、ついに戦争状態となる。

「独立維持戦争」

　記録によると、一触即発状態にあった両国の戦争は次のようにして始まった。
　5月4日の朝、アメリカとの境界に近い農園にコヨーテが数頭侵入し、馬や牛に被害を出した。農園主はコヨーテを追跡し、全頭射殺したがその際にアメリカの境界を超えて銃を発砲した。一方でアメリカ側はこの発砲を宣戦布告と捉え、直ちに武装保安官を派遣した。5月5日にはカリフォーニエンの警察(当時、カリフォーニエンには組織的な軍隊はなかった)とアメリカの保安部隊が直接対峙し、数時間後には発砲が始まった。
　人口で勝るアメリカは約3年半の戦争中に40万の軍を動員し、一方のカリフォーニエン側は18万人と劣勢で苦戦を続けた。英国やフランスの支援を取り付けることに成功したカリフォーニエンは、イギリスの軍事指導の下、組織的な軍隊を創設する。そして粘り強く抵抗し、1844年10月3日、ダホ湖畔の戦いで講和を結ぶことになる。同年10月22日のフィラデルフィア条約によりカリフォーニエン大公国が独立国であることが国際的に確認され、この10月22日日が現在カリフォーニエンでは独立記念日となっている。なお、アメリカとの間のこの戦争は「独立維持戦争」と呼称されるが、これはこの戦争によって独立したわけではなく、それ以前から国家として独立した状態にあったというカリフォーニエン側の認識による。
　その後アメリカとは不可侵条約を結び、こうしてカリフォーニエンは西の守りを固めることに成功した。
　19世紀を通して、ドイツ地域を中心にヨーロッパから300万人がカリフォーニエンに移住した。こうした中にあって、さらなる「フロンティア」を求めて北進するも、すでにシアトルなどの有力な都市を持つアメリカとの関係悪化を懸念して断念し、カリフォーニエンはやがて太平洋へと進出していくこととなる。

太平洋への進出

　1857年に海軍の艦隊がハワイに到着し、諸島の探検と測地を行なっている。また翌58年には気球を利用して上空からハワイ本島の観測を行った。当時ハワイではカーメル大王がハワイ王国を統治していたが、当時のカリフォーニエンはこれを無視し、欧州諸国からの反対も特にないことをいいことに1862年にハワイ併合を宣言した。しばらくは軍事的な行動はなかったものの、これ以降本格化するカリフォーニエン人の入植は現地住民とのトラブルを多発させ、ついにカリフォーニエン政府は邦人保護と治安維持の名目で軍を出動させるに至った。1865年までにはハワイ全域が制圧された。カメール大王は失脚させられることこそなかったものの、彼の死後は王朝は統治を続けることなくわずか1代で終了している。カリフォーニエンという白人国家が、大陸に続いてハワイでも武力を用いて独自の文明圏を終了させてしまったことは歴史が明らかにしている事実であり、これゆえに現在でもハワイ先住民族の中にはカリフォーニエンに対しよく思っていない者も一定数いる。
　また、1879年にはフィリピン島の探検も実施されたが、慣れないジャングル内での遭難や流行病などが発生し撤退している。さらにはグアム、テニアン、サイパン、海南島にまで探索を広げているがいずれも領有にまでは至らなかった。東南アジアはすでにイギリス、オランダ、フランスなどの影響下に置かれており、建国まもないカリフォーニエンはヨーロッパの大国との関係悪化を恐れた。また日本が近代化の過程に入っており、ここが新たに列強の政治競争の場になりつつあった。
　なお、カリフォーニエンでは早くから気球の有効性が認められ、軍事利用に限らず測量などで用いられていた。上記の西太平洋の島々ではこの気球による探索が複数回実施されている。こうした空の領域の利用は、のちにカリフォーニエン軍が比較的早く航空化に対応するのに一定の役割を果たしている。
　1889年6月6日、ジーク大公はハワイ全土を太平洋州として一方的に編入し、この時に現在のカリフォーニエンの領土が確定した。行政区分などに変更はあれど、これ以降カリフォーニエンの国境が動いたことはない。なお、ハワイから見てカリフォーニエンを本土と呼ぶ習慣ができたのはこの頃からである。

アジアへの進出

　産業革命がカリフォーニエンでも波及するにつれ、豊かな海外市場を求めて経済的な海外進出が盛んに模索された。目をつけられたのはアジアである。莫大な人口と成熟した文化に加え、イギリスの影響によりある程度西欧国家のコントロール下にあった中国や東南アジアに、カリフォーニエンの商社は盛んに進出した。海外植民地を持たないカリフォーニエンでは、現地に生産拠点を設けることがこの時代から開始された。当然のことながら本国とのコストの差から生まれる莫大な利益は経済的な潤いをもたらしたが、一方で現地の人々からは半ば王族や高官のように振る舞うカリフォーニエン人に対して顰蹙も買った。また、風土病にも悩まされた。

