これはかつて企業の支配体制から抜け出そうとするも失敗し、
その首に首輪がつけられてしまった哀れなリンクスのお話である。

ウィン・D・ファンションの場合
PAの減衰/燃える空気。機体の装甲が/皮膚が。BLADEを掴むARM/灼熱の剣を受け止める腕が。
溶けていくコア/貫かれる体。
彼の駆るネクストのダメージがAMSを通じて彼の体にフィードバックされる。
「退がれェェェ―――!!!」
自律型ネクストのロングブレードを掴みブーストを吹かす。
S08-MAXWELLにレッドアラーム。オーバーヒート寸前、迷わずリミッターカットを指示。
自身の容量を顧みない勢いでENとKPを回復させていく。
PAが回復その隙を逃さず通常ブーストからオーバードブーストに切り替える。
徐々に下がっていく自律型ネクスト。
キン、乾いた音を立てて消えるロングプレード。すかさず自律型ネクストに抱きつくようにして左の
07-MOONLIGHTを突き刺す。
胴体部分の大半を抉られ機能停止する自律型ネクスト。
そしてオーバードブーストの勢いを殺せずクレイドルから飛び出す2機のネクスト。
「チッ!」
舌打ちをしてオバードブーストを解除しクレイドルに戻ろうとするが、先のリミッター解除の反動でENが切れる。
一瞬の浮遊感、次に急激な落下。
「しまった!!」
慌ててブースターを吹かす、手応えなし。クレイドルは既にはるか上に。掴めない。
これが自分の最後か。心の中でスマナイと一言だけ謝っておく。
「勝手に堕ちるな。その……なんだ、いろいろと無駄になる」
意外な所から救いの手が差し伸べられる。インテリオルY11-LATONAベースの機体レイテルパラッシュ

「…アイツはどうした?」
「奴ならばそこだ」
遥か下方を指差す、古き王の名を持つネクストが僚機として連れて来た自律型ネクストと共に紺藍の
空に堕ちていく。
「連れもいることだ、奴も寂しくは無いだろう」
もっとも無人だがな…と乾いたジョークを口にする。
「しかしクレイドルを護るためとはいえ、あれのブレードを掴むか?」
「あれが最後のエンジンだったんだ…でなければこんな事はしないさ」
虚をつかれたか沈黙するウィン・D・ファンション。次にたまらず吹き出してしまう。
「普通のリンクスなら始めからそんな事はしないさ。例えクレイドルが堕ちようともな」
ホント甘い男なのだな、と続けられる。
「………」
「まあ良い。それよりも聞こえるかこの通信が?」
回線をオープンにする。耳をつんざく程の歓声にコクピットが包まれる。
オペレーターと思わしき女性が、技術者と思われる男性が、夫婦から子供から感謝のメッセージが届く。
それを聞いて肩の力が抜ける。そしてようやく実感が沸く1億を超える人々の命を護れたのだと。
レイテルパラッシュに抱きかかえられクレイドルの高さまで上昇する。
いつか聞いた言葉で一言だけパートナーに礼を言う。
「済まないな…結局貴方任せだ」
「………バカ」
わずかな沈黙の後に一言だけ返ってきた、きっと顔を真っ赤にしているのだろう。

自宅兼ガレージ、正確にはガレージ兼自宅であるが…
ガレージ一室でACの破損状況を書き出したファイルを確認する。
「……」
眉間にしわが寄る。やはり酷い、覚悟をしていたとはいえ機体の損傷が酷すぎた。
一瞬触れただけでも致命傷になりかねないブレードを掴んで押し返したのだから当然といえば当然だ。
ARMの大半とCOREの一部が融解、GENERATORにいたっては完全にスクラップ状態、BOOSTERにしても同様の状態だ。
こうなっては機体をリペアするよりも新しく組み直したほうが安く済む。
「機体の方はどうだった?」
レイテルパラッシュの整備を終えたウィン・Dが様子を見に来る。
首を振って返答する。
「そうか、乗り換えるのか?」
「それも止む無し…だな」
「その事で少し考えがあってな…」
懐からPDAを取り出し手渡す。そこには機体図面が表示されていた。
HEAD ARGYROS/H
CORE ARGYROS/C
ARM  RAIDEN-AW OR SAUTEES-ARMS
LEG  GAEN01-SL-L
「内装や肩武器についてはミッションによって変更していこうと思うがどう思う?」
頭の中で機体を組み立ててみる。
機体としては重量級よりの4脚。腕武器を採用することで豊富なペイロードを確保する完全な支援機体。
王小龍とコンセプトは同じだがRAIDEN-AWやSAUTEES-ARMSなら中距離戦もこなす事ができる。
まさにレイテルパラッシュとの共同を前提とした機体だ。
「確かに悪くは無いな…」
前の機体への愛着もある。培ってきた戦術を捨てるのにも抵抗はある。だがそれ以上に考慮しなければならない事がある。

パートナーだ。
自分達は僚機になったのだ夫婦という名の。もう一人だけで出撃する事はあるまい。
ならば新しい機体、新しい戦術を編み出してもよいのでは無いか?
そう考えるとこの選択も悪くは無い。
「実を言うとCOLORRINGはBLUEの255にしようと思ってるのだが」
「青の255?」
「そう255」
再度機体を色つきで組み立てて見る。
「つまりこうい事か、丸胴・丸頭で4脚…腕は武器腕の腕グレか3連ショットガン?」
「そう、そんな感じ」
「…でカラーリングは青」
「………」
「………」
何となく流れる沈黙。
「どこの思考戦車だ俺は!!?」
「だってそう囁くのよ私のAMSが!!!」
「それはコジマ汚染だ!このメスゴリラ、section9でも立ち上げる気か!!?」
「何ですって!こうなったら全身サイボーグ化させて義眼つけてやるー!!」
「―!――!!―――!!!」
「―!?――!!?―――!!!?」


教訓
僚機の決定は計画的に。無理のないASSEMBLYを。

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Posted by jbqehryl 2013年11月15日(金) 04:06:05 返信

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