「なんだ、こ…」
「ちょまっ」

手遅れという言葉が浮かぶ。
初めて部屋に呼んだウィンディーの前にはエロ映像の入った端末。

急ごしらえで片付けた部屋の隅、クローゼットの隙間から一番出てきてはいけないものが落ちてきた。

念の為一番高い場所に隠したのがあだか、落ちた反動で部屋に転がってきてしまった。

親切にも拾ってくれようとした彼女の目の前で、落下の衝撃で電源が入り映像を映し出す。

『あっ!あっ!ああん!』

あられもない姿の巨乳の女性が前の男からエモノを胸に挿入され、
後ろの男からガンガン突かれているガチなアレである。
その度に女性は雰囲気たっぷりのわざとらしい嬌声をあげて胸を激しく揺らす。
やらせとか、本当に無理矢理犯されて感じることは少ないとか、そんなことはオカズには関係ない。

―だから別に、君に無理矢理こんなことしたい訳じゃないんだぜウィンディー

と、まさか言えるはずもなく慌てて取り上げ電源を消す。

―そしてこの空気。

停止した彼女の後ろ姿に俺は怯えるばかりだ。

別れを切り出されたらどうしよう。
っていうかネクスト戦を挑まれたらどうしよう。


「あ、」

ビクビクしていた俺の肩が少佐ボイスにビクッと震える。

「あんな女性が良いのか」
「え、いや、あんなってそんな、ウィンディーが一番に決まってるだろ」

そんな台詞で大丈夫か?
大丈夫じゃない、一番良い台詞を誰か頼む。まじで。

「胸…」
「ん、ん?」
「大きい、ほうが…」

硬直した彼女の疑念に思い当たる。
ウィンディーはさっきのAVに比べたらおとなしいサイズだ。

「いや!これはその…大きいのも好きだけど大きくないといけない道理はないんだ。
好みといえばまぁ重量級が良いけど、いやいや軽量級も好きだぜ!?」

好みは重量級、のくだりで後ろ頭が素早く20°ほどこちらへ向いたのを見、慌てて訂正する。
が、軽量級と言ってしまったことを後悔した。

ウィンディーは軽量でも中量に近い。
中量でも大きいほうなのかもしれないが、いかんせん地味にほんの少し…小さい。

「私だって出来る、いややってみせる」

ゆっくりと振り向いたウィンディーの顔はほんのり赤く、そして必死だった。


一生懸命な表情のまま両手を添え、柔らかな胸で俺のソレを優しく包む。

―あ、やばい、気持ち良い。

腰を動かしたいのをこらえて彼女の様子をうかがう。
決して不足な訳ではないが、俺のをはさみきれずに、白い乳房の隙間から黒っぽい肉の棒が見えている。
その様子が何ともいやらしい。

「これで…」
「…動かすんだ。ウィンディーはそのままで良いぜ。俺が動く」
「あ、あぁ、…済まない、お前任せだ」
「良いさ、任せとけよ」

手で寄せさせたままウィンディーを寝かせる。
戸惑いがちに主導権を譲るのが可愛い。
不馴れな彼女の上で腰を振ると思うと興奮してくる。

先ずは感触を味わうように、我慢のきく範囲でゆっくり手前に引き、また中へ差し込む。

ぬちゃ、と先走りが小さな水音をたてた。

困った顔で見ていたウィンディーは赤くなって目を反らしてしまう。
手はそのままだから嫌がってはいない。
少しずつペースを早める。ぐちゃぐちゃと音が激しくなる。
その度に快感が下半身に集まってくる。
ウィンディーが顔は反らしたままちらりとその様を見ている。

―…やらしい奴。

「ウィンディー、そろそろ、出そうっ…」

「ちょ、ちょっと待っ、」
「大丈夫、顔にかからないようにするから……っ!」
「あぁっ!?あ、熱っ…」

顔には出さないように、首元に向けて思い切り放った。
勢いのあまり顎の裏の柔らかい皮膚に当たって周囲に飛び散る。
細い首はもちろん白く濁り、胸元、そして結局顔にも少し飛んでしまった。