20世紀

　
　20世紀はカリフォーニエンが高度経済成長を迎えた時代であった。19世紀半ばから始まった産業革命は、その後期にもなると主に西海岸一帯に重工業化をもたらし、ベルンなどの大都市人口を急増させた一方で、農家の働き手が慢性的に不足する事態をもたらした。中立国として乗り切った第一次世界大戦後労働人口不足は無視できないものとなり、1919年に大規模移民を募集することとなる。その条件は、
  • ドイツ語を第一言語として使う者
  • 工業、農業従事者
であり、不況と荒廃が広がるヨーロッパ中欧部から200万人規模で移民としてやってくる。さらに1927年からは第二次募集を行い、増大する食糧需要に応えるためドイツ語を話すことができる農業従事者、および農業に携われる者約250万人がカリフォーニエンに移民してきた。以降も中央ヨーロッパから移民のラッシュは続く。国家プロジェクトとして行われた最後の大規模移民募集は1960年に開始され、「ドイツ語を使用することができる」という唯一の条件に5年間で76万人が移民として認められ、カリフォーニエンに移住することとなった。このように20世紀は主に国が募集する移民事業により人口を大きく増やしたカリフォーニエンであるが、基本的に移民者をドイツ語話者に限定したために現代でも国内の第一言語はドイツ語である。しかしながら近年では他の地域からの移民も微増しており、地理的要因から元々人口の多かったスペイン語や英語話者を除くと、少数ながらスペイン語、ポーランド語、ロシア語、中国語、朝鮮語、日本語、ベトナム語、タガログ語を話す国民もいる。加えて、当然のことながらこれらの他にネイティブ・カリフォーニアナーが25〜40万人ほど居住している。カリフォーニエンは移民によって成長してきた国である。

エーベルン市内のアジア系スーパー。移民大国カリフォーニエンの多文化社会を象徴する光景である。
　政治的には1945年に現加盟国として国際連合に加盟した後に、1947年に非常任理事国入りして以来連続で70年以上理事国を務めている。非常任理事国としてこの連続期間は極めて異例である。また、前後して1944年12月には君主制が「停止」され、現行の立憲君主体制に移行が完了した。

21世紀

　21世紀にはカリフォーニエンは低成長の時代に入った。少子化に対応し、人口を維持するという観点から移民受け入れの規制も大幅に緩和され、現在では入国時にドイツ語の言語能力は必ずしも必要とはされなくなった。政府は21世紀における国家的な成長目標の要として、金融および投資と、IT産業を掲げている。これら二つに関係する高度人材を世界中から募集するためにも規制は緩和されたと言えよう。
　これからも国際社会の枠組みの中で持続可能な成長を、自国中心ではなく他国と共に築いていけることを願ってやまない。

政治

連邦制について

　カリフォーニエンの行政は連邦制で区分されており、それぞれの長は住民により選出され大公が任命する州長官が務める。州と中央政府たる連邦政府は互いに補完関係にあり、州政府には地方法の制定や一部の租税権、義務教育までの教育、警察などの権限が移譲されている。外国、国防、国家予算など国土全体に関する重要な事項は連邦政府が決定する。
　それぞれの州並びに特別市の区分は行政区分の項で後述する。

憲法

　現行憲法は1988年改正のカリフォーニエン大公国大基本法(Tolles-Grundgesetz)。後述する大公の非常大権、死刑制度の廃止などが明記されている。キリスト諸教会や国民の反対により、「性的少数派の国民への差別を禁ずる」と言及するにとどまったLGBTA等性的少数派への名言は政府が現状、法整備を急いでいる課題である。

立憲君主制

　興味深いことに、今の立憲君主制度は厳密に定められているものではなく、1944年に「停止」されて以来70年以上その状態が続いている。このため、憲法では大公による非常大権がはっきりと明記されている。次に述べる有事において、かつ議会が機能していないあるいはしない恐れがあると明らかに認められる場合にのみ最大で1年間、議会を停止し大公による親政を可能にするものである。
  • 戦時
  • 大規模自然災害
  • 内乱等による無政府状態
  • 何らかの理由による重要閣僚の失踪または死去
  • その他国家の非常事態
　延長も可能であるが、1年毎に見直される必要がある。なおこの非常大権であるが、1944年以来一度も発動されたことはない。国民感情的にも、君主制に戻ることは考えにくいだろう。

連邦議会

　議会は上院と下院の二院制で、国務長官や首相は現役議員から選出する場合、上院からのみ選ばれる。また法案なども最終的に上院での議決が必要になるため、カリフォーニエンでは上院優越の傾向があると言えよう。
　成人として定められている満18歳以上の男女に選挙権があるが、別途法律が定める場合に限り、重要法案の国民投票の際には満16歳以上より投票を認める場合がある。選挙制度は基本的に小選挙区比例代表併用制であり、このほかに5%要綱として定める、5%未満の得票率の政党は議会で議席を失う、という仕組みがある。また、行政の長たる首相は国民から直接選挙で選ばれるわけではなく、通例与党の代表が首相に任命される場合がほとんど。一方で民間人が首相になることも不可能ではない。
　2016年の統一選挙では、世界で最も早くインターネットを用いた投票が開始されている。

