最終更新:ID:z0el5PS39g 2008年11月22日(土) 20:34:36履歴
綾瀬「よ−−こそらいほうしゃ!さあ たのしいショウのはじまりだっ!」
※この話は第十話に繋がってると言い張れなくもないです
ネタをお借りした僕らの邪気皇氏、ありがとうございました
三月十四日。
勝者のもう一つの聖戦。
この日に送る物の価値が男の価値を決めてしまうと言っても過言でもない日。
この日を綾瀬は心待ちにをしていた。
服装は兄好みの清楚な感じで整えた。
お化粧もばっちりだ。
いざ、戦場へ――。
真哉「うう…また失敗だ」
観月「落ち着いてゆっくりやらないとな」
( ゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) …!?
……目を疑った。
しかしいくら目を擦っても、視界に広がる光景は変わらなかった。
これは悪夢だと思い、王道パターンの頬をつねってみた。
…………痛い。
変則パターンの現実で痛みを与えられている状態なのかと思い腕やら足やら様々な部分をつねってみたが痛い。
真哉「…綾瀬、何してるんだ?」
綾瀬「何してるんだはこっちの方ですよ兄さん!!」
真哉「?」
綾瀬「何でその人がいるんですか!?」
ある種天敵にも等しい存在、観月が家にいたのだ。
怒るのも当然と言えよう。
観月「いや、私は…」
綾瀬「貴女には聞いてません!」
真哉「綾瀬、これには深くはないけどそれなりの訳がだな…」
綾瀬「訳ってなんですか!?私のチョコが自家製で千円もしない安上がり品だったからですか!?」
綾瀬「ええそうですよ…二、三千円以上もする高級品なんか女子高生には買えやしませんよ!」
雷帝神「待つんだ、信也は…」
綾瀬「ロウエンみたいな18禁ギャルゲー主人公の髪型してる人は黙ってなさいっ!」
雷帝神「!!!」
真哉「お、おい…それは暗黙の了解で誰も触れようとしなかった事だぞ、それを…」
綾瀬「…兄さんの馬鹿!!」
真哉「…綾瀬……待…!」
綾瀬「………飛び出してきちゃいました……」
綾瀬(私ったら、敵意を剥き出しにして…なんて恥ずかしいんだろう)
綾瀬「……今日はいつもの店じゃなくて遠い所に行ってみますか」
適当に電車を乗り継ぎ、気の向くままに電車を降りた。
この街もか、というかなんというか…街は心なしか殺気立っているような空気を醸し出している。
勝者の聖戦など敗者には消えてしまえと思っているからだろうか、街全体を負のオーラが包んでいるような感覚に綾瀬は陥った。
綾瀬(…………)
ヤケ食いでもしよう。
そう思った綾瀬の脚は自然と駅前の菓子店に進んでいた。
店員「はい、980円ね」
子供「はい…あ、あれ?」
菓子店には先客がいた。
中性的な容姿が可愛らしさを引き立てており、容姿だけでは男性か女性かの区別がしにくい部類に入るだろう。
綾瀬「ボク、どうしました?」
私は自然と声を掛けていた。
何故かは分からない。
困っている人間を見捨てるのは世界の常識であり真実の事実であるという現実を認めたくないとかそういう事ではない。
そこにいるのが十年来以上の友であるような気がして声を掛けた――そんな気分だ。
子供「え、あ…お、お金が五十円ぐらい足りなくて」
綾瀬「そうなんですか…それぐらいなら私が出してあげますよ」
子供「…いいんですか?」
綾瀬「困った時はお互い様ですから」
私達は近くのテーブルに腰かけた。
子供「あの…ありがとうございます…僕、久井って言います。お姉さんのお名前は…」
ベンチに自身より先に私を座らせたり、自分から名乗ったりとなかなか利発な子である。
いいとこの生まれなのだろうか?
綾瀬「私は綾瀬って言います、凌ぐのにずいがいとへんに変わった文字とさんずいに束、ページと書いて綾瀬です」
久井「へえ、そうなんですか…」
久井「えと、綾瀬さんはなんで僕にお金を貸してくれたんですか…?」
綾瀬「今日は三月十四日ですから、幸せになれない私以外の人の一人でも幸せになって欲しいなんて考えが急に思い浮かんじゃって…」
久井「…幸せになれないって…?」
綾瀬「私は兄にチョコを送ったんですが、お返しが来るはずの今日に別の女とイチャイチャしてて…怒って飛び出しちゃいました」
久井「…僕は姉に思いを寄せてます、二月にはチョコを送ったので、今日は飴を…と思って」
綾瀬「私と同じですね…」
久井「はい…」
綾瀬「久井君と話してると不思議と口が軽くなっちゃいます…もしかしたら私達、深い何かで繋がってるのかもしれませんね」
久井「あはは、そんなまさか…」
綾瀬「…私と同じならもしかして、久井君にも恋敵みたいな人がいるんじゃないですか?」
久井「…え?」
唐突な質問に虚を突かれたらしく、彼は固まってしまった。
久井「…まあ、いると言えばいますけど…」
綾瀬「その人って、遊戯王やりますか?」
久井「やりますけど…?」
綾瀬「…じゃあ、私がその人をやっつけてあげますよ」
久井「え?…あ、いや、でも…」
綾瀬「大丈夫ですよ、私結構強いですから」
(´・ω・`)「パワー・ボンド発動!チェーンしてサイバネティック・フュージョン・サポート!」
(´・ω・`)「キメラテック・オーバー・ドラゴンを特殊召喚!!破壊できない除外できない攻撃力は22400!!!バトr」
川 ゚ -゚)「…強制脱出装置を発動、融合デッキにさらばだ…エンドフェイズで11200のダメージだ」
(´・ω・`)「テキストの盲点アッー!」
川 ゚ -゚)「約束通り二階の商品整理は店長にやってもらうぞ」
(´・ω・`)「う、うう…」
綾瀬「ここにいつもいるって言ってましたけどどの人ですか?」
久井「え、えーと…あの人ですけど…」
川 ゚ -゚)「む、久井ではないか…その娘っ子はいったい…」
綾瀬「え…お、女の子?」
川 ゚ -゚)「…?……どういう事かは分からないが私が女だと不都合があるのか?」
綾瀬「い、いえ…貴女は久井君を苦しめてるんですよね?」
川 ゚ -゚)「…まあ確かにそうなると言えばそうなるのかもしれないが、私は…」
綾瀬「問答無用、デュエルです!私が勝ったらこの子の嫌がる事をやめてもらいます!」
川; ゚ -゚)「…?デュエルしたいというんならしよう」
川 ゚ -゚)(…どうなってるんだ久井?)
