前回は団長の機体名を間違えるという阿呆なことをしたわけですが…
今回は間違いがないようにじっくり書いてみることにしました。

・主人公が♀です。
・今回はエロなしです。
・ちょっと痛い話です。
・BGMで藤田麻衣子さんの「恋に落ちて」をかけながら書いていたので甘くなりそうです。

以上です。不快に思われる方は読まないことをオススメします。






























父親による性虐待と暴力。
昔は大事になったが、今ではすっかり当たり前のニュースとして流れている。
その心に負った傷は軽くなったというわけではないのに。


「上出来だ。お前にしてはよくやったな」
セレン・ヘイズは目の前の少女にそう語りかけた。
少女は嬉しそうに微笑む。
「また、がんばる…」
「そうだな。次は僚機を雇える仕事だからそんなに気張らなくてもいいぞ」
セレンは後悔することになった。
たまには負担の少ない仕事をやらせてやりたい、ただそれだけの気持ちだった。

「まあ、ありじゃないか、貴様」
オッツダルヴァは自分ができる最大限の賞賛をストレイドのパイロットに贈った。
返信はない。
作戦中では喋らない性質なのだろうか。
一口にリンクスといっても万人万色の戦い方がある。
(使えるようならマークしておくか…)
輸送機に帰還したオッツダルヴァはシャワールームに向かう。
貴重な水を垂れ流して使えるのはリンクスや一部の上層階級の特権だ。
「…ん?」
シャワールームの備えつきの更衣室には先に帰還していたストレイドのパイロットがいた。
シャワーを浴びたばかりらしく血色の良い身体を露にしている。
問題なのは男性なのではなく、女性…それも初潮が来たか来ないかといった少女ということ。
「……!」
「お、おい…どうした?」
少女はオッツダルヴァを見るなり自分の首を両手で締め付ける。
元々赤い顔がさらに赤くなる。
苦しそうに顔を歪めても、その行為を止めようとしない。
「止めろ!」
死んでしまう、そう思った瞬間、オッツダルヴァは反射的に少女の手を無理やり引き剥がした。
とても強い、男らしい強引な方法で手を押さえつけている。
「貴様は……」
少女は怯えた瞳でオッツダルヴァを見る。
その目にはオッツダルヴァは写していた、だが、本当に見ていたのは。
「ぱぱ、おこ、る…こわ…い」
なんと声をかければよいのか。
どうすれば目の前の女の子が泣き止むのか分からない。
オッツダルヴァは少し戸惑うと掴んでいた手を離して、裸の少女を自分の元に抱き寄せた。
本能的にそうすればよいような気がしたのだ。
「怖いことはもう終わりだ」
「おわ、り…?」
少女が自らオッツダルヴァにしがみ付く。
歪な出遭い方だった。
幸福、未来、希望、そんなものはずっと昔に失われていたはずなのに。
何故、こんなにも望みたくなるのか。

『おや、予定より3時間早いですね』
「ふん、子どもにお使いを頼むとは随分と切羽詰っているのだな?」
『別に死んでも特に損害もありません……納得できませんか?』
仲介人の声も、言葉も気に障る。
それと同時に分かれないはずだとオッツダルヴァは思う。
結局、分かろうとしないから分かれないのだ。
「それが貴様らの答えか」
『人間なんてそんなものです。
商品として扱われるほうがずっと楽なんですよ』
半分事実だ。
だが、人々は生きる活力を失うだろう。
「……それでは泣き止まない奴もいる」
自分に言い聞かせるように呟くオッツダルヴァ。
あまりに小さすぎた声はモニターの向こうには聞こえなかったようだ。
『…?まぁ、報酬はいつものとおりに払っておきました。
では、これからもご贔屓に』
真っ暗になったモニターをしばらく見つめてから、オッツダルヴァは瞼を閉じる。
少女にあったのは虚無だった。
何もかもが虚しいというあの死臭にも似た独特の空気。
「壊れるな……」
惹かれた。
あの脆くて儚い身体が今も目に焼きついている。
胸を焦がすこの感情は。
「人殺しが何を今更思う」
咎を、全ての咎を引き継がねばならない。
オッツダルヴァは否定するしかなかった。
初めて逢った一人の少女に対する感情を。