連邦政府

　選挙によって選ばれ、大公により任命される首相が内閣を組閣する。現在の首相は第40代ヴェルナー・マックイーンである。
　国務長官として内閣を構成する役職は以下の通り。
首相
副首相
外務長官
内務長官
公室補佐長官
国防長官
財務長官
経済産業・エネルギー長官
司法長官
労働長官
教育科学技術長官
宗教長官
国土運輸長官
食糧長官
災害対策長官
国民保健長官
少子化対策特命長官
環境長官
国家PR・観光長官
内閣調整官
国家安全保障長官
主席顧問官
　他国ではあまり馴染みのない、宗教長官および主席顧問官についてのみ解説する。その他の詳細は該当ページのリンク先で確認されたい。
　歴史的に、キリスト教保守勢力の強いカリフォーニエンでは、カトリック系キリスト教が事実上の国教となっており、宗派を問わず国内のキリスト教諸団体に一定の影響力を持っている。一方で憲法により信教の自由が保障されているカリフォーニエンでは、キリスト教以外にもイスラム教、ユダヤ教、仏教、神道、自然崇拝、新興宗教などあらゆる宗教が存在する。宗教団体は宗教法人として登録することが勧められており(強制ではない)、これらの法人を管理したり監査するのが宗教省の現在の主な仕事。また宗教施設内は警察や司法当局の立ち入りが制限されているため、宗教団体の中で起きた犯罪や訴訟について、司法当局と協力して解決を目指す役割もある。現在では行われていないが、かつては政治と釣り合いの取れた重大教義の検討も仕事の一つであった。
　もう一つが主席顧問官である。かつてのカリフォーニエンは君主制であり、大公の政治を補佐し、国内事情を進言したり、または大公の政治の実務面をサポートする重要な役割を担っていたのが主席顧問官であった。立憲君主制に移行した現在では、大公に政治的な権限はほとんど残されていないが、公室補佐省が公室の生活のサポートや財産の管理運用を行うのに対し、主席顧問官は大公と連絡を密にとり、内閣に大公の要望を伝えたり、または内閣と大公の間の橋渡し役を担っている。これは大公が内閣に直接何らかの提言を行うことで、政治に大公の影響力が強くなりすぎないようにすることが憲法で明記されているためである。最も1970年代以降は形骸化しており、空席になることも少なくない。

行政区分


　カリフォーニエンは連邦制国家ではないが、カリフォーニエンの行政区分上最も大きい区分は"Staat"であり、これは日本語に訳すと州になる。もっとも、それぞれの州の権限は地域的な警察組織や教育、地方税といった一定の範囲内に制限されており、連邦国家の州に相当するほど大きな権限は持っていない。

�� オーバーシュレジエン州
州都:サクラメント
�� ベルン特別市
州都:なし(事実上ヒルデスハイム区)
�� ミッドラント州
州都:ハーンハイム
�� シュヴァルツヴァルト・アム・グロースゼー州
州都: ヴェルディ
�� ウルベーン特別市
州都:なし(事実上ミッテ区)
　
　その他にハワイ全土を太平洋州(州都ハワイシティ)として定めている。ベルンとウルベーンは都市全域が一つの州と同格の特別市になっているため、州政府庁舎の所在地区が事実上の州都となっている。

司法

裁判所

　カリフォーニエン国内には憲法裁判所、普通裁判所、上級裁判所、特級裁判所、簡易裁判所の5つの裁判所があり、これらが三権分立の一つである国の司法を担っている。憲法裁判所は国や州政府の出した法令が、憲法に違反していないかを審議する特別な裁判所であり、常設のものではない。開廷される場合は特級裁判所内に設置される。簡易裁判所は主に少額訴訟などの民事裁判で用いられる。
　裁判の判決を下すのは判事で、特級裁判所の判事の長は主席判事となっている。

警察

　司法当局たる警察は、各州に一任されている。このため、例えば太平洋州では太平洋州警察が管轄している。一方で各地方警察を監督する警察庁が別途あり、高速道路と空港のみ、この警察庁が直轄で受け持っている。高速道路をパトロールするパトカーは所在地の警察ではなく警察庁の車両である。
　このうち最大の規模を誇るのがウルベーン警視庁であり、2020年現在3万7000人の職員を抱えている。

男女平等への取り組み

　1987年、政府は男女同権法を制定した。これにより女性にのみ認められていた産休や育休制度は、全く同じ条件で男性もとれるようになったり、またシングルマザーが利用できる公的サービスをシングルファザーも利用できるようになった。つまり、戦後一貫して行われてきた女性の地位向上がひと段落した段階で、今度は男女間の平等性をより成熟させようという目的である。
　一部の国では女性への配慮のあまり、言ってみれば女尊男卑になりかねない政策が見受けられる場合もある。カリフォーニエンではこうした点の是正に尽力している。それゆえ例えば、大企業の役員や議会の女性議員の比率を何%以上にしなければならない、という義務は撤廃された。ある専門家は次のように語っている。
　「女性だから〜〜を保護する、という考え方は前時代的な女性だから〜〜しなければならない、という考え方と同じだ。適正がある人、能力がある人が例えば教員になったり、宇宙飛行士になったり、軍のパイロットになったり、判事になったりする。それは男性であろうと、女性であろうと、そこに特別な配慮がある方がむしろ差別なのだ」

性的少数派への取り組み

　現行憲法、つまり大基本法では世論の強い反対から、同性婚許可は見送られた。一方で事実婚が社会制度上認められているカリフォーニエンでは、同性カップルや同性カップルがとった養子にも事実婚は適応されるため、国内のLGBTカップルはこれを利用している者がほとんどである。そのほか、結婚式場や不動産もLGBT差別をしてはならない法律も制定された。近年はLGBTのほかにA(アセクシャル、無性愛者)、I(involuntary celibateつまりインセルのこと)を追加してLGBTAIと表現されることも増えてきており、多様性に富んだ国民一人一人がより幸せに暮らせるために、政治や行政でどのようなサポートができるかが課題である。

