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  • 149【】 3/9 - 13/04/26 22:41:16 - ID:RA9NTAFNBQ



    「こんにちは、プリシッラさん」
    「あ、トリエラ。ヒルシャーさんだったら今資料室に行ってるよ〜。呼んできてあげようか?」
     明るく軽く元気よく。いつもの調子で応えた愛の堕天使に、
    ツインテールの優等生は礼儀正しくそれを遮る。
    「いえ、いいんです。今日はプリシッラさんと二課の皆さんに差し入れを持ってきたんですから」
    「へ?差し入れ?」
    「どうぞ。クラエス特製の “ロシアンルーレット・クッキー” です」
    「――はい?」
     妙に既視感を覚える少女の台詞にプリシッラの本能が黄色信号を点滅させた。
    少女が差し出した小さなバスケットには直径4センチ程のきっちりと積み上げた赤いクッキーが20枚。
     ―――なんだかステキにヤバイ予感がするんですけど?
    「あの、なんかスゴイ赤いんだけど…これ、ナニが入ってるのか…な…?」
    「唐辛子ですよ。ハバネロとかいう種類だそうです」
     ――ハバネロ。東洋の島国では『暴君ハバネロ』の異名を取る、激辛の誉れ高き唐辛子。
    「昨日は随分と楽しいお茶会だったと担当官に聞きましたから、私たちも真似してみようかと。
    でも全く同じパターンでは芸がないですから、ひとひねりしてみました。
    20枚のうち19枚がハバネロクッキーで、一枚だけ辛くないパプリカクッキーが入っています。
    どうぞ一個ずつ取っていってください。誰が一番運がいいのか、運試しですよ」 
     ひねらなくていい、ひねらなくていい。
    自分がタルトを勧めた時のセリフを変化球で返されて、愛の堕天使は引きつった笑いを浮かべる。
     勿論、義体は公社の人間に危害を加えないように条件付けされているのだから、
    この真っ赤なクッキーも生命の危機に立たされるようなシロモノではないだろう。――そのはずだ。
     しかし相手は義体一条件付けの緩いトリエラである。
    『クラエス特製』と言ってもおそらくトリエラ自身も手伝ったであろうし、
    その際このクッキーの肝であるところのハバネロの量が彼女によって決められたとすれば、
    結構スゴイ事になっている可能性は高い。

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