「あちゃ〜、そりゃまずいんじゃないの?」
 そう言葉を紡いだのは、ガーネット・サンディ。
 その対象は、ラトゥーニ・スゥポータに対してだ。
 ―――話は数分前、ラトゥーニが今までの状況をガーネットに対し、通信している時に始まった。
 最初は今までの戦況、そしてこれからのラトゥーニ達の行動の報告ではあったのだが……
 いつの間にか、話は二転三転し、ラトゥーニの恋愛の話、略して「こいばな」になっていたのだ。

「でも、リュウセイは本気だったと思う」
「いやいや、本気とかそう言うのじゃなくて
 そもそもリュウセイはバーニングPTのチャンプだったわけでしょ?
 そのチャンプ様のプライドとかも考えてあげて……ね」
 どうやら、話は以前ラトゥーニとリュウセイが二人でゲーセンに行った時のことのようだ。
 二人が仲良くプレイしたゲーム。 それは、リュウセイが軍に誘われる原因ともなったゲーム「バーニングPT」
 最初はのほほんとしたバトルではあったのだが……
 いかんせん、ラトゥーニは強すぎた。
 そして、リュウセイも熱くなりすぎる正確が災いした。
 そして、いつの間にか「仲のよいバトル」は真剣勝負になってしまい……
 あろうことか、ラトゥーニが6勝4敗。 前チャンプに勝利してしまった。
 その事を、ガーネットに話しているのだが。
「ホント、ラトゥーニはこういう状況には弱いんだから」
「弱くない。 リュウセイには勝った」
「いやいや、だからそう言う事じゃないって!
 せめて、ねぇ、男に花を持たしてやるとか。
 そりゃリュウセイもね、女の子と二人っきりで行くって言うところがゲーセンって言うのも考え物だけどね」
 そう言って、ガーネットは頭をかいた。
 娘を心配する心境というか、妹を心配する心境というか、そんな感じだ。
「あ〜あ、でも、リュウセイもホントに大人気ないんだから」
 しかし、そんなリュウセイを嫌いでないのもガーネットだ。
 そして、リュウセイとラトゥーニをくっつけたいのもガーネット。
 今、彼女の思考の中を覗いてみると
(あ〜、間違いなくリュウセイの中ではラトゥーニに恥をかかされたと思ってるわね)
 ……事実そうではないのだが
(前チャンプの腕前をあっさり、ラトゥに否定されたわけだし…どうしたものかなぁ……)
 考えて、考えて、そして一つの秘策をラトゥーニに伝授する。
 果たして、これが正しいのかどうかは……気にしないことにしよう。

 その晩。 リュウセイの自室の前にラトゥーニは行っていた。
 ガーネットに授けられた秘策。
 『てごめに……いやいや、色で懐柔する……というのもちょっと違うな。
  ともかく、色気で誘って既成事実を作って、リュウセイはラトゥのものにする大作戦』を実行する為だ。(命名:ジャーダ)
 一通りの方法をガーネットから授けられ、いざリュウセイへ……と言うところである。
 欲を言えばガーネット的には、ネグリジェとかあまり女の子に興味のないリュウセイにも気を引かせるような服装にしたかったのだが、流石にラトゥーニは持ってなかった。
 代わりに眼鏡を用意させた。
 眼鏡と言っても、以前のようにデータ解析の為のものではなくて「少女の色気を最大限まで引っ張る為の眼鏡」をショーンから借りた。
 眼鏡っ娘。 いまやラトゥーニはその称号を持っているのだ。
 美しき音速の妖精を駆る、麗しき眼鏡少女ラトゥーニ(あ、いかん、私情が入った)
 目的を一つ携え、いざリュウセイの自室前……である。

 ただし、一つの例外があった。
 そのリュウセイの自室前には、クマさんパジャマを着た マイ・コバヤシがいたのだ。
 では、なぜにマイまでもがリュウセイの自室前にいたのか。
 それは、直前に父であるケンゾウに自分の「気持ち」に対して質問したからであった。
 曰く―――
「リュウセイを見てると胸の奥がもやもやする……この気持ちはなんだろう?」
 その一言を聞いた瞬間、ケンゾウはユウキに淹れて貰った紅茶を吹き出した。 ……もったいない。
 まぁ、その気持ちは分からないでもない。
 娘が直球勝負で親に「こいばな」を仕掛けてきたのだ。
 ま、ちょっと日本人の知識が薄いマイにとっては、この質問を親にするべきではない、とは知らなかったようだ。
「……?」
 そんなケンゾウの様子を不思議そうに見るマイ。
 ケンゾウは暫く考え、一呼吸をおいて。
「……そんなに気になるなら、リュウセイ君を直接訪ねてみるといい」
 と、半ば泣きながら言った。
 ちなみに、泣きながらと言っても親泣きというか、Gロボ泣きというか、そんな感じの涙だ。