その他司法上の動き

　このほかにカリフォーニエンの司法上で最近あった動きについて解説したい。
　拷問と死刑は、憲法で絶対的に禁じられている。人間の判断に絶対はあり得ないので、冤罪が起こってしまった際に取り返しがつかないから、というのがその理由として掲げられている。このため勾留後の取り調べは全て映像データ化されており、弁護士や判事など資格ある有識者が定期的に監視することのできるシステムが整えられているほか、カリフォーニエンでは自白は裁判の際の証拠として認められていないので、拷問をそもそも起こしえない制度も整備されている。死刑判決については、死刑相当の無期懲役刑、というように改められた。この刑では恩赦や特赦などが適応されないほか、さらに模範囚などによる刑の短縮(つまり、有期刑化)などは認められていない。前述した観点から、この囚人にも再審請求権は認められている。
　一方で国内では死刑相当の無期懲役囚には治験などの医学実験や臓器提供が行われているため、実際に死刑を執行しているのと変わらず、非人道的であるとの非難もあがっている。
　さらに成年被後見人制度も改定された。
　従来、知的障害者が法務行為、とくになんらかの契約を交わす際にその補佐および監督をする役割として法的に成年被後見人制度を置く仕組みがながらく維持されてきた。一方でこれらを悪用し、障害者の財産を意図的に制限したり、中には横領する者もいた。このため、近年障害者の基本的人権保護の観点からこの制度が撤廃されることとなった。撤廃後は役所などの公的機関に、障害者のくらしをサポートする部署が設置され、そこが法律面でのアドバイスやサポートを行なっている。

経済

産業

　主要な産業は製造業と医療であり、特に航空機、機械類、家電、自動車、造船、宇宙開発関連、製薬、医療機器、高度医療、医学開発・研究、医学教育を得意分野とする。さらに近年高まる環境への関心に対応するため、EV車両や自然再生エネルギー発電なども生産することができる。一方でこうした製造業には莫大な電力と水を必要とすることから、主要製造業企業や工場は海沿いに集中しており、それは西海岸ベルトとも呼ばれている。さらに、鉄やボーキサイトといった資源も他国からの輸入に依存しているため、カリフォーニエンは典型的な加工貿易立国とも言えよう。
　2020年の貿易収支は5950億ローンの黒字であり、過去最大であった。このことからも分かるようにカリフォーニエンの経済は強い輸出に支えられているが、同時に世界の為替相場や経済情勢に影響を受けやすいとも言える。

マイスター制度

　カリフォーニエンの高品質な製造業を支えているのが、国家資格であるマイスター制度である。マイスターとは、成熟した技能をもつ職人や専門家につけられる称号であったが、今では国家資格保有者の名称ともなっている。例えばパンのマイスター、溶接のマイスター、歯科技師のマイスター、型抜きのマイスターといった技術的なものから服飾のマイスターのように芸術・文化的な分野まで幅広く存在し、今では実に224種のマイスターが設けられている。

　一方で、こうしたマイスターが設けられている背景には各産業ごとに監督団体や労働組合、交流会といったような種々の組織がよく整備されている点が挙げられる。専門化して分業しているこのような点こそ、カリフォーニエン経済の強みと言えるだろう。

インターンシップ

　高品質な製品を安定して生産するには従業員への十分な教育が必要不可欠である。一方で日本の終身雇用年功序列型企業のような組織では、「一人前」を育て上げることには成功してもそれまでに多大な時間とコストがかかり、それは労働生産性を全体で見たときに低下させてしまう要因にもなる。今まさに人手が欲しいのに、一から新人を教育している暇がない、という企業は世界各地に見受けられる。このようなことは、国の教育制度と経済産業界の目指すものの先にズレがあるために生じる。このギャップを少しでも埋めるため、カリフォーニエンでは求職者がなんらかの職に応募する際には、1〜2週間の有償インターンシップを受ける仕組みが用意されている。高校生はこのような制度を活用してから実際に就職するケースが多い。一方で中小企業には負担になるケースも少なくなく、国や州からの補助制度がある。

教育

　義務教育は6・4・2の12年制。義務教育では、国内には教会系の学校を除き私学学校はほとんどなく、ほぼ全ての学校が公立校である。教育は各州および各特別市に権限があるが、国立の学校も存在している。

義務教育

　初等教育は6年。カリフォーニエンでは人道の観点から、難民を含む外国人籍の子供にも初等教育は義務付けている。国内の少数言語であるスペイン語や英語を話す子どもたちのために、それらの言語のクラスがある。
　初等教育が終わると次に4年制の前期中等教育に進む。前期中等教育からは第二外国語の授業も始まり、公立学校ではおおよそ、ラテン語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、中国語、日本語を学ぶことができる。カリフォーニエンでは義務教育終了時に第一外国語の英語をCEFR基準*1でB2、第二外国語をB1程度にまで習得していることが期待されている。この観点から、一度選択した第二外国語は原則として変更できず、上の学校へ進学しても同じ言語を学ぶこととなる。
　前期中等教育が終わると後期中等教育である2年制の学校で大学やより高度な専門教育機関へ進学する準備をするか、同じく2年制の職業訓練校に進学することとなる。ここまでの12年がカリフォーニエンの義務教育である。高等学校、あるいはギムナージウム等の進学予備校に相当するのが前者で、後者は職業訓練学校だと考えるとよい。なお、第二外国語教育だけはどちらの学校でも継続して行われる。
　これにより大半の若者はなんらかの資格を取得したり、実践的な訓練を受けた上で就労に移行することとなる。これが先述した、専業化しているカリフォーニエン産業界を支えている。
　最新データによると、大学進学率は39.6%で、前期中等教育学校から後期中等教育学校への進学率はおよそ45%であった。

