ニュー速VIP及び製作速報のスレッド「( ^ω^)ブーンが遊戯王の世界で頂点を目指すようです」のまとめwikiです

プロデュエリスト。
決闘者から見れば輝ける存在と言えるだろう。
だが、人間が生み出したあらゆる物には影が付きまといそれが解消される事はない。
国が……世界が……否、個人が闇を駆逐する意思を備えない限り――。



会見を終えた次の日。
私と刀西くんは春夏秋冬さんに呼び出され彼女の所属する事務所、『イクテュス』の前にいた。

春夏秋冬「よし、二人とも揃ったな」

勅使河原「お話って何ですか?」

春夏秋冬「真の最終試験の前に君達は不安があるだろう……私がプロの世界を生で見せてやろうと思ってな、呼び出した訳だ」

南方「ヒトトセさんの生デュエルですか!?」

春夏秋冬「ああ、観客席ではなく関係者席で見せてやるぞ」

勅使河原「…一体何の大会に参加する気ですか?」

春夏秋冬「これさ」

そう言うと彼女は、一枚のチラシを取り出した。

勅使河原「……プロデュエリスト丸藤杯? というと、あの……?」

春夏秋冬「そう、九期生の中ではまともな彼だ」

春夏秋冬「一からプロリーグを作るという試みは相当な批判を受けたが賛同する者もいた」

春夏秋冬「その少数派がトーナメント形式で戦い最後に彼と戦う訳だ」

勅使河原「ちなみに一年目は彼自身も参戦していたがまるで勝負にならなかったから二年目からは彼が常に王者になっている」

南方「トセくん、詳しいね」

勅使河原「日本のプロ会場にしては珍しく外国人の参戦が可能だったからな、俺は向こうでよく見ていた」

南方「へえ……」



『光と闇と現実と』




このSSは、某破壊しないサイバーダークの作者様の影響を受けてお送り致しております

今回のキーカード 「デコイドラゴン」




丸藤杯編第一話 異端の背教者



――という訳で私たちは童実野町へと行く事になった。


南方「……どうして電車なんですか?」

春夏秋冬「環境に優しいからな」

南方「……そうですか?」

勅使河原「何人増えようが電車は指定されたルートを走るだけだからある意味では環境に優しいと言えなくもないが……」

……やっぱり春夏秋冬さんは変な人だ。


童実野町駅で降り、そこから徒歩数分。
KCと書かれたドームに私たちは到着した。
その横には幟が設置してあり、そこには『プロデュエリスト丸藤杯』と書かれている。

南方「ここが丸藤杯の会場ですか……」

春夏秋冬「関係者登録を行うから私についてこい」

勅使河原「はい」



???「なんで入れないんだ!?」

???「俺は………さん……だぞ!?」

受付「やらせは出来ない規則ですので」

???「翔を呼べ!!俺がじかにあいつと話して…何をする!!HA☆NA☆SE!!………」


勅使河原「…あの人、何やってるんでしょう?」

南方「あれ、どっかであの人を見た事があるような……?」

春夏秋冬「ああ、彼は九期生問題の発端者さ……上下関係で生きるとは媚びると同義でもあるから同情すべきなのかもしれないが……」

春夏秋冬「私達の世界に情けなどない以上、彼の行為は認める訳にはいかない……魔の十期生としてな」


……九期生問題。
それは例の件の八百長問題が発端となった。
彼という存在たった一人がプロデュエリスト界の信頼を著しく低下させ、十期生受験者のアルティメットデッキ率がなんと98%を超えたのである。
試験時、地砕き等のカードを一切入れずに戦ったのは彼女――春夏秋冬直美――だけであった。

南方「ヒトトセさん……」

春夏秋冬「……暗い話になってしまったな、さあ行くぞ」


受付「おや、貴女は……」

春夏秋冬「春夏秋冬直美だ、参加登録を頼む……あと、この二人を関係者という事で中に入れる許可を貰いたい」

受付「貴女なら当然の権利ですよ……はい、登録完了致しました、お通りください」



受付に登録を済ませ、私たちは選手控室に通された。
控室に個室があるあたり、さすがKCと言ったところか。

春夏秋冬「開始までまだ時間があるな……さて、何をするか」

???「おや、春夏秋冬さんじゃないですか」

春夏秋冬さんが個室に入ろうとしたとき、誰かに呼び止められた。

春夏秋冬「む……誰かと思えば西之君か」

西之「きっと貴女は参加すると思いましたからね、それにこの大会に優勝すれば…」

西之さんが言葉を続けようととしたとき、春夏秋冬さんが割って入った。

春夏秋冬「…西之君、その話題はここでは適さないな」

西之「おっとっと、すみません」

南方(……?)