 と言う話が直前にあって、結果マイはリュウセイの部屋の前に現在居るのだ。
 ちなみにパジャマは特に意味はない。 趣味だ。

 龍虎相打つ。
 あ、いや、どっちが龍とか虎とかは問題ではないけど。
 リュウセイを挟んでの龍虎勝負。 正直自分が挟まれたい。
 あ、その、挟むとかそう言うのはアレじゃなくて……
「マイ……どうしてここに?」
「ラトゥーニこそ…なんで?」
 ちょっとした緊張感が周囲に流れる。
 断言はないモノの、女のカンでは二人は恋敵というのは分かる気がする。
 ラトにとっては、SRX計画の一員としてリュウセイの近くにいる女。
 マイにとっては、前大戦からリュウセイの近くにいた女。
 それぞれ、相手は自分以上にリュウセイの近くにいる……と錯覚している。
 もっとも、リュウセイにとっては共に同僚の女性とだけなのだが。
「………」
 しばしの沈黙の後……
 その沈黙をかき消したのは、部屋からの大音量の音楽だった。
『正義! 勇気! 真実の意味が! いつの日か、分かるまで〜♪』
 よくその歌の声の主を考えてみると、
「リュウセイ……」
 二人の妖精(…妖精?)の意見が一致した。
 先程の緊張感もどこへとやら……
 とりあえず、ここで二人して動きを止めていても仕方がない。
 ラトとマイはリュウセイの部屋に進入することにした。
 ちなみに時刻は草木も眠る丑三つ時……なのだが
 先程のリュウセイの声から察するに、奴はまだ起きていることだろう。

「くぅぅ、やっぱし男の浪漫はロボットだよなぁ!
 それもスーパー! 武機覇拳流ロボなんて流石だぜ!
 よくもまぁ、こんな事を考えてくれた人もいるモンだ! 出来るなら俺も乗りたいぜ!」
 勢いよく叫んでいる男が中にいた。
 先程も述べたが、時刻は真夜中。 まったく近所迷惑な男である。
「望まないで!」
 思わず先程のリュウセイの独り言(のわりには大声だが)に突っ込みをいれるラト。
 その突っ込みの声があるからこそ、リュウセイもラトとマイの存在に気がついた。
「ん、どうしたんだ、ラトゥーニにマイ。 こんな時間まで起きて、不良だぞ」
「それはこっちのセリフよ。
 リュウセイ、夜中に大声を出すものじゃないわ」
 大人の対応で返すマイ。
 そうだ、言葉から考えれば『ロボットがぁ!』なんて叫ぶリュウセイの方が子供だ。
「まぁまぁ、気にしない気にしない。
 それよりもお前達も一緒に見るか、武機覇拳流ロボの奥技大全DVDだぞ!
 なかなか手に入らないレアなモンなんだぜ!」

 わ か ら な い

 二人して共通のリュウセイを否定するような言葉が浮かんでしまった。
 そもそもなんでリュウセイの部屋に来たんだっけ……?
 だんだんと、自分の意志まで否定するようになってしまった。

(え〜っと、私はガーネットとジャーダに応援されたとおりにリュウセイに……)
 改めて自分の本来の目的を思い出すラト。
 耳までちょっと赤くなってるのは気のせいだろうか?
(あたしは……その、ケンゾウのお父様に言われて)
 ちょっとこっちは受け気味。
 ちらりと二人してリュウセイを見る。
 瞳が輝いていた。 少年のまなざしだ。
(い、いけない。 このままじゃペースを乱される――)
 どうも、同じ人間を好きになった女性が思う想いは同じになってしまうらしい。
「あ――、あの、リュウセイ!」
 ここ一番、L5戦役でも出したことのない異質な勇気を振り絞りラトはリュウセイに声をかける。
 その必死な思いが通じたのだかどうだか……リュウセイは振り向いた。 そして、
「アレ、ラトゥーニ。 眼鏡かけ直したのか?」
 気づいてくれた―――。
 ちょっと嬉しかったラトがそこにいた。
「デモ、それ前のとちょっと違うな。 似合うんじゃないかな」
 リュウセイらしくない一言。
 実は以前、アヤからも『女性のちょっとした変化に気を付けた方がイイ』と言われたばかりなのだ。
 だから、ちょっとした変化をしてたラトにそう言っただけなのだが。
 その一言が、魔法のようにラトの表情を一変させた。
 それを快く見てないのは、マイの方だ。
 マイもマイとて黙ってみているわけには行かない。
 何せ、今のリュウセイはラトに傾いてる(と思う)のだ。
 このままでは、何の為に深夜にリュウセイの部屋に訪れたのか。
 何の為にクマさんパジャマを着てきたのか分からない。
「リュ、リュウセイ、あ、あたしのほうはどうなんだ?」
 勢い余り、直球で聞いてみることにした。
「あ、いや、その、クマさん……可愛いんじゃないか?」
 クマさん…が、か。 リュウセイ。

