最終更新:ID:+Xwrtkf4FQ 2007年11月02日(金) 15:31:34履歴
TURN-10「Black Paladin-新たなる力 精霊ブラック・パラディン」
( ^ω^) 「何で三沢がこの世界にいるんだお?」
≦`・ω・)「俺はジェネックス以来、一旦休学してさまざまな自分の道を探し始めた」
≦`・ω・)「そしてある人にデュエルについての仕事をしないかと雇ってもらったんだ」
||゚ ヮ゚ノ||「そうかにょろ、それで?」
≦`・ω・)「俺はある日雇ってくれたその人のレポートを読ませてもらったんだ。そこにはデュエルモンスターズの精霊の存在について
書かれていた」
クー「デュエルの精霊……」
≦`・ω・)「それに加え、デュエルモンスターズの精霊の棲んでいる異世界があるのではないか? という説が書かれていた」
コウ「まぁ実際あったわけだが。それでお前はどうやってここまで来たんだ?」
コウが尋ねると三沢も続いて説明する。
≦`・ω・)「俺はその人の理論に感動してな。俺も異世界を発見するのに協力した」
≦`・ω・)「そして他次元にある異世界を発見する装置も一緒に発明していたんだ」
サレナ「すごいですねぇ……」
≦`・ω・)「あぁ、そしてそれを使って俺達の世界と平行異世界、デュエルモンスターズ界を見つけた」
≦`・ω・)「俺とその人はすぐさまそこに行くための装置も研究し、開発に成功した」
ミズキ「それで完成させて、ここまで来たってわけですか……」
ヒート「(ボクたちが世界を移動するのにも決闘で発生する多大な『魔力』が必要なのに……リアルワールドの人間の技術はここまで進歩
しているというのか)」
コウ「……お前が島を出てからそんなに経ってないよな。そんな短い期間でよく出来たな」
≦`・ω・)「あぁ。理論とエネルギーだけはその人のおかげで既に揃っていたからね」
≦`・ω・)「ただこっちに行くためのエネルギーはかなり喰ってしまうんで俺一人だけ行くのが精一杯だった」
コウ「……大体の事情は飲み込めた。ところでお前は今までここで何してたんだ?」
≦`・ω・)「いやぁ……とにかくここは過酷で生き延びるのに精一杯だったよ」
≦`・ω・)「そしてしばらくここにいて気づいた。戻るあてがないと……」
サキ「……無計画だわ」
( ^ω^) 「ノープランすぎだお。アホだお」
≦`・ω・)「だが手はあるはず……エネルギーさえあればいいんだ」
≦`・ω・)「この『モナータイマー』にエネルギーを溜めることさえ出来れば俺は元の世界に戻れる」
そういうと三沢はポケットから小さな銀色のデヴァイスを取り出す。
ヒート「(ボクの……アーリーの使徒が持っている『時渡りドライブ』と同じようなものを現世の人間も作っていたのか……)」
コウ「……だがそれだと一人しか帰れないんだよな」
≦´・ω・)「そうなんだ」
コウ「ヒート、お前にはあるのか? 帰るあてが」
コウが質問するとヒートもポケットからデヴァイスを取り出す。
三沢のものとは形状や色も違っていた。
ヒート「……ボクも三沢と同じようなものを持ってる。時渡りドライブって言うんだけど」
ヒート「これだと全員をあっちに帰すことも出来る」
ヒート「だけど魔力、三沢のいうエネルギーが圧倒的に足りない!」
クー「エネルギーってどうすれば手に入るの?」
ヒート「デュエルする時に生じる魔力が必要なんだ。ストックもないし」
サレナ「じゃあここでみんなでデュエルをし続ければ……」
ヒート「それは多分難しい。この世界でのデュエルは本物の決闘なんだ、とにかく危ない」
ヒート「それに本当に相手を倒そうとする闘志のようなものが必要になる」
