概要 
- M病院・・・約２００の病床を保有
- 7年前に電子カルテシステムを導入
電子カルテシステム
- 紙カルテを電子データにして情報共有をする
- オーダ機能（処方、検査などの指示機能）をもつ
- システム自体は外部ベンダが開発したソフトウェアパッケージ
- 1年前にバージョンアップ（２年ごとにバージョンアップ）
システム運用環境
- サーバは院内のサーバルーム
- ＨＷの冗長化はあるが、バックアップサイトはない
- バックアップデータは、１年前から専門業者サービス（遠隔地バックアップサービス）を利用
- バックアップを日時取得 ⇒ 一時保管後、業者に引き渡すルール（これまでのバックアップデータも移動完了済み）
業務効率化のための代行行為
- 医師の指示のもと、メディカルクラーク（ＭＣ）がカルテ記録行為をする
- ＭＣが行った記録作業は、医師の承認により確定する
- 緊急性を要するなどやむを得ない場合、医師の承認について一定時間経過した記録を自動確定させる機能をもつ
システム監査の実施
電子カルテシステムの運用の適切性について監査を実施する
↓
主な手続きとして、各種文書の閲覧と関係者へのインタビューを実施
以下がその監査結果
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主な手続きとして、各種文書の閲覧と関係者へのインタビューを実施
以下がその監査結果
(1)操作ログからＭＣの代行操作を確認、役割分担ができていると判断した
＞注意点：操作ログについて
ログに関してあらかじめ妥当（問題ないもの）であると前提を置くために以下について確認しておく
・ユーザＩＤおよびＰＷ管理が適切でなりすましがないこと
⇒操作者≠ユーザＩＤだとログでも誰の操作かわからない
・ログがすべてそろっており改ざんがないこと
⇒ログに正しさがないと調査が成立しない
(2)代行操作の自動確定が日常的に発生している
指摘事項��
自動確定はやむを得ない場合の処置なので、自動確定の発生を減少させるべき↓
⇒ システムとして機能を強化すべきである
【強化すべき機能】
自動確定前に、医師へ確定操作を促す通知を表示する機能を追加すべき
(3)ＢＣＰ訓練の一部としてバックアップデータ参照テストをしているが内容が不十分である
- テスト対象のデータは、院内サーバルームに保管されているものだけを使っている
- データの形式がベンダ独自のもの
- 参照には専用のソフトウェアが必要
- システムバージョンと一致したソフトウェアでのみ参照可能
指摘事項��
・システムを使えないときに、業務中断の恐れがある。
・電子保存の要求事項（見読性の確保）の観点を満たせない可能性がある
※【２．見読性の確保】
- 必要に応じて、肉眼で見読可能な状態へ容易にできること
- 必要に応じて、直ちに書面に表示できること
↓
理由１：遠隔地バックアップデータについてテストをしていない
- システムバージョンと一致したソフトウェアでのみ参照可能
異なるバージョンで作成されたバックアップデータを参照するテストが行われていないから
理由２：どうやって遠隔地のバックアップデータを入手するのかが不明
- 業務を中断せずにできるのか不明確
適切な時間内に、遠隔地のバックアップデータを入手、書面化するテストが行われいないから
(4)オーダ業務は手書き伝票が代替できるかが疑わしい
指摘事項��
- 運用手続きを定めていないので、代替運用が機能しない可能性がある
- 代替運用の訓練を行い、BCPを策定すべきである
電子カルテシステムは業務効率に寄与していた↓
⇒これが人力作業に切り替わるということ、が考慮不足
手書き伝票での運用時の業務負荷の増加分を検証していない
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