少女は腕に抱えた首輪つきケモノのぬいぐるみを優しく撫でる。
かつての宝物であったテディベアは父親に壊されてしまった。
それは母親が唯一与えてくれたものであったが、あまり母親を覚えていない。
 ――ぱぱ、いつも…おこる
声が耳障りだと打たれる。
少しでも声を出せばお仕置きだと熱い楔を無理やり咥えさせられたり、中を抉られた。
純粋に痛みしかない。
いつしか少女は声を出さないことを覚えた。
特に男性に対しては顕著だ。
何も言わない、言えない。
だが、あの男は喋ることを許した。
少女は自分の口に指を当てる。
自然と喉が引き攣り、言葉にならない音が漏れる。
ありがとうの言葉が出てこない。
首輪つきケモノのぬいぐるみの布地に水滴が落ちる。
 ――だめな、こども…わるいこ
父親に言われ続けた黒く穢い言葉。
それが本当のことにしか思えない心は誰も理解できなかった。
出血が止まらない傷を負っているようなものだ。
ゆるゆると死んでいくしかない。
「オッツダルヴァ様、どこか気がかりなことでも?」
水色のラインが入った高そうな茶器にストレートティーを注ぎながらリリウムは尋ねる。
「厭きた」
「え、あの…?」
オッツダルヴァは立ち上がると、椅子にかけてあったトレンチコートに腕を通し帰る準備をする。
「時間の無駄だ。貴様らに付き合う義理も無い」
「オッツダルヴァ、一応…オーメルの代表だろうが」
ウィン・Dの言葉にもオッツダルヴァは聞く耳を持たない。
「興味ない」
与えられたものより、奪われたもののほうが多い。
誰が好きこんでオーメルの肩を持つのか。
「好き勝手にやってるんだ。これからもやればいい。私には無関係だ」

オッツダルヴァは携帯端末を弄りながら、一人、街中のカフェテラスにいる。
あの少女にメールを送った。
本当に何気ないどうでもいい内容。
それでも、彼女の虚しさは微かでも和らぐはずだ。
先のオーメルだが、無関係と言ったものの看過できないことがある。
アスピナ機関だ。
つい最近知ったことだが、あそこに彼女が所属していた。
廃棄直前にセレン・ヘイズが拾ったらしい。
オッツダルヴァには分かっていた。
彼女が砂に埋もれ行く故宮のように、無くなるだけでしかないことを。
鮮明に思い出す。
あの折れそうな身体と、高めの体温。
一人の男としてそれが胸を締め付ける。
 ――私は“父親”になりたいのか…それとも。
師と仰いだある男を思い出す。
戦績は完璧で常に戦場にあったあの英雄。
初めて自分を認めてくれた第三者。
 ――ベルリオーズ、貴方ならどうしましたか?
師であったが、父親のようでもあった。
厳しく、優しい彼ならきっと。
「私は不器用すぎる…な」
ミルクと砂糖がたっぷり入った最早、コーヒーと言えない物を飲み干す。
甘すぎる味が胸に焼きつく。
答えがうまく出せない自分にオッツダルヴァはイラついていた。
最善を尽くすのが彼の長所であり、短所でもある。
少女に“父親”として接するべきか、“一人の男”として接するべきか。
それとも、ただの商品として見ればいいのか。
心の奥に封じ込めた感情を解き放たねばならない。

ラインアーク襲撃は成功した。
オーメルの誇るリンクス、オッツダルヴァと新参の傭兵ながらカラードランク上位に匹敵する実力を持ったストレイドのパイロットによって。
だが、時同じくして世界各地のアルテリア施設は奇襲を受ける。

