“大破壊”と呼ばれる世界規模の災厄から半世紀。人類は地下都市に生き延び、国家という概念は既に
崩壊していた。
代わって企業がそれぞれの都市の経済基盤と自治権を握り、あるいは互いにしのぎを削り続けている。
その抗争は次第に激しさを増し、ついには武力行使まで半ば公然と行われるようになってきた。
歴史の必然。あるいは人のサガ。
かくして“傭兵”の需要は急速に拡大し、その一大ネットワークが生まれることになる───。

 * * *

通気性の悪いハウス型テントの中は蒸し暑く、汗臭い空気が篭って気分を滅入らせる。
簡易寝台に腰掛け、何の変化も見せないスチール棚上の端末画面に目を凝らし続けてもう半日。
単調な行為に精神集中を持続させるのもそろそろ限界に近い。
飲み残しのペットボトルを手元に寄せながら、ふと、少しばかり外の空気を吸おうかと考えた。
が、それもかえってゲンナリしそうで思いとどまる。
何しろここは容赦ない陽射しに炙られる荒野のド真ん中。
テントを出ても、所々に突き出したビルのような岩山と乾燥に強いわずかな植物の他には
延々と広がる赤茶けた地平線しか見えない。
募るばかりのストレスを紛らすようにボトルに残った水を一気に呷り、放り投げた。
岩山の陰に、2機のA.Cと共に身を隠しつつもう4日。この一帯を突っ切る唯一の道路に仕掛けた
センサーには、未だ狙う獲物は掛からない。

 A.C───アーマード・コア。
名前の通りコクピットブロックである核(コア)に、動力や武装パーツを組み合わせ完成する機動兵器。
その姿は、使うパーツによって十数メートルの巨人型から重戦車型まで百人百様。
汎用性の高さと自由にパーツを交換できる利便性から、“レイブン”と称される傭兵を中心に、
荒事を生業とする者達に広く使用されている。
かくいう俺もまたレイブンの一人として、今もこの荒野で仕事の真っ最中だった。

「あんまり画面と睨めっこばかりしてると、人相悪くなるわよ?」
乾いた空気と一緒に、ハスキーな声の持ち主がテントに入り込んできた。
ちらりと視線をやれば、申し訳程度の布地しかない下着の上からカーキシャツを羽織っただけの女。
鍛えられた身体は引き締まりながらも柔らかな曲線と肉感を併せ持ち、長い素足が裾から伸びる。
肩まであるブロンドは4日間の潜伏生活で少々パサついているものの、切れ長の青い瞳と挑発的に
微笑む唇が印象的な顔立ちは、美人の部類に入れても問題ないだろう。
油断していると喰われかねない、肉食獣系の美人ではあるが。
「どこ行ってたんだ」
俺は女──リンクス・ミンクス──に尋ねた。
「外で身体拭いてただけよ。…もうウエットタオルだけの生活なんてウンザリ!
冷たいシャワーが浴びたいわ!!」
大仰に嘆くリンクスの仕草に、俺は苦笑した。“山猫”の二つ名を持つこの女は、レイブン仲間では
ちょっとした有名人だ。
ただでさえ女傭兵は珍しいが、こいつは更にレイブンでも十指に入るランキング保持者。
彼女の駆る四脚ホバークラフト型A.C“プリティ・キトゥン”の高機動砲火は、反撃の暇も与えず
敵を穴だらけの鉄屑にしてしまう。

「ならいいが、勝手に遠くまで出歩くなよ。俺達ゃあくまで『待ち伏せ』の最中だからな」
「仕方無いじゃない。あんたの目の前で身体拭くわけにいかないんだし」
髪を掻き揚げ、ふと悪戯っぽく笑う。
「…それとも、あたしの“そーゆーシーン”を見たかった訳?…ストリップよろしく、あんたの前で
大股開いて、オッパイや大事な所を拭くとこをさ」
言いながら、シャツの上から両手で乳房を持ち上げて見せる。掬い上げるように掌に乗せられ、
布地越しにたっぷりとした量感のそれが形を浮かび上がらせた。