丸藤杯はおおまかな視点で見ればプロの試合会場の一つに過ぎない筈だ。
一体何が…。

西之「私は第四試合ですから春夏秋冬さんと会うのは決勝になりますね」

春夏秋冬「ふん、君の腕で何ができるのやら……来れるものなら来てみるといい」


西之(彼女の目的が単なる優勝ではない事は知っています、邪魔するのは気が引けますが全力で立ち向かうのがプロの規約……)

西之(彼女の道の為に私は立ちはだかる強敵となりましょう)


控室は意外にこざっぱりとしていた。

春夏秋冬「選手入場まで後十五分ぐらいか……」

勅使河原「…暇ですね」

春夏秋冬「暇はよくないな、存在を停滞させるだけでしかない……何か話をしよう」

そう言うと春夏秋冬さんは私たちをパイプ椅子に座らせる。
どうやら話をするのは決定事項のようだ。

南方「お話、ですか……」

南方「……春夏秋冬さんがプロになろうとした理由を、教えてもらえますか?」

春夏秋冬「私が…か?」

勅使河原「南方は春夏秋冬さんが好きだな……」

南方「と、トセくん!やめてよ!!」

春夏秋冬「ははは、君達は仲がいいな……聞きたいか?」

南方「はい!」

春夏秋冬「……誰にも言うなよ?」

勅使河原「勿論です」

春夏秋冬「私がプロになりたかった理由はな…………」



南方「え…ど、どういう事ですか!?」

勅使河原「思い当たる節がなくもないですが……」

春夏秋冬「信じられないか?なら忘れてくれて構わない……」

南方「……どうしてこんな大事なことを、会ったばかりの私たちに……?」

春夏秋冬「二年前、二回世界恐慌があったのは知っているだろう?」

南方「…え?はい……」

二年前、二度世界を震撼させた事件があった。
まず一つ――理由不明の蒸発が世界規模で起きた。
消えた人々は戻ってきたのだが、未だに何故起きたのかも何故戻ってこれたのかも不明である。
そして二つめは――俗に本能覚醒と呼ばれる事件。
これも同じく世界中の人間が対象となり、全ての人間が自分の本能的欲望のままに行動するという現象が数日間発生した。
不幸中の幸いは国家ではなく個人の欲を優先しているぐらいであったが、
それでも後一日二日遅ければ第三次世界大戦が起きていてもおかしくはなかった――因みにこれも原因不明である。
更に、この事件は後遺症とも呼べる作用を呼び起こし――。

春夏秋冬「あの時の事件から私は人間をあまり信用していないのだが――君達は私が見てきたなかでとてもいい眼をしている……ただそれだけさ」

南方「……」

勅使河原「……」

次々と本音を語る彼女。
場には何とも声をかけがたい空気が流れたその時――ドアをノックする音が無言の控え室に響いた。

南方「…誰か来たみたいです、開けますね」

無音の空気に堪えられなくなった私が逃げるように私がドアを開けると、男の人が立っていた。

???「……おや?確かお嬢さんは本当の合格者だったかな?」

南方「え……えっと、五野井、さんでしたっけ?」

五野井「十三期予備生一目立った子に覚えてもらえるなんて光栄だね」

春夏秋冬「用があるのはこっちだろう?五野井」

五野井「ええ、今行きますよ」

話の腰が折れてしまったのであらためて挨拶をする。

五野井「一回戦の対戦相手、五野井真佐人です……よろしくお願いします」

春夏秋冬「よろしくお願いする……だがお前は心では欠片もそんな事思っていないだろう?十一期生」

五野井「……!」

勅使河原「どういう事ですか?」


春夏秋冬「一年前、私は十一期生アカデミア枠候補を全てコテンパンにのしてやった」

春夏秋冬「だがプロ協会が九期生との敗者復活戦などという下らない催しを全員にした……その結果最終的には二、三人が合格した訳だ」

南方「……その中の一人が、彼なんですか?」

五野井「……ええ、確かに俺にはそんな経歴もあります」

五野井「ですが、それはそれこれはこれです……今日のデュエルは楽しくやりましょう」

春夏秋冬「面白い冗談だな、私に負けた事で笑いのセンスを得る旅にでも出たのか?」

五野井「……」



五野井の控室。

五野井「くそっ、後輩の前で恥を書かせやがって!」

そう言うと五野井はゴミ箱を派手に蹴とばした。
中身が入っていなかった為被害は少なくて済んだのがゴミ箱の不幸中の幸いだろうか。

五野井「あの女があの時言った言葉……」



※ベル○ール・アッカ先生の声を当ててみよう!


