ロッテのお菓子にCUBEという名前のミントガムがありました… 
((・ω・;))ロッテ……!

・主人公が♀です。
・捏造設定がテンコ盛りです(今更ですが)
・お兄ちゃんと呼んでくれってどっかのスレで言っていませんでしたっけ?乙樽さん…
・ゑロなしです(次回あたりには入れますが)

女体化などが苦手な方は読まない事をオススメします。



 少年は待ち続けた。
 父親の顔は知らない。
 母親は自分を見てくれない。
 一度だけ夜出かける母親を引き止めたことがある。
 一人で寝るのが怖いと少年は言った。
 何も言わず母親は少年を平手で打った。
 たったそれだけで身体中がバラバラになるような絶望感を感じた。
 少年は一人で泣く。
 それは今も変わらない。
 延々と感じる寂しさを紛らわすために常に人の目を惹きつけるような言動を取るようになった。
 それを止めろと言ったのは二人だけである。
 敬愛するベルリオーズと朋友であるメルツェル。
 その敬愛する者から語られる彼女の話に彼は興味を持った。
 次第に恋心に近い感情を持ってしまったのは想像に難くない。
 それが歪んだのはレイレナードが壊滅してからだ。
 しばらくしてORCAを建立し戦力をかき集めていた。
 彼女はとあるオリジナルのリンクスに引き取られたとは聞いていた。
 AMS適正ぐらいはと健康状態諸々をその引取り人に要求したのだ。
 送られてきたデータに彼は知らなければよかったと思った。
 彼女の母親は。
 初めて見る彼女の顔は。
「母さん……」
 じわりと彼の心は黒いもので塗りつぶされていった。
 男して欲しくなったのだ。
 彼女を自分で穢してやりたいし、子供を孕ませるのもいい。
 自分だけのモノにしたい。
 彼は興奮を隠し切れなかった。
 兄妹でという背徳感と、憎しみを叩きつけられる相手をやっと見つけた事が堪らなく“愉快”だった。
「私だけのモノ、私だけの…ッ!誰にも…渡すものか!」
 守ると誓った。
 ずっと傍にいさせる。
 自分を受けて入れて貰ったら、自室に飾ってあるビスクドールのように丁重に扱おうと彼は思っていた。
 自我があれば離れていってしまう…だから、彼女の考えや意思など要らなかった。

 彼は体を締め付けるようなパイロットスーツを着込んでいた。
 乗機であるフラジールは紙のような装甲しか持たない。
 また、上位リンクスでようやく動かせるような精神負荷が掛かる。
 狂気の沙汰、紙の棺桶。
 嫌でもCUBEは慣れるしかなかった。
――身体も記憶も最適化された生きているパーツ。でも、今は……
 CUBEは自分の頬に触った。
 愛しい人が触れてくれた場所は未だ熱が残っているようだ。
「CUBE」
 無表情の男の声に呼ばれる。
「は、はい」
 今まで夢うつつだったのが、急に現実に戻った。
「上の連中、ストレイドのパイロットとお前、番いで飼いたいそうだ。
 生殖目的ならば卵巣摘出をすればいいだけの話だと私は思うがね」
 嘲るように男は言った。
「あの人を物扱いしないでください」
 CUBEは怒りを隠さず言う。
「それに彼女は貴方がたの物ではありません」
 男は馬鹿にしたように口角を上げた。
「…我々が調整しなければ生きられないお前が偉そうに言ってくれるな」
 投与された薬による幻覚症状。
 身体も無理に用いた所為で機能障害が起きていた。
 そんな非人道的な所業が許されるのは悪夢としか言いようがない。
「薬漬けで本当の名前も分からないお前を受け入れる場所など此処以外にあるものか!」
「ありますよ。ヒーローはヒロインの為に存在するのですから」
 CUBEは男の側を通り過ぎる。
 覇気に満ちている顔。
 男はへなへなと座り込んだ。
 完璧であった。
 フラジールへ最適化され、データを収集する為の道具であったのに。
 CUBEは旧イギリスの下流貴族の出自だが、生活苦で売られた。
 それをアスピナ機関は飼い、調教した。
 記憶改竄、精神操作、薬物投与など惨たらしい行いを平気で彼らはやってのけた。
 元々、気弱だった彼が壊れるのは難しいことではない。
 彼らはCUBEの人間性を奪ったのだ。
 それのツケがようようまわってきた。
「再調整してやる…!!」
 男は歯切りをした。
 彼を完全にフラジールと同化させてやると決めた。
 人間ではないパーツに情けをかける理由はない。

「え?あ!?ダンくん…?!」
「すいません、貴女を私は騙していました……しかし、想いはあの夜と変わっていません」
 ネクストが作戦領域に投下されるまでの僅かな時間。
 二人きり。
「貴女が好きですよ」
 CUBEの胸に引き寄せられる彼女。
 心音を彼女は聞いていた。
 何も言えない。
「俺の方がいいですか?」
「ううん…そういうことじゃなくて」
 彼女はモジモジする。
 黙ってCUBEは待っていた。
 一言一言が大切だから聞き逃したくなかったのだ。
「ダンくんは怖くないですか?人を欲してしまうこと、望んでしまうことが…」
「怖い。でも、俺は与えたいから…傍にいたいんだ」
 俯く彼女。
「笑えとは言わない。生きろとは望まない。傍にいさせてくれ。俺はアンタの事、好きだから」
 ペチリとダンの頬に痛みが走った。
「おとーさんと真逆……!私どうしたらいいか分からないじゃないですか!」
 噴き出すダン。
 かつて失ったものをまた一つ得ていく。
 それも、近いうちに奪われるだろう。
 それでも、求める。
 彼女を死ぬほど好きになってしまったから。
「じゃあ、もう少しだけこのままでいさせてくれ」
「………ズルいです、ダンくん」
 彼女は両腕をダンの背中に回す。
 オッツダルヴァにすらしなかった事。
 奪われたくない。
 そう言いたいのか彼女は強く求めた。
「望まれるってこんなに幸せな事だったんですね」
 明日はきっと笑える。
 傍に彼がいるから。
 今はこの温もりに心も預けたい。

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