「なあなあシーラさんや。俺はついにボケてしまったのかねぇ?」
「心配無いわエド。恐らく私も同じ光景見てるから」



【1日の悪夢】と呼ばれたバーテックスとアライアンスの抗争から数ヶ月。

俺達――俺ことエドとシーラって言うパツキン美女さ――は戦友であるレイヴンの住処へ訪れた。
何も遊び目的じゃあない。定期連絡が付かず心配したシーラに俺が同行。って訳さ。



あと、このご時世にAC用パーツなんて代物を注文しやがった理由も聞きたいし。



まぁアイツだって数々の敵を倒し、さらには蒼いクソッタレまで倒しちまったんだ。
俺は心配無いつったんだが、シーラったら聞きやしねぇ。

仕方無ぇからレイヴンの住処へと行ってみたら――。




そこで…ジナイ―ダを抱くレイヴン…を見てしまった。





                アーマードコア・ラストレイヴン
                   サイドストーリー
 

                 【ワタリガラスに祝福を】

                                 著・大神ケンジ◆brggnKENZI

そんで冒頭に戻るってわけよ。


ベットの中で汗まみれの身体を重ねあっている二人。
ああ、ジナイ―ダって正常位が好みなのか……って何考えてるんだ俺は。


「レイヴン……貴方ナニを…何をヤッテいるのかしら…? つかその女は誰よ」
混乱のあまり言語が可笑しくなってるシーラ。つか顔怖すぎだっつーの。

「え〜っと……こいつはジナイ―ダって言って……」
いや、女の名前は言う必要無ぇだろが……ってジナイ―ダ?

「おい待てよレイヴン!ジナイ―ダってまさか……?!」
思わず声を荒げながら、懐から取り出した端末を操作する。
画面に数ヶ月前のデータが出る。
ジナイ―ダ 賞金:70,000c  【DEAD】



間違い無ぇ、ジナイ―ダは確かに……!

「どういう事だレイヴン!!ジナイ―ダはお前がインターネサインの中枢で倒したって……!!」
普段の俺らしくも無い怒号にシーラが慄いた。
そんな怒号を真正面からレイヴンは受け止める。

「エド…まずは服を着させてくれ。そしたら話せるからよ」
まだ治まりが付かないが、俺は舌打ち混じりに承諾した。
シーラも真実を聞きたいんだろう。黙って頷いた。

俺達が部屋を出る時も、ジナイ―ダはベットの中から出ようとしなかった。
……そこまで発展しちゃってるの?二人は。
               




 〜〜レイヴンの住処・居間〜〜


右隣に座ったシーラから放出される冷気に耐える事10分。
Yシャツにジーパンという簡素な出で立ちで出てきた。
何気にジナイ―ダも同じ服装……ペアルック?


俺達の向かいに座るレイヴン。隣には虚ろな様子のジナイ―ダ。

「まずはそうね……どうして連絡が付かなかったのか。それにどうしてかしら?」
まずはそれだよなぁ……俺も無理矢理連れて来られた身としては気になる……。
「悪い。ジナイ―ダを抱くのに夢中だった」

お前……俺を凍死させる気か?つかさっきから冷気が【寒い】から【痛い】になってるんだよ。察しろよお前。
「へぇ……一緒に戦った人よりも以前の敵を抱くのを選ぶのね貴方は……殴って良い?」
いやお前聞いてはいるけど、すでに握り拳だから。

「……シーラの言いたい事は分かる。けどコレだけは言わせてくれ」
あの抗争時と同じくらいの眼光が宿る。

「ジナイ―ダは、今のジナイ―ダは俺達と戦った時の彼女じゃない」
は?何言っているんだコイツは……。
「俺が彼女と中枢で戦った後の事は覚えているな……?」

抗争後の事……それは。
「蒼いパルヴァライザーによる大量虐殺。忘れていないわ」
「ああ。蒼いクソッタレが居住区を荒らしまわった件……だろ?」
今思い出しても胸糞悪くなる。

レイヴンがインターネサインを停止させてから2週間後、突如各地の居住区を襲う蒼いパルヴァライザーが現れた。
あの抗争でレイヴン以外に対抗出来うる戦力が居らず、
最期は残存していたアライアンスや、バーテックスの部隊と共にインターネサインの廃墟へと追い込み、撃破した。
戦力の要となったのは目の前のレイヴンとその愛機だ。
名前は……忘れたから後で見ておこう。