「お前は、全く…」
「悪かった、今拭く」

汚してしまったところを、側にあったウェットティッシュで拭う。

「…でも、お前のそういうところ……」
「…ん?」
「…自分でやる」

―あれ、今すごく良い台詞聞けそうな気がしたんだけど

ウィンディーは俺の手からケースをひったくって向こうを向いてしまう。

「わ、な、何だ」
「いや、別に?」

細い腰を抱き寄せると、髪の良い香りが鼻をくすぐった。

大きさには目をつぶるとしよう。
悪戯してるうちに大きくなるかもしれないし…


「擽ったい」
ウィン・D・ファンションが呟いたので、ロイ・ザーラントは這わせた手を退けた。
「呆けてみせて、やはり獣だな。まだ足りないか?」
「さぁてね」
窓から差し込む月明かりのなかでウィン・Dが苦笑している。背を向けていても
ロイには分かった。ブロンドの髪が光り、神秘的な何かさえ感じた。
「こんな美人が隣にいるんだ。男なら誰だって触りたくなるさ」
「随分と年を食ったような台詞だな、ロイ」
脚の長い女だ。長く、しなやかで石膏のように白い。もう一度それを撫でたが
今度は何も言われなかった。諦めたのか、受け入れたのか。ただ、触れている
うちにロイの方がもどかしさを感じてきた。
「どうせ明日は何もない」
深謀遠慮なロイにしてはいささか直情的に抱き寄せる。ウィン・Dは何も言わな
い。
「良いのか?」
「駄目と言っても聞かんだろう。それとも乙女のように身を震わせればよかっ
たか?」
「怒るなよ、お前だけだ」
脇の下から胸に手を回し、両手でその触感を堪能する。
「いつもそれだな」
嗜好からすると少しばかり物足りない気はしたが、これはこれで悪くない。と
言うより、物足りないなど彼女に言える訳がない。
「髪、伸びて来たな」


−ロングヘアーが好きだ。
前にロイが漏らした言葉。まさかそれに合わせたなど、言える訳がない。
「物好きだな…つくづく…っ」
「こんなときぐらい素直になれって」
うなじに当たる舌が耳に迫る。通った後が火箸でも押し付けられたかと思うほ
ど熱い。
ロイの手はまだ胸から離れない。余程好きなのだろう。彼が大きなサイズの物
が好きなのは、口に出さなくても分かる。髪は伸ばせても、こればかりは自分
の意思で大きく出来るものでもない。
「…んっ…あ」
「よっと」
仰向けにされ、ロイが胸に顔を埋める。まるで子供のように乳を吸う姿に思わ
ず笑いが込み上げる。いつもの事ながら何とも間抜けでかわいらしい。
自分がだけに全てを曝すことを許し、ロイだけに全てを許す。二人の境が消え
るこの時間が堪らなく愛おしく感じる。ロイもそうであると嬉しい。自分の胸
にある頭を、大切そうに抱きしめた。


「ロ…イ…!」
「本当にココ弱いんだな」
ロイの舌は臆することなくウィン・Dの茂みを割って入る。自分の恥ずかしい所
を舐められている。この世界で唯一自分が気を許す男に舐められ、感じている。
誇り高いウィン・Dは、今の自分をふと考えては、羞恥心に身を震わせた。
「こんな…あっ!…ま、待て」
指先から熱くなる。自分の下半身にあるロイの頭が動く度に全身の熱が高まる。
「今ぐらい、強がるなよ」
「ひゅ…く。あ、アハァ!!」


犬か猫かと問われれば、ロイは猫と言うだろう。ひたむきに従順な犬も嫌いで
ないが、凛とある猫が気まぐれに甘える姿は何物にも代えがたい魅力がある。
ロイ・ザーラントの趣味は万事このようであった。度が過ぎぬ捻くれ者。変人志
望の良識人。自分が甘える依り所となりたいという母性に近い感覚もあった。
いまロイと肌を重ねるのは、猫は猫でも峻烈な顔を持つ世界最強の雌獅子だ。
そんな恐ろしい存在が、自分にだけ甘い声で鳴くのが堪らなく気持ち良いのだ。
「苦手なら良いんだぜ?」
ウィン・Dは耳にかかった髪をさっと後ろに流すと、ロイのモノにキスをした。
雌のライオンは雄に代わって狩りをする。精悍に戦うのは雄への奉仕なのかも
しれぬ。とロイはふとライオンの性とウィン・Dを重ね合わせた。
「うん、ライオンだな」
「なんだ?」
「何でもない。可愛いぜ、ウィンディー」
「馬鹿が」
フェラが深くなり、ウィン・Dの整った顔が少しだけ延びる。いやらしい顔にな。
る。最近は慣れてきたのか、技術も上がってきたようで、歯を立てた立てない
で揉めた頃に比べたら随分と気持ち良い。
「本気だよ。愛してんぜ」
ロイの精を口で受け止めると、今日はそれを飲み下した。
「馬鹿が。知っているさ、そんなこと」
「…そりゃあ嬉しいな。でもまぁ、無理して飲まなくたって良かったんだぜ?」
「吐き出したら、嫌だろう?それにお前のものと思えば存外悪くない」