ヒート「もし出来たとしてもどれくらい時間がかかるか……」
サキ「アカデミアなら沢山の連中が本気でデュエルをしていたから早く集められたのね」
ヒート「まぁリアルだと集まりがここでのデュエルより少し悪いんだけどね」
クー「もしかして私達とデュエルしたのは魔力を集めるため?」
ヒート「その通り。だけど魔力を集めすぎたみたいだった。おかげでかなり多くの人を連れてきてしまった……ごめん」
ヒートが苦悶の表情でみんなに謝る、まだ気にしているのだろう。
コウ「もう謝らなくていいって、協力してくれるんだからいいじゃないか」
(;^ω^) 「そ、そうだお。兄貴の言うとおりだお」
ミズキ「…………」
コウ「それじゃあ戻るあてはないのか?」
ヒート「いや、魔力のストックがどこかにあるはず」
ヒート「精霊村や、ボク達『アーリーの使徒』の本拠地とか……後者は危険だけどそっちのほうが量の保障が出来る」
サレナ「つまりそのどちらかに行けばいいんですね」
(;^ω^) 「……過酷な旅になりそうだお」
クー「だけどやるしかない! 元の世界に戻るためには……」
クー「そうだよね、ヒートちゃん」
ヒート「うん、ボクが必ずみんなを守るから。だから皆もボクに付き合ってもらわなくちゃいけないんだけど……」
コウ「わかった。みんな、いいよな」
クー「うん!」
( ^ω^) 「もちろんだお!」
ミズキ「ま、それしか方法がありませんからねぇ……」
サレナ「は、はい」
||゚ ヮ゚ノ||「にょろ〜ん」
≦`・ω・)「俺も協力しよう」
サキ「…………」
みんながコウに賛同をするが、サキだけは黙ったままだった。
コウ「どうした、サキ?」
サキ「もし私達が元の世界に帰れたとしても、私達の世界はヒートさん達に攻め入られるのよ」
サキ「そんなんで私達は戻る意味があるの?」
コウ「あっ……」
ヒート「…………」
サキがそう言うと皆が沈黙する。
サキ「ヒートさん、あなた達は確実に私達の世界を滅ぼせる確証はあるの?」
ヒート「……この世界とあちらの世界を永久に繋げる計画が進んでいる」
ヒート「それが成功してあちらの世界にデュエルモンスターズの精霊を放てば、人間の戦闘力じゃ倒すのは不可能だ」
ヒート「精霊は人を襲い、そして人は虐げられると思う。アーリーの使徒の手によって」
それを聞いたみんなは沈黙し、深刻なムードが漂う。
もし戻ったとしてもどうしようもない……悲痛な、滅びの未来が待っているのだった。
ヒートの口からそのことが告げられ、皆ショックを受ける。
ヒート「完全に繋がるのはそっちの時間で2012年頃の予定らしいです……」
≦`・ω・)「(マヤ暦で2012年に地球が滅亡するというものがあったがもしかしてこれを指していたのだろうか)」
(;^ω^) 「そんなんじゃどうしようもないお……どっちにしろ5年後に僕たちは……」
ミズキ「そうですね。死にます、滅びます、殺されますね」
コウ「お前ら、今はそのことはいい! とにかく今は帰ることだけを考えるんだ!」
みんなが絶望に浸る中、コウが急にみんなに向かって叫ぶ、いきなりだったのでみんなは驚いた。
コウはヒートがみんなに攻められるのを極力避けようとしていた、今のもそういう空気を変えるためだろう。
クー「コウの言うとおりだよ! 今はまず帰ることを考えよう!」
クーもコウに賛同する、決してただ付和雷同したわけではなく心からクーはそう思っているのだ。
コウ「ヒート! これから俺達はどうすればいい!?」
コウが戸惑ってるヒートに尋ねる。
ヒート「……まずは近くにある精霊の村を目指そう。えっと……」
ヒート「これだ、シャームカード! エールズマップ!