こいつの軽口に付き合っているとキリが無い。俺は画面に視線を戻した。
「そろそろ見張りの交替時間な」
「……………分かってるわよ」
素っ気無い対応が気に障ったのか、リンクスは拗ねたような声で返事をした。
「で、どうなのよ。肝心の“獲物”は、まだ掛からないの?」
俺の背後に回り込み、両肩に手を置いて端末画面を覗き込む。
「案外、他の連中がとっくに仕留めちゃったんじゃない?」
「なら、クライアントからミッション終了の連絡があるだろ。それらしいメールは来てなかった。
まあ、最初の情報自体が確証の無いものだった可能性もある。俺達は万一の保険てトコだろうな」
「向こうは只の保険のつもりでも、こっちは汗水垂らして頑張ってんだから!
結局空振りだって、張り込んだ日数分は料金要求してやるわ!!」 

 ──今回の仕事の依頼主は兵器産業に関わる大企業。依頼内容は、ライバル企業の研究素材の強奪。
内通者から得た情報を基に、素材を積んだコンテナを移送ルート上で待ち伏せ奪取するのが目的だ。
但し、依頼主側が提示したその予想運搬ルートは複数に渡り、全てを一人のレイブンでカバーするのは
到底不可能な状態だった。
当然俺達同様に幾人かのレイブンが雇われ、それぞれのルート上で張り込みを続けている筈だ。
「……ねえ、それよりさ。…まだ交替まで少し時間あるし…」
不意に、幾分下がったトーンでリンクスが囁きかけてきた。耳元に吐息が当たる。
「さっき身体拭いてたら……なんか疼いてきちゃった。…ね、いいでしょ?」
両腕を俺の首に回し、抱きついてきた。柔らかい女の肉体が背中に押し付けられる。
「おい…止せって」
こっちは精神的にクタクタで、すぐにでも仮眠をとりたい状況だった。
どうにか腕を引き剥がそうとすると、余計意固地になってしがみ付く。
「そんな張り詰めた神経ですぐ寝られる? 気持ちイイ汗かいてからの方が、きっと安眠できるよ」
言いながら俺の首筋にキスを繰り返す。先刻までの生意気な口調と態度が豹変し、
声や仕草に艶と媚が含まれてくる。白い指が俺のシャツのボタンを外し、胸元に滑り込む。

「いいわ。あんたがその気にならないなら……させてあげる」
リンクスが簡易寝台に片膝を乗せると同時、俺の身体は強引に引き倒された。
そのまま俺の上にのしかかるように寝台に上がりこんでくる。パイプフレームがギシリと鳴った。
「んふ……あんたの汗の匂いって好きよ。なんだかドキドキしてきちゃう……」
俺の胸に頬擦りしてリンクスが呟く。広がったブロンドがシャツ越しに胸をくすぐった。
顔を起こすと俺のシャツを肌蹴させ、獣が獲物を仕留めるように喉元にキスを落とす。
跡が付くだろう程に強く吸い上げると、わずかに頭が動いて左の鎖骨辺りに生暖かい感触。
柔らかく、少しざらついた舌が鎖骨を肩先へと這い、そこから胸の上を斜めに伝って
唾液の跡を残しながら腹筋の上まで辿り着く。

一端そこで舌が離れると、彼女の滑らかな脚が俺の顔をまたいで身体の向きを変えた。
天幕を見上げる目線の下で、両サイドが紐状の小さな下着に包まれた尻がゆらゆら揺れている。
「あははっ! こっちは結構その気になってるじゃない」
ジッパーを引き下ろされ、女の愛撫に少なからず反応していたモノがトランクスから解放された。
まだ完全に大きくなりきらないそれを掌で包まれ、ゆっくりと上下に扱かれる。
熱さと固さを確かめるように扱く力に強弱を加え、時折り敏感な裏筋を指が撫で上げた。
心得た女の愛撫に抗いきれず、俺のモノに次第に血が集まっていく。
俺が首だけ起こして邪魔な尻の横から彼女を見ると、向こうもこちらを振り向いて笑い掛けていた。
「どう? もう降参したら?」
勝ち誇ったような見返り顔に、何となく面白くない気がして、また天幕へ視線を戻す。
「…………」
 がりっ!