 先手・ラトゥーニ。

 映像作品なら、こんな一言を載せたいぐらいに鮮やかな一言だった。
 とかく、焦ることなくマイは以前読んだ文献を思い出し、どうやって自分にたなびかせるかを考える。
 月刊:うるるん
 文献とはちょっと離れているが、マイが最近に読んだ恋愛関係の話があるのは、そんな雑誌だった。
「きょ、今日はお祭り嬉しいなぁ」
 いや、違いますから、そのページは。
 悩んでいても仕方がない、唐突だけどラトゥーニに越されるぐらいだったら…
 思いこんだマイのスピードは速かった。
 一瞬目の形が変わり、空恐ろしいような表情を出していたのは、瞬間的にでもレビが浮かび上がったからなのであろうか。
 瞬間、リュウセイはマイに押し倒されていた。
「おらっぷ?!」
 間抜けな声を上げながら、押し倒されるリュウセイ。
 そして強引にでも、リュウセイの唇を奪うマイ。
 全ては、ラトゥーニに取られたくない、先にリュウセイをあたしのモノにしたい。 と言う気持ちの表れだった。
 ……表れだった!
 深層心理、マイはリュウセイに引かれるものがあったのであろう。 ただ、それがカタチになっただけ。
 リュウセイ・ダテ。 齢18。 初めての女性の唇の感触だった。

 それを快く見ないのはラトだ。
 リュウセイの唇はラトが奪うはずだったのだ。 それを新参者の女性に取られたのだ。
 L5戦役でもリュウセイの脇にいて、陰に日向に護ったのは私なのに…と思ったかどうかは定かではないが。


(え〜っと、何がどうしてこうなってるんだっけ? ってか、柔らかい?)
 リュウセイはパニックだ。
 先程まで、レアなDVDを見ていて燃えていたはずなのに
 このままでは萌える展開になってしまいそうだ。 しかも、主人公は自分の。
 正直そんな話は見たことがない。 と言うか、自分が見るのはロボットものばかりだ。
 そりゃ、ものによっては主人公がむやみやたらに女の子にモテたりするような話も見ている。
 が、自分がそんな展開に陥るとは露ほどにも思っていなかった。
 そんなパニックな頭をさらにパニックに貶める事態が……

 じ〜〜〜〜〜

 音を立てている。
 何が音を立てているのか。
 リュウセイは目をやる。
 そこには、リュウセイのズボンのジッパーを下げているラトの姿があった。
「〜〜〜〜〜〜ッ!?」
 すでに、リュウセイの『常識』の世界は逸脱し始めていた。
「ガーネット……私、頑張るね」
 ナ、ナニを!?
 既にジッパーを下げられているリュウセイにはもはや抵抗することはなかった。
 いや、抵抗なんてしなくていいんだぞ、コンチクショウ。
 前門のマイ。 後門のラトゥーニ。
 その筋の人間から見れば、素晴らしく羨ましがれる状況が目の前で展開されていた。
 感触から感じるに、マイは恐らく……舌まで入れてきている。
 ボ〜、っと、頭が遠くなっていくような、そんな感じのリュウセイ。
 果たして、リュウセイはこのまま二人の毒牙に落ちてしまうのか?
 ………落ちろ。

 じ〜〜〜……

 ジッパーが下がりきる。
 そこから出てくるのは、勿論下着のトランクスだ。
 もっとも、ちょっと出っ張ったりもしているが、それは其の、男の生理現象という奴で
 これを否定されては先に進めない。