久井(何ていうか、色々とこじれちゃって…その、全力で相手してあげてください)
川 ゚ -゚)(ふむ…)
ゼラの行く道 川 ゚ -゚)
デュエル!
ペンドラゴン 綾瀬
綾瀬「先行は私です!ドロー!」
綾瀬の手札
真紅眼の飛竜
竜の逆鱗
サファイアドラゴン
サイクロン
黒炎弾
聖なるバリア−ミラーフォース−←ドローカード
綾瀬(うん、結構いい手札ですね)
綾瀬「モンスターを守備で出します、カードを三枚伏せターン終了です」
川 ゚ -゚)「ドローする…」
川 ゚ -゚)の手札
デビルマゼラ
メタモルポット
ゴブリンエリート部隊
万魔殿−悪魔の巣窟−
名推理
トレード・イン←ドローカード
川 ゚ -゚)(よし、デビルマゼラ降臨に後一枚ならいい手札だ)
川 ゚ -゚)「私は名推理を発動、レベルを選んでくれ」
綾瀬「(名推理というとやはり混沌の黒魔術師でしょうか…?)8です」
増援→墓地へ
我が身を盾に→墓地へ
団結の力→墓地へ
E−HERO ヘル・ゲイナー→特殊召喚!
川; ゚ -゚)(ぬ…増援が落ちるわ微妙なモンスターが来るわ…嫌な予感がするな)
川 ゚ -゚)「私はゴブリンエリート部隊を召喚、バトルだ!」
綾瀬(悪魔族なのに増援…デビルマゼラですかね、温存しておくべきでしょう…)
綾瀬「真紅眼の飛竜です、破壊されます」
川 ゚ -゚)(あの伏せカードは全てブラフなのか…?)
川 ゚ -゚)「ヘル・ゲイナーでダイレクトアタック、ターン終了だ」
綾瀬 LP8000→6400
綾瀬「ドローします」
ドローカード:アームド・ドラゴン LV5
綾瀬「サファイアドラゴン召喚!ゴブリンエリート部隊に攻撃です!」
川 ゚ -゚) LP8000→7600
川 ゚ -゚)「ライフが減っている…?」
綾瀬「竜の逆鱗の貫通ダメージです…ターンエンド」
川 ゚ -゚)「私のターンだ、ドロー」
ドローカード:堕天使ゼラート
川 ゚ -゚)「トレード・イン発動!堕天使ゼラートを捨てカードを二枚ドローする」
ドローカード:ミラフォ、死者蘇生
川 ゚ -゚)(何というヒキ、今日の私は間違いなく倫子)
川 ゚ -゚)「死者蘇生でゼラートを復活させる!」
久井(捨て札蘇生は王道コンボ…)
川 ゚ -゚)「更にヘル・ゲイナーの効果で二回攻撃できる!行くぞ!ゼラートでサファイアドラゴンを攻撃!義憐聖霊斬!」
綾瀬「聖なるバリア−ミラーフォース−を発動します」
ゼラート「僕には…無理馬鹿なっ!」
川; ゚ -゚)「くっ…守備モンスターとカードを伏せターンを終了すr」
綾瀬「エンドフェイズにサイクロンで伏せカードを破壊します」
聖なるバリア−ミラーフォース−→破壊!
川 ゚ -゚)(踏んだり蹴ったりだな…その辺も含めてまさに倫子だ)
綾瀬「ドローです」
ドローカード:仮面竜
綾瀬(フィールド魔法を伏せているという事はあれは100%メタモルポット…)
綾瀬「仮面竜を召喚します、カードを1枚伏せサファイアドラゴンで攻撃です…」
川 ゚ -゚) LP7600→6300
川 ゚ -゚)「(バレバレなのは仕方がない…)裏守備モンスターはメタモルポット、互いに五枚ドローだ」
綾瀬の手札
真紅眼の闇竜
アームド・ドラゴン LV5
真紅眼の黒竜
洞窟に潜む竜
仮面竜
川 ゚ -゚)の手札
重力解除
ジェネラルデーモン
マッド・デーモン
万魔殿−悪魔の巣窟−
ゼラの戦士
綾瀬(モンスターしか来ないとは…変な引きですね)
綾瀬「仮面竜で直接攻撃、ターンエンド」
川 ゚ -゚) LP6300→4900
川 ゚ -゚)(ゼラの戦士は来たが肝心のマゼラは落ちてしまった…くっ、どうする?)
ドローカード:デビルマゼラ
川; ゚ -゚)(倫子フラグが立っている、油断は禁物だな…)
川 ゚ -゚)「スタンバイフェイズにヘル・ゲイナーは帰ってくる…」
川 ゚ -゚)「ゼラの戦士召喚!フィールド魔法オープン、万魔殿−悪魔の巣窟−!」
綾瀬(遂に来ますか…!?)
