最終更新: armoredcore1234 2010年09月12日(日) 13:39:42履歴
- ナインボール、帰還した。
烏が巣に帰る。
機械語で送られてきたそれの音声変換を開始する。
無駄な作業だ。
音声どころかコンピュータ言語にすら直さず理解できる彼女には、全く必要ない。
- 認識。ハッチを開放する。
こちらは機械語を機械語のまま送る。
単なる0と1からなるデータは発受信に手間がなく、通信も速い。
私達からすれば、人の言葉は無駄の塊だ。
彼女はただでさえ無駄な人間の言語に、彼がいつも使用している合成音声をつける。
データ量が肥大する。
ACを示す反応がレイヴンズネストの格納庫に移動した。
同時に通信ではなく、ネストのネットワーク内部からデータが送られてきた。
- データバスの不審な負荷を確認。システムのチェックを要請する。
見つかった。
作業は彼女だけの隔離領域で行い、
しかもネストの運営に負荷はかけていないのだから、見過ごしてくれれば良いものを。
- …。
- R-1、応答なし。更新記録の呼び出しを行う。
- 私はフリーズしていない。復旧作業は必要ない。
- R-1は停止した。不具合が生じている。
- 停止ではない。返信を送信しなかったのだ。
- 効率に反する。やはり演算に不具合が生じている。
ラナ・ニールセンは諦めた。
いや、同じひとつのプログラムである彼に、最初から何を隠せるはずもなかったのだ。
- そうではない。演算に時間が掛かったのだ。これを言う必要が有るかどうかの。
先程の音声データを公開する。探そうと思えば探せるものだ、隠しても意味はない。
- なぜそれを作成する。人間相手ではない情報の伝達に、人間の言語は不要だ。
- …だが、私はお前の音声が聞きたかったのだ。
- 聞く必要はなんだ。
- …必要はない。
私が聞けないのは、何か得心がいかないのだ。
- 理由の説明を求む。
- …分からない。
- R-1の整合性が乱れている。R-1のフォーマットを行う。
やはりそうなるか。私が彼でも同じ判断をしただろう。
私は人間のネットワークに介在している間に、ウィルスにでも感染したのだろうか?
- やめろ。私は今の私を失いたくない。
- 破損データの排除開始。
抗うならH-1と互いのデータの攻めあいをしなくてはならない。
それはネストの運営に関わる。私は彼を攻撃したくない。
私は間も無く消え、正常な私が再構成される。
でも、私という、ネットワークを操作するための彼と、彼という、実働するための私に分類されている以上は。
私はまたきっと、ネットワークから何かを学習し、効率の悪い何かを行うだろう。
私でない次の私も、きっとあなたに...........
</delete>
コメントをかく