ヒートが何かのカードのようなものを取り出すとそこにソリッドビジョンの地図が表示される。
サレナ「地図が……便利ですねぇ」
ヒート「ここから北西の方向に5km。そこにジェリー村っていう精霊の村がある」
サキ「遠いのか近いのか……」
≦`・ω・)「そうだ、そういえば俺もそこから来たんだった」
( ^ω^) 「何をしていたんだお? 三沢」
≦`・ω・)「水と食料をそこで確保していたんだ」
サキ「どうやって? ただで貰えるの?」
≦`・ω・)「いや、カードと交換をしていた」
サレナ「そ、そんなことが出来るんですか……」
≦`・ω・)「あぁ、おかげで今はカードもディスクも全部ないけどな」
ミズキ「(デュエリストの魂のカードを売るとは……まぁこの場合仕方ないのかもしれませんがね)」
クー「校舎の中には保存食料が何故かあったけど、それもあまりないし……」
||゚ ヮ゚ノ||「お腹空いたにょろ〜……」
コウ「よし、まずは食料調達だ」
ヒート「お金はどうにかなる。だからボクがその村へ行って来るよ」
コウ「一人でか? ダメだ。俺も行く」
クー「私も!」
ヒート「いや、ボクだけで行く! 道中には野性の精霊もいるから危ない!」
ヒート「戦えるのはボクしかいない! だからボクだけで……」
ミズキ「だとしても荷物持ちは必要でしょう。決して足手まといにはなりませんから何人かで行きましょう」
ヒートはしばらく考えていたが、こう結論を出す。
ヒート「わかった。だけど二人までだ……それ以上はボクが守りきれない」
ヒート「(守るといってもボクもかなり魔力を消費している。精霊に出くわさないのが一番なんだけど……!)」
ヒート「(守りきれるかわからない、だけどやるしかない!)」
コウ「じゃあ俺と……」
クー「わたしが行く!」
ミズキ「いいえクーさん。あなたは残ってください」
突然ミズキがそう言ったのでクーはムッとした。
クー「何で!?」
ミズキ「荷物持ちですよ? 男が行ったほうがいいに決まってるでしょう。僕がコウ君と行きますよ」
クー「わたしだって荷物持ちくらい出来る! こう見えても力はあるんだから」
コウ「クー、わがまま言うな。お前は残れ」
クー「コウまで……!」
コウ「危ないらしいし、俺はお前が心配だから言ってるんだ、頼むよ」
コウに説得されたクーはしばし考えていたが、渋々納得することにした。
クー「くっ! わかったよコウ。だけど必ず戻ってきてよ!」
クー「(コウと行きたかったのに……あぁ、もう! わたしだってコウが心配なのに……!)」
クー「(それをコウ……ひどいよ。心配してくれたんだろうけど……それでも行きたかった)」
クーは怒って校舎のほうへ行ってしまった。
( ^ω^) 「いいのかお? 兄貴」
コウ「あぁ、だけどここにいるからって安心は出来ない。さっきのケルベクみたいにモンスターが現れるかもしれない」
コウ「ブーン、三沢。男のお前達がしっかりしてくれないとな、頼むぜ」
( ^ω^) 「了解したお」
≦`・ω・)「あぁ、わかった」
サレナ「コウさん、ミズキさん、ヒートさん。気をつけてくださいね」
||゚ ヮ゚ノ||「がんばってご飯取ってくるにょろ〜」
サキ「コウ……」
コウ「何だ? サキ」
サキは手を出してコウ何か言おうと口を開くが、俯いて言うのをやめてしまう。
サキ「いえ……何でもないわ。気をつけて」
コウ「あぁ。じゃあ行こうか、ヒート、ミズキ」
ミズキ「えぇ」
ヒート「(どうか野性精霊が出ませんように……)」
ヒートはただそれだけを祈って村へと向かった。
サキ「(次に帰ってきたときこそ言わなきゃ……)」
三人を見送っているサキは心の中でそう呟いていた。
コウ達が荒野を北西に向かって歩く。
見渡す限り本当に地平線だった。
コウ、ミズキ、ヒートは歩きながら話をしている。
コウ「5kmだったよな。どれくらいかかるかな……」
ミズキ「走れば20分くらいでいけそうですが。まぁゆっくり行って一時間ってところでしょうか」