専門教育

　後期中等教育修了語、さらに技能を磨くために各種学校に入学したり、または大学や専門学校に入ることもできる。ところで、大学まで含めて国内の学校は基本的に税金によって授業料が免除されている(施設維持費として年間800ローン程度の費用がかかる場合もある)。これは教育が次世代を担う若者への投資という考え方に基づくものであるが、学費の安さは海外からの留学生受け入れ増加という副次的な効果ももたらしている。優秀な留学生がそのままカリフォーニエンで就労すれば経済へのいい刺激になるし、また帰国する場合でも大勢の若者がカリフォーニエンでドイツ語とカリフォーニエンの文化を学ぶことで、間接的かつ段階的に国際影響力を高めていくことができる。事実、政府は国家戦略としてソフト・パワーによる国際影響力増加を掲げているが、これもその一環とも言えよう。さらにこの目的のためにドイツ語の教育機関、『ゲーテドイツ語センター』が外務省や教育・科学技術省後援のもと国ぐるみで運営されており、世界中でドイツ語普及活動を行なっている。

医療

　国民皆保険制度が整備されており、18歳以下の医療費は1割負担となっている。また、在学中に限り最長24歳まで医療費の控除を受けることができる。
　医療大国ではあるが、病床数の多い大病院は少ない。これにはカリフォーニエン特有の、かかりつけ医制度が関係しているのですこし説明を加えたい。
　カリフォーニエンでは伝統的に各家庭や会社ごとにかかりつけ医がいる。日頃のちょっとした怪我や体調不良、また普段の健康状態のチェックはこのかかりつけ医が行い、病院に行く必要があると判断した場合はかかりつけ医が紹介状を書いてから来院する必要がある。通常、病院には紹介状なしには行くことができず、一部の者は比較的高額な民間医療保険の特約などを利用して、私立病院へ急な外来を行なっている。このおかげで、病院で長く待たされたり、ロビーの混雑が半ば常態化するといったこともなくなる。そしてこれは患者と医療提供側双方のメリットともなっている。つまり、患者はスムーズに診察を受けられるようになるし、医師らは毎日立て続けに患者が来院しづらくなるため、一人一人の診察にじっくり時間をかけることができるようにかる。また、紹介状があるために完全に初診の状態ではなく、初めてでも医師はある程度患者の様子を理解している。このようにかかりつけ医制度によってカリフォーニエンの医療サービスは非常に質の高いものとなっている。
　医療品への保険適応の幅が広く、興味深いことに少子化対策の観点から生理用ナプキンやコンドームまで保険が適応されることが有名。

科学技術

　科学技術はカリフォーニエン経済と国力の原動力であり、常に多額の研究開発費を拠出して成長を維持している。2020年の統計では、1年間で2407億ローンが研究や開発に費やされた。

製造業

　製造業はカリフォーニエン経済の根幹をなすものであり、また輸出を支える産業として国家の収入にも大きく関わってくるものである。数百万人以上がこの産業で働いており、大勢の人に影響を与えている。
　この点において、先行研究投資とイノベーション、そして省エネルギー化は国際影響力を維持するためにも欠かせない。とりわけ人件費が高騰する現代では、生産現場の自動化・AI化をどこまで進められるかが生き残りのカギとなってくるだろう。カリフォーニエン国内では工作機械のロボットを生産しており、多様な国内生産現場のニーズに合わせている。

IoTと物流

　インターネット通販の普及に伴い、企業や生産者から直接消費者へ輸送する新たな物流の軸が生まれつつある。一方で、小口貨物輸送の増加はドライバーの負担の増加に直結し、労働環境問題にもなっている。これを解決する一つの方法として考えられているのがIoTであり、例えば物流を一括で管理する管理者の元に、各配達ドライバーの個人用端末と顧客からの問い合わせ情報が一括で入ってくるようにし、管理者側はその振り分け処理をAIによって行い、最も適切なルート、また配送順序をリアルタイムで車両のナビゲーション・システムやドライバーの個人用端末に表示させる、といった具合だ。こうすればドライバーはいちいち顧客からの問い合わせに対応する時間が減り、また渋滞情報や顧客の不在情報などもリアルタイムで更新され、作業の効率化が進むことが期待されている。

　近年、あらゆるものがインターネットに繋がる時代になった。各荷物にもQRコードがついており、それを読み込むだけですぐにさまざまな情報が手に入る時代だ。IoT化は今後も生活や仕事のあらゆる場面で進んでいくと予想されるが、これによって最も恩恵を受けるのは物流業かもしれない。

IT産業

　ベルンからウルベーンにかけての一帯は、西海岸ベルトと呼ばれるIT産業の一大集積地である。世界中の人がスマートフォンやゲーム機器を所有する時代にあって、こうしたIT産業は最も成長が見込まれる産業の一つである。とはいえ、カリフォーニエンでは今後慢性的なエンジニア不足が続いていくと懸念されており、この分野での官民協力が望まれている。例えばIT教育を学校でより進めていくこともその一つである。

環境保護の取り組み

　従来、環境への配慮はコストの増加にしかならない、というのが定説だった。再生エネルギーを利用した発電をしたり、ハイブリッドカーや燃料電池自動車を利用して輸送や運行を行うことは、たしかに従来の方法と比べたら割高になることの方が多かった。
　今では、カリフォーニエンの民間はそのようにはもはや考えていない。気候変動への取り組みは人類の最大の課題ともなってきており、今後環境保護はますます加速するからだ。そこで、「エコロジーで稼ぐ」を実現できないかと産業界は考え始めている。より効率のいい新しい発電方法や、破砕した廃棄物をバクテリアを利用して分解したり、新たな技術を生み出して製品化することでこの分野は成長が見込まれるものになるかもしれない。