「痛でででででっ!!」
先端に走る激痛に思わず上体が跳ねた。
「お、お前! 噛み付きやがったな!?」
「フン、あんたが悪いんじゃない」
俺が怒鳴ると、少し怒った口調でリンクスが言い返す。
ズキズキ痛みの残る部分をちろりと舌が這い、次いで先端丸ごとが温かい口内粘膜にくるまれた。
「んっ……ぷ…………」
歯を立てないようにして亀頭全体を湿らせ、唇の輪で軽く竿を扱くと一端口を離す。
「ん、むぅ……レロッ」
竿の根元から上へ向かって、押し付けられた舌が吐息とともに舐め上げる。
ぺちゃぺちゃと、ミルクを舐める猫のように音を立て、カリのくびれまでを幾度も往復する。
満遍なく舐めしゃぶったところで、また先端から咥えられた。
「……ん、ぷ…………むふぉ……」
先程と違って今度は喉奥に当たる寸前まで飲み込まれ、唇で締め付けながら引き抜かれる。

ジュブ、ズズズ……

俺のを吸い上げながら股間にうずめた頭が起き上がり、髪の毛がさらさらと下腹を撫でる。
「んむっ…………ん……ねぇ、あんたも……」
ねだるように尻を振ってみせる仕草に、仕方無しに目前の白桃に手を添えた。

腰紐の蝶々結びを引っ張ると、はらりと下着が滑り落ち
金色のアンダーヘアと少しくすんだ肌色の割れ目が露わになった。
両手で尻肉を掴み、割れ目からわずかに覗く襞を親指で左右に広げてやると、サーモンピンクに
濡れ光る部分が目の前に晒される。ウエットタオルで拭いた薬剤臭と微かな女の匂いが立ち昇った。
首を伸ばしていきなりむしゃぶりつく。
「んうっ!?」
俺のを口に含んだまま、一瞬リンクスが身を竦めた。
「噛むなよ」
言い置きしてから、広げられたそこに舌を這わせる。左右の襞をなぞりつつたっぷり唾液で濡らし、
包皮にくるまれた桃色の粒を舌先で突付いてやる。
「んっ、んぶぅ、……ぷはぁ……」
こっちの動きに呼応するように彼女も唇による奉仕を再開した。
亀頭の部分だけをキャンディーのように口の中で転がし、指で竿を根元から上へ搾り上げる。
「クスクス……あんたのしょっぱい先走り…イッパイ出てくるよ」
ちゅっ、と先端を啜ってリンクスが呟いた。
「お前こそ、溢れ出してるじゃないか」
トロリと零れる蜜を舐め上げて言い返し、穴の奥へ舌をこじ入れる。
「あはぁっ。…ん、指、指でしてぇ……」
言われるまま人差し指を挿し込んだ。ぬるぬるの穴は簡単に俺の指を飲み込み、熱く締め付ける。
膣に入れた指を、じらすようにゆっくりと前後させる。
「あっ! そこぉ! そこ弱いのぉ」
中で軽く曲げた指が、膣壁の敏感な部分を刺激したらしい。
更に擦ってやると、たまらず背中を反らせて悶える。
もう一本指を増やし、捻じ込むように中をかき回す。
内部の複雑な凹凸の感触を指の腹に感じながら、卑猥な水音を立てて出し入れの速度を速める。

「ひゃあん! あ、ま、待って!」
リンクスがするりと腰を逃がし、再び俺の上で身体の向きを変えた。猫のような瞳が俺を覗き込む。
「フフフ……。どうせなら、こっちで……ね?」
この日何度目かの口付けを俺の首筋に落とした後、細い指がペニスに絡まる。
膝立ちになった女が俺の屹立の上に自分の位置を定め、指先で角度を調節しながら
少しずつ腰を下ろす。
先端が潤った割れ目に触れ、ゆっくり熱い壷の奥へ包まれていった。
「ふ……はぁ……」
俺の強張りを受け入れながら、リンクスが甘い吐息を漏らす。小刻みな腰使いで自ら誘い込み、
互いに深く繋がっていく。
彼女の尻がぺたりと腰に密着し、俺のものは根元までリンクスの中に包まれた。

「はぁ、ん……やっぱりあんたの…………イイ……」
満足げな溜息とともに俺を見下ろして微笑んだ。一呼吸置いて、ゆるゆると女の腰がくねり始める。
に、ちゅ……に、ちゅ……