川 ゚ -゚)「ゼラの戦士を生け贄に――デビルマゼラ降臨だ!!」
川 ゚ -゚)「デビルマゼラの効果…特殊召喚に成功した時相手はランダムに手札を三枚捨てる!!」
綾瀬「っ…!」
洞窟に潜む竜→墓地へ
真紅眼の黒竜→墓地へ
アームド・ドラゴン LV5→墓地へ
川 ゚ -゚)「ヘル・ゲイナーは効果で除外される、仮面竜に攻撃だ…ダークパッセージ!」
綾瀬「仮面竜を特殊召喚です…」
綾瀬 LP6400→5000
川 ゚ -゚)「続けてくらえっ!サファイアドラゴンを攻撃!」
綾瀬 LP5000→4100
川 ゚ -゚)「カードを伏せターン終了…」
綾瀬「ドローです…」
ドローカード:団結の力
綾瀬「手札から仮面竜を召喚です」
川 ゚ -゚)「下級を並べてもデビルマゼラには勝てないぞ?」
綾瀬「いえ、勝てないではなく勝つんですよ…団結の力発動!」
川 ゚ -゚)「ふむ…だが」
???(マ…ター…)
川; ゚ -゚)「…!?」
???(…スター…今は、その時では…)
川; ゚ -゚)(な…デッキから、声が…?)
???(…を信…て下さ…)
綾瀬「どうしました?」
川 ゚ -゚)「…っ、何でもない…通すから続けろ」
マゼラ「なんで正義が悪に勝てるんだろうね?正義なんて正しい事しかできないのに…」
久井(確かにデビルマンは天使に負けたけどなんで今そのことを…?)
川 ゚ -゚) LP4900→4700→3300
川 ゚ -゚)「(さっきのはいったい…)私のターン!」
ドローカード:溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム
川 ゚ -゚)(そういう事か…成程な、なるほどなるほどなるほどな…ってそれは芸人のギャグか)
川 ゚ -゚)「私は仮面竜二体を生け贄に溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムを特殊召喚する!」
綾瀬「!?」
どーもくん「俺ってただ墓地に送っただけだと不思議な事に蘇生制限かかるんだよね」
川 ゚ -゚)「ターン終了だ」
綾瀬「…ドローします」
川 ゚ -゚)「ラヴァゴの効果で1000ダメージを受けてもらう!」
綾瀬 LP4100→3100
綾瀬「(洞窟に潜む竜…サファイアドラゴンが欲しかったですね)私はモンスターを場に出し、ラヴァ・ゴーレムで攻撃…」
川 ゚ -゚)「…メイン終了時に重力解除をオープン、これによりラヴァゴは守備表示となる!」
綾瀬「…ターン終了です」
川 ゚ -゚)「私のターン…」
ドローカード:???
川 ゚ -゚)(これは…!うむむ、少しできすぎている気もするが…)
川 ゚ -゚)「私はマッド・デーモンを場に出す、裏守備モンスターに攻撃だ」
綾瀬「洞窟に潜む竜です…200の反射ダメージを受けてもらいます!」
川 ゚ -゚) LP3300→3100
川 ゚ -゚)「(くっ、だが偽装はできた…)カードを伏せターン終了だ」
綾瀬「私のターン!ドロー!」
綾瀬(これは…!)
川 ゚ -゚)「二度目の1000ダメージだ」
綾瀬 LP3100→2100
綾瀬「お好きにどうぞ…私は思い出のブランコを発動します!」
久井(墓地の真紅眼の黒竜が復活する…となると…)
綾瀬「伏せカードオープン、黒炎弾!2400のダメージです!」
川 ゚ -゚) LP3100→700
川; ゚ -゚)「ぬうっ…!」
綾瀬「更に真紅眼の黒竜を生け贄に捧げ真紅眼の闇竜を特殊召喚します!」
久井「攻撃力4800だなんて、星4の悪魔族じゃどうしようもない数値…」
綾瀬「これで終わりです!真紅眼の闇竜でヘル・ゲイナーを攻撃…!」
川 ゚ -゚)「…ふ、ははははは…」
綾瀬「な…何がおかしいんですか!?」
川 ゚ -゚)「いや、重力解除を使わずスルーしてよかったと思ってな…罠オープン!」
川 ゚ -゚)「ヘイト・バスターだ!」
川 ゚ -゚)「真紅眼の闇竜を破壊!その攻撃力分のダメージを受けてもらう!」
綾瀬「しまっ…!」
ダークネス「真紅眼は可能性をもたらすんじゃなかったんすかwwwwwwww」
ソスゲイナー「あれは劇場版の話だからなぁ、っていうか融合素材でしかなかったし…あ、俺も死ぬじゃんwwwwww」
綾瀬 LP2100→0
川 ゚ -゚)「ふう、かろうじて勝ったか…」
綾瀬「…ごめんなさい、負けちゃいました」
久井「いや、その、あの…」
川 ゚ -゚)「…突然デュエルを仕掛けてきて、一体何なんだ?」
綾瀬「…私は、この子が貴女に苦しめられていると聞いて…」
久井「そ、それは…」
川 ゚ -゚)「…確かに苦しめているのは事実だ」
川 ゚ -゚)「…だが私は久井を貶めた事など一度もない、正々堂々と戦っている…」
久井「…だから、大丈夫なんですよ…」
綾瀬「え…そ、そうだったんですか?」
久井「はい…言い出せなくてすみません」
綾瀬(な、なんて恥ずかしい事を…)
耳まで赤くなるという表現があるが、今の私はまさしくそうなっていただろう。
川 ゚ -゚)「…そうなのか、綾瀬は喧嘩をして…」
綾瀬「はい…クーさんはどう思いますか?」
川 ゚ -゚)「うーむ…単純に善意なのかもしれんぞ」
綾瀬「?」
川 ゚ -゚)「男で料理が好きな奴はそういないからな…料理を習っていたのかもしれない」
綾瀬「え…って事はつまり…」
川 ゚ -゚)「そういう事になるな」
綾瀬「…そう、だったんですか…」
綾瀬「でも、今更どの面下げて帰れば…」
川 ゚ -゚)「素直に謝る、それが一番だ」
綾瀬「…………そうですよね、でも……」
久井「あの…」
綾瀬「…何ですか?」
久井「さっきの…恥をかかせてしまったお詫びにはなりませんけど、どうぞ」
そう言うと彼はさっきの飴の入った瓶を差し出した。
…くれるというのだろうか?
