ゆらぎの神話百科事典

「悪鬼」とはモロレクのことである。彼らの忌まわしき始祖は~
ゲヘナとルスクォミーズとの間に生まれた。

【食鬼人バルガラッド】
アルセスバハル二世に仕えた毒見役にして護衛兵。猫騎士ミューンとともに悪鬼討伐を行う。
食鬼人の異名は彼が悪鬼の肉を好んで食したという伝説による。
伝説によればかつて王を暗殺するために料理に混ぜられた悪鬼の肉(猛毒)を毒見したとき、
彼はその味わいに魅せられ、その肉を再び食べたいが為に猫騎士ミューン率いる悪鬼討伐軍に参加した。
彼の人間離れした強靭な胃袋は、古き神ピュクティェトの加護の賜物だとも伝えられる。

モロレクは獣の尾と蝙蝠のような翼を持ち、鋭い牙を持つ悪鬼。
『ルスクォミーズの娘たち』の異名の通り、女性のように見える。

無貌であり、表皮はタイツやラバースーツの様な光沢と質感を帯びている。

『悪鬼』はモロレクを指す言葉にもなっていることから、
しだいにモロレクが数を減らして少数となり、『悪鬼』の一部として
一緒くたにまとめて考えられるようになったことがわかる。
これは偽犬（弓を操り、犬の頭部を持つ人型怪物）が真犬を根絶やしにしたことで
『犬』という言葉自体が偽犬と真犬両方を指す言葉になった過程と似ている。

　グレンデル?、ダイン?の力を借りて曰く。

　モロレクは未来からやってくる。これは遥か遠くの未来にモロレクが存在するというわけでもあるが、私達が時を経れば(即ち、時間を前進するとき)、彼らは未来にいて、我々と衝突する。 けれど、モロレクは時間を逆行しない。これは、単に我々の時間は時間ドロボウに奪われなくとも加速する傾向にあり、モロレクのみが逃れうるという話だ。

ゲヘナとルスクォミーズとの間に生まれたモロレク(悪鬼)どもは絶滅し、現在では或る意味で伝説上の存在と言える。
その代わりある種の犯罪組織がモロレクの名で呼ばれるようになっている。

最初のモロレク(犯罪組織)は実際のモロレク(悪鬼)が生存していた時代にあったという。場所はリクシャマー帝国。
そして様々な系列のモロレク(犯罪組織)が生まれ、世界に広がっていくのである…。

彼らはあろうことかその忌まわしい入団儀礼を神々の名の元で行う。
これは邪悪なる犯罪者集団に服従することを聖なる神々にかけて誓う、
という悪魔崇拝に勝るとも劣らぬ冒涜行為である。~
この不浄極まりない悪行は、一説には裏社会の王者でもあったマグドゥール・ドゥ・ギボンによって創始されたという。
このリクシャマー帝国の商人は自分がセルラ・テリス女神を創造したと言った涜神者であった。 ~

その儀式は名を【杯儀】といい、主に酒を注がれた杯が使われる。
この杯を入団者と団長とが交わすことで入団者とモロレク(犯罪者組織)との契約が成立する。
この契約は「血のつながり」や「家族」「一家」等という呼び名で表現されるように、擬似的な血縁関係である。
一口に杯儀といってもモロレクの系列によって手順や様式が若干違う。
また杯儀は入団儀式以外の時、例えば誰かが後を継いで新しい団長になる時にも行われる。