二人の接合部が粘ついた音を立てる。俺の上で規則的に上下する身体からカーキシャツが滑り落ち、
白い裸身がさらけ出された。たわわな果実が誘うように揺れている。
魅了されたように両手を伸ばし、掌に包み込んだ。
わずかに力を込めて掴めば、掌に余る大きさと吸い付くような柔らかさ。
薄っすらと浮かんだ汗で一瞬だけ冷たく感じたが、円を描くようにこね回すと
すぐに熱く火照り始め、もてあそぶがままに形を変える。
「あ…いい……もっと…もっと強く揉んでぇ……ひぐぅっ!」
親指と人差し指で、ピンク色の乳首を強く捻り上げる。
リンクスが小さく悲鳴を上げて仰け反り、ギュッと膣の締め付けが強まった。
実はいじめられると感じるタイプだったと知ったのが、このテント生活での一番の発見だ。

「ん、もう! あれだけやる気無さげだったのに、結構ノッてきてるじゃない」
「ああ……少し癪だが、どうやらお前にしてやられたな」
俺は身体を起こすとリンクスの背中を抱え、入れ替わりに寝台に寝かせた。
汗に濡れて纏わりつく自分のシャツを脱ぎ捨て、蜜を滴らせた秘部へ再び怒張を宛がう。
貪欲な女の部分は、それだけでヒクヒクと物欲しそうに蠢いて俺を誘い、
軽く指で押し込むだけで、先端が熱いぬめりの中へ沈み込んだ。そのまま腰を前へ突き出していく。

「ふあぁ…………奥まで……奥まで来るぅ…」
寝台の上端を掴んで、リンクスがおとがいを反らせた。
無数の突起に擦られながら深く分け入り、引き抜く。白っぽい粘液にまみれた怒張を、また押し込む。
「もっとぉ……ん、もっと強くしてぇ……」
リクエストに応えて、打ち付けるように腰のピッチを速める。
「ひゃあん! 凄い! 当たって、中で当たってるのぉ!」
更に深く招き入れるかのように、両脚が俺の腰に絡みついた。
女の上に覆い被さると、両手を俺の背中に回してしがみ付く。
二人の身体が重なり、俺の汗と彼女の汗が混じり合う。
お互い交わす言葉も無く、荒い呼吸と甘い喘ぎを繰り返しながら、
昇り詰める最後の瞬間へと一緒に近付いていく。
「あ! アタシもう……もう…すぐ……んふぁあ!!」
突然、テントの中にアラーム音が鳴り響いた。

全身を緊張が走り、蕩けかけた意識が急速に冷静さを取り戻す。
それまで何の反応も見せなかったセンサー画面に明滅する“ALERT”の赤い文字。
モニターに写るマップの上を、6つの光点が一列に移動する。
さらにサブウィンドゥが開き、粒子の粗い静止画像が次々に表示された。
センサーに連動した小型カメラが、道路上を移動する者の姿を逐次送信してくる。
タンク型A・Cを先頭に4両の大型トレーラー。最後尾には二脚型を搭載したA・Cキャリア。
画像がブレているため武装などは判別し難いが、その尋常でない物々しさが
これが待ち望んでいた標的だということを逆に証明していた。
苦労が報われた喜びと避けられぬ戦いの予感が新たな興奮を掻き立て、身を起こそうと───。

「駄目ぇ」
女の身体が、俺にしがみ付いたまま離そうとしない。
「まだ駄目ぇ。もう少し…もう少しでイキそうなのぉ」
鼻に掛かった甘え声が耳元で囁く。
「お、お前正気か!? ようやく獲物が掛かったんだぞ」
「嫌ァ! こっちが先ぃ…。ねぇ、先にイかせてよぉ!」
俺のものを胎内に咥え込んだままイヤイヤと首を振り、一層強く脚を絡み付かせる。
「後にしろ、後に! ここから襲撃予定地点まで移動しなくちゃならないだろうが!?」
「慌てなくても、まだ時間あるからぁ。アタシのプリティ・キトゥンならすぐ行けるし」
器用に腰を捻って自分だけで快楽を貪り始めた。
その間にも画面上の光点は地図を移動し、予定ポイントへと接近している。
「ね? オチンチンそんなままで出撃したって辛いでしょ。きょうは中で出していいからさぁ」
一度こうと決めたらテコでも動かない。それがこの女の性格。
そして結局最後は俺が折れることになるのだが、今回ばかりはそうはいかない。
「いいから、離せ! せっかく立てた作戦を無駄にする気か」
引き剥がそうとすれば、余計意固地になってしがみ付く。
デジャブ。いや、お約束。
横目で睨むモニターでは、止まることない光点が刻々とポイントへ近付く。
「んっ……んっ……やっぱり一人じゃ駄目。お願い、突いてェ! 思い切り激しく……
メチャクチャにしていいからぁ!」