久井「いいんですか?こういうのは包装を開けてしまうものでは…」
久井「…もう一つ買えばいいんです…どうぞ」
そういうと彼は瓶を開封し、一種類数個だけを私によこした。
綾瀬「(蜜柑味…?)…?」
不思議そうに見ている私を見て、彼はこう言った。
久井「…気力の湧くおまじないです」
綾瀬「よくわかりませんが、ありがとうございます…二人とも、お世話になりました……」
川 ゚ -゚)「健闘を祈る」
久井「クーさん!」
川 ゚ -゚)「…さよならだ」
久井「さよなら…」
綾瀬「はい…さようなら」
(´・ω・`)「ああ疲れた…」
久井「ショボンさん…何してたんですか?」
(´・ω・`)「在庫整理をちょっとね……もう業務やる気しないから閉店にするよ」
川 ゚ -゚)「早上がりでいいのか?」
(´・ω・`)「ん?いいよ…君もこんな日に仕事なんて本当は嫌だろう?」
川 ゚ -゚)「まあそれはそうだが…」
(´・ω・`)「じゃあ決まりだね、さようなら」
川 ゚ -゚)「さらばだ」
久井「さようなら」
川 ゚ -゚)「なあ久井」
久井「?」
川 ゚ -゚)「…金がないのではなかったのか?」
久井「あ…」
久井「……クーさん、お金貸してもらえますか?」
川 ゚ -゚)「いいぞ」
綾瀬(……帰らなければいけないんですよね……)
綾瀬(…………貰った飴でも舐めますか)
電車に乗って、飴を舐めているうちに私の心に変化が起こった。
何故かは分からないが、自然と謝ろうという気持ちになったのだ。
他愛のない蜜柑の味が、私に非を認める勇気をくれた――そんな事があるのだろうか?
綾瀬(……考えても分かりませんよね)
正々堂々と戦う彼の心飴玉に乗り移り、自身に溶け、勇気を貰った――とでもしておこう。
そう思いながら私は家に帰宅した。
あの女――観月――の靴はない。
どうやら帰ったようだ。
それにしても、電気もつけずに何をしているのだろうか?
まさか、低俗な事でも――。
そう考えていた私がドアを開けると、パンという乾いた音が響いた。
綾瀬「……?」
真哉「おかえり、綾瀬」
雷帝神「よくぞ帰られた」
音の正体はクラッカーだったのだという事を理解するまで数秒かかった。
綾瀬「……兄さん、何してるんですか?」
真哉「え?そりゃあ、綾瀬の為に……ほら」
綾瀬「こ、これって…」
テーブルの上にはクッキーやチョコレートなどが並んでいる。
形は歪でも、苦労したという事実がそれらには宿っていた。
真哉「今までは市販品を買うだけだっただけど今年ぐらいは俺も手作りを渡そう、と思ってな」
綾瀬「兄さん…ごめんなさい!私、私……」
真哉「いいんだ……綾瀬、ジュース注いで食べようか」
綾瀬「はい…」
私は幸せの絶頂にいた――雷帝神の言葉を聞くまでは。
雷帝神「…はて、歪に作ってくれと彼女に言っていたような…」
真哉(お、おい…!)
綾瀬「…はい?」
雷帝神「む?これはすべ――むがもが」
綾瀬「……兄さん?」
真哉「………あ、うん、でもさ……」
綾瀬「 に い さ ん ? 答 え て 下 さ ら な い と わ か り ま せ ん よ ? 」
真哉「……俺菓子料理なんて分かんないし、綾瀬に教えてもらったらバレちゃうし…」
真哉「俺が作ったのは全部、砂みたいな味しかしなかったんだよ!だから食べれる物を綾瀬に…」
綾瀬「成程、分かりました……」
真哉「綾瀬…!」
綾瀬「…つまりこれは全てあの人が作ったんですよね?」
綾瀬「それを私に食べろと……こんなもの!」
真哉「お、おい!食べ物を粗末にしちゃ…」
綾瀬「ふふふふふ、私はこんな愛のない物より砂が食べたかったですよ…」
真哉「あ、綾瀬…さん?」
綾瀬「彼女に手取り足取り教えて貰って、兄さんはさぞ嬉しかったでしょうね…」
真哉「す、雷帝神!助け…」
雷帝神「…あんな事を言われたとはいえ飯の恩には変えられぬ」
真哉「な…おま」
綾瀬「信也!!貴様ァッ」
真哉「!!」
綾瀬「ザンマオン!!」
真哉「ギャアッ」
雷帝神「信也君!!」
真哉「観月さ…僕…最……後まで………」
綾瀬「だまれ!!」
真哉「ちょ…タンマ、顔はやめアッー!」
…………凄惨な現場を目撃したモノは雷帝神と消費された蜜柑味の飴包みだけであった――。
了
綾瀬「ショウは終わりだ!きさまには失望したぞこのクズめ!」
小ネタの元ネタ
ファイ○ーエムブレム 烈火の剣
アドリブ店長
テイルズ オブ デスティニー2
No'13先生のアレ
スターオーシャン ブルースフィア
鉄鍋のジャン(正確には的な内容)
劇場版遊戯王
ソウルドロップの幽体研究
真・女神転生 東京黙示録
※この話は第十話に繋がってると言い張れなくもないです
ネタをお借りした僕らの邪気皇氏、ありがとうございました
三月十四日。
勝者のもう一つの聖戦。
この日に送る物の価値が男の価値を決めてしまうと言っても過言でもない日。
この日を綾瀬は心待ちにをしていた。
服装は兄好みの清楚な感じで整えた。
お化粧もばっちりだ。
いざ、戦場へ――。
真哉「うう…また失敗だ」
観月「落ち着いてゆっくりやらないとな」
( ゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚) ・・・
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) …!?