コウ「そんなもんか、いざキロとかで言われるとわからないものだな。なぁ、ヒート」
ヒート「……え、何?」
コウ「いや、何でもない」
ヒートは上の空のようだった。
実際には上の空というわけではなく、周りを警戒しているようである。
ミズキ「ヒートさん大丈夫ですか? さっきの戦闘で疲弊していたようでしたが」
ヒート「……ボクは大丈夫、気にしないで」
ミズキ「そうですか、わかりました」
コウ達が20分くらい歩いたくらいだろうか。
前から何かの影がこっちに向かっているのが見えた。
ヒート「精霊ッ!」
それは角を頭に生やした二足歩行の獅子のようだった。
幻獣王ガゼルである。
ミズキ「ガゼル……ですか」
ヒート「くっ! 倒すしかない!」
コウ「ヒート、質問がある」
ヒート「何?」
コウ「こういうのってデュエルするだけじゃだめなのか?」
ヒート「確かにデュエルすれば弱らせて有利にすることは出来るけど、とどめをさすことは出来ない」
ヒート「とどめをささないとまた何度でも襲ってくる。倒すには精霊を使うしかないんだ!」
コウ「……俺には無理か?」
ヒート「え?」
ミズキ「(ほぅ……)」
コウ「俺にはその精霊は出せないのか?」
ヒート「……出せるかもしれない。でも確証がないし、危険すぎる!」
ヒート「何より現世の人間に精霊が出せた前例がない、出せるかがわからない」
ヒート「もし出せたとしても訓練していないから相手を倒すことは難しい、いや無理だ! やっぱりボクがやる!」
コウ「……とりあえず俺にデュエルだけやらせてくれ。そこからいろいろ試してみる」
ミズキ「来ましたよ! コウ君、ヒートさん!」
ガゼルはもう目と鼻の先のところまで来ていた。
コウがガゼルの前へと立ちはだかる。
コウ「俺が相手だ! ガゼル!」
ガゼルは走るのを止めてコウに話しかける。
ガゼル「ほぅ……お前この世界の人間じゃないな。臭いでわかるぞ」
ガゼル「弱そうだな、殺して喰ってやろう。だがその前に……」
ガゼルがそう言うとガゼルの腕からデュエルディスクが生える。
コウ「(うっ……ディスクが生えてくるなんて……)いくぜ!」
コウも左手のデュエルディスクを展開させる。
コウ「デュエル!」ガゼル
( ^ω^) 「何で三沢がこの世界にいるんだお?」
≦`・ω・)「俺はジェネックス以来、一旦休学してさまざまな自分の道を探し始めた」
≦`・ω・)「そしてある人にデュエルについての仕事をしないかと雇ってもらったんだ」
||゚ ヮ゚ノ||「そうかにょろ、それで?」
≦`・ω・)「俺はある日雇ってくれたその人のレポートを読ませてもらったんだ。そこにはデュエルモンスターズの精霊の存在について
書かれていた」
クー「デュエルの精霊……」
≦`・ω・)「それに加え、デュエルモンスターズの精霊の棲んでいる異世界があるのではないか? という説が書かれていた」
コウ「まぁ実際あったわけだが。それでお前はどうやってここまで来たんだ?」
コウが尋ねると三沢も続いて説明する。
≦`・ω・)「俺はその人の理論に感動してな。俺も異世界を発見するのに協力した」
≦`・ω・)「そして他次元にある異世界を発見する装置も一緒に発明していたんだ」
サレナ「すごいですねぇ……」
≦`・ω・)「あぁ、そしてそれを使って俺達の世界と平行異世界、デュエルモンスターズ界を見つけた」
≦`・ω・)「俺とその人はすぐさまそこに行くための装置も研究し、開発に成功した」
ミズキ「それで完成させて、ここまで来たってわけですか……」
ヒート「(ボクたちが世界を移動するのにも決闘で発生する多大な『魔力』が必要なのに……リアルワールドの人間の技術はここまで進歩
しているというのか)」
コウ「……お前が島を出てからそんなに経ってないよな。そんな短い期間でよく出来たな」
≦`・ω・)「あぁ。理論とエネルギーだけはその人のおかげで既に揃っていたからね」