宇宙開発

　宇宙開発のような莫大な費用がかかるものは国家が重点的に支援している。カリフォーニエン宇宙探査機構(KW, Kalifornien Weltraumforschungsorganisation)がこの分野において国内の研究開発を指揮しており、職員には航空宇宙軍からの出向も見られる。初期の宇宙開発がロケットや偵察衛星など軍事面に力が入れられていたために軍主導で行われていた経緯もあり、現在でも官民共同ではありながら国家プロジェクトの性質も帯びている。このほかに1929年に発足した民間の宇宙飛行協会も、ロケットや衛星開発、宇宙飛行士の教育などの分野を支援している。

先端技術

　その他にも様々な分野で研究への投資と支援が行われている。現在国内では、先端技術へのそれらの支援は主に経済産業・エネルギー省と、教育科学技術省の二つが主導している。

国際関係

　全方位外交を軸に他国との平和的な共存関係を目標としている。軍事は外交の一手段に過ぎない、とはよく言われるが、逆を言うなれば強固な外交関係によって軍事による抑止力の一部とすることにもなり得る。この点でカリフォーニエン外務省には特に、他国との慎重な外交関係を維持しつつも最大限国益を確保するという責任重大な職務が期待されてる。
　近年模索されているのは、各地域に1〜2ヵ国の戦略的パートナー国を確保し、それらの国を中心に、その地域での情報収集や外交を行う、という新しい取り組みである。

欧州

　ヘルヴェツィア大公国とは歴史的な経緯から半ば同盟関係とも言えるほどの特別な二国間関係がある。初期のカリフォーニエンにはヘルヴェツィアからの移民が多かったこともあり、現在でも文化的な回帰意識を持つ者は少なくない。
　近年、ドイツ帝国で排他的な右派勢力が台頭してくるようになったとカリフォーニエンでは認識されている。一方でカリフォーニエン産業界にとって、ドイツは欧州の中で引き続き主要な取引先となっている。ドイツへの投資も多い。

アジア

　日本国はアジアにおける主要な友好国となっている。カリフォーニエンの自動車産業界は長年、日本からたくさんのことを学んできた。現在カリフォーニエン警察庁の高速道路パトロール車両はホンダのスポーツカー、シビックタイプRを採用している。

民間での交流も盛んで、日本からの観光客は本土でも増加傾向にある。

北米

　アルストツカとの友好的な関係は、北米におけるカリフォーニエンの安全保障体制上非常に重視されているものである。両国間はいち早く貿易協定が締結されたほか、長らく電力などのエネルギー分野での協力体制が維持されている。
　シール共和国とは19世紀に発生した戦争の後、不可侵条約が締結されている。150年以上変わっていない関係は新しい時代の動きに則さないとして、新たな関係が模索されている。例えばシール共和国、カリフォーニエン、アルストツカの三国での北米経済圏構想や、防空体制・プラットフォームの共通化などである。

国連

　カリフォーニエンはこれまで70年以上にわたって国際連合の非常任理事国を務めている。事実上常任理事国化している、との批判を呼ぶこともあるがこれほど長期にわたって連投するのは異例でもある一方で、GDP比でみた国連分担金負担率が世界一位であることなどこれまでの国際貢献が評価されていると見る意見もある。

軍事

　完全志願兵制による46万人の常備軍、カリフォーニエン国防軍を持つ。通称、カリフォーニエン軍または加軍。近年は従来の国防や安全保障の枠組みを超えて、地域安定化や国際協力などに積極的に関与している。

陸軍

　総兵力は25万人。南北に細長い本土はシール共和国と不可侵条約を結ぶことで東側の脅威を軽減させている。一方で横方向は距離が少なく、また険しい山脈があることから砲火力を重視したドクトリンの下、世界的にも珍しく155mm砲や203mm砲といった大口径の野戦砲を配備している。ミサイルより安価な大量の砲火力で面制圧するといった考えが採用されているためである。陸軍総司令部は参謀本部のある首都に置かれている。

海軍

　総兵力は11万人。太平洋に分散して領土があり、守るべき領域が非常に広大なカリフォーニエンは建国以来ずっと、有力な海軍を保有する必要があった。
　ハワイには常設の空母機動部隊があり、カリフォーニエン海軍唯一の空母打撃群がある。一方でカリフォーニエン海軍の主要なドクトリンは攻撃型潜水艦による抑止力とシーレーン破壊であり、艦艇に占める潜水艦の数は30隻強と潜水艦戦力に重きを置かれているのも特徴である。
　海軍に限った話ではないが、兵器がより高性能化し重武装が進むにつれてコスト増が無視できないほど大きくなってきている。このため少人数化を図り、艦艇機能の自動化が進められている。またイージス艦に代表されるような特に高コストな艦はごく少数配備に止める一方、多少古くても確かな実績と信頼がある旧式機を多数配備し量を確保する、いわば「枯れた技術」を重視した運用もされている。海に接した海洋国では、敵の航空機などの攻撃に空軍と共同で海軍が防衛にあたることが一般的だからだ。
　総司令部は他の軍と異なり、太平洋州のハワイシティに置かれている。

航空宇宙軍

　総兵力は4万5000人。
　カリフォーニエンでは全ての空港に空軍の要員が詰めており、これにより民間空港であったとしても緊急時に民間機を避難・誘導させ、空軍機を離発着させることができるようになっている。主力機は国産であるものの旧型化しており、新世代の機体を純国産にするのか、それとも信頼できる他国と共同開発するのかで議論が割れている。
　名前からわかるように宇宙空間での軍事行動も管轄している。現在カリフォーニエン軍では9基の軍事衛星を保有しており、このほかにも民間の衛星を軍事理由に転用することも可能である。さらに航空宇宙軍はKWと密接な関係にあり、同国の宇宙開発において重要なポジションを占めている。有人飛行船に乗り組む宇宙飛行士は、航空宇宙軍からの出向も少なくない。また、最も女性比率の高い軍でもあり、全人員の18.7%は女性である。
　司令部は参謀本部のある首都に置かれている。

