(´師`)「機体がブレイク=感覚的には中の人の体がブレイク=ショック死 かと」
師匠、ウチのテルミドールさんは何回死んでますか!?とは訊けなかったです −−;

・主人公が♀です。
・AMSから光が逆流する捏造設定多々有り。
・風邪ネタ…?です。
・ラインアーク侵攻直前あたりの話。

以上です。苦手な方は読まないことをオススメします。



































「母さん、調子悪いんだろ?」
触れようと、労ろうとした手を振り払われた。
憎悪がこもった眼で息子を見る女性。
「見下しているつもり!?」
息子に平手打ちを浴びせる。
血の繋がりはない。
好きな男と誰とも分からない雌が生み出した命。
憎むのには十分だった。
「邪魔なの!分かる?」
口の端しから血が出ている息子に聞こえるように言った。
「アンタが死ねばいいの。ほら、死になさいよ、死ね、死ね!」
それは呪いのように彼の心を縛り付けた。
 ――私は、生きる価値がないのか?
常にトップで有り続けたというのに、誰も彼を見なかった。
羨望されても、必要とはしてくれなかった。

「クソババァ…!」
疎遠になった母親からの連絡に悪態をつくオッツダルヴァ。
両手で髪をグシャグシャに掻き乱した。
白いシャツは開け、腕には爛れて消えない痕が有る。
血の繋がった父親も虐待に加担した。
優しくはないが、尊敬していた父親に裏切られたことがなによりも悲しかった。
「…私を愛していない、くせに」
自分を認めてくれたベルリオーズを思い出す。
彼の意志を継げば自分は価値のある命になれるだろう。
後世まで語り継がれる、なんて幸せな事か。
それで、よかった。
このまま、あの少女を忘れてしまえばいい。
殺してしまうことだって出来るはずだ。

「りんごくん…しけんに、ごうかく……おとも、だちのレイヴンくんと…」
首輪つきケモグルミを軽く抱きながら非常に簡単な文で書かれた本を読む少女。
口に出して読んでいるのだが、分からない所が少なからずあるらしく オッツダルヴァに教えてもらう。
会えるのは月に数回程度だが少女はとても楽しみにしていた。
「オッツ、ダルヴァ」
肌を刺すような空気を悟り少女は尋ねる。
「おこって…いる?」
「別に。貴様に会うのもこれで最後にしようかと思う」
泣き付いてくるだろうなとオッツダルヴァは心の隅で考えた。
そうしたら、突き放してやればいい。
嫌ってくれるはずだ。
この甘美な場所も無くなる。
また、オッツダルヴァは独りになれる。
「おわ、かれ…」
少女の顔をオッツダルヴァは今日、初めてまじまじと見た。
頬は朱に染まり、目は潤んでいる。
泣くのかと思ったが、なにか様子が違う。
「貴様…!」
少女の額に手をあてる。
驚くほど熱い。
「な、何故そこまでして」
 ――私に逢いたかった…のか?
その言葉は飲み込む。
「わた…し、あえ…ない」
「……?」
「いつ、も…あいたい」
力無く倒れる。
思わず抱き留めるオッツダルヴァ。
燃えるような体温が心を焦がす。
「私も、逢いたい」
好きなのだ。
だから、嫌ってほしかった。

熱でうなされる少女にきつく絞ったタオルを額にあてる。
薬やら飲ませればいいのだがこんな時に限ってセレンはいない。
 ――着替えさせたほうがいいのだろうか。
汗でぐしょりと濡れている服。
衛生的にも良くない。
激しく喘ぐ少女。
意識はほとんどないだろう。
オッツダルヴァは綺麗に整頓された部屋を漁り始める。
服、タオル、洗面器。
 ――看病するだけだ。
自分に言い聞かせる。
少女の服を脱がし、その白磁の肌をあらわにさせる。
小さい膨らみや申し訳程度に生えている茂みは見ないことにした。
洗面器に入ったぬるま湯のタオルを絞り、それで少女の躯を綺麗に拭いてやる。
看病とは言え、女性の下着に触るなんて滅多にない経験だ。
「…ん…?」
着替えたせいか少しだけ少女の表情が和らぐ。
彼女はオッツダルヴァのシャツの裾を握っていた。
「どうした?」
「い、かな…いで」
「フン、貴様を置いていけるか」
オッツダルヴァは熱でうなされる少女の唇を舐めた。
深く口付けをすれば負担になるので舐めるだけだ。
親だったらこんな事はしない。
 ――私は貴様を好いている。引き返せないほどに。
 ――せめて、私がオッツダルヴァであるときは……!
この幸福に浸ろう。
マクシミリアン・テルミドールは受け入れてくれないはずだ。
それでも、さようならはしたくない。
だから、また逢おうと別れを告げる。
甘い男だと罵られてもいい。
彼女が自分を必要としてくれたから。
慣れないことをしたせいか眠気が急激に襲って来た。
このまま彼女の傍で寝てしまおう。
春の穏やかな風のように心地よい。

「何の為の携帯だ!バカバカしい!!」
セレン・ヘイズは激怒した。
「私に連絡先を教えなかっただろ!貴様」
噛み付くように言う、オッツダルヴァ。
「おいし、い」
お気に入りの首輪つきケモグルミを隣に置き、ベッドで重湯を食べる少女。
オッツダルヴァが汚れた口を拭っている。
「フ、私がいないと駄目だな…」
「突っ込むだけしか能がない奴が何を言う」
セレン・ヘイズとオッツダルヴァの間に見えない吹雪が吹き荒れる。
「オッツダルヴァ」
綺麗に完食した少女が言う。
「また…あえ、る…?」
「またではなく、これからも逢える」
彼女が笑うから生きられるような気がした。
 ――貴様がいるから、私は翔べる。
 ――この薄汚い空の向こうでさえ。

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