≦`・ω・)「ただこっちに行くためのエネルギーはかなり喰ってしまうんで俺一人だけ行くのが精一杯だった」
コウ「……大体の事情は飲み込めた。ところでお前は今までここで何してたんだ?」
≦`・ω・)「いやぁ……とにかくここは過酷で生き延びるのに精一杯だったよ」
≦`・ω・)「そしてしばらくここにいて気づいた。戻るあてがないと……」
サキ「……無計画だわ」
( ^ω^) 「ノープランすぎだお。アホだお」
≦`・ω・)「だが手はあるはず……エネルギーさえあればいいんだ」
≦`・ω・)「この『モナータイマー』にエネルギーを溜めることさえ出来れば俺は元の世界に戻れる」
そういうと三沢はポケットから小さな銀色のデヴァイスを取り出す。
ヒート「(ボクの……アーリーの使徒が持っている『時渡りドライブ』と同じようなものを現世の人間も作っていたのか……)」
コウ「……だがそれだと一人しか帰れないんだよな」
≦´・ω・)「そうなんだ」
コウ「ヒート、お前にはあるのか? 帰るあてが」
コウが質問するとヒートもポケットからデヴァイスを取り出す。
三沢のものとは形状や色も違っていた。
ヒート「……ボクも三沢と同じようなものを持ってる。時渡りドライブって言うんだけど」
ヒート「これだと全員をあっちに帰すことも出来る」
ヒート「だけど魔力、三沢のいうエネルギーが圧倒的に足りない!」
クー「エネルギーってどうすれば手に入るの?」
ヒート「デュエルする時に生じる魔力が必要なんだ。ストックもないし」
サレナ「じゃあここでみんなでデュエルをし続ければ……」
ヒート「それは多分難しい。この世界でのデュエルは本物の決闘なんだ、とにかく危ない」
ヒート「それに本当に相手を倒そうとする闘志のようなものが必要になる」
ヒート「もし出来たとしてもどれくらい時間がかかるか……」
サキ「アカデミアなら沢山の連中が本気でデュエルをしていたから早く集められたのね」
ヒート「まぁリアルだと集まりがここでのデュエルより少し悪いんだけどね」
クー「もしかして私達とデュエルしたのは魔力を集めるため?」
ヒート「その通り。だけど魔力を集めすぎたみたいだった。おかげでかなり多くの人を連れてきてしまった……ごめん」
ヒートが苦悶の表情でみんなに謝る、まだ気にしているのだろう。
コウ「もう謝らなくていいって、協力してくれるんだからいいじゃないか」
(;^ω^) 「そ、そうだお。兄貴の言うとおりだお」
ミズキ「…………」
コウ「それじゃあ戻るあてはないのか?」
ヒート「いや、魔力のストックがどこかにあるはず」
ヒート「精霊村や、ボク達『アーリーの使徒』の本拠地とか……後者は危険だけどそっちのほうが量の保障が出来る」
サレナ「つまりそのどちらかに行けばいいんですね」
(;^ω^) 「……過酷な旅になりそうだお」
クー「だけどやるしかない! 元の世界に戻るためには……」
クー「そうだよね、ヒートちゃん」
ヒート「うん、ボクが必ずみんなを守るから。だから皆もボクに付き合ってもらわなくちゃいけないんだけど……」
コウ「わかった。みんな、いいよな」
クー「うん!」
( ^ω^) 「もちろんだお!」
ミズキ「ま、それしか方法がありませんからねぇ……」
サレナ「は、はい」
||゚ ヮ゚ノ||「にょろ〜ん」
≦`・ω・)「俺も協力しよう」
サキ「…………」
みんながコウに賛同をするが、サキだけは黙ったままだった。
コウ「どうした、サキ?」
サキ「もし私達が元の世界に帰れたとしても、私達の世界はヒートさん達に攻め入られるのよ」
サキ「そんなんで私達は戻る意味があるの?」
コウ「あっ……」
ヒート「…………」
サキがそう言うと皆が沈黙する。
サキ「ヒートさん、あなた達は確実に私達の世界を滅ぼせる確証はあるの?」
ヒート「……この世界とあちらの世界を永久に繋げる計画が進んでいる」