近衛師団

　公室専属の部隊として、一部の君主制国家に見られる様にロイヤルガードとしても知られる近衛師団が約5000人置かれている。近衛師団はカリフォーニエン軍の中でも公的には最古の部隊であり、200年近い歴史を誇る。以前は大公直属の軍として独立指揮系統の部隊、つまり国軍には直接属さない部隊となっていたが、現在では他の軍種と同様参謀本部に属している。エリート部隊としても知られ、志願兵制のカリフォーニエン国防軍の中でも特に成績優秀で、種々の試験を突破した者しか入隊することはできない。事実上首都防衛部隊としても機能している。
　本部は首都のウルベーン新宮内に置かれており、普段は参謀本部の中に出向要員が詰めている。

海兵隊

　総兵力は3万人。
　上陸、逆上陸、揚陸専門の部隊として1945年12月に創設された、最も新しい軍*2でもある。
　速やかに制空権・制海権を確保し橋頭堡を確保し、最前線で上陸し危険を排除した後に他の部隊の上陸も支援するという、最も危険で過酷な任務を負う。このため大変に厳しい訓練を日常的に受けており、過去には訓練の過程で死者も出るという悲惨な事故も起こっている。
　海兵隊の存在は、実質的にハワイの安全保障と対外的な抑止力となっている。一方で創設依頼カリフォーニエン海兵隊が出動するような事態は起きていないため、普段は災害時の救援活動などに取り組んでいる。

交通

　カリフォーニエンでは、国民の主な移動手段は自動車となっている。

フライバーン

　フライバーン(Freibahn)とは、カリフォーニエンの自動車専用高速道路のことである。全ての四輪車、二輪車、および大型車両と軍用車が通行できるが、二輪車は二人乗りが認められていない。フライバーンのフライ、とはドイツ語で自由、許可、空いているなどの意味がある。カリフォーニエンの高速道路は後述するように速度制限が設定されておらず、事実上速度無制限の区間も存在するが、速度制限から自由という意味でフライなのではない。信号による停止がないことからのフライ(自由)である。
　フライバーンは1930年代、ドイツが世界に先駆けて自動車専用道を建設したことに啓発を受けて、1937年に建設が開始された。以来現在まで新区間の開通、および保守改修が行われており総延長は37650kmあまりを誇る。災害時の物流を維持したり、非常時に航空機が離発着することを想定されており、片側6車線区間が広く取られていることも特徴である。事実国内の大動脈でもある北のベルンと中南部のウルベーンを結ぶ区間は片側6車線、両側12車線が全区間整備されており、一部のインターチェンジ付近などでは最大片側13車線区間も存在する。これはカリフォーニエンの高速道路が郊外の砂漠地帯に建設されている他、国民の自動車保有台数があまりにも多いために渋滞が慢性化していることも関係している。
　制限速度に関して、よく知られているようにフライバーンには速度制限無制限区間がたしかに存在している。しかしながら必ずしもスピードを出さなければならないというわけではなく、各々の運転技術や自分の体力に応じて、安全な速度を保つことが推奨されている。一部の都市近郊区間では最高速度に制限が設けられているほか、自動車運転免許を取得して1年未満のドライバーには全区間130km/hの速度制限が義務付けられている。警察や国は安全推奨速度を120〜160km/hと公表しており、これは毎度変わっていない。また、大抵の区間では平均速度は145〜160km/h前後である。

リニア鉄道網計画

　リニア建設は短時間で大量のヒト・モノを環境負荷の比較的少ない方法で輸送できる手段として、カリフォーニエンの長年の希望であった。2021年、ついに日本国のJR東海から建設、運行および保守技術の教育その他を一括して輸入する方法で交渉がまとまりを見せた。計画では2029年夏の営業を目指すとしている。

国民

　国民の大部分がドイツ系。国勢調査の際に先祖の出身を問われるが実に75%超が現在のドイツやヘルヴェツィア大公国、およびその他の中東欧地域とそれに回答している。移民国家であるために少しずつではあるが、アジア系およびヒスパニックも増えてきている。
　ここで、カリフォーニエンの移民政策について改めて記述したい。カリフォーニエンでは移民による人口増の恩恵を古くから受けているが、その大部分がドイツ語話者である。これには長年、事実上の受け入れ制限としてドイツ語能力を移住者に課していたためでもある。現在では撤廃されているが(そもそも大規模移民募集が過去60年間行われていない)、移住者や難民にまでドイツ語の取得が義務付けられている。これは同化政策であるという批判を呼ぶことも少なくないが、一方で国内の文化的分断を最小限に留めることにも繋がっている。例えば毎年数十万人単位でAという国から移民が来ているとしよう。A国出身の人々は日常的にはA語を話し、なかなかドイツ語を習得しない。移民コミュニティ内ではドイツ語を話せなくても生きていけるからだ。やがて移民社会の中で子供が生まれるが彼ら移民2世も、やはりA語を話す。3世、4世に至ってもなお、である。このような状態ではいつまでたっても国内で二つ、あるいはそれ以上の分断された社会が生まれてしまう。一方では世代が変わっても移住先の国に馴染めず、就労や不動産契約などの際に苦労することになり、一方では治安の心配や外国人差別などにつながりかねないことにもなる。これはあくまで極端な例示ではあるが、一方でグローバル社会の現代では世界の至る所でこうした光景が見られるのもまた事実である。カリフォーニエンではそれゆえに、現在でも移住を希望して入国する者にはドイツ語の習得を義務付けているのである。