MC「両者互角のまま続く第十一期生プロデュエリスト決定戦、最終戦!!」

MC「チャレンジャー五野井真佐人は魔の十期生、春夏秋冬直美を倒し唯一の合格者となれるのかぁぁぁーーーーー!?」

MC「威嚇する咆哮でレッド・デーモンズ・ドラゴンの攻撃を防いだ五野井はどんなプレイを見せてくれるのか!?注目の五野井のターンだぁ!」



春夏秋冬
LP    :1800
モンスター:レッド・デーモンズ・ドラゴン
魔法&罠 :伏せカード2枚
手札   :0枚


五野井
LP    :1800
モンスター:炎を支配する者、ツインヘデッド・ビースト
魔法&罠 :ジャンク・アタック(ツインヘデッド・ビースト)
手札   :2枚


五野井「俺のターン!ドロー!」

五野井(フォースか……)

五野井(俺の手札は前のターンの手札抹殺で様変わり…フレイム・オーガ、ヘルフレイムエンペラー…そしてフォース)

春夏秋冬「いいカードを引いたという顔をしているな……うまくすれば私という傲慢な存在に初黒星をつけた者として誇れるぞ?」


任期二年目にして彼女は不戦敗を除けば八〜九期生相手に無敗、この段階で魔の十期生の名と人気を欲しいがままにしていた。
彼女の言うように、実質黒星をつけた者は一人もいないのだ。


五野井(ヘルフレイムエンペラーで伏せカードを破壊、フォースでツインヘデット・ビーストを強化しジャンク・アタックで勝利……よし、完璧だ!)

五野井「あん…じゃなくあなたの無敗伝説もここまでだ!このデュエル、このターンで俺は勝利する!」

春夏秋冬「言ったな?よかろう、やってみるといい……」

MC「おおっとーーーーぉぉぉ!?まさかの勝利宣言だぁ!!何を見せてくれるのか、五野井!!!」

五野井「俺は炎を支配する者をリリース…ヘルフレイムエンペラーをアドバンス召喚!」

MC「出たあぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!五野井のエースモンスター、ヘルフレイムエンペラー!!!」

MC「ヘルフレイムエンペラーは召喚成功時に墓地の炎属性モンスターを除外する事でその数と等しい数の魔法・罠カードを破壊するぅぅぅーーー!!」

五野井「墓地の炎属性モンスター二体を除外……伏せカード二枚を破壊する!!」

五野井(よし、俺の勝ちだ…!)

……の筈だったのだが、彼女の行動は俺の想像の範疇を超えていた。




春夏秋冬「愚かだ…実に愚かだ!」

五野井「!?」

春夏秋冬「観客を沸かせる、理を無視したプレイを少しはしたらどうだ!?」

プロデュエリストとは言ってしまえば見世物である為、当然の道理ではある。
――だが、自身にはこれが最善である以上こうするのもまた道理だ。


五野井「この状況でこれ以外の事をする理由が俺の手札には……」

春夏秋冬「まあよかろう……君が負ければよいというだけの話だからな!罠オープン……」

春夏秋冬「 バ ス タ ー ・ モ ー ド ! ! 」

五野井「しまっ…!?」

春夏秋冬「我が嗜好たる龍よ、真の姿を現せ……レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスター!!!!」

レッド・デーモンズ・ドラゴンに装甲が装着され、
龍という強固な存在をより強く誇示するかの如く輝き天井の業火を威嚇する。

五野井「くっ…ヘルフレイムエンペラーの効果!除外したカードの枚数分のカードを破壊……」


春夏秋冬「運命の輪の逆位置の意味は知っているか?」

五野井「…?」

唐突な質問に俺は何を言っているんだ?という顔しかできなかった。



春夏秋冬「そのうちの一つに狂ってしまった歯車は悪い方へと回転していくという意味がある……」

春夏秋冬「お前が破壊したカード――それはセキュリティー・ボールだ!!!」

五野井「な、な…!?」

セキュリティ「危険分子! ただちに除去します!」

ヘルフレイムエンペラーの炎にセキュリティ・ボールがが敵対反応を感知し、レーザー光線を放つ――。
炎の発生源は炭化、消失してしまった。


五野井(…ま、待てよ?なんでモンスター破壊カードが使えるんだ?)