……目を疑った。
しかしいくら目を擦っても、視界に広がる光景は変わらなかった。
これは悪夢だと思い、王道パターンの頬をつねってみた。
…………痛い。
変則パターンの現実で痛みを与えられている状態なのかと思い腕やら足やら様々な部分をつねってみたが痛い。
真哉「…綾瀬、何してるんだ?」
綾瀬「何してるんだはこっちの方ですよ兄さん!!」
真哉「?」
綾瀬「何でその人がいるんですか!?」
ある種天敵にも等しい存在、観月が家にいたのだ。
怒るのも当然と言えよう。
観月「いや、私は…」
綾瀬「貴女には聞いてません!」
真哉「綾瀬、これには深くはないけどそれなりの訳がだな…」
綾瀬「訳ってなんですか!?私のチョコが自家製で千円もしない安上がり品だったからですか!?」
綾瀬「ええそうですよ…二、三千円以上もする高級品なんか女子高生には買えやしませんよ!」
雷帝神「待つんだ、信也は…」
綾瀬「ロウエンみたいな18禁ギャルゲー主人公の髪型してる人は黙ってなさいっ!」
雷帝神「!!!」
真哉「お、おい…それは暗黙の了解で誰も触れようとしなかった事だぞ、それを…」
綾瀬「…兄さんの馬鹿!!」
真哉「…綾瀬……待…!」
綾瀬「………飛び出してきちゃいました……」
綾瀬(私ったら、敵意を剥き出しにして…なんて恥ずかしいんだろう)
綾瀬「……今日はいつもの店じゃなくて遠い所に行ってみますか」
適当に電車を乗り継ぎ、気の向くままに電車を降りた。
この街もか、というかなんというか…街は心なしか殺気立っているような空気を醸し出している。
勝者の聖戦など敗者には消えてしまえと思っているからだろうか、街全体を負のオーラが包んでいるような感覚に綾瀬は陥った。
綾瀬(…………)
ヤケ食いでもしよう。
そう思った綾瀬の脚は自然と駅前の菓子店に進んでいた。
店員「はい、980円ね」
子供「はい…あ、あれ?」
菓子店には先客がいた。
中性的な容姿が可愛らしさを引き立てており、容姿だけでは男性か女性かの区別がしにくい部類に入るだろう。
綾瀬「ボク、どうしました?」
私は自然と声を掛けていた。
何故かは分からない。
困っている人間を見捨てるのは世界の常識であり真実の事実であるという現実を認めたくないとかそういう事ではない。
そこにいるのが十年来以上の友であるような気がして声を掛けた――そんな気分だ。
子供「え、あ…お、お金が五十円ぐらい足りなくて」
綾瀬「そうなんですか…それぐらいなら私が出してあげますよ」
子供「…いいんですか?」
綾瀬「困った時はお互い様ですから」
私達は近くのテーブルに腰かけた。
子供「あの…ありがとうございます…僕、久井って言います。お姉さんのお名前は…」
ベンチに自身より先に私を座らせたり、自分から名乗ったりとなかなか利発な子である。
いいとこの生まれなのだろうか?
綾瀬「私は綾瀬って言います、凌ぐのにずいがいとへんに変わった文字とさんずいに束、ページと書いて綾瀬です」
久井「へえ、そうなんですか…」
久井「えと、綾瀬さんはなんで僕にお金を貸してくれたんですか…?」
綾瀬「今日は三月十四日ですから、幸せになれない私以外の人の一人でも幸せになって欲しいなんて考えが急に思い浮かんじゃって…」
久井「…幸せになれないって…?」
綾瀬「私は兄にチョコを送ったんですが、お返しが来るはずの今日に別の女とイチャイチャしてて…怒って飛び出しちゃいました」
久井「…僕は姉に思いを寄せてます、二月にはチョコを送ったので、今日は飴を…と思って」
綾瀬「私と同じですね…」
久井「はい…」
綾瀬「久井君と話してると不思議と口が軽くなっちゃいます…もしかしたら私達、深い何かで繋がってるのかもしれませんね」
久井「あはは、そんなまさか…」
綾瀬「…私と同じならもしかして、久井君にも恋敵みたいな人がいるんじゃないですか?」
久井「…え?」
唐突な質問に虚を突かれたらしく、彼は固まってしまった。
久井「…まあ、いると言えばいますけど…」
綾瀬「その人って、遊戯王やりますか?」
久井「やりますけど…?」
綾瀬「…じゃあ、私がその人をやっつけてあげますよ」
久井「え?…あ、いや、でも…」
綾瀬「大丈夫ですよ、私結構強いですから」
(´・ω・`)「パワー・ボンド発動!チェーンしてサイバネティック・フュージョン・サポート!」
(´・ω・`)「キメラテック・オーバー・ドラゴンを特殊召喚!!破壊できない除外できない攻撃力は22400!!!バトr」
川 ゚ -゚)「…強制脱出装置を発動、融合デッキにさらばだ…エンドフェイズで11200のダメージだ」
(´・ω・`)「テキストの盲点アッー!」
川 ゚ -゚)「約束通り二階の商品整理は店長にやってもらうぞ」
(´・ω・`)「う、うう…」
綾瀬「ここにいつもいるって言ってましたけどどの人ですか?」
久井「え、えーと…あの人ですけど…」
川 ゚ -゚)「む、久井ではないか…その娘っ子はいったい…」
綾瀬「え…お、女の子?」
川 ゚ -゚)「…?……どういう事かは分からないが私が女だと不都合があるのか?」
綾瀬「い、いえ…貴女は久井君を苦しめてるんですよね?」
川 ゚ -゚)「…まあ確かにそうなると言えばそうなるのかもしれないが、私は…」
綾瀬「問答無用、デュエルです!私が勝ったらこの子の嫌がる事をやめてもらいます!」
川; ゚ -゚)「…?デュエルしたいというんならしよう」
川 ゚ -゚)(…どうなってるんだ久井?)