 がしっ
「はぅ!」

 トランクス越しに、その出っ張ったものを試しに掴んでみるテストを行うラト。
 掴んだ瞬間、リュウセイはうめき声を上げた。
 初めての自分以外が、竿に触れる感触は初めてだ。
 今までに無駄にアンジュルグとか見ながら握っていたのだが、今回は女の子に握られているわけだ。
 まったく持って世界が違う。
 じ〜〜〜〜〜〜
 今度は胸元からの音だ。
 気づけば今度はマイに、オーバージャケット、そしてシャツまで脱がされかかっている。
 ここまで来ると既に、ナスがママ、キュウリがパパだ。
「は……はじめてなのに」
 それは男のセリフじゃないぞ、リュウセイ。
 どうしようもないとはこのことか。
 ラトもラトで、ガーネットに言われたからではなく、自分の好奇心でリュウセイのトランクスを脱がしにかかっている。
 後、数秒もすればこの部屋は。
 裸体の男×1、服を着た女の子×2 という微妙な編成になってしまう。
「ラ、ラトゥーニ、それだけは勘弁してくれ。最後の一線なんだ、最後の……」
 懇願空しく、リュウセイのトランクスは宙を舞った。

 そして、代わりと言っては何だが、リュウセイの操縦桿が勢いよく飛び出したのだ。
「うわぁ……」
 この言葉は、二人の少女の唇から漏れた。
 マイに至っては、執拗に攻めていたリュウセイの口から話しての感嘆の言葉だ。
 それだけ、リュウセイのモノは少女達にとって好奇心を呼び寄せるモノだったのだ。
「男の人ってこんなのを、ここまで大きくするんだ」
 スクールでは保健体育は無かったのだろうか?
 初めて見るその姿に、ラトは正直に言葉を紡ぐ。
「イングラムのよりも…大きい………。
 ……イングラム?」
 多少記憶の渋滞があったのか、ちょっと考えて首を振るマイ。
 端から見れば、おどろおどろしいモノではあるのかも知れないが、まじまじ見つめる二人の少女。
 逆に、落ち着かないのはリュウセイの方だ。 見られてるんだぞ、しかも冷静に。
「あ、あのさぁ……その、二人とも?」
 何とか、場を動かそうと絶え絶えながらも言葉を出すのだが……
 ちょっと、何というか、そのカッコでは説得力が薄すぎる。
 しかも、ピクピク動いているのだ。 男の本能って悲しい……

 そのピクピク具合に興味を示したのはラトの方だったりする。
 少しの間、リュウセイのモノをマジマジと見つめていたわけだが、暫くするとガーネットの言葉を一つ思い出す。
 ―――曰く。
「そうそう、最初は抵抗あるかも知れないけどね、男の人のをくわえたり舐めたりしてあげると、すっごいうれしがるのよ?まぁ……胸を使っては、まだラトには早いかな?」
 ―――くわえる。 アレを。
 見る。 リュウセイの股間を。 ピクピク動いている。
 意を決してラトは、リュウセイの操縦桿を口に含むのであった。
「はぉ!」
 ぴちゃぴちゃと音を立てながら、一心不乱にしゃぶっているラト。
 お世辞にもそれはうまいとは言えないが、免疫のないリュウセイにはそれだけでも十分だった。
 必死にこみ上げてくるようなモノと戦うリュウセイ。
 ある種、エアロゲイター達と戦ったよりも必死だ。
 流石にラトは胸を使ってまでの奉仕に出ることは出来なかったが、リュウセイにはそれで十分。
 むしろ、胸まで使った日には、リュウセイがどこへ飛んでいくのか分からない。
「ひゃ、ひゃーねっと…、ほ、ほれでいいのはなぁ?」
 口いっぱいに含んでいる為に既に言葉にはなっていないラトの言葉。
 しかし、免疫がないリュウセイ。 そして言葉という新たなる波。
 リュウセイにはそれだけで十分だった。
「ラトゥーニ! ご、ごめん、出る!!」
 自然にラトの後頭部を押さえつけ、その口内に発射しようとするリュウセイ。
 が、ラトにはそれが苦しすぎた。
 苦しさから逃れるように、リュウセイの腕力を振り払い、必死に顔を遠ざける。
 遠ざける瞬間に、リュウセイから熱いほとばしりが走った。
 そしてそれは、ラトの顔、ラトの「魅力を引き出す眼鏡」にねっとりと付着する。

 後手も:ラトゥーニ。

 どこまでもラトに先手を越されているような気がするマイ。
 そう言えば、マイ自身もラトに先じれたと思うのは、唇だけだ。
 純愛漫画でもあるまいし、唇を奪っただけでリュウセイがモノになるとは思えない。
 しかも、重要な部分はラトに取られている。
「くぁ……ラト……そんなこと…ぃ」
 リュウセイも喘いでるし、何かこのままではボロ負けになってしまう。

 現状維持 × (ラトの行為 + リュウセイの限界)=ラトはリュウセイのモノ

 よく分からない公式が、マイの頭の中で成り立った。
 元はネビーイームの中心、レビ・トーラーだと言っても今はマイ・コバヤシ。 女の子である。
 恋の相手、恋の勝負に負ける分けには行かない。
 まだラトが……していないことで、リュウセイの記憶に残るようなものを…
 以前に見た、レディースコミックスを思い出す。
 確か、あの作品では……