関連性が欠片もないモンスター破壊の一切を禁止する、これはプロデュエリストとして最初に教えられる規則の筈である。
因みにプロの世界では大嵐、サイクロンに加えおとり人形、撲滅の使徒、砂塵の大竜巻を数枚起用するのが常識である。
だが、神の宣告やアヌビスの裁きといったカウンターカードはモンスター破壊効果が含まれている為禁止指定されている筈だ。
噂ではこの環境下はフェザーパーミッションが地味に活躍したらしいが……それはともかく、禁止の筈である。

五野井「――」

俺がその事について言及しようとした時、被せる様に彼女が言葉を発した

春夏秋冬「何か言いたそうだな……関連性が欠片もない能動破壊禁止は変わっていないが、受動破壊は制限カード扱いだぞ?」

五野井「…!?」

春夏秋冬「これは伏せ除去の横行する環境を改善する為に九期生発足後に一年半の時を費やし定められたルールだ」

五野井「……う、うああああああっっっ!!!????」

とんだ赤っ恥をかく所だった。
冷や汗が大量に流れる――。

春夏秋冬「ふっ、はっはっは……私を倒せるのではなかったのか?」

五野井「っ……俺はフォースを発動!!ツインヘデット・ビーストの攻撃力を上昇させる!バトルだ!」

春夏秋冬 LP1800→100


春夏秋冬「/バスターの共通効果……コストとしてリリースしたシンクロモンスターを特殊召喚する」

五野井「…だがツインヘデット・ビーストは二回攻撃ができる、レッド・デーモンズ・ドラゴンを破壊してターンエンドだ!」

MC「かろうじて春夏秋冬は生き延びたぁぁぁーーーー!だが手札もモンスターも伏せカードもなしにどうする春夏秋冬ぇーーーー!?」



春夏秋冬「勝利宣言は聞き流してやる……だがこのターンで倒せなかった事を後悔するんだな、私のターン!」


春夏秋冬「君の敗北は確定した……舞え、レッド・デーモンズ・ドラゴンよ!!!」

五野井「何を言ってるんだ?場にはモンスターの一体すらいない……」

春夏秋冬「このカードが見えないか?」

五野井「………り、Re−BUSTER!?」


Re−BUSTER(リバスター)
速攻魔法
自分の墓地に存在する「バスター・モード」1枚をゲームから除外して発動する。
自分フィールド上に存在するモンスターを全て破壊し、
自分の墓地に存在する「/バスター」と名のついたモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、
リリースする事もできず、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。



そんな、そんな馬鹿な……彼女は手札を一枚も持っていなかった筈である。
つまり、これはドローフェイズで引いたカードであり、それを引く前から手札に来ると確信していた訳で――。
などと悠長に考えている時間は、俺には残されていなかった。

春夏秋冬「この効果により、レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターは私の場に特殊召喚される!」

春夏秋冬「SHEOLより現世へと舞え!レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスター!!!!」

墓地から真紅の鎧に身を包んだ龍――いや、悪意の化身――が蘇る。



春夏秋冬「さあ、覚悟はいいな……?レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターの攻撃……!」

五野井「やめろ…やめてくれえっ!」

春夏秋冬「…………Shoel Arrow」

レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターの口から矢型の紫色の炎が吐き出され、俺のモンスターを破壊――――――俺はデュエルに敗北した。

五野井 LP1800→0



MC「レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスターの攻撃が決まったぁぁぁーーーー!!!勝者は春夏秋冬直美だぁぁぁ!!!!」