久井(何ていうか、色々とこじれちゃって…その、全力で相手してあげてください)
川 ゚ -゚)(ふむ…)
ゼラの行く道 川 ゚ -゚)
デュエル!
ペンドラゴン 綾瀬
綾瀬「先行は私です!ドロー!」
綾瀬の手札
真紅眼の飛竜
竜の逆鱗
サファイアドラゴン
サイクロン
黒炎弾
聖なるバリア−ミラーフォース−←ドローカード
綾瀬(うん、結構いい手札ですね)
綾瀬「モンスターを守備で出します、カードを三枚伏せターン終了です」
川 ゚ -゚)「ドローする…」
川 ゚ -゚)の手札
デビルマゼラ
メタモルポット
ゴブリンエリート部隊
万魔殿−悪魔の巣窟−
名推理
トレード・イン←ドローカード
川 ゚ -゚)(よし、デビルマゼラ降臨に後一枚ならいい手札だ)
川 ゚ -゚)「私は名推理を発動、レベルを選んでくれ」
綾瀬「(名推理というとやはり混沌の黒魔術師でしょうか…?)8です」
増援→墓地へ
我が身を盾に→墓地へ
団結の力→墓地へ
E−HERO ヘル・ゲイナー→特殊召喚!
川; ゚ -゚)(ぬ…増援が落ちるわ微妙なモンスターが来るわ…嫌な予感がするな)
川 ゚ -゚)「私はゴブリンエリート部隊を召喚、バトルだ!」
綾瀬(悪魔族なのに増援…デビルマゼラですかね、温存しておくべきでしょう…)
綾瀬「真紅眼の飛竜です、破壊されます」
川 ゚ -゚)(あの伏せカードは全てブラフなのか…?)
川 ゚ -゚)「ヘル・ゲイナーでダイレクトアタック、ターン終了だ」
綾瀬 LP8000→6400
綾瀬「ドローします」
ドローカード:アームド・ドラゴン LV5
綾瀬「サファイアドラゴン召喚!ゴブリンエリート部隊に攻撃です!」
川 ゚ -゚) LP8000→7600
川 ゚ -゚)「ライフが減っている…?」
綾瀬「竜の逆鱗の貫通ダメージです…ターンエンド」
川 ゚ -゚)「私のターンだ、ドロー」
ドローカード:堕天使ゼラート
川 ゚ -゚)「トレード・イン発動!堕天使ゼラートを捨てカードを二枚ドローする」
ドローカード:ミラフォ、死者蘇生
川 ゚ -゚)(何というヒキ、今日の私は間違いなく倫子)
川 ゚ -゚)「死者蘇生でゼラートを復活させる!」
久井(捨て札蘇生は王道コンボ…)
川 ゚ -゚)「更にヘル・ゲイナーの効果で二回攻撃できる!行くぞ!ゼラートでサファイアドラゴンを攻撃!義憐聖霊斬!」
綾瀬「聖なるバリア−ミラーフォース−を発動します」
ゼラート「僕には…無理馬鹿なっ!」
川; ゚ -゚)「くっ…守備モンスターとカードを伏せターンを終了すr」
綾瀬「エンドフェイズにサイクロンで伏せカードを破壊します」
聖なるバリア−ミラーフォース−→破壊!
川 ゚ -゚)(踏んだり蹴ったりだな…その辺も含めてまさに倫子だ)
綾瀬「ドローです」
ドローカード:仮面竜
綾瀬(フィールド魔法を伏せているという事はあれは100%メタモルポット…)
綾瀬「仮面竜を召喚します、カードを1枚伏せサファイアドラゴンで攻撃です…」
川 ゚ -゚) LP7600→6300
川 ゚ -゚)「(バレバレなのは仕方がない…)裏守備モンスターはメタモルポット、互いに五枚ドローだ」
綾瀬の手札
真紅眼の闇竜
アームド・ドラゴン LV5
真紅眼の黒竜
洞窟に潜む竜
仮面竜
川 ゚ -゚)の手札
重力解除
ジェネラルデーモン
マッド・デーモン
万魔殿−悪魔の巣窟−
ゼラの戦士
綾瀬(モンスターしか来ないとは…変な引きですね)
綾瀬「仮面竜で直接攻撃、ターンエンド」
川 ゚ -゚) LP6300→4900
川 ゚ -゚)(ゼラの戦士は来たが肝心のマゼラは落ちてしまった…くっ、どうする?)
ドローカード:デビルマゼラ
川; ゚ -゚)(倫子フラグが立っている、油断は禁物だな…)
川 ゚ -゚)「スタンバイフェイズにヘル・ゲイナーは帰ってくる…」
川 ゚ -゚)「ゼラの戦士召喚!フィールド魔法オープン、万魔殿−悪魔の巣窟−!」
綾瀬(遂に来ますか…!?)
