外身と中身は違うとはよく言ったものだ。実際彼女もこう
安らかに寝ているのであればただの可愛い女の子でしかない。
「レイヴン…調子は?」
…もっとも、この方は寝てても金欲の塊にしか見えないだろうが。
「あぁ、安らかに眠っているようだ。」
首だけ動かして返事をする。
「…そうじゃなくて、貴方の体調よ。ここの所寝てないんでしょ?その子の看病で」
と、指を指す先には先ほどから可愛らしい寝息をたてている少女が。
「俺は…まぁ慣れている。お前も同じなんだろ?シーラ?」
シーラと呼ばれた女性は、微笑して
「同じ理由よ」とだけ答えた。
訂正する、彼女は金欲の塊というわけではなさそうだ。
案外他人の心配も出来るらしい。
「ただ心配するんだったらこの子にしてくれないか?」
彼女の顔の横にしゃがみ、頬を撫でる。暖かい。生きている証拠だ。
「心配?あぁ、働き手が減る心配ね。大丈夫よ、その子もう戦えそうにないし、
 貴方がもっと頑張ってくれればいいだけだし」
…再訂正だ、彼女は金欲そのものらしい。
最後の戦闘の後、俺はこの子を、レイヴン“ジナイーダ”を
大破損傷した彼女のACから引きずり出し、自宅に連れ帰っていた。
同情した訳でなく、まして発情した訳でもない。
ただ、無意識だった。戦闘中、彼女が呟く言葉一つ一つ、
周りからすれば悲痛な言葉にしかとれない言葉に俺は知らずの内涙していた。
それ故か、気がつけば俺は彼女を自宅のベッドに寝かせ、
三日間飲まず食わずで看病した。
現在、大分良くなり今は小康を保っている。
「病院に連れてったら?」
俺にコーヒーを手渡し、シーラが訪ねる。心なしか怒気が含まれているような…
「どこぞの政治家と違うんだ。死人を看てもらえる訳ないだろ」
死人という言葉にアクセントを置いて言う。
「そうね」
どうやら理解してくれたようだ。

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