 果たして、マイは服を脱ぎ始めたのだ。
 それもリュウセイの目線上。 ラトに攻められながらも、リュウセイはその瞬間を見た。
「リュ、リュウセイ。 そ、そんなにじっくり見ないで」
 自分から脱いでおいて、よくも言う台詞。
 一糸まとわぬ姿になると、マイはリュウセイの横に寄り添った。
 そして
「リュウセイ、その……リュウセイの好きにして」

 精神コマンド:再動
 いや、マイには再動はなかったと思うが、気にしないでくれ。
 憔悴しきった顔のリュウセイの脇に座るマイ。
 そしてさっきの一言だ。 これで燃えない(萌えに非ず)男は居ない。
「念動集中―――!」
 リュウセイは動くことが出来たようだ。
 しかも、再び大きくなって。
 さて、リュウセイはマイに言われたとおり、マイを好きにしようとしたのだが
 好きにしようとしたのだが―――いかんせん、知識がなかった。
「参ったなぁ……アンジュルグとかヴァルシオーネとかスイームルグとかだったらどうすればいいのかは分かるんだけどなぁ…」
 ナニをだ、リュウセイ。
 とりあえず、マイのソコを唇で弄んでみることにした。
「あぅ…!」
 丁度、リュウセイの顔面状にマイの形のいいお尻が乗っている。 うらやましい。
 リュウセイには知識はないが、男としての本能のみで、マイの気持ちよくなる点を探し出す。
 もっとも、リュウセイ自体何が面白いのかわから――――
「おわ!?」
 今度の悲鳴はリュウセイだ。
 なんと、復活したリュウセイの操縦桿がラトの中に吸い込まれているのだ。
 比喩ではない。 本当にラトの中に入っている。
 おめでとう、童貞喪失、ロボット中心の君が失う日が来るとは思わなかったよ。
「くっ………ッ!」
「あう…」
「ほわぁ……」
 三者三様の言葉が、その口から漏れていた。
 カタチから見ると、終始リュウセイをリードしていたラトの勝ちか?
 誰も、性に対する正しい知識を持っていないのだが、人間としての種のなせる技
 一応は、リュウセイとラトは接合している。
 マイは………リュウセイに指を入れられただけ。
 残念、マイ・コバヤシさん。 また今度、機会が多分あるさ。

 ともあれ、マイの中にはリュウセイの指、舌、唇が。
 リュウセイのモノは、既にラトの手中にある。 文字通り手の中にもあったりしたし
 今現在は、ラトの体内に収まってしまっている。
 そしてラトは……自ら腰を振り、リュウセイと共にイク事を目指してでもいるのだろうか。

 この三者の均衡が崩れる時は以外に早く来た。
 リュウセイが、ラトが、マイが三人して耐えられなくなる時が来た。
「リュ、リュウセイ…わ、たし!なんか、気分がおかしいの! ぃゃぁ…ゃめぇ…こ、ひょんなの、スクゥルではぁ……きいてにゃいのにょ…」
「お……れだって……、初めて…だよ、こんなに高ぶった気持ち…」
「ぃぁ、リュウセイ! しゃべら……ないで…!あたしの……あたしのがおかしくなっちゃう!」
 さて……何故、あまり触れてもいないのに、動いてもいないのに
 彼女たちは高まることが出来るのだろう……処女だからか?

『……ぁ! ぁぁ…!』
 三人の声が一致した。

 結果論:ラトの終始圧倒。
 ラトとリュウセイは幸せそうに、疲れ果て眠っている。
 脇に座っているのはマイ。 ただ一人である。
 マイには非情に残念な結果になってしまったのか。
 結局、リュウセイの精を受けたのはラトだけという結果。
 マイに許されたのは、リュウセイの唇とそしてリュウセイの指、口。
 いくら、性に対する知識が薄くても、この結果は正直あまり認めたくないものでもある。
「いいの、今日はこれでも」
 ……はて、それはどういう事でしょうか、マイさん?
「まだ、今日は……ラトゥーニに越されても…だってラトゥーニはL5戦役からリュウセイのそばにいたんだもん。先を越されても仕方がないよ。……けど、逆転するのが普通なんだからね、L5戦役もみんな逆転して現在の結果になったみたいだし」
 そう言うと、マイはクマさんパジャマを再び着こなし
 眠っているリュウセイの背中に抱きついて、眠りにつくのであった。

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