川 ゚ -゚)「ゼラの戦士を生け贄に――デビルマゼラ降臨だ!!」
川 ゚ -゚)「デビルマゼラの効果…特殊召喚に成功した時相手はランダムに手札を三枚捨てる!!」
綾瀬「っ…!」
洞窟に潜む竜→墓地へ
真紅眼の黒竜→墓地へ
アームド・ドラゴン LV5→墓地へ
川 ゚ -゚)「ヘル・ゲイナーは効果で除外される、仮面竜に攻撃だ…ダークパッセージ!」
綾瀬「仮面竜を特殊召喚です…」
綾瀬 LP6400→5000
川 ゚ -゚)「続けてくらえっ!サファイアドラゴンを攻撃!」
綾瀬 LP5000→4100
川 ゚ -゚)「カードを伏せターン終了…」
綾瀬「ドローです…」
ドローカード:団結の力
綾瀬「手札から仮面竜を召喚です」
川 ゚ -゚)「下級を並べてもデビルマゼラには勝てないぞ?」
綾瀬「いえ、勝てないではなく勝つんですよ…団結の力発動!」
川 ゚ -゚)「ふむ…だが」
???(マ…ター…)
川; ゚ -゚)「…!?」
???(…スター…今は、その時では…)
川; ゚ -゚)(な…デッキから、声が…?)
???(…を信…て下さ…)
綾瀬「どうしました?」
川 ゚ -゚)「…っ、何でもない…通すから続けろ」
マゼラ「なんで正義が悪に勝てるんだろうね?正義なんて正しい事しかできないのに…」
久井(確かにデビルマンは天使に負けたけどなんで今そのことを…?)
川 ゚ -゚) LP4900→4700→3300
川 ゚ -゚)「(さっきのはいったい…)私のターン!」
ドローカード:溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム
川 ゚ -゚)(そういう事か…成程な、なるほどなるほどなるほどな…ってそれは芸人のギャグか)
川 ゚ -゚)「私は仮面竜二体を生け贄に溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムを特殊召喚する!」
綾瀬「!?」
どーもくん「俺ってただ墓地に送っただけだと不思議な事に蘇生制限かかるんだよね」
川 ゚ -゚)「ターン終了だ」
綾瀬「…ドローします」
川 ゚ -゚)「ラヴァゴの効果で1000ダメージを受けてもらう!」
綾瀬 LP4100→3100
綾瀬「(洞窟に潜む竜…サファイアドラゴンが欲しかったですね)私はモンスターを場に出し、ラヴァ・ゴーレムで攻撃…」
川 ゚ -゚)「…メイン終了時に重力解除をオープン、これによりラヴァゴは守備表示となる!」
綾瀬「…ターン終了です」
川 ゚ -゚)「私のターン…」
ドローカード:???
川 ゚ -゚)(これは…!うむむ、少しできすぎている気もするが…)
川 ゚ -゚)「私はマッド・デーモンを場に出す、裏守備モンスターに攻撃だ」
綾瀬「洞窟に潜む竜です…200の反射ダメージを受けてもらいます!」
川 ゚ -゚) LP3300→3100
川 ゚ -゚)「(くっ、だが偽装はできた…)カードを伏せターン終了だ」
綾瀬「私のターン!ドロー!」
綾瀬(これは…!)
川 ゚ -゚)「二度目の1000ダメージだ」
綾瀬 LP3100→2100
綾瀬「お好きにどうぞ…私は思い出のブランコを発動します!」
久井(墓地の真紅眼の黒竜が復活する…となると…)
綾瀬「伏せカードオープン、黒炎弾!2400のダメージです!」
川 ゚ -゚) LP3100→700
川; ゚ -゚)「ぬうっ…!」
綾瀬「更に真紅眼の黒竜を生け贄に捧げ真紅眼の闇竜を特殊召喚します!」
久井「攻撃力4800だなんて、星4の悪魔族じゃどうしようもない数値…」
綾瀬「これで終わりです!真紅眼の闇竜でヘル・ゲイナーを攻撃…!」
川 ゚ -゚)「…ふ、ははははは…」
綾瀬「な…何がおかしいんですか!?」
川 ゚ -゚)「いや、重力解除を使わずスルーしてよかったと思ってな…罠オープン!」
川 ゚ -゚)「ヘイト・バスターだ!」
川 ゚ -゚)「真紅眼の闇竜を破壊!その攻撃力分のダメージを受けてもらう!」
綾瀬「しまっ…!」
ダークネス「真紅眼は可能性をもたらすんじゃなかったんすかwwwwwwww」
ソスゲイナー「あれは劇場版の話だからなぁ、っていうか融合素材でしかなかったし…あ、俺も死ぬじゃんwwwwww」
綾瀬 LP2100→0
川 ゚ -゚)「ふう、かろうじて勝ったか…」
綾瀬「…ごめんなさい、負けちゃいました」
久井「いや、その、あの…」
川 ゚ -゚)「…突然デュエルを仕掛けてきて、一体何なんだ?」
綾瀬「…私は、この子が貴女に苦しめられていると聞いて…」
久井「そ、それは…」
川 ゚ -゚)「…確かに苦しめているのは事実だ」
川 ゚ -゚)「…だが私は久井を貶めた事など一度もない、正々堂々と戦っている…」
久井「…だから、大丈夫なんですよ…」
綾瀬「え…そ、そうだったんですか?」
久井「はい…言い出せなくてすみません」
綾瀬(な、なんて恥ずかしい事を…)
耳まで赤くなるという表現があるが、今の私はまさしくそうなっていただろう。
川 ゚ -゚)「…そうなのか、綾瀬は喧嘩をして…」
綾瀬「はい…クーさんはどう思いますか?」
川 ゚ -゚)「うーむ…単純に善意なのかもしれんぞ」
綾瀬「?」
川 ゚ -゚)「男で料理が好きな奴はそういないからな…料理を習っていたのかもしれない」
綾瀬「え…って事はつまり…」
川 ゚ -゚)「そういう事になるな」
綾瀬「…そう、だったんですか…」
綾瀬「でも、今更どの面下げて帰れば…」
川 ゚ -゚)「素直に謝る、それが一番だ」
綾瀬「…………そうですよね、でも……」
久井「あの…」
綾瀬「…何ですか?」
久井「さっきの…恥をかかせてしまったお詫びにはなりませんけど、どうぞ」
そう言うと彼はさっきの飴の入った瓶を差し出した。
…くれるというのだろうか?
