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150.【】4/9 - 13/04/26 22:43:15 - ID:RA9NTAFNBQ
なんとかして危険を回避しようと、愛の堕天使はお愛想笑いのまま人差し指を立てて優等生に指摘する。
「ええと、でもトリエラ、そしたらヒルシャーさんにもその激辛クッキーが当たる可能性があるじゃん?
昨日に続けて辛いお菓子って、ヒルシャーさんが気の毒じゃないかなあ」
「大丈夫です。ヒルシャーさんの分は私が代わりに食べますから」
きっぱりと答えるトリエラ。
担当官の身代わりは義体の本領。とは言え、担当官に反抗的なことで有名だった彼女が、
わざわざこんな手間ひまかけてヒルシャーの仇を討ちにくるとは。
乙女心って変わるものよねとからかってやりたい所だが、
ちょっとこの場でそれを口にするのは命が惜しい。
「自分にだけ分かるように目印がつけてあるんじゃねぇの?」
度胸の使い所を間違えているジョルジョが疑わしげにそう言えば、
少女はにこりともせずに生真面目に答える。
「そんな卑怯な真似はしませんよ。私は皆さんが選んだ後で、最後の一個をいただきます。
それなら公平でしょう」
相打ち上等。少女の背後に立ち昇る不穏なオーラに課員たちは思わずたじろぐ。
「えーと俺は課長に報告に行くから……」
「オレも資料取りに行かなくちゃ……」
「ではどうぞ最初に選んでください」
「う……」
下手な言い訳で逃げ出そうとしたアマデオとアルフォンソは、
目の前に突き出されたバスケットに進路を塞がれる。
助けを求めて周囲を見回すが、無論援軍はない。
何で俺らがこんな目に。
昨日彼女の担当官の有様にひとかけらの同情もなく笑い転げていた己の行動を棚に上げ、
二人は哀れっぽく真っ赤なクッキーを見やる。天を仰いで十字を切ると
それぞれ一枚を手に取り思い切って口の中に放り込んだ。
ぼりぼりぼり…不気味に静まり返った課室にクッキーを噛み砕く音が響く。
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