『To Nobles welcome to the earth. 』
マイクを通して聞こえる声はまるで違う人物のようだ。
そう、オッツダルヴァ、否…マクシミリアン・テルミドールは思う。
 ――人類を生かせるための犠牲か。
喉の奥でテルミドールは嗤った。
 ――刹那の夢に酔った結果がこれだ。
ある意味でテルミドールは人間と言うものを嫌悪していたのに違いない。
暗く、危うい感情に嵌りそうになる。
「……こわい」
ハッとテルミドールは現実に帰る。
後ろを振り向くとストレイドのパイロットが立っていた。
「私は大義を振りかざして惰弱な人間を死なせる悪魔でしかない…君とはもうお別れだ」
嘘を吐く。
触れたくて、触れたくて堪らない。
その儚い生命がとても愛おしい。
テルミドールの瞳からほろりと何かが零れる。
 ――嗚呼、何故こんなにも…!
親や兄弟、師と仰いだ人が亡くなっても寂しいだけであったのに。
「さよなら、したく…ない」
少女は今までにない強い意志を持った瞳でテルミドールを見た。
「…ありがとう、の…きもち、いっぱい…ある」
鍛え上げられた逞しい躯に少女は抱きつく。
ふわりとイランイランの香りがテルミドールの鼻をくすぐる。
「…私は……私はせめて君といるときは人間でありたい」
身体の奥で燻ぶる熱にテルミドールは吐息を漏らした。

「ふぅ、貴様といるときはこっちの方が落ち着くな」
キレイに整えられた髪を手で無造作に乱す。
あまりの変貌振りに少女は驚きを隠せない。
「完璧な自分は貴様の前では見せたくない」
「うん…?」
不思議そうに見つめる少女に“オッツダルヴァ”はそっと桜色の唇に口付けた。
ただ触れるだけのそれに少女は戸惑う。
父親との経験しかない彼女にとってそれは信じられない行為だった。
「もっと触れていいか?嫌だったらすぐに止める」
オッツダルヴァに触れられる。
そう考えただけでじわりと秘部が湿ってくる。
「…さわって」
「辛かったらすぐに言え。いいな…?」
「アアァ、ああっ、はぁ……!」
何度イッたか分からない。
テルミドールの私室にある備え付きのベッドに二人は居た。
オッツダルヴァは指を蛇のように動かし少女の内壁を弄ぶ。
「貴様に、溺れそうだ」
自分だけが聞ける少女の嬌声にひたすらに酔うオッツダルヴァ。
「き、て…っく…」
「今、行く…」
既に硬くなった陰茎を取り出すとゆっくりと少女に侵入させる。
幼すぎる入り口にはそれは大きすぎた。
鋭い痛みが少女襲う。
「…い、いた…い」
「止めるか…?貴様が望むなら私はそれでいい」
ふるふると少女は首を横に振った。
オッツダルヴァだって辛いはずなのだ。
少女にあわせて行為を進めているため散々、焦らされているのだから。
「すまない」
先ほどよりずっと力強く挿入を早めると見る見るうちに膣内に収まっていく。
根元まで入ったそれをオッツダルヴァは少女の手に触れさせる。
「安心しろ、私は此処にある」
「…ぁ…はぁ、うっ」
ゆっくりと腰を動かし始める。
少女の手が彷徨うように空を切る。
オッツダルヴァは何も言わずその手と自分の手を重ねた。
白く脆い手に日に焼けた浅黒い手。
「好き、だ…っ…ぐ…!」
返事をする代わりに重ねられた手を握る少女。
今、この時ばかりは二人しか感じられない。
そして、オッツダルヴァが少女の胎内で爆ぜた。
少女の瞳から初めて、悲しみではなく喜びの涙が零れた。

 ――ベルリオーズ、私は私の道を行きます。
二人は歩き出す。
躯を蝕む毒が命を絶つまで答えを求める。
パンドラの箱の底にあるものを鷹達は未だ見つけられない。
殆どの絶望と僅かな希望を抱きながら世界は動き出した。

Pray for Answer.....

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