久井「いいんですか?こういうのは包装を開けてしまうものでは…」
久井「…もう一つ買えばいいんです…どうぞ」
そういうと彼は瓶を開封し、一種類数個だけを私によこした。
綾瀬「(蜜柑味…?)…?」
不思議そうに見ている私を見て、彼はこう言った。
久井「…気力の湧くおまじないです」
綾瀬「よくわかりませんが、ありがとうございます…二人とも、お世話になりました……」
川 ゚ -゚)「健闘を祈る」
久井「クーさん!」
川 ゚ -゚)「…さよならだ」
久井「さよなら…」
綾瀬「はい…さようなら」
(´・ω・`)「ああ疲れた…」
久井「ショボンさん…何してたんですか?」
(´・ω・`)「在庫整理をちょっとね……もう業務やる気しないから閉店にするよ」
川 ゚ -゚)「早上がりでいいのか?」
(´・ω・`)「ん?いいよ…君もこんな日に仕事なんて本当は嫌だろう?」
川 ゚ -゚)「まあそれはそうだが…」
(´・ω・`)「じゃあ決まりだね、さようなら」
川 ゚ -゚)「さらばだ」
久井「さようなら」
川 ゚ -゚)「なあ久井」
久井「?」
川 ゚ -゚)「…金がないのではなかったのか?」
久井「あ…」
久井「……クーさん、お金貸してもらえますか?」
川 ゚ -゚)「いいぞ」
綾瀬(……帰らなければいけないんですよね……)
綾瀬(…………貰った飴でも舐めますか)
電車に乗って、飴を舐めているうちに私の心に変化が起こった。
何故かは分からないが、自然と謝ろうという気持ちになったのだ。
他愛のない蜜柑の味が、私に非を認める勇気をくれた――そんな事があるのだろうか?
綾瀬(……考えても分かりませんよね)
正々堂々と戦う彼の心飴玉に乗り移り、自身に溶け、勇気を貰った――とでもしておこう。
そう思いながら私は家に帰宅した。
あの女――観月――の靴はない。
どうやら帰ったようだ。
それにしても、電気もつけずに何をしているのだろうか?
まさか、低俗な事でも――。
そう考えていた私がドアを開けると、パンという乾いた音が響いた。
綾瀬「……?」
真哉「おかえり、綾瀬」
雷帝神「よくぞ帰られた」
音の正体はクラッカーだったのだという事を理解するまで数秒かかった。
綾瀬「……兄さん、何してるんですか?」
真哉「え?そりゃあ、綾瀬の為に……ほら」
綾瀬「こ、これって…」
テーブルの上にはクッキーやチョコレートなどが並んでいる。
形は歪でも、苦労したという事実がそれらには宿っていた。
真哉「今までは市販品を買うだけだっただけど今年ぐらいは俺も手作りを渡そう、と思ってな」
綾瀬「兄さん…ごめんなさい!私、私……」
真哉「いいんだ……綾瀬、ジュース注いで食べようか」
綾瀬「はい…」
私は幸せの絶頂にいた――雷帝神の言葉を聞くまでは。
雷帝神「…はて、歪に作ってくれと彼女に言っていたような…」
真哉(お、おい…!)
綾瀬「…はい?」
雷帝神「む?これはすべ――むがもが」
綾瀬「……兄さん?」
真哉「………あ、うん、でもさ……」
綾瀬「 に い さ ん ? 答 え て 下 さ ら な い と わ か り ま せ ん よ ? 」
真哉「……俺菓子料理なんて分かんないし、綾瀬に教えてもらったらバレちゃうし…」
真哉「俺が作ったのは全部、砂みたいな味しかしなかったんだよ!だから食べれる物を綾瀬に…」
綾瀬「成程、分かりました……」
真哉「綾瀬…!」
綾瀬「…つまりこれは全てあの人が作ったんですよね?」
綾瀬「それを私に食べろと……こんなもの!」
真哉「お、おい!食べ物を粗末にしちゃ…」
綾瀬「ふふふふふ、私はこんな愛のない物より砂が食べたかったですよ…」
真哉「あ、綾瀬…さん?」
綾瀬「彼女に手取り足取り教えて貰って、兄さんはさぞ嬉しかったでしょうね…」
真哉「す、雷帝神!助け…」
雷帝神「…あんな事を言われたとはいえ飯の恩には変えられぬ」
真哉「な…おま」
綾瀬「信也!!貴様ァッ」
真哉「!!」
綾瀬「ザンマオン!!」
真哉「ギャアッ」
雷帝神「信也君!!」
真哉「観月さ…僕…最……後まで………」
綾瀬「だまれ!!」
真哉「ちょ…タンマ、顔はやめアッー!」
…………凄惨な現場を目撃したモノは雷帝神と消費された蜜柑味の飴包みだけであった――。
了
綾瀬「ショウは終わりだ!きさまには失望したぞこのクズめ!」
小ネタの元ネタ
ファイ○ーエムブレム 烈火の剣
アドリブ店長
テイルズ オブ デスティニー2
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スターオーシャン ブルースフィア
鉄鍋のジャン(正確には的な内容)
劇場版遊戯王
ソウルドロップの幽体研究
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