ヒート「それが成功してあちらの世界にデュエルモンスターズの精霊を放てば、人間の戦闘力じゃ倒すのは不可能だ」
ヒート「精霊は人を襲い、そして人は虐げられると思う。アーリーの使徒の手によって」
それを聞いたみんなは沈黙し、深刻なムードが漂う。
もし戻ったとしてもどうしようもない……悲痛な、滅びの未来が待っているのだった。
ヒートの口からそのことが告げられ、皆ショックを受ける。
ヒート「完全に繋がるのはそっちの時間で2012年頃の予定らしいです……」
≦`・ω・)「(マヤ暦で2012年に地球が滅亡するというものがあったがもしかしてこれを指していたのだろうか)」
(;^ω^) 「そんなんじゃどうしようもないお……どっちにしろ5年後に僕たちは……」
ミズキ「そうですね。死にます、滅びます、殺されますね」
コウ「お前ら、今はそのことはいい! とにかく今は帰ることだけを考えるんだ!」
みんなが絶望に浸る中、コウが急にみんなに向かって叫ぶ、いきなりだったのでみんなは驚いた。
コウはヒートがみんなに攻められるのを極力避けようとしていた、今のもそういう空気を変えるためだろう。
クー「コウの言うとおりだよ! 今はまず帰ることを考えよう!」
クーもコウに賛同する、決してただ付和雷同したわけではなく心からクーはそう思っているのだ。
コウ「ヒート! これから俺達はどうすればいい!?」
コウが戸惑ってるヒートに尋ねる。
ヒート「……まずは近くにある精霊の村を目指そう。えっと……」
ヒート「これだ、シャームカード! エールズマップ!
ヒートが何かのカードのようなものを取り出すとそこにソリッドビジョンの地図が表示される。
サレナ「地図が……便利ですねぇ」
ヒート「ここから北西の方向に5km。そこにジェリー村っていう精霊の村がある」
サキ「遠いのか近いのか……」
≦`・ω・)「そうだ、そういえば俺もそこから来たんだった」
( ^ω^) 「何をしていたんだお? 三沢」
≦`・ω・)「水と食料をそこで確保していたんだ」
サキ「どうやって? ただで貰えるの?」
≦`・ω・)「いや、カードと交換をしていた」
サレナ「そ、そんなことが出来るんですか……」
≦`・ω・)「あぁ、おかげで今はカードもディスクも全部ないけどな」
ミズキ「(デュエリストの魂のカードを売るとは……まぁこの場合仕方ないのかもしれませんがね)」
クー「校舎の中には保存食料が何故かあったけど、それもあまりないし……」
||゚ ヮ゚ノ||「お腹空いたにょろ〜……」
コウ「よし、まずは食料調達だ」
ヒート「お金はどうにかなる。だからボクがその村へ行って来るよ」
コウ「一人でか? ダメだ。俺も行く」
クー「私も!」
ヒート「いや、ボクだけで行く! 道中には野性の精霊もいるから危ない!」
ヒート「戦えるのはボクしかいない! だからボクだけで……」
ミズキ「だとしても荷物持ちは必要でしょう。決して足手まといにはなりませんから何人かで行きましょう」
ヒートはしばらく考えていたが、こう結論を出す。
ヒート「わかった。だけど二人までだ……それ以上はボクが守りきれない」
ヒート「(守るといってもボクもかなり魔力を消費している。精霊に出くわさないのが一番なんだけど……!)」
ヒート「(守りきれるかわからない、だけどやるしかない!)」
コウ「じゃあ俺と……」
クー「わたしが行く!」
ミズキ「いいえクーさん。あなたは残ってください」
突然ミズキがそう言ったのでクーはムッとした。
クー「何で!?」
ミズキ「荷物持ちですよ? 男が行ったほうがいいに決まってるでしょう。僕がコウ君と行きますよ」
クー「わたしだって荷物持ちくらい出来る! こう見えても力はあるんだから」
コウ「クー、わがまま言うな。お前は残れ」
クー「コウまで……!」
コウ「危ないらしいし、俺はお前が心配だから言ってるんだ、頼むよ」
コウに説得されたクーはしばし考えていたが、渋々納得することにした。
