PCより
報酬金の使い道
亡霊のあたしが震え上がるような恐怖体験をした、空き家の調査依頼から三日後。
あたしは事務所のある通りから少し行ったところにあるド○モショップへと足を運んでいた。
「わぁー、最近のケータイはお洒落だねぇ……すまほ? とかいうの面白そう」
目的はもちろん携帯の購入。あたしの携帯は壊れてるから、報酬金を山分けしたお給料で買い替えに来たのである。
別に、テレパシーを使えば壊れた携帯でも通話やメールの真似事はできる。そもそも携帯を使う必要も無いわけだけど、これには理由があった。
一つは何らかの理由でテレパシーが使えない時のため。空き家でも何度かそういうことがあったから、頼りっきりもよくないと思って。
もう一つは、壊れた携帯じゃ絶対にできないこと。そう……待ち受け画面を設定するため。
「ふっふっふ、これであたしも流行の最先端に乗り込んだわけか……おっと、そんな事より」
お目当ての物を手に入れたあたしは、事務所に戻ると早速作業に取り掛かった。
パステルカラーな水色が特徴的なスマートフォンを説明書に従って操作しながら、まずはデジカメのSDに保存された写真をこっちに移す。
そして、後はこれをこうして……できた!
タッチパネルの大きな画面いっぱいに写るその写真は、空き家調査の時に撮影したもの。
三四子ちゃんの顔と歳不相応な胸の谷間をフレームに収めた、奇跡の念写写真である。
別に女の子が好きとか幼い子が好きとか、そういう趣味があるわけじゃなくてものこの写真にはクるものがあった。
まさに芸術。あたしの中に眠る写真家の情熱が、この写真は最高だと叫んでいる。
そう、これは探偵(見習い)である以前に写真家(志望)であるあたしの夢への第一歩であり、どんな宝物よりも輝いて見えた。
「いやぁ、やっぱり三四子ちゃんは可愛いなぁ……」
「私がどうかしましたか?」
「ひゅい!?」
一瞬、画面の中の三四子ちゃんが喋ったのかと思って素っ頓狂な悲鳴を上げる。
幽霊が幽霊にビビってどうするのって感じだけど、そもそも幽霊ってわけじゃなかった。
声のした方を振り向けば、いつものようにお菓子を持った三四子ちゃんが首を傾げてあたしを見つめていた。
「み、三四子ちゃん!? いつの間にそこに」
「えっ? ずっとそこで絵の練習してたんですけど、気が付かなかったんですか?」
どうやら、写真のことで頭がいっぱいで三四子ちゃん本人にまったく気付いていなかったらしい。
幸い、待ち受け画面は見られてないみたいだから、あたしはさっとスマートフォンを隠して笑顔を作る。
「あはは、なんでもないよなんでも。三四子ちゃんが可愛いなーって呟いただけ」
「はぅ、急に何を……///」
「(恥らう三四子ちゃん、念写したい……!)」
明らかに動揺するあたしを訝しがるより先に、可愛いと言われて赤面する三四子ちゃん。
これはあたしが変態というわけじゃない。被写体が殺人的に可愛すぎるのがいけないんだ。うん、そうに違いない。
加賀さんならこの気持ちを分かってくれると思う。写真はあげないけどね!
「わ、私お茶淹れてきますっ」
「うん、お願いね」
恥ずかしさに早足で給湯室に駆け込む三四子ちゃんを見送って、再度スマートフォンの画面を見る。
「……こりゃ、人前で取り出すのは控えたほうがいいかな」
残されたあたしは、溜息混じりにそんな事を呟いたのであった。
ちなみにその後、所長に待ち受けが見つかって一時は死を覚悟した(もう死んでるけど)。
ところが、所長はその写真を渡せば見逃してくれると言った。相変わらず三四子ちゃんには甘い人だと思う。
あの依頼の後から少し人が変わったように思えたけど、こういう所はいつもの所長だ。
幽霊より怖いのは今に始まったことじゃないし、今更この人が実は人間じゃないとか言われても驚かないけど……
「(……まだまだ、成仏するにはもったいないね)」
そんな所も含めて、あたしは所長と皆がいるこの高崎探偵事務所が大好きです。
PLより
皆様おはこんばんちは! そしてお疲れ様でしたっ!
何度目かになるコックさんの突発卓、毎度ながらとても楽しませていただきました。
亡霊探索者という初の試み(もっと人外いると思ってたのに、まさか自分だけになるとは思いもしなかった^q^)でしたが、いかがでしたでしょうか?
幽霊としてのアレコレに理由を付けたり、幽霊の観点から探索するのは新鮮で楽しかったです。個人的には大満足。
(主に精神面での)ダイス運も呼応するかのように良好で、設定通りに強いメンタルを発揮できたんじゃないかと思っております。
何より、三四子ちゃんの谷間を念写できたのは今セッション一番の快挙でした! おかげで後日談もこんな有様だよ(白目)
RPもやりやすくて楽しかったので、今後もどこかで小町がカメラを構えて探索に乗り出すことがあるかもしれません。
ひとまずはKPのコックさん、ご一緒したPLの皆様、見学してくださった方々に最大級の感謝を。ありがとうございました!
またどこかの卓でご一緒した時はよろしくお願いします。たまーに卓を開いたりもしているので、そちらの方もよろしくお願いします(宣伝)
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