質疑応答の役割とコツ

質問する側

(1) 質疑応答の役割は二つあります。一つは、相手のスピーチの中で聞き取れなかったところを確認するための質問です。もう一つは、戦略的に質問をし、自分が欲しい答えを相手から引き出すための質問です。
  • 確認のための質問例
A:二つのメリットのラベルをそれぞれもう一度言ってください。

B:はい。メリット1は「省エネ」、メリット2は「経済効果」です。

  • 戦略的な質問の例
A:先ほど、サマータイム制度を導入すれば「余暇時間の拡大による経済効果がある」とおっしゃいましたね。

B:はい。

A:つまり人々がたくさんお金を使うようになるということですか?

B:そうです。消費が拡大します。

A:お金をたくさん使うことはいいことなんですね?

B:ええ。経済発展につながりますから。

A:でも、肯定側が主張するもう一つのメリットは、「省エネ」ですよね。つまり、エネルギーの消費にお金を使わないということですね。一方で消費の抑制を主張して、一方で消費の活性化を主張するのは矛盾ではありませんか?

B:それは、ええと・・・


(2) 質問で引き出した答えで、自分たちの議論に利用できるものは反駁スピーチに反映させましょう。質問時間に話されたことでも、以降の反駁スピーチにそれが反映されていなければ有効な議論と認められませんので注意してください。
  • 否定側第一反駁での例
先ほど、我々の質問の質問に対し、肯定側は答えることはできませんでした。それは肯定が自分たちの主張が矛盾していることに気づいてしまったからです。肯定側の主張する「省エネ」と「経済効果」は矛盾するのです。経済発展とはつまり、エネルギーをたくさん消費することだからです・・・


(3) 質問時間は限られていますから、単なる確認のための質問はできるだけ少なくし、時間を有効利用しましょう。そのために、準備時間にチームのメンバー同士で確認し、しなくてもよい質問は減らしましょう。

(4) 質問は一回につき一つにしましょう。一回の質問でたくさんのことを質問すると、相手が答えるのに間がかかり、大切な時間を浪費してしまいます。

(5) 質問の際は過度に攻撃的にならずに、穏やかに話しましょう。ディベートではコミュニケーション上の礼儀も忘れずに。
  • 悪い例
A:台湾で過去にサマータイム制度が行われたことがありますよね。

B:ええと・・・ありません。

A:えっ、ウソだ!ありますよ。ウソつき!

  • 良い例
A:台湾で過去にサマータイム制度が行われたことがありますよね。

B:ええと・・・ありません。

A:いいえ、これは事実です。民国34年から68までに断続的に行われていました。そんな基本的な事実もしらなかったんですか?


(6) 相手がすぐに質問に答えられずに資料を探し始めたり、考え込んだりした場合は、その質問をあきらめ、次の質問に移った方がよいかもしれません。大切な時間が失われるからです。
A:サマータイムを導入すると、台湾ではどのぐらいの省エネ効果があるのですか?具体的な数字はありますか。

B:ええと・・・、ええと・・・(沈黙)

A:ではこの質問は結構です。次の質問に行きます。


(7) 質問に対して、相手が過剰に説明したり主張したりする場合があります。そのような場合は相手の話を止めてもいいです。
A:メリット1は何ですか。もう一度言ってください。

B:メリット1は「省エネ」です。発生過程と重要性を言いますと、・・・

A:すみません。ラベルだけで結構です。では次の質問。


(8) 質問する内容も、反駁と同様、試合の前に予め準備することが大切です。相手のいろいろな立論を想定し、それに対応する質問を前もって準備しておきましょう。質問時間になってから何を質問してよいのか分からないということがないようにしてください。

質問に答える側

(1) 質問に答える人は立論担当のディベーターですから、当然自分の話した立論についてきちんと説明できなければなりません。それができなければ説得力が極めて低くなります。

(2) 質問に答える際は攻撃的にならずに、穏やかに話しましょう。ディベートではコミュニケーション上の礼儀も必要です。また、答える側に質問する権利はありませんので注意してください。

(3) 相手の質問の意味が分からなければ、もう一度繰り返してもらいましょう。
A:サマータイムを導入すると、台湾ではどのぐらいの省エネ効果があるのですか?具体的な数字はありますか。

B:すみませんが、もう一度言ってもらえますか?

  
A:サマータイム制度が行われたら、みんな睡眠不足になり、国民に健康上の問題が出ませんか。

B:すみません。質問の意味が分からないんですが。

 
(4) すぐに答えられない場合や分からない場合はそれを相手に伝えましょう。無理に答えようとしないで、正直に言うことも大切です。
A:過去にサマータイム制が導入された国で、現在行われなくなったのはなぜですか?

B:ええと・・・すみません。その点についてはよく分かりません。

 
(5) 相手の質問の意図を良く考えましょう。それが戦略的に行われた質問ならば、どうやったらうまく逃げられるかを考えましょう。
  • 下手な答え方(相手の作戦にひっかかっている)
A:過去にサマータイム制が導入された国で、現在行われなくなったのはなぜですか?

B:その国では必要がないと判断されたんでしょう。

A:そうですね。そして、台湾もそのような国の一つですよね。つまり、台湾にはサマータイム制度は必要ないと判断されたわけですよね。

B:それは、ええと・・・

  • 上手な答え方(相手の作戦を見抜いて、うまく逃げている)
A:過去にサマータイム制が導入された国で、現在行われなくなったのはなぜですか?

B:理由はいろいろあると思いますし、国によって違うでしょうね。

A:台湾もそうですよね。台湾も、過去にサマータイム制度は必要がないと判断したから止めたわけですよね。

B:その当時の台湾の状況に合わなかったのだと思います。当時と現在とでは社会状況がまったく違いますから、同じようには論じられません。


(6)  相手から受けそうな質問を前もって予想しておきましょう。質問されてから考えるのではなく、予め考えておけば、相手の戦略に乗せられることも防げます。

(7) 相手からの質問が、逆に自分たちに有利な場合もあります。その場合は、その場を利用し、積極的にアピールしましょう。

(8) 質問に対してウソをつくのは重大なルール違反です。また、その場限りの言い逃れをすれば、審判からの印象が悪くなりますので注意して下さい。

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