文化

　カリフォーニエンの文化を紹介する。現代では欧州のドイツ語圏文化とはかなり様子が異なってきており、むしろ中米西海岸や北米文化に近い。温暖な気候や厳しい日射は人々の性格や考え方に影響を与え、食文化や被服文化まで変えてしまったのかもしれない。

食文化

　カリフォーニエンの食文化は牛肉を抜きにしては語れない。一人当たりの消費量は年間で46kgと突出しているが、元来中央ヨーロッパでは豚肉が食べられていた。ところがドイツから海を渡って新大陸に到達した17世紀半ばには、アメリカ大陸にはブタはおらず、代わりに中南米からウシがもたらされた。そのためソーセージやベーコンなどの豚肉調理法は現代ではかなり少なくなってしまったが、代わりにステーキやハンバーガーといった焼く料理法が発展した。土地を開拓する移住者たちには茹でたり燻製にするほど複雑な調理ができるキッチンがなかったのだ。一方で焼く調理法は野外でもできる簡単な調理法であった。このようにして、牛肉を焼いて食べる文化が徐々に広がっていった。
　特に人気なのはステーキで、カリフォーニエンでは塩とコショウでシンプルに食べるのが一般的。濃いソースで肉の味をころしてしまうのはあまり好まれない。リブロース、またサーロインがよく食べられる。従来の中南米のウシはほとんど野生牛で肉質も硬く、さらには筋も多かったが、200年以上をかけてかなり改良された。300g、あるいは400g、500gと豪勢に食べるのがカリフォーニエン・スタイル。付け合わせはジャガイモやトウモロコシなど。さらにカリフォーニエンでは焼きトマトも好んで食べられる。

ステーキは家庭料理としても普段から食される
　ハンバーガーも代表的な料理だ。カリフォーニエンのハンバーガーはパティもバンズもボリュームがあり、それ単体でひとつの食事として完結してしまうほど。なお、カリフォーニエンで「バーガー」を注文すると通常はチーズバーガーが出される。カリフォーニエンでは肉とチーズの組み合わせが非常に好まれているため、ハンバーガーにはチーズが挟まっているのが一般的。普通のハンバーガーが食べたい場合は、チーズ抜きを注文する必要がある。

カリフォーニエンのファーストフード、ハンバーガー

スポーツ

　国民的スポーツとして、サッカー抜きには説明ができないだろう。サッカーはアマチュアや老人の愛好会なども含めると、人口の6割超がなんらかのプレイ経験があるとの推計もある。国内リーグ、デア・リーガにはレベルの高いクラブチームがしのぎを削っており、観客動員数も非常に多い。
　このほかに卓球と水泳、テニスも盛ん。国土のかなりの部分を亜熱帯が占めるが、高山帯もあるために場所にも恵まれていてウインタースポーツもよく楽しまれている。

言語

　公用語はカリフォーニエン=ドイツ語。標準ドイツ語との差異は一部の名詞などの語彙のほかに文法的にはない。しかし、発音に関してはかなりの違いがある部分もあるため、単体でカリフォーニエン=ドイツ語と称される。
　近年、非ドイツ語圏からの移民の増加により、名詞の性の欠如や前置詞構文の際の置換の有無、さらには枠構造の無視など、かなり簡略化された従来の標準ドイツ語とは異なる言語的な動きが見られている。ある言語学者によると、22世紀にはヨーロッパのドイツ語とは別系統の言語に変化しているかもしれないとの予想もあるほどである。

観光

　主に保養地として豊富な観光資源を有するカリフォーニエンは、観光立国を目指している。狙いは海外のインバウンド需要による地方創生と経済活性化である。
　
　一例として年間2500万人が訪れるハワイでは、専門のハワイ観光庁が国家PR・観光省の下部組織として設置されており、ハワイの観光を政府としても盛り上げている。一方で観光客の増加は宿泊施設の慢性的な不足、治安の悪化、ゴミ問題、文化の違いからくるトラブルさらには開発による環境悪化など様々な問題を起こしており、こうしたことが地元住民の負担ともなっている。
　ハワイは年間を通じて温暖で、ビーチでは綺麗な海を、市内ではショッピングやハワイの生態を魅力的に取り上げた動植物園などを、さらには専用の観光ツアーを楽しむことができる。ハワイ州内に限り、認定された国内で自動車免許を取得後2年が経過していれば公道をレンタカーなどで運転することが可能。さらには4000m級の山があるハワイでは降雪も充分にあるので、一年の間でもかなり長い期間ウィンター・スポーツを楽しむこともできる。実際に比較的小規模ではあるが、スキー場もある。

　ここまで非常に長い文章をご覧いただき、ありがとうございました。シン・世界線の皆さま、よろしかったら是非カリフォーニエン大公国へお越しください。雄大な大自然、常夏のリゾートビーチ、歴史的な映画産業、刺激的な大都市部での滞在があなたをお待ちしています。お会いできることを楽しみにしております。
  • *1 : https://www.efset.org/ja/cefr/ を参照。閲覧日2021年9月21日
  • *2 : 厳密には航空宇宙軍が統合および省内整理のために1999年に名称変更されているが、前身である空軍の存在を考慮した場合、海兵隊は最も新しい部隊ということができる
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