「あ〜。じゃ、改めてお名前は?」
市街を見下ろすカプセルホテル。ベットに寝転び他人行儀。
「エネです・・・今日はよろしくお願いします」
語気も弱くなくなるだろう。援助交際など進んでやるものではない。
少なくとも、このアリーナチャンピオンもとい前チャンピオンはそう考える。
なんで、俺なんだか。アレスは気だるそうに頭を掻いた。
きっかけは二週間前。届いたメールの内容に、彼も驚かずにはいられなかった。
ある意味、奴が完遂したフォボス破壊よりも大きな衝撃かも知れない。
「なんでまた?」
断りなく煙草に火をつけたアレスを少し鬱陶しそうに見ながらエネは応えた。
「手術費が必要になったんです」
「それで、俺?」
「一番、お金を持っているのはトップの方だと・・・」
「もう俺じゃあない」
「でもあの人は、つかみ所がないって言うか・・えと・・あなたの」
(参ったな)
目に宿る光は純粋で『恋心』と言うべきなのか。
誰かに知れたら醜聞もいい所だ。
(まぁどうにでもなるか)
男の眼光はレイヴンのそれでなく、一心に自分に向けられる好意を貪ろうとした。

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