「お前は何のために戦っている?」グレートウォールを撃破したその夜。
唇を強引に奪われてベッドに押し倒された彼女は、仰向けのまま俺を見上げてそう言った。
その言葉を無視して俺は彼女のワイシャツのボタンを外していく。
「最近のお前は、無茶な依頼を引き受けすぎる」
黒い飾り気のない下着を引き剥がすと、押し込められていた大き目の乳房が溢れるようにその姿を現した。
「何のため、か。そんなことも確認せずに俺を拾ったのか?」ぐいとその乳房を鷲づかみにすると
彼女の眉根がわずかにしかめられた。痛みか。口の端から苦悶の声が微かに漏れた。
「まぁ、……力が欲しかったのさ」彼女の股間の、わずかに湿り気を帯び始めた黒い茂みに指を這わせながら
少し考えて俺はそれだけ答える。「う、あぁっ!」そして指を差し入れられた彼女は
その細い腰をよじり、嬌声を上げて俺の背に爪を立てた。
 視界の端。淀んだ薄闇の中に黒く焦げ、不気味にひしゃげた巨大な鉄の塊が見える。
「あれは……」愛機アンビエント。頭も脚も千切れ飛んで失われている。
肩に描かれたウォルコットのエンブレムは煤けて薄汚れ、中央には弾痕が穿たれていた。
不明瞭な頭が徐々に醒めていく。
 クレイドル03を墜としたORCA旅団のリンクスをアルテリア・カーパルスにおびき出し、
5対2という圧倒的優位な状況でおびきだしたリンクスを仕留める。
そんな作戦だったはずだった。だが、実際には味方機を一機、また一機と撃墜され、ついに……。
じゃらり、と両腕をくくりつける重い鎖が鳴った。
 リリウムは捕らえられていた。
廃棄された広大な工場。その中央に置かれた粗末なベッドにくくりつけられている。
ベッドの傍らには破り捨てられたパイロットスーツが散らばっていて、
その下に着ていたパンツとタンクトップ以外にその肌を隠すものはない。
 自身のそんな状況を把握した途端、背筋を冷たい汗が流れた。
力ずくで起き上がろうと試みたが、ただ両腕を縛る鎖が派手な音を立てただけで、
すぐさまに仰向けの姿勢に引き戻されてしまった。ふわりとショートカットの青色がかった髪がシーツに広がり
舞い上がった埃の饐えた匂いが鼻を刺激する。
「余計なことはしないでくれよ」ぞっとするほど冷たい声が、背後から聞こえた。
 はじめに、こちらに向けられたやけにぎらついて見える銀色の銃の銃口が姿を現した。次にそれを持つ一人の男の姿。
「あなたが……」あのネクストの搭乗者がいつのまにかそこにいた。傍らへと歩み寄ると、リリウムの髪に手を伸ばす。
 刺すようなその視線が、彼女の髪から瞳から鼻先、唇へと移り、首筋から胸元へと品定めするように流れていく。
「私を、どうするつもりですか?」その視線に耐え切れずに発したその言葉は、
初めて味わうネクストを介さず直接に敵と面することの恐怖に意に反してに上ずってしまっている。
ふふん、と男が鼻先で哂う。不意に髪を撫ぜていた手がリリウムのタンクトップの胸元に伸ばされると
次の瞬間にはそれを引き剥がしていた。「あっ……!」白く小ぶりな乳房が男の目の前に晒された。
反射的に両腕を伸ばして男の目から隠そうとするものの、やはり鎖がそれを引き止めてベッドへと引き戻してしまう。
男の目の前でまるで少女の唇のように可憐な色をした乳首を頂く幼い乳房が二度、揺れた。
「ネクストを失い、カラードからも捨てられた女がどうなるかなんて、限られているだろう?」
 「痛っ……」
男の手の中でリリウムの柔らかな肉が自在に姿を変え、あるいは指先が桜色の乳首を指の腹で押し潰しては
またつまんでは引き伸ばす。恥辱と屈辱と恐怖にリリウムの顔は赤く染まり、瞳は潤んでいる。
「あなたは、けだものです」
男は姿勢を変え、ぎしりとベッドを軋ませてリリウムの細い腹に半ば馬乗りになって彼女を見下ろした。
