概要 
- A社・・・照明器具の製造・販売会社
- 事業部本部が複数あり、それぞれ国内外の製造・販売子会社を所管する
事業本部によって、重視する管理指標、管理水準が異なる↓
↓
子会社を含めたグループ経営管理の障害となっていた。
全社的経営課題＝企業グループとしての経営管理レベルの向上
⇒ その活動の一環として「A社・子会社を対象とした経営情報システムの導入を実施」
本年度、監査計画に基づき経営情報システムの「開発目的の達成状況の監査」をする
システム開発経緯
従来の状況
- 各事業本部で事業分析資料を作成する。
- 資料作成は表計算ソフトでつくられたものを各子会社からメールで収集（←集計、とりまとめが手間）
- 毎月15営業日の経営会議で報告する
課題
- 各本部は独自の管理指標での分析している
- 経理部が報告するの月次決算数値とも不整合をおこしている
開発目的
- 事業状況の分析作業の効率向上および経営会議の開催日を毎月第8営業日に早期化
- 各本部、所管する「全ての子会社」をふくんで事業状況を報告できること
- 報告数字は、連結経営管理指標に基づき、月次決算数値と整合性を確保すること
- 従来の各本部および子会社が「特性に応じた独自の分析」をおこなえること
開発当時の体制
- PJ責任者：S取締役（経営企画担当）
- PL：T氏（情報システム部）
- サブリーダ：各本部から1名、経理部から1名、経営企画部から1名
- 作業チーム：各サブリーダが所属から数名選抜。このチームがあわせて、子会社へのPJ説明や、必要作業依頼、研修などを実施する
経営情報システムの概要
提供機能
(1)経営管理指標レポート生成機能
- いわゆる「KPIレポート（連結経営管理指標の定型レポート）の自動生成」をする
- 全社連結、事業本郡連結、各会社の3階層で構成する
- 毎月第5営業日に閲覧可能
- 製品別・地域別、前期対比・予実対比など条件指定検索閲覧が可能
(2)フリー分析機能
- 売上、利益、在庫、生産、資金などのデータを様々な視点から「自由に」分析できる
- 複数の関連システムから日々データを収集
【利用目的】
- 各本部や子会社にて、日常の業務管理に必要な分析をしたり、レポート作成をしたりするもの
- 自動生成されるKPIレポート記載の予算との差異・異常値などを分析するため
- 分析結果は第6営業日中に経営情報システムに入力する （←つまり、KIPレポートがでてから1日も時間がない状態で対応となる）
KPIレポート生成から分析、結果の入力までの時間が非常に短いため、レポートが提供される「前」から分析作業に着手する必要がある
- 経営会議報告資料を作成するためのもの
（KPIレポート2層目、3層目と上記分析を含めた子会社月次報告を使う）
(3)利用履歴の管理
- 上記(1)(2)は利用者ごとに利用できる機能や閲覧範囲は設定される
- 利用状況はアクセスログに記録される
- 事業本部でこのログを使って利用状況の分析をできるようになっている
予備調査
手続概要
(1)企画書の閲覧
- 企画書には情報システムの開発に関して必要十分な事項が記載されている
- 開発計画は所定の手続に従って適切に承認されている
- スケジュール通りに進捗、トラブルなく稼働した
(2)S取締役へのインタビュー
- 「経営情報システム利用状況調査報告書」を入手し、内容を確認した
- この報告書は、PL：T氏と5名のサブリーダで実施した調査報告
◆調査報告書概要
(1)調査期間：12/15〜12/19 (2)調査結果： �）莊�8営業日に経営会議が開催され、各事業本部の状況が報告されている �∧鷙霪睛討蓮嶇�結経営管理指標」に基づいており、決算数値とも整合性がある �３道匆饉劼�6営業日中に経営情報システムに月次報告の登録を行う想定だが、 ・登録が遅れる ・報告内容が不十分 な子会社がある �ぅ轡好謄犲�体のトラブルはその都度対応、発生頻度は減少してきている
本調査にむけて
指摘事項１：調査結果の内容が開発目的と照らして不十分である
開発目的４の観点が抜けている。
「各事業本部および各子会社が、それぞれの特性に応じた独自の分析がおこなえること」に関する調査結果がぬけている
指摘事項２：調査報告書(2)-��の放置は重大な経営上のリスクとなる可能性がある
システムの開発目的２：「全ての子会社を含む事業状況を報告する」が達成できないことになる
↓
「企業グループとしての経営管理レベルの向上」も達成できないということ
つまり、
↓
「企業グループとしての経営管理レベルの向上」も達成できないということ
つまり、
子会社の重要な情報が経営会議資料に適切に反映されず、誤った経営判断を行うリスクがある
指摘事項３：調査報告書を監査証拠として全面的に準拠するには問題がある
開発プロジェクトの当事者が作成した調査報告書であり、調査の客観性が担保されていない⇒ これだと開発目的達成のために作業をしていた人物が調査をしてしまっているため
指摘事項４：登録が遅れる原因が事業本部側にある可能性を調査すべき
【着目点】
事業本部の持ちうる責任として「教育・指導の観点」に着目する
- 事業本部の作業チームが研修などを行う
- 事業本部がログを使って利用状況を分析できる
これら事業本部ができることをやっているかをチェックするということ
・各子会社に対して、月次報告の研修を適切な時期に実施しているか
・アクセスログを利用して、各子会社の利用状況を分析しているか
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