ロイはむず痒そうに口許をさすった。
ウィン・Dのストレートな物言いは、こそばゆいものがある。
ロイも男であるから、女から好意を寄せられることに悪い気はしない。まして
やウィン・Dほどの美貌であれば、言うことはない。が、あまりに出来過ぎたシ
チュエーションは、夢なのでは疑わせるほどだ。
世界中から恐れられるBrass・Maidenは自分だけの女というのが酷く恐ろしくも
ある。
「…入れてくれ」
「あ、あぁ」
せがむようにキスをして、ウィン・Dはロイに跨がった。座位を望んでいるよう
だ。
「これなら、胸も弄れるだろ」
「…まぁな」
「好きなんだろう?好きにして構わん」
言うのが早いか、ウィン・Dはロイのモノを自分の体の中へ迎え入れる。
「…っはぁ…良い…!!」
こちらからも突いたが、ウィン・Dも積極的に動いた。目の前では悩ましげに眉
を寄せる顔がある。目線を少し下ろせば好きにしていいと言われた乳房が全身
に合わせて揺れている。
「っ!?…あっうん!!ロイ…ひうっ!!」
「ふっぷ…ん…」
乳首に吸い付くロイの頭を、ウィン・Dは嬌声を上げながら抱きしめた。汗に濡
れた髪を撫でると、自分のほうまで心が安らいだ。
「うぁあ……っふ…」
ロイといるときだけは、気取る必要がなかった。もとより、演じている訳でも
ないが、この男がいると笑うことが多くなる。単純に、そばに居たいと思う。
「ロイ…!ロイ!」
重圧と不安に押し潰されそうになる日々で、唯一全てから解放される瞬間だ。
ウィン・Dは全身で感じていたかった。
「ロイ!!」
「ここにいるさ。ずっとな…っん」
「ん…ちゅ…じゅる…はぁ、ふ。もっとだ…キスを…んんぅ」
体を擦り寄せ、撫で回し、唾液を交換する。汗と、唾液と、愛液。その他諸々
が混ざり合ううちに、自分達も溶けて一つになっているのではという錯覚に襲
われる。
「ひ、ヒィ…ン!!もう…無理だ…!!」
「あぁ」
(私なと、なくなってしまえ)
ウィン・Dの記憶はそこで焼き切れた。

さっきまであんなにも絡み合っていたというのに、いまは目も合わせない。
「子供は嫌いじゃない。だが作ろうとは思わん」
「…」
「この先、一片の幸福もあるのか…」
−人類は衰弱し、壊死するしかない−
マクシミリアン・テルミドールは、オッツダルヴァはそう言った。その言葉は常
に聡い者を、殊にウィン・Dを苦しめている。
「いや…世迷言だ…」
「正しかったんだよ。だから、キツくなったらいくらでも泣けば良い」
「ロイ…」
「俺がいてやる。男の胸なんて、女の涙を受けるためだけにあるんだからな」
「ふっ、クク。ハリウッドの見すぎだ。………ありがとう」
二人は目を合わせない。布団の中でしっかりと手を握りあって静かに眠りにつ
いた。






〜ちょっとだけ違う未来で〜
「おい!」
「な、何ですかセレンさん…?」
「お前が連れて来たんだ。あいつらをどうにかしろ!捕虜のくせして盛りやが
って!見せ付けてるのか!?」
「や、やっぱり余裕ないからって同じ部屋にしたのが…」


Ω<実は二人はクラニアムで負けていたんだよ!!
ΩΩΩ<ナ、ナンダッテー!!

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