MC「これにより春夏秋冬はプロの歴史上唯一のプロ誕生を阻害した者となったぁぁーーー!!!」

この話も後に魔の十期生と呼ばれた時の伝説の一つとなるが、それはまた別の話――。


春夏秋冬「まあ悪くはなかったな……」

五野井「ううう……」

肩の力が抜けた俺はその場に座り込んでしまった。

春夏秋冬「……む?」

春夏秋冬「君の最後の手札はフレイム・オーガか……デッキトップは何だ?」

五野井「お、おい……な……!?」

春夏秋冬「ふ…ははははは……」

彼女は俺のデッキを確認もとらずにめくった。
デッキトップは皮肉にも――フォースだった。

春夏秋冬「悪くはなかった……というのは訂正しよう」

五野井「…」

好敵手と認めたのだろうか?
だが、そう思った俺の希望など次の言葉で微塵に砕けちった。

春夏秋冬「最善というのは、所詮それだけで、その後というものがない――」

春夏秋冬「次善を如何に最善に近づけるかを考えないという事を君がアカデミアで教わったのならば仕方がない……」

春夏秋冬「十年とは言わないが三年は早かった、という訳だ……はっはっは、三年後にまた会おう」

五野井「な、な……!」



五野井「っそぉ……!」

五野井「三年って事はアカデミアを一からやり直せって事じゃねぇか!」

五野井「絶対に許さないぞ……恥をかかせてやる!!」

???「彼女が憎いですか?」

五野井「……誰だ!」

選手の控室に入ってこられる人間はほんの少数の筈だ。

???「私は終日という者……このカードを使いなさい」

五野井(ヒネモス……?)

プロデュエリスト界にも闇の部分はある。
その代名詞として噂されるのが終日の名である。
真っ当に生きてきた五野井が会うのは当然初めてである。

五野井「手助けなんていらない、俺は俺のカードで戦う!」

終日「ならそれもいいでしょう、どうせ今の貴方で彼女には勝てないでしょうし何をしても無駄かもしれません」

五野井「な……何だと!?」

終日「使わずに負けるのですか?それとも……」




春夏秋冬「さあ、ここでプロの勇姿を見ていてくれ」

開幕のぴったし五分前に私達は春夏秋冬さんに関係者席に――ゴドウィン長官達がいたような高い場所――に案内された。

南方「た、高い……」

春夏秋冬「Dホイールのパーツを飛ばしてくる暴君はいないから安心しろ……私は選手入場に行って来る、さらばだ」

勅使河原「はは……いるほうがナンセンスですよ、ご武運を」

南方「がんばってくださいね!!」

春夏秋冬「……ああ!」





MC「さあ始まりました、プロリーグ丸藤杯!!実況は私、アッカ一族のノイ・アッカでございます!!」

MC「選手紹介に参ります!!」

MC「シワンナ!幟 義若(のぼりよしわか)!!」

MC「ビーストキング!宇井 公彦(ういきみひこ)!!」

MC「奇跡の引きを見せてくれるか!?羽根尾 野場須(はねおのばす)!!」

MC「背丈で侮るなかれ!魔術師、小中 沙都美(こなかさとみ)!!」

MC「灼熱の男!五野井 真佐人(ごのいまさと)!!」

MC「永遠の二番手!!矢柄 司郎ぉぉぉーーーーーーーー!!」

矢柄「 悪 の 王 子 だ っ ! ! 」

会場に笑いが起きる。
いい所までいくが最後には結局負けてしまうという――九期生問題を起こした某問題児のような負け犬――キャラが彼に定着してしまっているのだ。

MC「失礼……自称悪の王子!!矢柄 司郎(やがらじろう)!!」

矢柄「 自 称 じ ゃ な い っ ! ! ! 」

会場に更に笑いが起きる。
ばつの悪そうな顔をして、彼はふてくされてしまった。

MC「運命の申し子!!西之柏戸ぉぉーーーー!!」

MC「そして挑戦者の最後に登場するのは……魔の十期生、春夏秋冬直美ぃーーー!!」

MC「最後に、開祖たる主催者兼チャンピオン!丸藤翔の入場だぁぁぁーーー!!」



w(*,゚▽゚)ヾ「…丸藤翔です」

w(*,゚▽゚)ヾ「初めに異端児たる存在である私に同調頂いたことに感謝いたします」

w(*,゚▽゚)ヾ「私が言う事は唯一つです……プロデュエリストの名に恥じない全力を尽くしたデュエルをしましょう!!」

MC「……第十二回丸藤杯の始まりだぁぁぁーーーーー!!!」

その声を皮切りに、歓声が上がる――。
第十二回丸藤杯が始まった。

終日「ふむ…さてはて、どうなりますかね?」

……主催者側の思惑とは別に悪意が着々と進行していったが、それはまだ誰も知らない――。

第二話へつづく

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