ここにきてとうとう俺もブチ切れた。
「この発情馬鹿女が!! 非常時に駄々こねてんじゃねぇ!!」
怒りに任せて腰を叩き付ける。
「あはぁん! それ! それ凄いぃ!!」
汗の雫を散らせて、火照った身体が跳ねた。
「いつまで猫みたいにサカってんだ!? とっととイッちまえ!」
テクもペースも関係無しの、がむしゃらな突きでリンクスを攻め立てる。
「ひぁっ! すごっ……、いつも、より…ンン…激しいよぉっ!!」
こっちの心情お構いなしに、女は嬌声を上げ続ける。
「はしたなくヒィヒィよがりやがって。俺以外の奴と組む時も
そうやって誰彼かまわず股開いてケツ振ってやがるのか!? あぁ!?」
「嫌ぁ! そんな、そんな酷い事言わないでぇ」
「ふん、何がリンクスだ! お前には“雌猫”の方がお似合いだぜ!!」
「あふぁあ……雌猫…。そう、アタシどうしようもなくエッチな雌猫なのぉ……
だからいっぱい……いっぱいお仕置きしてぇ!!」
怒りに任せて責めれば責めるほど、女は悦びの声を上げて激しく乱れ狂う。
「あふっ、んっ、ふあっ……い、く……イッちゃう!」
「イけ! 早くイけェ!」
片手を二人の間に滑り込ませ、再び乳首を捻り上げる。
「やっ!? んぁぁぁあああああああ!!!!」
俺の背中に回された指が爪を立て、痛みが走る。
ビクン、ビクン…と、女の身体が絶頂に震え、同時に俺も、こらえていたものを膣の奥で放出した。
温かな粘膜の奥へ三度、四度と精液を浴びせ掛けながら、
充足感と開放感が全身を満たすのを感じる。

「ふあぁ……」「う……」
エクスタシーに飛んだ精神が肉体に戻るまでの一瞬の、思考のエアポケット。
新鮮な空気を求めて大きく息を継ぎながら、はたと意識を取り戻す。
「そ、そうだ! 獲物は……?」
慌ててモニターに目を向けたものの
「…………あ〜〜〜」
既に標的は襲撃予定地点まであとわずか。
当初の計画だった『奇襲、挟撃作戦』は完全に不可能だった。
がっくりと女の胸の谷間に頭を預け、溜息をつく。

「ちょっと! いつまで乗っかってんのさ!?」
いきなり下から突き飛ばされ、俺は無様に寝台から転げ落ちた。
さっきまでの痴態はどこへやら。突き飛ばした張本人は二つ名通り
山猫のようなしなやかさで寝台から跳ね降り、シャツを掴んでテントの外へ飛び出した。
「……痛ってえぇ〜〜……」
したたかに打った腰をさすりながら立ち上がり、愛液と精液に濡れた自分のモノをしまいながら
後を追ってテントを出る。

凄まじい轟音とホバー排気の熱風。
外に出ると、すでにアイドリング状態でゆっくりと地上を滑るプリティ・キトゥンの姿があった。
そのままになっているカムフラージュ用シートが機体の上ではためいている。
『まだ獲物が逃げたワケじゃないんだからね。
アタシが足止めしとくから、その間にさっさと追い着いといで!
もたもたしてると報酬は総取りさせてもらうわよ!!』
外部スピーカーを使って言い残し、猛然と機体をダッシュさせた。
吹きすさぶ砂埃から顔を庇っている間に、プリティ・キトゥンはぐんぐん視界から遠ざかって行く。

結局、最後は出たトコ勝負。あいつと組むといつもこうだ。
「……とりあえず、パンツくらいは履いて行け」
最後に一つだけ溜息をついて、俺も後を追うべく愛機へ向かって駆けだした。

  おわり

このページへのコメント

「リンクス・ミンクス」って名前だろjk
このssはイイねエロいし、面白い。

0
Posted by a 2015年08月02日(日) 03:22:07 返信

レイヴンなのになぜリンクスがまじってるのだ?ACfaとAC時代がごちゃまぜだ

0
Posted by 楯無 2013年10月28日(月) 02:01:52 返信

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