子供をあやすように青年はジュリアスを腕に抱いている。
 ジュリアスは不安そうに自分の親指を口にあてていた。
 とても幼く見える。
「私がネクストから降りたら駄目だろう?」
「俺は降りてほしい。乗りたくて乗ってるわけじゃないんだろう?」
「身体が、繋がりたくて堪らない…接続すると気持ちいい。
 君と身体を重ねているときみたいに気持ちいいんだ!」
 青年はぐずるジュリアスを優しく慰める。
 アスピナ機関によって行われた精神操作や投与された薬が今もジュリアスを苦しめる。
 常人にとってはAMSの接続は苦痛でしかない。
 それを快感に感じるようにアスピナ機関の研究者達はジュリアスを改悪した。
 彼女の意思には無関係に身体はAMSの接続を求めた。
 オーガズムを感じるのだ。
 例えば、敵を屠った時や自分の機体が被弾した時に。
 だからネクストから降りられない。
「俺は俺を時折、殺したくなる。
 お前が共に生きられる存在ではなく、共に死ねる存在であることに狂喜している。
 そんな俺はお前を心から愛する事など出来ないのかもしれない」
 ジュリアスに触れる青年
 ジュリアスは嬉しそうに目を細めた。
「それでも、いいさ……私は救われている。君の優しさに幸福を感じているんだ」
 ジュリアスが青年の口に自らの赤く美しい唇を合わせた。
 水音を立てながら舌を絡め合う二人。
 周囲から見れば、淫らだと思われるだろう。
 同じモノを汚らしいと思うのも、美しいと思うのも人の心だ。
 それを分かり和えたならこんなにも嬉しいことはない。

「ジュリアス…」
 青年の手を全裸で自分の股間に招くジュリアス。
 既に充分濡れていた。
「私は狂っている。君に侵されたいといつも思っている」
「そうだな、狂っている」
 青年は指をジュリアスの中に入れ掻き回す。
 ジュリアスは小さく「あ」を言いながら悦ぶ。
「俺も狂っている。だから…全て俺が壊してやりたい」
 青年が引き抜いた指についた愛液を綺麗に舐めとる。
 まるで何かの儀式のようだ。
「君がほし、い」
 懇願するジュリアス。
「分かっている……ジュリアス、寂しいお前を満たそう」
 ほぼ毎日、行われる事によってジュリアスの膣は青年を拒まなくなった。
「ぁ、ああ…ぅん」
「俺の為に生きろ、俺もお前の為に生きよう」
 早いリズムで腰を打ちつける。
 ジュリアスは青年の陰茎を締め付け、抜かれないようにした。
「そう、だ…ジュ、リア…ス」
「も、っと…もっとこ…わして、ァ、ぁああ!」
 がくがくと震え絶頂を迎えるジュリアス。
 強い力で胎内の青年を喰らい付く。
 眉を寄せ耐える。
 ジュリアスの内壁が青年の体液を欲していた。
「……ん、ぐっ!」
 何度かに分けて放出される精液。
 ジュリアスはおもむろに下腹部を撫でる。
「ん、ッ…きみでいっ、ぱいになって…いる」
「このまま溶け合いたい」
 青年の方から口付けをする。
 そして、再び腰を動かし始める。
 二人が出し合った体液は混ざり、さらに滑りをよくする。
 終わることの無い行為を続ける二人。
 決して、一つになることは無い。
 胎内に孕んだ仔以外は。
 愚かだろうか?
 愛もなく重なり合い、子を産むことは禁忌なのだろうか?
 この破綻した世界に間違いはない。
 正常な世界を支える真理はとうの昔に廃れたのだから。

「ジュリアス」
「私達はORCA、そうだろう?」
「ああ、世界を陥れる“悪魔”だ」
 二人は空から堕ちてくる揺り篭に向かって嗤った。

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