乳房を弄んでいた手を離し、リリウムの肩を掴むとビクリと一度、その細く頼りない肩が震える。
覗き込んだリリウムの瞳には強い意志の光が見えるが、しかしそれは脆い虚勢でもあることは容易に窺い知れた。
「きっと王大人があなたを討ってくださいます」
彼女の言葉を無視し、空いた片手を彼女の腹から臍を伝い、そして下半身へと潜り込ませると「ひっ」とそんな言葉が漏れた。
「あの狸はこないさ」硬く閉じられた太ももの抵抗をかいくぐり、指先にやや盛り上がった肉の感触。
 リリウムの白い肌が徐々にしっとりと汗ばんでいくのがわかる。
「あなたには……、あぁっ!」人差し指が陰核を探り出し、中指が膣内へと侵入した。
中指を押し出すように彼女の内側が収縮し、赤く染まっていた頬はますます赤くなっていく。
「気持ち悪い……っ」体内に侵入した異物への違和感に瞼をきつく閉じて、搾り出すような声を上げる。
「そのうち良くなるさ」指先が蠢き出す。リリウムの熱い膣内を嘗め回し
陰核を甘噛みするように親指の爪と人差し指の腹が絶妙な圧力で押しつぶしている。
「……っ! っ!」そのたびに初めて味わう強烈な刺激が嫌悪感とともに背筋をかけあがって苛んだ。
執拗な責めが続く。涙に滲む視界に、冷たく哂う男の顔。
絶え間ない刺激が無意識にリリウムの背を弓なりに逸らせて、やわらかな白い喉が男の目の前に前にあらわになる。
 声は、それでも必死に殺した。
 薄暗い工場。空虚な暗闇に、重く錆びた鎖の軋む音が響く。
リリウムの、もはや隠すもののない白い裸体にははっきりと汗が浮かび、また今、シーツに一筋流れて染みを作る。
膣内へと捩じ込まれた男の指先から抽迭される刺激を、リリウムは理性で否定し歯噛みして耐えていた。
「あなたは……、卑劣なひと……、です」
微かに男の手の形に赤い痕を残す乳房が途切れ途切れのその言葉にあわせて揺れる。
刷り込まれる刺激から逃げるために少女がしなやかな足を伸縮し、腰をくねらせ、
背を逸らす様はしかしひどく扇情的だ。
 シーツがめくれてベッドの薄汚れた粗末な下地が露になる。リリウムの足が男の指に耐えかねてベッドを打つたびに白い埃を吐いている。
叩きつけられる快感を必死で否定しているのは、ささやかな矜持からに過ぎない。
「あなたは……、あなたは……」
撃墜されネクストを失い、現実として弄ばれている今、それは裏打ちするもののない儚いプライドなのだが。
 (アンビエント……)
もはや物言わぬ鉄屑となったかつての愛機が、じっと彼女を見下ろしているように見える。
リリウムもまた、涙に滲む瞳でそれをじっと見つめていた。
沈みゆく太陽がアンビエントと描かれたエンブレムにゆっくりと影を落としていく。
それはまるで自分から少しずつ離れ、やがて見放すように。そうリリウムには感じられた。
 アンビエントへ手を伸ばす。がしゃりと無情に鎖が鳴る。
「う…、ああぁっ! あっ! あっ!」力ずくで捩じ込まれていた快感が、やがて脆いリリウムの矜持を打ち砕いて
その唇から嬌声となって溢れたとき、差した影は完全にアンビエントを飲み込み、
弾痕が穿たれたウォルコットのエンブレムとともに暗闇の中へと消え去っていた。
「あぁっ! アンビエント! 私の……!」闇の中に消えたそれへもう一度手を伸ばし、叫ぶ。
 リリウムの意識は、その瞬間に白く輝き弾けて霧散し、
白く無数に皺の出来たシーツに、飛沫の染みを残してじわりと滲んだ。

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Posted by おぃ、まじかよ、夢なら覚め 2010年07月07日(水) 00:11:31 返信

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