クー「くっ! わかったよコウ。だけど必ず戻ってきてよ!」
クー「(コウと行きたかったのに……あぁ、もう! わたしだってコウが心配なのに……!)」
クー「(それをコウ……ひどいよ。心配してくれたんだろうけど……それでも行きたかった)」
クーは怒って校舎のほうへ行ってしまった。
( ^ω^) 「いいのかお? 兄貴」
コウ「あぁ、だけどここにいるからって安心は出来ない。さっきのケルベクみたいにモンスターが現れるかもしれない」
コウ「ブーン、三沢。男のお前達がしっかりしてくれないとな、頼むぜ」
( ^ω^) 「了解したお」
≦`・ω・)「あぁ、わかった」
サレナ「コウさん、ミズキさん、ヒートさん。気をつけてくださいね」
||゚ ヮ゚ノ||「がんばってご飯取ってくるにょろ〜」
サキ「コウ……」
コウ「何だ? サキ」
サキは手を出してコウ何か言おうと口を開くが、俯いて言うのをやめてしまう。
サキ「いえ……何でもないわ。気をつけて」
コウ「あぁ。じゃあ行こうか、ヒート、ミズキ」
ミズキ「えぇ」
ヒート「(どうか野性精霊が出ませんように……)」
ヒートはただそれだけを祈って村へと向かった。
サキ「(次に帰ってきたときこそ言わなきゃ……)」
三人を見送っているサキは心の中でそう呟いていた。
コウ達が荒野を北西に向かって歩く。
見渡す限り本当に地平線だった。
コウ、ミズキ、ヒートは歩きながら話をしている。
コウ「5kmだったよな。どれくらいかかるかな……」
ミズキ「走れば20分くらいでいけそうですが。まぁゆっくり行って一時間ってところでしょうか」
コウ「そんなもんか、いざキロとかで言われるとわからないものだな。なぁ、ヒート」
ヒート「……え、何?」
コウ「いや、何でもない」
ヒートは上の空のようだった。
実際には上の空というわけではなく、周りを警戒しているようである。
ミズキ「ヒートさん大丈夫ですか? さっきの戦闘で疲弊していたようでしたが」
ヒート「……ボクは大丈夫、気にしないで」
ミズキ「そうですか、わかりました」
コウ達が20分くらい歩いたくらいだろうか。
前から何かの影がこっちに向かっているのが見えた。
ヒート「精霊ッ!」
それは角を頭に生やした二足歩行の獅子のようだった。
幻獣王ガゼルである。
ミズキ「ガゼル……ですか」
ヒート「くっ! 倒すしかない!」
コウ「ヒート、質問がある」
ヒート「何?」
コウ「こういうのってデュエルするだけじゃだめなのか?」
ヒート「確かにデュエルすれば弱らせて有利にすることは出来るけど、とどめをさすことは出来ない」
ヒート「とどめをささないとまた何度でも襲ってくる。倒すには精霊を使うしかないんだ!」
コウ「……俺には無理か?」
ヒート「え?」
ミズキ「(ほぅ……)」
コウ「俺にはその精霊は出せないのか?」
ヒート「……出せるかもしれない。でも確証がないし、危険すぎる!」
ヒート「何より現世の人間に精霊が出せた前例がない、出せるかがわからない」
ヒート「もし出せたとしても訓練していないから相手を倒すことは難しい、いや無理だ! やっぱりボクがやる!」
コウ「……とりあえず俺にデュエルだけやらせてくれ。そこからいろいろ試してみる」
ミズキ「来ましたよ! コウ君、ヒートさん!」
ガゼルはもう目と鼻の先のところまで来ていた。
コウがガゼルの前へと立ちはだかる。
コウ「俺が相手だ! ガゼル!」
ガゼルは走るのを止めてコウに話しかける。
ガゼル「ほぅ……お前この世界の人間じゃないな。臭いでわかるぞ」
ガゼル「弱そうだな、殺して喰ってやろう。だがその前に……」
ガゼルがそう言うとガゼルの腕からデュエルディスクが生える。
コウ「(うっ……ディスクが生えてくるなんて……)いくぜ!」
コウも左手のデュエルディスクを展開させる。
コウ「デュエル!」ガゼル
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