「すまない。ドジを踏んでしまった」
申し訳なさげに主を見るウィンの顔には、痛々しい絆創膏が数枚貼り付けられていた。
撃墜されたときに、衝撃で歪んだコックピットに打ち付けた傷だ。
 ウィン・D・ファンションは単独で出撃したミッションを失敗したのだ。
 「……」
主は無言で、ウィンの両腕に包帯を巻く。両腕もまた同様に骨折を負っていた。
彼女は当分の間、出撃できないだろう。レイテルパラッシュの修理にはさらにそれ以上の時間がかかる。
 夫婦となった二人の寝室、そのベッドの上で主は湯上りのウィンの両腕の包帯を取替え、巻きつけている。
彼が今、どんな表情をしているのか、見えない。
ウィンはベッドの上に腰をかけ、主はそれに対して跪くような姿勢でその作業をしている。
その間、一言も言葉を発さない。ウィンにはそれがたまらなく不安だった。
リンクスとして、傭兵として生活してきたというのが信じられないほど甘く優しい男。
 その彼がこんな反応を見せるのは、初めてなのだ。
「……頼む。何か、答えてくれ。怒っているのか……?」
おずおずとそう口にする。反応が怖い。
「……ああ、怒っているよ」
ようやく発したその言葉に、背筋が冷たくなり、胸の奥が締め付けられる苦しみを感じた。
その間も彼の手は休まず包帯を巻き続けている。
「すまない。怪我が癒えたらすぐにこの損失は取り戻すから」
「そういうことじゃないんだ、ウィンディ。……わからないのか?」
ようやくその手を止め、顔を上げたかと思った次の瞬間には唇を奪われ、ベッドへと押し倒されていた。
怪我を負った両腕では、抵抗する術はない。
「君が撃墜されたと聞いたとき、不安でたまらなかったんだ」
ああ、やはり甘く優しい男なのだ、とウィン・Dは思い知った。
 両腕の包帯で抵抗できないウィンの衣服を器用に脱がしながら、主は意地悪げに微笑んだ。
「僕がどれだけ不安だったか、思い知ってもらう」
「うあっ!」
 微笑んで露わになった胸元、乳房の合間に口付けをする主人公。
予想以上に敏感になっていた身体がそれに反応して、無意識に声を漏らしていた。
ウィンは自分の顔が見る間に熱くなっていくのを感じた。
きっと、主の目にも急速に赤く染まっていくのがわかったのだろう。
もう一度、意地悪い微笑みをウィンに向けてこう言った。
「今夜も、明日も、明後日も。その怪我が治るまでずっと、お仕置きだ。ウィンディ」

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