「あのパルヴァライザーのコアになっていたのが―――彼女だ」

「なっ……?!」
「マジかよ…!?」
横のシーラが口元を押さえる。
リサーチャーという職業上、数々の死体見てきた俺ですら吐き気を隠せない。
オペレーターの彼女には厳しすぎる内容だな。

「そういやお前、あの作戦の後はしばらく家業を休止していたな……彼女の為か?」
俺からの問いに頷くレイヴン。

「俺だって驚いたさ。パルヴァライザーの残骸から彼女が出た時は…さ」
そっとジナイ―ダを引き寄せて撫でるレイヴン。
当のジナイ―ダは借りてきた猫のごとく大人しく撫でられている。
普段なら微笑ましい光景なんだろうけど、今の後じゃそんな見方はできねぇ。
むしろ……お互い、何かを補い合っている―――そんな風に俺には見えた。

今だ口元をハンカチで押さえているシーラが尋ねた。
「彼女はその…さっきから一言も喋らないようだけど…本当に彼女は…ジナイ―ダなの?」
言い難そうな様子だ。確かに確かめたいが、この状況ではちょっと…な。

「つい最近。ほんの3日前にふと呟いたんだ。【ファシネイター】ってな…」
【ファシネイター】―――彼女、ジナイ―ダの愛機だったACの名称だ。

なるほど、自分の愛機だけは覚えてたって事か。
                                    ・・・・・
「俺も専門家じゃないから分からないが、彼女は蒼いパルヴァライザーのコアにさせられた。俺はそう見ている」
レイヴンがジナイ―ダの袖を捲る。そこには――注射痕。
「それは…?!」
そこから想像出来る事――強化人間をコアとし、自身の更なる強化。
一種の知生体でも有ったパルヴァライザーならではの方法なんだろうが、
胸糞悪りぃにも程が有るじゃねえか……。

「コア目的だけじゃない。彼女が今まで培ってきた戦闘経験や、操縦テクニックを吸収する。――その反動がこれなんだろう」
そう言われて、俺の中で線が一本へと繋がった。
この住処に来てから、幾つも拾ってきた線が――。

「そうか、なんでさっきから一言も喋らないと思ったら――反動だったのか……」
頷くレイヴン。その右手はジナイ―ダの肩へと添えられている。
シーラはただじっと見つめているだけだった。

沈黙が俺達を覆い包んで行く。

すると、以外な事にシーラが沈黙を破った。
「じゃあ貴方がジナイ―ダを抱いていたのは…彼女を繋ぎ止める為だったのね…自分の下に」
さっきまで感じていた冷気が無くなると同時に、シーラの目から涙が流れていた。
まあ、シーラみたいに感受性の強い人間には良い話に見えるよな。

するとレイヴンは。
「いや、ぶっちゃけムラムラしたから抱いちゃった♪」           

          時が止まった


そして、時が動き出す(?)

「……いま、なんつった?」
やべぇ。言葉がひら仮名になっている。これは所謂【よくもクリ〇ンをーーー!!】と同じ状態だ。
もしくは【スーパーシーラさん】

「シーラには分からないかもしれないが、人が寝ている時にあのジナイ―ダが!あのジナイ―ダが甘えてくるんだぞ!しかも無言で!」
いや、最期とかよくわかんねえから。

「そう!それはまるで言葉という概念を超えたコミニュケエェェェェション!!!俺には【抱いてくれ…!】と確かに聞こえた!!!」
よし、今の内に退避するか。

「敵としてのジナイ―ダも知っている俺にはこの落差は、ジャック・〇の「や ら な い か」よりも効く訳だ!」
ああシーラさん。離して下さいな。俺はまだ死にたくないですよ(土下座)

「こうして俺はジナイ―ダを抱く事になった!しかも彼女はヒンヌーだが、感度はバッチリだ!だから俺は揉みまくった!!!」
いや、俺はコイツが弁論している事とは関係なグベラァ!!!(打撃音)

「しかも耳下で囁けば頬を赤らめ!耳たぶを甘噛み一つでもう秘所なる秘所が洪水状態!!!ああ、最高だねぇ!最高過ぎるね!!!」
…………(へんじがない。ただのしかばねのようだ)

「ああ、なんか言っている内にもう2、3ラウンドしたくなってきたわ!つー訳でお前等カエレ!(・∀・)ってありゃ……?」
「さぁて、後はレイヴンだけね……うふふふふ」



薄れ行く意識の向こうで、シーラにマウントポジションを取られるレイヴンを見た。
ああ…これが【Dead End】の瞬間か…。
ああ、オロオロしているジナイ―ダ可愛いなぁ(錯乱)

                         FIN 

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