俺の名はスティンガー 面倒は嫌いだ。

時計を見ると正午をさしている。そろそろ腹が減ってきた。面倒な身体だ。
とりあえず冷蔵庫を開ける。何も入っていない。よく考えたら面倒なのでここ一週間買出しにも行っていない。もし、食材があっても面倒は嫌いだ、調理する気など元より無い。
しかし、このままでは飢え死にしてしまう。面倒なことになった。
仕方なく着替えて外に出ることにする。まったく面倒な・・・
しかしここで俺はあることに気づく。面倒なので洗濯は一切していない。よって服が無い。正確にはあるが、悪臭がひどく着られたものではない。
タンスを探してみればあるだろうとも思ったが、肝心なタンスが色々なものに埋まっている。面倒なのでここ五年近く掃除をしていなかった。まったく面倒な。今度、家事全般をこなすアンドロイドでも奴等に作らせようか。いや、頼みに行くのが面倒だ。
仕方がないので今の下着姿で外食に行くことにする。短パン半袖と言い切れば問題はないだろう。面倒だが。
外に出る。一週間ぶりの日差しに目がくらむ。
とりあえず近くを歩き、ファミレスを発見した。ここにしよう。
「いらっしゃいませ。お客様は何名様ですか」
という店員の答えるのも面倒臭いマニュアルトークを無視し、適当な席に着く。
「ご注文はお決まりですか?」
ウェイトレスがテーブルに近寄って聞いてきた。メニューを開いて決めるのが面倒なので「適当に持って来い」とテーブルに脚を乗せて言い返した。
喉が渇いた。コップと飲み物がすぐ近くに置いてあるので、通った店員を捕まえて飲み物を持ってくるように支持した。
しかし店員は、「申し訳ありません。当店はセルフサービスなので・・・」と言って店の奥に消えていった。面倒なので飲み物はやめた。

遅い。注文してから1分も経っている。面倒は嫌いなので帰ることにした。
レジにいる店員に「いいか、俺は面倒が嫌いなんだ!!」と文句を言って出て行った。呆れているように見えたが、面倒なのでこの際気にしないことにする。
しかし、依然俺の胃は空腹を訴えている。よく考えたら面倒なのでここ最近何も食べていなかった。
今度はコンビニを見つけた。ここなら買えばすぐに食べられるので面倒が少ない。
コンビニに入った俺は、かごを手に取り、適当に中へ放り込んだ。選ぶのは面倒だ。
そしてこのカゴをレジへ・・・持って行くのは面倒なので、そのまま出ることにする。店員が制止したが「俺は面倒が嫌いなんだ!!」と一括する。警察に捕まった。これは面倒なことになった・・・
俺は近くの警察署まで車に乗せられた。車は面倒が少ないので好きだ。乗るときのみだが。
警察署について、俺は無機質な部屋に入れられる。ここに住んでいるやつもきっと面倒が嫌いに違いない。
しばらくして、ガタイのいい親父がカツ丼を持って中に入ってきた。親父が俺にそのカツ丼を差し出してきた。腹が減っていたので食べる。うまい。
ちょうど食べ終わった頃、俺の両親を名乗る男女が現れた。明らかにウェンズデイ機関の研究者だ。見た目も明らかに俺と同年齢以下だ。
親父は俺をそいつらに引渡し、帰されることになった。迎えの車も着ていた。面倒がなくていい。
・・・と、思ったのも束の間。乗り込んだ瞬間、二人(+運転手)の目つきが変わった。車内でしばらくお説教が続いた。お説教が終わった後も、俺は家に帰らせてもらえず、機関の一室で反省文を原稿用紙13枚書かされた。
その反省文はまだ終わっていない。もう夜が明けようとしている。これは・・・面倒なことになった・・・

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